"苦から救ってやろうと思って命を絶った。それが罪であろうか。殺したのは罪に相違ない。しかしそれが苦から救うためであったと思うと、そこに疑いが生じて、どうしても解せぬのである"本書は1916年発表にして安楽死をテーマにした表題作含め、著者の後期代表作を収録した一冊。
個人的には少子高齢化の今こそ、表題作を読み直してみたいと随分と久しぶりに手にとってみたのですが。
短くシンプルだけど深い余韻を残す表題作以外では『山椒大夫』『阿部一族』『最後の一句』『堺事件』など【歴史の中からの自然として】自己犠牲・自己放棄をテーマに入水自殺や血生臭く切腹を遂げていく物語たちが、近代化以降に変質するも変わらない日本人の"罪より恥"を重視する精神性を思い出させてくれる様な感覚があって、不思議な懐かしさを覚えました。(その中では『じいさんばあさん』には癒されます)
また、あとがきの中で紹介されている三島由紀夫による『寒山拾得』評。"漢文的教養の上に成り立った、簡潔で清浄な文書でなんの装飾もありません(中略)文学的素人には、こういう文章は決して書けない"にも納得。普段はどちらかと言えば海外文学を読んでいることから【読みやすくも、さりとて英訳されると味が失われてしまう】日本語の文章の良さが本書からはしみじみと感じられました。
味わいのある日本語文章好きへ、また歴史を借景にした時代性を感じさせる作品好きな方にもオススメ。
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山椒大夫・高瀬舟 他四編 (岩波文庫 緑 5-7) 文庫 – 2002/10/16
森 鴎外
(著)
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淡々とした文体で描く晩年の名品6篇
- ISBN-104003100573
- ISBN-13978-4003100578
- 出版社岩波書店
- 発売日2002/10/16
- 言語日本語
- 寸法10.5 x 1 x 14.8 cm
- 本の長さ180ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2002/10/16)
- 発売日 : 2002/10/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 180ページ
- ISBN-10 : 4003100573
- ISBN-13 : 978-4003100578
- 寸法 : 10.5 x 1 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 141,788位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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1862‐1922。島根県出身。本名は林太郎。幼少期に東京へ移り東大医学部を卒業後、軍医となる。ドイツへ留学帰国後執筆活動をはじめる。自己見解を 曲げないことでも有名で、医学界、文学界の双方において論議を巻き起こす。「高瀬舟」「山椒大夫」などから、堪能な語学を生かしての翻訳作品と著書多数(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『舞姫』(ISBN-10:4903620522)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年4月12日に日本でレビュー済み
森鴎外の作品集。『舞姫』とは違い文語体ではなく、口語体ゆえ、読みにくさは感じにく取っつきやすいであろう。分量もそんなに多くない。
結論からいって面白いと感じ、もう一回読もうという気になったのは『山椒大夫』『最後の一句』『高瀬舟』の三作品。これらの簡単な感想をしたい。
『山椒大夫』は人身売買されて母と別れた兄妹の話。決して独創的なものではないく、ある意味ベタといってもいい位だが、その結末は不思議と読み手の心を打つ。以前読んだとき私は不覚にも感動したのだが、あれから時が経ち、結末もわかっているなか読んだらまた感動するのか、と疑問を持ちながらページをめくった。そしてやはり同じように感動した自分を発見して驚いた。ここまで感動の念を覚えさせるのは何なのか、私にははっきりとはわからない。
『最後の一句』は死刑に処せられそうになる父の代わりとして子供たちが身代わりになることを嘆願する作品である。最後は結局のところ死刑にならなかったのだが、その結末は作者の良心から出たものであろうか、とふと考えた。
『高瀬舟』は教科書にも載っている作品である。安楽死問題も内包する作品で、一言に殺人事件といっても色々な態様があることをこの作品を読んで実感させられる。動的な展開は殆ど見せないが異質で独創的、といえばそうである作品である。
結論からいって面白いと感じ、もう一回読もうという気になったのは『山椒大夫』『最後の一句』『高瀬舟』の三作品。これらの簡単な感想をしたい。
『山椒大夫』は人身売買されて母と別れた兄妹の話。決して独創的なものではないく、ある意味ベタといってもいい位だが、その結末は不思議と読み手の心を打つ。以前読んだとき私は不覚にも感動したのだが、あれから時が経ち、結末もわかっているなか読んだらまた感動するのか、と疑問を持ちながらページをめくった。そしてやはり同じように感動した自分を発見して驚いた。ここまで感動の念を覚えさせるのは何なのか、私にははっきりとはわからない。
『最後の一句』は死刑に処せられそうになる父の代わりとして子供たちが身代わりになることを嘆願する作品である。最後は結局のところ死刑にならなかったのだが、その結末は作者の良心から出たものであろうか、とふと考えた。
