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踊る地平線 下 (岩波文庫 緑 160-2) 文庫 – 1999/11/16

3.2 5つ星のうち3.2 3個の評価

熱い太陽の下,牛と人との生死を賭けた決闘に血を湧きたたせるスペインの人々.享楽と虚飾の交差点モンテカルロの賭場にたたずむ謎のマダム.リスボンの波止場,イタリアの夜汽車,雪のサン・モリッツ.いよいよ旅も大詰,海路日本を目ざす谷夫妻だが,その荷支度からしてひと騒ぎ.無事帰国できるのか?(解説=尾崎秀樹)
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (1999/11/16)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1999/11/16
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 370ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 400311602X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4003116029
  • カスタマーレビュー:
    3.2 5つ星のうち3.2 3個の評価

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谷 譲次
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上位レビュー、対象国: 日本

2022年2月2日に日本でレビュー済み
昭和の初め、1928年夏から翌年にかけて洋行した谷夫妻の紀行文。その躍動するような独特の文体が「旅の楽しさ」をダイレクトに伝えてくれる。
そう、「旅の楽しさ」。おそらくは一般の観光地巡りを奥方と済ませたのだろうが、さすがは谷譲次。本書の読みどころは名所旧跡がどう、食事と酒がどう等ではなく、例えばマドリッドの闘牛漬けとなったニューヨーク大富豪のひとり娘の末路、リスボンのかかあ天下のもとで船舶専門の女あっせん業を営むイギリス人のたくましさなど、わざわざ欧州へ何をしに行ったんだと言いたくなるエピソードのオンパレードにある。
・モナコはモンテカルロ。この「国際的自由意志を唯一の価値とする」(下p159)カジノ都市で邂逅した「近代的速度を備えた淡いエゴイズムの一本の感覚の尖端にぶらさがっ」た中年白人女性(下p136)の素性が面白い。そしてパリから運転手付きの自家用車でカジノへ乗り付ける(ふりをする)は、金持ちだけが存在を許されるこの都市に正面から入域し、まっとうな扱いを受けるための手段でもある。谷夫妻の準備行動力に脱帽だ。
・ローマへ向かう国際特急の車内では「国際裸体婦人同盟」を名乗る、コートの下は全裸の三十女が谷の車室に入り込んでくる。ときはムッソリーニ氏の天下である。女によって電燈スイッチが操作され、車室内は暗転し、向かいに座る男性(旅の道ずれ)に全裸で腰かける女の姿。「私は、私の全神経の騒ぐ音を聞いた」(下p226)。車室内の緊張感がダイレクトに伝わってくる楽しいエピソードの結末には、あっと言わされた(その正体はファシスト直属の女警察官。外国人の民主派メンバーはこうやって拘束されるのだ)。
・冬のスイスの山岳リゾート地こそ「爛熟しきった物質文明を無制限に享楽する時代と場所」(下p272)である。飾った青年貴族に、御令嬢。しかしその正体は……。「すべての古いものは、その古いが故に、それだけで価値を失ってしまった」(下p275)から、男女間の貞淑な「大戦以前の価値観」は廃れ、年長の男は老嬢はとまどうばかり。これもリゾート地のドラマか。
・「西洋を知り抜いて東洋へ帰る心」(下p322)は谷の信条であるが、帰国用の木製の簡易本箱を注文しようにもバカ高なところから、大英帝国の一欠陥を彼は発見する。すなわち機械工業製品に頼らない商品の特別さと、日本のそれとの対比。なるほど「ハンド・メイド」は便利な言葉ではあるな。「いたずらに先方(西洋)の真似をしないで、わが特徴を伸ばしてゆく以外に、私たちの進展の途(みち)はないということになる」(下p315)
・いざ、欧州航路で横浜へ! その出港前夜にパスポートを紛失し、徹夜で探す羽目に陥る谷夫妻! この顛末も面白い! (結局出港後に見つかり、シベリア鉄道経由で本人帰国よりも前に日本へ届けられたという……。)
・スエズ運河の西洋側の入り口、「密雨のような太陽の光線」(下p333)に照らされたポート・サイドでは「たくさん安いよ!」と変な日本語で迫る怪しい宝石商、手相屋、両替屋、春画売りに囲まれ、強制靴磨き少年に足をつかまれ、奇術師に行く手を遮られ、振り切って、やっとの思いでたどり着いたは「女商売の街」って、この行動力! 

「旅は、はるばるほんとの自分をさがしに出るようなもの」(上p91)。旅行者に与えられた権利と義務、それは「できるだけ多くの大それた欲望を持つこと」(上p11)である。旅の芸術は「受動的に白紙のまま」、すべてを心ゆっくりと受け入れること(上p225)。
「地球の向側の色彩をおのが眼で見きわめたい衝動に駆られて旅に出る」(上p364)、その心意気もわかる。

「旅の楽しさ」をダイレクトに示唆してくれる本書に巡り合えたことは、本当に幸運だったと思う。
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