エーゲ海のレズボス島に生まれ育った牧人ダフニスとクロエ―の物語です。
捨て子だった二人はそれぞれの育ての親に拾われ、神のお告げで牧人となり、美しく健やかに成長します。
仲良しの幼馴染に、やがて互いを思いあう恋の感情が芽生えて・・・
自然美しい古代ギリシャの島らしい、のどかで優しい恋と愛情の物語だと思います。
若い二人の恋の芽生えや相手を思いやる心がよく描かれていて、素朴ですがとても共感できるお話です。
二人の物語に添えられたディテールも、とても素敵。
当時の牧人の生活や美しい自然がいきいきと語られ、ニンフやエロース、パーンといった神々も二人の恋を応援してくれます。
個人的には「花の香りのするレスボス産の葡萄酒」にとても心魅かれました。
大好きな人と、のどかな自然のなかでともに暮らし、お互いを思いやり生きてゆく。
二人の歩んだ人生は素朴なものですが、とても幸福なものだと思います。
人生で大切にしたいもの、幸福をあたえてくれるものは身近にあり、いつの時も変わらないのかもしれません。
読んだ後、心温かく幸せな気持ちになれる、とても好きな作品です。
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ダフニスとクロエー (岩波文庫 赤 112-1) 文庫 – 1987/3/16
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エーゲ海に浮かぶ美しい島レスボスの自然に囲まれて育った山羊飼いの少年ダフニスと羊飼いの少女クロエー. 春の田園に芽ばえた幼い恋はやがて,二人をはぐくむ自然が季節とともに移りゆくにつれ,しだいに成熟した愛へと深まってゆく. みずみずしい抒情あふれる古代ギリシアの牧歌物語にボナールの挿絵をそえておおくりする.
- 本の長さ211ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1987/3/16
- 寸法10.5 x 2.1 x 14.8 cm
- ISBN-104003211219
- ISBN-13978-4003211212
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1987/3/16)
- 発売日 : 1987/3/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 211ページ
- ISBN-10 : 4003211219
- ISBN-13 : 978-4003211212
- 寸法 : 10.5 x 2.1 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 144,488位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 51位ギリシャ・ラテン文学
- - 1,020位岩波文庫
- カスタマーレビュー:
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2015年1月3日に日本でレビュー済み
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2016年9月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
そこまで読書をするほどでもなかった私ですが、ここまできれいな文章があったなんて、感動しました。
とりわけ、クロエーが恋を恋と知らないまま恋に悩みひとりごちていた際の独り言が綺麗だと感じました。
純な少年少女の恋物語、ぜひご一読ください(この本は廃版です)。
とりわけ、クロエーが恋を恋と知らないまま恋に悩みひとりごちていた際の独り言が綺麗だと感じました。
純な少年少女の恋物語、ぜひご一読ください(この本は廃版です)。
2016年12月7日に日本でレビュー済み
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美術館や近くの本屋では手に入らなかったので、ようやく本物・新品を見ることができ満足しています。
2024年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"レスポスの島で狩をしていたわたしは、ニンフの森でこれまで目にしたこともない、世にも美しいものを見た。それは一枚の絵に描いた、ある恋の物語であった"2世紀末から3世紀初めに書かれた本書は組曲、絵画、三島由紀夫と様々に後世に影響を与えた古代ギリシアの牧歌的な恋物語。
個人的には主宰する読書会の課題図書として手にとりました。
さて、そんな本書はエーゲ海に浮かぶレスボス島、それもほとんどがミュティレーネーの牧場地帯という極度に限られた舞台で、山羊飼いの少年ダフニス、そして羊飼いの少女クロエの幼い二人の恋心の芽生えから、それが次第に成熟して遂には成就するまでの過程が、恋敵との諍い・海賊の襲撃・都市国家間の戦争などの逸話を絡めて、抒情豊かに丁寧に、美しく描かれているのですが。
