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ユートピア (岩波文庫 赤202-1) 文庫 – 1957/10/7
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購入オプションとあわせ買い
推薦者:二宮 雅也氏(損害保険ジャパン日本興亜株式会社 取締役社長)
本書を、単なる理想郷として読むことはできない。五百年を経た今も議論のある宗教への寛容、犯罪と刑罰、尊厳死を含む死の在り方、戦争や戦闘行為の否定と自衛権の容認など解決すべき課題は多い。
表題の「ユートピア」とは「どこにも無い」という意味のトマス・モア(1478‐1535)の造語である。モアが描き出したこの理想国は自由と規律をかねそなえた共和国で、国民は人間の自然な姿を愛し「戦争でえられた名誉ほど不名誉なものはない」と考えている。社会思想史の第一級の古典であるだけでなく、読みものとしても十分に面白い。
本書を、単なる理想郷として読むことはできない。五百年を経た今も議論のある宗教への寛容、犯罪と刑罰、尊厳死を含む死の在り方、戦争や戦闘行為の否定と自衛権の容認など解決すべき課題は多い。
表題の「ユートピア」とは「どこにも無い」という意味のトマス・モア(1478‐1535)の造語である。モアが描き出したこの理想国は自由と規律をかねそなえた共和国で、国民は人間の自然な姿を愛し「戦争でえられた名誉ほど不名誉なものはない」と考えている。社会思想史の第一級の古典であるだけでなく、読みものとしても十分に面白い。
- 本の長さ210ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1957/10/7
- 寸法10.6 x 1.2 x 15 cm
- ISBN-104003220218
- ISBN-13978-4003220214
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対象商品: ユートピア (岩波文庫 赤202-1)
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1957/10/7)
- 発売日 : 1957/10/7
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 210ページ
- ISBN-10 : 4003220218
- ISBN-13 : 978-4003220214
- 寸法 : 10.6 x 1.2 x 15 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 80,763位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
課題図書で読んだ
読みやすい
読みやすい
2019年6月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"ですから、私はユートピアの、つまり、すくない法律で万事が旨く円滑に運んでいる(中略)かようなユートピアの人々の間に行われているいろんなすぐれた法令のことを深く考えさせられるのです"1516年発刊の本書は抽象的ではなく現実的、共産主義的な管理社会を『理想郷』として描いており興味深い。
個人的には著者による造語でありつつも【絶対に実現しない空想社会】的な意味合いで、日常会話や物語で広く市民権を得ている言葉である『ユートピア』について、著者自身がどのように書いているのか?に関心を持って本書を手にとりました。
さて【社会の最善政体とユートピア新島についての楽しく有益な小著】とも訳される本書は、招待された旅人ラファエル・ヒスロディと著者の社会批判会話を1部として、2部では語り手のヒスロディによりユートピア共和国の詳細が、そして3部では同じく著者からピーター・ジャイルズへの手紙として、出版にしてもよいか?また、そもそも『どの辺にユートピアがあるか』ヒスロディに聞いてもらえないか?といった形で構成されているわけですが。
なんといっても驚いたのは、時代を感じさせる宗教的要素を除き、仮に奴隷制をロボットと置き換えれば【ベーシックインカム】【ワークライフバランス】【シェアエコノミー】【医療費無料や安楽死】といった現在話題になっている事に、そのまま通用する近未来SFとしても論じる事もできる【ユートピアの革新性】だ。なので、私などはユートピアと同じく島国である此の国の未来を比較予測しながら楽しく読み進める事が出来ました。(そういった意味では本書は読書会向けかもしれません)
また、マルクスの提言した【共産主義が300年以上前に描かれている】といった形で本書は批評される事も多いようですが。私としてはそれより、本書を著した後、1529年には熱心なカトリックの大法官まで出世しつつも、離婚問題で国王の恨みをかって【法の名のもとに行われたイギリス史上最も暗黒な犯罪】と言われる斬首で一生を終えた著者の事を考えて、中世と近代の狭間における人生の栄枯盛衰に思いを馳せたり。
そもそも『ユートピアって?』とディストピア小説読みながら不意に思ってしまった誰かへ。また社会思想史の名著を探す誰かにもオススメ。
