"『あんたの二つの議論の例の一方、一文も支払わない方を教えてくれ。お礼はいかほどなりとも、神々に誓って、支払いますよ。』"紀元前423年初演の本書は同時代の実在の人物、ソクラテスに仮託する形で、当時流行のソフィストを攻撃した風刺喜劇。
個人的には哲学も齧っている1人として、本書の意外な印象を与える紹介が気になって手にとりました。
さて、そんな本書は古代アテナイの喜劇詩人、風刺詩人である著者の代表作。一方で紀元前423年の大ディオニューシア祭で初演されたが、最下位に終わった喜劇作品で。
借金苦の田舎紳士ストレプシアデースが苦境を切り抜けるために【目に見えない論理の力で無理やりに相手を打ち負かす詭弁の方法を教えている】悪評高いソフィスト、ソクラテスの道場に詭弁を習いに息子ともども入門するのですが、今度は詭弁を身につけた息子に散々悩まされる羽目に….といった内容なのですが。
弟子にあたるプラトンが描く『ソクラテスの弁明』や『国家』での釈迦、キリスト、孔子と並び四聖人としてのソクラテスのイメージがある私としては『同時代に生きた著者』が描く本書でのソクラテスはギャップがあって、そういった評判も実際にあったのかも。と、やはり新鮮に感じました。
また、ソクラテスの登場に話題を全部持っていかれそうな本書ですが。詭弁を学ぼう、そして学んだストレプシアデース、そして息子の姿はSNS時代に毎日の様に相手の言葉尻を捕らえようとスマホで指先運動している人も多い現代社会と重なる普遍さがあって面白かった。
著者の代表作、当時のソクラテスを考える補助線として。また普遍的な喜劇としてもオススメ。
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雲 改版 (岩波文庫 赤 108-2) 文庫 – 1977/1/17
- 本の長さ183ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1977/1/17
- ISBN-104003210824
- ISBN-13978-4003210826
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1977/1/17)
- 発売日 : 1977/1/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 183ページ
- ISBN-10 : 4003210824
- ISBN-13 : 978-4003210826
- Amazon 売れ筋ランキング: - 572,550位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 186位ギリシャ・ラテン文学
- - 3,505位岩波文庫
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年2月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「雲」はソフィストの守護神で、ソークラテースがそれを敬っているということで、タイトルが「雲」。雲を演じる合唱隊がお告げのような歌を歌うが、これもソフィストを揶揄するような仕方なんだと思います。あらすじは、競馬で借金を作ったペイディッピデースが、ソークラテースに弁論術を習って、借金を帳消しにする詭弁を使おうとするものです。詳しく書くと面白くなくなるので書きません。随所にソークラテースを馬鹿にするような(無駄話をいつもしている奴だとか、変なお告げを聞いているだとか、裸足でうろうろしているとか、ゲスな言葉使いをさせていることとか)記述があります。実際身なりに気を使わなかった(普段はそうかもしれないが、肝心な時にはちゃんとしてる。『饗宴』でわかるように。)とかダイモーンの声を聴いていたとかいうこともあったようなので、多少の事実に、大げさにデフォルメした記述を混ぜています。これは、当時ソークラテースがどう思われていたか、ソフィストがどう思われていたかを知るには良い本かもしれません。無実の罪で裁判では死刑になりますが、アテナイ市民の心象がソクラテスの罪を作り上げていったとも考えられます。
記述は、戯曲の本文が約100ページ、注釈が約50ページ、解説が約30ページといったところです。本文だけ読んでもよくわからないと思いますので、逐一注釈と併せて読めば全く難解なものではありません。解説から読んだとしても、本文を読む妨げにはならないと思います。名著ではありませんが、当時の様子を知る資料として☆4つにしました。
記述は、戯曲の本文が約100ページ、注釈が約50ページ、解説が約30ページといったところです。本文だけ読んでもよくわからないと思いますので、逐一注釈と併せて読めば全く難解なものではありません。解説から読んだとしても、本文を読む妨げにはならないと思います。名著ではありませんが、当時の様子を知る資料として☆4つにしました。
2016年11月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とある書籍で存在を知り購入したが内容が難しすぎ挫折した。
このような本を理解出来るよう勉強し直す必要があると実感。
このような本を理解出来るよう勉強し直す必要があると実感。