まず物語としては、典型的な貴種流離譚なのですが。何だか刺激的、どんでんがえし展開の最近のスピーディーな作品に慣れているとかえって新鮮で。また、障害となる敵役も実は根はお人好し、つまり"いい人"ばかりなのに何だかホッと癒される読後感でした。
また、岩波文庫版だと19世紀から20世紀に活動したフランスの画家、日本美術(ジャポニスム)の影響を強く受けたボナールの挿絵がそえられているのですが。これがまた作品世界にあっていて、とても良かったです。
古代ギリシアを舞台にした牧歌的、美しい恋物語に癒されたい方、またモーリス・ラヴェルのバレエ音楽他、様々な表現者に影響を与えた古典としてもオススメ。
個人的には主宰する読書会の課題図書として手にとりました。
さて、そんな本書はエーゲ海に浮かぶレスボス島、それもほとんどがミュティレーネーの牧場地帯という極度に限られた舞台で、山羊飼いの少年ダフニス、そして羊飼いの少女クロエの幼い二人の恋心の芽生えから、それが次第に成熟して遂には成就するまでの過程が、恋敵との諍い・海賊の襲撃・都市国家間の戦争などの逸話を絡めて、抒情豊かに丁寧に、美しく描かれているのですが。
まず物語としては、典型的な貴種流離譚なのですが。何だか刺激的、どんでんがえし展開の最近のスピーディーな作品に慣れているとかえって新鮮で。また、障害となる敵役も実は根はお人好し、つまり"いい人"ばかりなのに何だかホッと癒される読後感でした。
また、岩波文庫版だと19世紀から20世紀に活動したフランスの画家、日本美術(ジャポニスム)の影響を強く受けたボナールの挿絵がそえられているのですが。これがまた作品世界にあっていて、とても良かったです。
古代ギリシアを舞台にした牧歌的、美しい恋物語に癒されたい方、またモーリス・ラヴェルのバレエ音楽他、様々な表現者に影響を与えた古典としてもオススメ。
2014年5月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
きれいな本で、大変満足しています。色も正確に表現されているように思います。
2015年5月24日に日本でレビュー済み
おさなき少年少女が恋という概念をしらないままに惹かれあう。
それから次第にお互いを意識し始める。
それからすばらしいレスボスの自然の中で恋の概念を知る。性的な結びつきをしないままで、愛を育む、そして、結ばれ、誰からも祝福を受けて結婚する。
実に清純で美しい。松平千秋の訳も、少し控えめで、それだからこそ光る。てんにんかの花、数珠掛鳩・・美しい言葉も羅列している。ともかく読みやすい。
そしてなんと読後感が爽快だろうか。私は何か力が湧かない時は何十年もこの本を手にとっていた。
ラベルのダフニスとクロエを聞いてない人は今から聞いてほしいが、そのためには是非読んでほしい。
ちなみにフィギュアスケートの太田由季奈は昔、まるでクロエそのものの舞を4大陸選手権で踊っていた。
それから次第にお互いを意識し始める。
それからすばらしいレスボスの自然の中で恋の概念を知る。性的な結びつきをしないままで、愛を育む、そして、結ばれ、誰からも祝福を受けて結婚する。
実に清純で美しい。松平千秋の訳も、少し控えめで、それだからこそ光る。てんにんかの花、数珠掛鳩・・美しい言葉も羅列している。ともかく読みやすい。
そしてなんと読後感が爽快だろうか。私は何か力が湧かない時は何十年もこの本を手にとっていた。
ラベルのダフニスとクロエを聞いてない人は今から聞いてほしいが、そのためには是非読んでほしい。
ちなみにフィギュアスケートの太田由季奈は昔、まるでクロエそのものの舞を4大陸選手権で踊っていた。
2011年5月22日に日本でレビュー済み
ミレーの「春」という絵を見て、この物語を知りました。
この春というのは明るい緑があふれるとてもきれいな絵だったのですが、
この作品も絵と同じく明るい印象をうけました。
話は幼馴染の二人がのんびりとした牧人の生活を送りながら、
最後は結婚するという流れです。
これが牧歌的な文とあいまって、非常にさわやかな読後感を
持てます。
この作品が書かれたのが約1800年前ですが、お話は幼い恋心の成就と
今でも共感を呼べる内容だと知ってとても驚きました。
案外、昔も人々が好きな物や大事にしたいものは変わらないのかな、
と感じました。
この春というのは明るい緑があふれるとてもきれいな絵だったのですが、
この作品も絵と同じく明るい印象をうけました。
話は幼馴染の二人がのんびりとした牧人の生活を送りながら、
最後は結婚するという流れです。
これが牧歌的な文とあいまって、非常にさわやかな読後感を
持てます。
この作品が書かれたのが約1800年前ですが、お話は幼い恋心の成就と
今でも共感を呼べる内容だと知ってとても驚きました。
案外、昔も人々が好きな物や大事にしたいものは変わらないのかな、
と感じました。