一読して驚嘆するのは何より、維新後三十年余にして、層は限られるにせよこれだけの西洋料理を知り、つくり、食べていたという
文化的受容性である。この時代の欧米小説を思い浮かべてみると、食材はむろんのこと、調理用の機器、道具、調理法に至るまで、
ほぼ同時代性を、つまり「現代」を共有していることがわかる。知ろう、取り入れよう、という貪欲さは、いい悪いは別として、高度情報化
時代といわれる現代よりもすさまじいと言えるかもしれない。時代の空気を、「食べる」という切り口からさまざまに感じさせてくれるし、
古来から日本がどんな風に海外の文化を受け入れてきたかまで考えさせてくれる、そういう面白さがある。
小説としての筋立てが二の次だったり、「食育」の観点でいささか説教くさいところがあるのも、時代的なご愛嬌でしょう。
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食道楽 下 (岩波文庫 緑 175-2) 文庫 – 2005/8/19
村井 弦斎
(著)
- 本の長さ581ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2005/8/19
- ISBN-104003117522
- ISBN-13978-4003117521
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2005/8/19)
- 発売日 : 2005/8/19
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 581ページ
- ISBN-10 : 4003117522
- ISBN-13 : 978-4003117521
- Amazon 売れ筋ランキング: - 384,992位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2017年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まだ酒道楽や女道楽の方が舌鋒鋭利です。が、一番評価したいのは、半ワル役のお代さんの描出が冷静である事。
未読の方は、「虞美人草」の藤尾さん張りのお代さんながら、只の我儘娘のエゴイズムでしかなく、大変可愛らしい。
尤もコレに付き纏われたら閉口するでしょうが(笑)
比ぶべばヒロインお登和さんは虞美人草の小夜子かなぁと思えますものの、21世紀現代日本に於いては、バタと卵使い過ぎです。
如何に欧米に比肩すべく突っ張ろうとも、もう少し和食献立も見直してよ~と云いたいな。
それも明治開化期の文学士(どう云う商売なのか)・書生気質なのでしょうか? レシピばかりだから、調理に興味無い殿方には退屈かも。
未読の方は、「虞美人草」の藤尾さん張りのお代さんながら、只の我儘娘のエゴイズムでしかなく、大変可愛らしい。
尤もコレに付き纏われたら閉口するでしょうが(笑)
比ぶべばヒロインお登和さんは虞美人草の小夜子かなぁと思えますものの、21世紀現代日本に於いては、バタと卵使い過ぎです。
如何に欧米に比肩すべく突っ張ろうとも、もう少し和食献立も見直してよ~と云いたいな。
それも明治開化期の文学士(どう云う商売なのか)・書生気質なのでしょうか? レシピばかりだから、調理に興味無い殿方には退屈かも。
2013年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
当時の 衛生観念など、庶民の生活ぶりや、西洋文化に対する憧れや戸惑いなど
が感じられ、興味深く読みました。
調理法も 手作業は今でも十分参考になりますし、
長い長い談義も、飽きずに通読しました。
作者の食育への思いが 伝わる作品でした。
が感じられ、興味深く読みました。
調理法も 手作業は今でも十分参考になりますし、
長い長い談義も、飽きずに通読しました。
作者の食育への思いが 伝わる作品でした。
2010年2月7日に日本でレビュー済み
上にひきつづき、秋編、冬編です。
おまけに巻末に「ご飯料理100選」をはじめとしたレシピ集がたっぷり付いています。
相変わらず料理の作り方7割、思想2割、物語1割くらいの爆笑構成ですが
一応ゆるゆると進んできた物語の結末が最後の2ページくらいで決着がつけてあるのが明治の作家の几帳面さでしょうか。
結構なボリュームですが、上下併せて本当に面白かったです。
それにしても、現在でも知る人ぞ知る的なイメージの食材が
すでに明治の頃から知っている人は知っていたし売ってもいたというのに驚きました。
忠実に原語の発音どおりのカタカナの料理名を、現代通用している名称に脳内変換するのも面白いです。
もしかして明治の頃のほうが、カタカナ外国語は本国人に通じやすかったのかも…と思いました。
おまけに巻末に「ご飯料理100選」をはじめとしたレシピ集がたっぷり付いています。
相変わらず料理の作り方7割、思想2割、物語1割くらいの爆笑構成ですが
一応ゆるゆると進んできた物語の結末が最後の2ページくらいで決着がつけてあるのが明治の作家の几帳面さでしょうか。
結構なボリュームですが、上下併せて本当に面白かったです。
それにしても、現在でも知る人ぞ知る的なイメージの食材が
すでに明治の頃から知っている人は知っていたし売ってもいたというのに驚きました。
忠実に原語の発音どおりのカタカナの料理名を、現代通用している名称に脳内変換するのも面白いです。
もしかして明治の頃のほうが、カタカナ外国語は本国人に通じやすかったのかも…と思いました。