三部作の「それから」より良かった。女は裏切りが多いことをこの作品からも痛感。注意深く生きよう。
漱石の作品は好きである。次は「道草」かなと思っている。
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三四郎 (岩波文庫 緑 10-6) 文庫 – 1990/4/16
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大学入学のために九州から上京した三四郎は東京の新しい空気のなかで世界と人生について一つ一つ経験を重ねながら成長してゆく.筋書だけをとり出せば『三四郎』は一見何の変哲もない教養小説と見えるが,卓越した小説の戦略家漱石は一筋縄では行かぬ小説的企みを実はたっぷりと仕掛けているのだ. (解説 菅野昭正・注 大野淳一)
- ISBN-104003101065
- ISBN-13978-4003101063
- 出版社岩波書店
- 発売日1990/4/16
- 言語日本語
- 本の長さ325ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1990/4/16)
- 発売日 : 1990/4/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 325ページ
- ISBN-10 : 4003101065
- ISBN-13 : 978-4003101063
- Amazon 売れ筋ランキング: - 377,863位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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著者について
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(1867-1916)1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。
帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。
翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年7月9日に日本でレビュー済み
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漱石初期の三部作の一。美禰子が三四郎に投げた…ストレイシープの真意は…
2021年10月2日に日本でレビュー済み
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田舎から大学入学のために上京してきた男の周りで起こる出来事を描いた作品。
とりとめのない学生生活の一風景という感じで、学校周りの馴染みある地名や建造物が懐かしかった。
内容の方は非常に文学的であるというか、主人公の考えていることをはっきりと描写していないため、心情が分かり辛い。
一方でよくしゃべる人物も内容が哲学的で結局何を言いたいのわからない。
解釈の余地が多く、自分にはまだ味が分からない作品だと思った。
ただ、漱石が小説家になった背景を思うと非常にリラックスして書いていると感じられて、
そこは自分までも救われた気がした。
とりとめのない学生生活の一風景という感じで、学校周りの馴染みある地名や建造物が懐かしかった。
内容の方は非常に文学的であるというか、主人公の考えていることをはっきりと描写していないため、心情が分かり辛い。
一方でよくしゃべる人物も内容が哲学的で結局何を言いたいのわからない。
解釈の余地が多く、自分にはまだ味が分からない作品だと思った。
ただ、漱石が小説家になった背景を思うと非常にリラックスして書いていると感じられて、
そこは自分までも救われた気がした。
2024年1月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
漱石がこんなにコミカルだった事を忘れていた。数十年ぶりに読み返してみて良かった。
2023年7月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
許さない内容は
流石に漱石やな。
前期三部作の続きを読み魔障
流石に漱石やな。
前期三部作の続きを読み魔障
2015年9月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
※本レビューはネタバレを含みます。ご注意ください。
小説全体ににじむみずみずしさが好きです。
「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と核心を突かれ、「二十三年の弱点が一度に露見したような心持ち」に「しょげてしま」う三四郎君。かわいい。
熊本から上京し、「そうして現実の世界は、かように動揺して、自分を置き去りにして行ってしまう。はなはだ不安である」と感じる三四郎君。小さな世界から飛び出した若者の初々しい不安感が良く表れています。
広田先生、野々宮、美禰子、よし子と菊人形を見物に出かけながら、「自分の今の生活が熊本当時のそれよりも、ずっと意味の深いものになりつつあると感じた。かつて考えた三個の世界のうちで、第二第三の世界はまさにこの一団の影で代表されている。」と考える三四郎君。
熊本から離れ、学問と美しい女性に出会い、新生活の充実感に満ち溢れたこの描写も、実に初々しい。
そんなうぶな三四郎君、今までに出会ったことのない才女美禰子さんに恋をし、「迷える子(ストレイ・シープ)」という言葉を教えられ、ノートに書き殴っては上の空。
母が結婚を望むお光さんなんかとっくにかすんでしまっている。
