オリジナルは1980年リリース。邦訳は1981年6月23日リリース。筆者トマス・シービオクについては、別著『三人の記号 デュパン、ホームズ、パース』という本をあのウンベルト・エーコと出しているのでそちらでご存じの方もいるだろう。まさに生粋のシャーロキアンの研究書である。
シャーロック・ホームズについてはコナン・ドイルがエジンバラ王立病院のジョーゼフ・ベル博士をモデルにしたことは有名だが、この本にはそのベル博士のことも触れられている。56の短編と4つの中編は正にシービオクにとって『聖典』とも言える存在で、どの作品でどのようにホームズが推理したかまで詳細に研究しているのがわかる。実に愉しい。
最後にちょっとだけ『記号論』について触れておこう。『記号論』は『記号学』とも呼ばれ、この本に登場するパースが提唱した考え方だ。具体的にパースは、記号は物理的指示作用と図像的表示能力を持つとし、この二つの作用の総合として象徴作用という第三の意味作用が生じると考えた。パースは記号のこのような三つの意味の位相を『インデックス』・『イコン』・『シンボル』と呼び分けている。記号とは常に低次の意味作用から高次のものへと発展する、記号は時間の中にある、と考えるのだ。この考え方をホームズにあてはめ検証を実施している。なかなかに興味深い。
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シャーロック・ホームズの記号論: C.S.パースとホームズの比較研究 (同時代ライブラリー 209) 新書 – 1994/12/15
名探偵ホームズの犯人探索術は,プラグマティズムの哲学者パースの思考方法と同一のものであった,と推論し,両者を比較検討.ドイルの推理小説の抜群の面白さに潜むパース哲学の隠れた一面を読みとき,記号論の本質を衝く.
- 本の長さ181ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1994/12/15
- ISBN-104002602095
- ISBN-13978-4002602097
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
名探偵シャーロック・ホームズの犯人探索術は、プラグマティズムの哲学者パースが「推測」と呼ぶ論証法と同一のものである。この独創的な視点に立ち、言語学・記号論の世界的な第一人者が、ドイルの推理小説の面白さに迫る。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1994/12/15)
- 発売日 : 1994/12/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 181ページ
- ISBN-10 : 4002602095
- ISBN-13 : 978-4002602097
- Amazon 売れ筋ランキング: - 757,523位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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