『高瀬舟』は教科書にも載っている作品である。安楽死問題も内包する作品で、一言に殺人事件といっても色々な態様があることをこの作品を読んで実感させられる。動的な展開は殆ど見せないが異質で独創的、といえばそうである作品である。
2010年5月23日に日本でレビュー済み
「山椒大夫」は、森鴎外のいわゆる「歴史ばなれ」の作品の一つ。
時代は平安の末期1080年代。
安寿と厨子王の物語である。
運命を分ける大事な局面で、
お寺や僧侶、お守袋の地蔵様が重要な役割を果たすあたりは、
この時代を生きた人々の深い信仰心が反映されているといえよう。
そもそも、この姉弟の父が、なぜ筑紫に左遷されたのか、
小説では記されていないが、
ある解説によれば「朝廷の意に反して困窮する農民を救おう」としたとある。
弟厨子王が、都で偶然出会った貴族によって助けられ、
成長し丹後の国守となり、
佐渡にいる母と再会するところで、お話は終わる。
その最後のシ−ンがとても感動的だ。
まさしく映画やドラマにふさわしい物語である。
読後には、母の唱えた歌が聞こえてくるような余韻が残る。
安寿恋しや、ほうやれほ。
厨子王恋しや、ほうやれほ。
鳥も生あるものなれば、
疾う疾う逃げよ、逐わずとも。
今この名作を読み返して、読み取るものは何か。
逆境の中にあっても、強く生き続ける家族の絆とでもいえようか。
森鴎外の作品が、
「確かな倫理的骨格を持っている」と評される由縁であろう。
時代は平安の末期1080年代。
安寿と厨子王の物語である。
運命を分ける大事な局面で、
お寺や僧侶、お守袋の地蔵様が重要な役割を果たすあたりは、
この時代を生きた人々の深い信仰心が反映されているといえよう。
そもそも、この姉弟の父が、なぜ筑紫に左遷されたのか、
小説では記されていないが、
ある解説によれば「朝廷の意に反して困窮する農民を救おう」としたとある。
弟厨子王が、都で偶然出会った貴族によって助けられ、
成長し丹後の国守となり、
佐渡にいる母と再会するところで、お話は終わる。
その最後のシ−ンがとても感動的だ。
まさしく映画やドラマにふさわしい物語である。
読後には、母の唱えた歌が聞こえてくるような余韻が残る。
安寿恋しや、ほうやれほ。
厨子王恋しや、ほうやれほ。
鳥も生あるものなれば、
疾う疾う逃げよ、逐わずとも。
今この名作を読み返して、読み取るものは何か。
逆境の中にあっても、強く生き続ける家族の絆とでもいえようか。
森鴎外の作品が、
「確かな倫理的骨格を持っている」と評される由縁であろう。
2007年6月4日に日本でレビュー済み
この短編集、面白いです。
鴎外が50代を超えた大正時代に書かれているのですが、
文体、テーマ、倫理観等、現代小説と何ら変わりません。
特に簡潔な文体の力強さは驚きます。
藤沢周平や松本清張等を連想しました。
志賀直哉や谷崎のようなだらだらした小説、随筆とは全く異なる世界が広がります。
鴎外は現代小説の始祖と言われますが、
この短編集でその意味がよくわかります。
安楽死を扱った「高瀬舟」、嫉妬に狂った女詩人の殺人を描いた「魚玄機」、長い別離の果てに再会を果たした老夫婦の「じいさんばあさん」、「山椒大夫」などどれもお勧めです。
鴎外が50代を超えた大正時代に書かれているのですが、
文体、テーマ、倫理観等、現代小説と何ら変わりません。
特に簡潔な文体の力強さは驚きます。
藤沢周平や松本清張等を連想しました。
志賀直哉や谷崎のようなだらだらした小説、随筆とは全く異なる世界が広がります。
鴎外は現代小説の始祖と言われますが、
この短編集でその意味がよくわかります。
安楽死を扱った「高瀬舟」、嫉妬に狂った女詩人の殺人を描いた「魚玄機」、長い別離の果てに再会を果たした老夫婦の「じいさんばあさん」、「山椒大夫」などどれもお勧めです。
2007年9月14日に日本でレビュー済み
「山椒大夫」は先が気になる面白さでした。
安寿の優しさに感動しました。
「最後の一句」にしろ、なんでこの本の少女は
優しくって強くて芯があるんでしょうか…
なんかかっこよさすら感じます。
「高瀬舟」では、幸せとは何か考えてしまいました。
弟を殺し、島流しになって全てを失おうとも恵まれていると考える喜助、
それとは逆に家庭も仕事もあるが満足してはいない庄兵衛。
結局幸せなんて人の気の持ちよう??
私にはちょっと難しい話もあったかもしれませんが、
お勧めです。
安寿の優しさに感動しました。
「最後の一句」にしろ、なんでこの本の少女は
優しくって強くて芯があるんでしょうか…
なんかかっこよさすら感じます。
「高瀬舟」では、幸せとは何か考えてしまいました。
弟を殺し、島流しになって全てを失おうとも恵まれていると考える喜助、
それとは逆に家庭も仕事もあるが満足してはいない庄兵衛。
結局幸せなんて人の気の持ちよう??
私にはちょっと難しい話もあったかもしれませんが、
お勧めです。
2008年6月19日に日本でレビュー済み
高瀬舟が一番印象に残った。
弟を安楽死し島流しになってしまった境遇の主人公(喜助)が淡々と描かれている。
特に、安楽死の場面は情景が浮かんできて鮮烈な印象を受けた。
最も感銘したのは、喜助が「足ることを知っていて」、自分のおかれた境遇を
悲しむのではなく、むしろ全面的に受け止めていることである。
人はこのような境地に達することは本当に出来るのだろうか。
そんなことを感じた一冊である。
弟を安楽死し島流しになってしまった境遇の主人公(喜助)が淡々と描かれている。
特に、安楽死の場面は情景が浮かんできて鮮烈な印象を受けた。
最も感銘したのは、喜助が「足ることを知っていて」、自分のおかれた境遇を
悲しむのではなく、むしろ全面的に受け止めていることである。
人はこのような境地に達することは本当に出来るのだろうか。
そんなことを感じた一冊である。