与次郎が美禰子を乱暴でイプセンの人物に似ていると評すれば、むきになってどこがだ、誰に似ているんだとくってかかっちゃう。
まさに青年の恋ですね。まぶしく見つめてしまいます。
この小説は、三四郎の実らぬ片思いの物語に見えますが、私には、美禰子さんもこんな三四郎の純朴さが好きだったのではないかと思えます。
美禰子さんは、本当に好きなのは野々宮さんではあるものの、誰か強く自分を愛してくれる男性を求めているような気がしました。様々な局面で、私を愛して、強く愛してと訴えかけているように見えるのです。
菊人形を見に行き、喧騒を二人きりで抜け出して、美禰子さんが二人を迷える子(ストレイ・シープ)と評したとき、美禰子さんは確かに三四郎の中に自分と同じものを見出していたのではないだろうか。全くタイプは違うように見えて、実は二人とも、運命に翻弄されて茫然としている迷子だったのではないだろうか。
もしこのとき、三四郎がそれに気づいて、美禰子さんの抱える不安を拭えるような、何か気の利いたことを言えていたのなら、二人の関係はもっと違ったものになっていたのかも。
三四郎への借金のことも、野々宮さんを試すかのようなことも、みんな愛されたいがための必死の策に見えます。
でも三四郎は美禰子さんの謎かけのような言葉に何と返せばいいかわからず、美禰子さんを他の男から奪い取る気概もない。
そして、それは野々宮さんも同じ。焼きもちを妬いて熱烈に愛を告白したりすることもない。どちらも美禰子さんのことは魅力的に思っているはずなのに、かなり重度の草食男子です。
そんな草食男子たちに業を煮やして、お見合い相手との結婚を決意したように私には思えてならないのです。女が結婚するには、「自分が必要とされた」という事実が必要なのです。たとえお見合いであっても、自分を望む相手のもとに行きたいものです。
三四郎が意を決して「ただ、あなたに会いたいから行ったのです」とようやく言えた頃には、何もかももう遅かったのがただただ切ない。
三四郎は美禰子さんの思わせぶりな態度の被害者のように見えて、実は一番傷つき、情けない思いをしたのは美禰子さんなのではないか…ズレた解釈かもしれませんが、私にはそう思えました。
美禰子さんのそんな儚いいじらしさが魅力的な、余韻の深い作品でした。
小説全体ににじむみずみずしさが好きです。
「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と核心を突かれ、「二十三年の弱点が一度に露見したような心持ち」に「しょげてしま」う三四郎君。かわいい。
熊本から上京し、「そうして現実の世界は、かように動揺して、自分を置き去りにして行ってしまう。はなはだ不安である」と感じる三四郎君。小さな世界から飛び出した若者の初々しい不安感が良く表れています。
広田先生、野々宮、美禰子、よし子と菊人形を見物に出かけながら、「自分の今の生活が熊本当時のそれよりも、ずっと意味の深いものになりつつあると感じた。かつて考えた三個の世界のうちで、第二第三の世界はまさにこの一団の影で代表されている。」と考える三四郎君。
熊本から離れ、学問と美しい女性に出会い、新生活の充実感に満ち溢れたこの描写も、実に初々しい。
そんなうぶな三四郎君、今までに出会ったことのない才女美禰子さんに恋をし、「迷える子(ストレイ・シープ)」という言葉を教えられ、ノートに書き殴っては上の空。
母が結婚を望むお光さんなんかとっくにかすんでしまっている。
与次郎が美禰子を乱暴でイプセンの人物に似ていると評すれば、むきになってどこがだ、誰に似ているんだとくってかかっちゃう。
まさに青年の恋ですね。まぶしく見つめてしまいます。
この小説は、三四郎の実らぬ片思いの物語に見えますが、私には、美禰子さんもこんな三四郎の純朴さが好きだったのではないかと思えます。
美禰子さんは、本当に好きなのは野々宮さんではあるものの、誰か強く自分を愛してくれる男性を求めているような気がしました。様々な局面で、私を愛して、強く愛してと訴えかけているように見えるのです。
菊人形を見に行き、喧騒を二人きりで抜け出して、美禰子さんが二人を迷える子(ストレイ・シープ)と評したとき、美禰子さんは確かに三四郎の中に自分と同じものを見出していたのではないだろうか。全くタイプは違うように見えて、実は二人とも、運命に翻弄されて茫然としている迷子だったのではないだろうか。
もしこのとき、三四郎がそれに気づいて、美禰子さんの抱える不安を拭えるような、何か気の利いたことを言えていたのなら、二人の関係はもっと違ったものになっていたのかも。
三四郎への借金のことも、野々宮さんを試すかのようなことも、みんな愛されたいがための必死の策に見えます。
でも三四郎は美禰子さんの謎かけのような言葉に何と返せばいいかわからず、美禰子さんを他の男から奪い取る気概もない。
そして、それは野々宮さんも同じ。焼きもちを妬いて熱烈に愛を告白したりすることもない。どちらも美禰子さんのことは魅力的に思っているはずなのに、かなり重度の草食男子です。
そんな草食男子たちに業を煮やして、お見合い相手との結婚を決意したように私には思えてならないのです。女が結婚するには、「自分が必要とされた」という事実が必要なのです。たとえお見合いであっても、自分を望む相手のもとに行きたいものです。
三四郎が意を決して「ただ、あなたに会いたいから行ったのです」とようやく言えた頃には、何もかももう遅かったのがただただ切ない。
三四郎は美禰子さんの思わせぶりな態度の被害者のように見えて、実は一番傷つき、情けない思いをしたのは美禰子さんなのではないか…ズレた解釈かもしれませんが、私にはそう思えました。
美禰子さんのそんな儚いいじらしさが魅力的な、余韻の深い作品でした。
2022年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容はとてもよく、無料でうれしかったです。