個人的には著者による造語でありつつも【絶対に実現しない空想社会】的な意味合いで、日常会話や物語で広く市民権を得ている言葉である『ユートピア』について、著者自身がどのように書いているのか?に関心を持って本書を手にとりました。
さて【社会の最善政体とユートピア新島についての楽しく有益な小著】とも訳される本書は、招待された旅人ラファエル・ヒスロディと著者の社会批判会話を1部として、2部では語り手のヒスロディによりユートピア共和国の詳細が、そして3部では同じく著者からピーター・ジャイルズへの手紙として、出版にしてもよいか?また、そもそも『どの辺にユートピアがあるか』ヒスロディに聞いてもらえないか?といった形で構成されているわけですが。
なんといっても驚いたのは、時代を感じさせる宗教的要素を除き、仮に奴隷制をロボットと置き換えれば【ベーシックインカム】【ワークライフバランス】【シェアエコノミー】【医療費無料や安楽死】といった現在話題になっている事に、そのまま通用する近未来SFとしても論じる事もできる【ユートピアの革新性】だ。なので、私などはユートピアと同じく島国である此の国の未来を比較予測しながら楽しく読み進める事が出来ました。(そういった意味では本書は読書会向けかもしれません)
また、マルクスの提言した【共産主義が300年以上前に描かれている】といった形で本書は批評される事も多いようですが。私としてはそれより、本書を著した後、1529年には熱心なカトリックの大法官まで出世しつつも、離婚問題で国王の恨みをかって【法の名のもとに行われたイギリス史上最も暗黒な犯罪】と言われる斬首で一生を終えた著者の事を考えて、中世と近代の狭間における人生の栄枯盛衰に思いを馳せたり。
そもそも『ユートピアって?』とディストピア小説読みながら不意に思ってしまった誰かへ。また社会思想史の名著を探す誰かにもオススメ。
2017年1月21日に日本でレビュー済み
まずユートピアという国が「どこにもない」という造語を意味するとしても、
本当に理想的な国家とはイコールではないということをこの本を読んで理解するでしょう。
本書に描かれるこの国の問題は、この国を裏で支えている、厳然として存在している
「奴隷制」の範疇を結局克服できていないところにあります。
国民たちのもとに屠殺場や雑用ではたらく奴隷たち、およそ国民がやらないような汚れ仕事はすべて彼ら奴隷が代わりに行います。また植民地制もあり、原住民との係争も肯定されている上に自分勝手な理由で侵略することが正当化されているのですが、その点についての問題はさておき、戦争に借り出されていくのも当然奴隷たちということになるわけです。こういう国民の権利をさも理想的であるかのように糊塗する展開はなんとも滑稽でしかありません。まるで貴族制に毛が生えたような国家システムです。当時の価値観を反映して構築されたシステムの限界がそこに垣間見られます。矛盾を孕んだ国家のシステム、このような国家の闇の部分は所々に散見され、読み手は苦笑いしながら読み進めることでしょう。大変グロテスクでシュールな光景を見ることができるはずです。
本当に理想的な国家とはイコールではないということをこの本を読んで理解するでしょう。
本書に描かれるこの国の問題は、この国を裏で支えている、厳然として存在している
「奴隷制」の範疇を結局克服できていないところにあります。
国民たちのもとに屠殺場や雑用ではたらく奴隷たち、およそ国民がやらないような汚れ仕事はすべて彼ら奴隷が代わりに行います。また植民地制もあり、原住民との係争も肯定されている上に自分勝手な理由で侵略することが正当化されているのですが、その点についての問題はさておき、戦争に借り出されていくのも当然奴隷たちということになるわけです。こういう国民の権利をさも理想的であるかのように糊塗する展開はなんとも滑稽でしかありません。まるで貴族制に毛が生えたような国家システムです。当時の価値観を反映して構築されたシステムの限界がそこに垣間見られます。矛盾を孕んだ国家のシステム、このような国家の闇の部分は所々に散見され、読み手は苦笑いしながら読み進めることでしょう。大変グロテスクでシュールな光景を見ることができるはずです。
2021年1月29日に日本でレビュー済み
「ユートピア」という言葉は、「空想上の」あるいは「理想的な」という意味で使うことが多いだろう。トマス・モアの造語であるユートピアはギリシア語で「どこにも無い」を意味する。表題の『ユートピア』はどこにも無い国なのである。
『ユートピア』はユートピア国に滞在したラファエル・ヒロスデイが語った見聞をモアが記録したという体裁をとっている。この本の中でモアは共産主義国家であるユートピアを理想国家として描いた。ユートピア国の特徴は様々だが、必要十分な少数の法律を人々が忠実に順守していることや、人々が貨幣をまったく用いずに社会生活を営んでいることはユートピア国に特有な特徴だろう。法制度、例えば刑罰の重さや人々が法律を自ら進んで守るための褒賞の存在などがかなり詳しく述べられている。法律家のモアにとって、(宗教を別として)社会基盤としての法律や法制度の重要性を強調するのは当然のことだったに違いない。
しかしユートピアを「どこにも無い国」にしているのは何よりも、公共の利益と平和を求めるユートピア人の性質なのではないかと個人的には思う。「金銀を汚いもの、恥ずべきもの」と考える人々が個人的に大きな富を所有することは難しいだろう。私有財産に関心のない人々は公共財産の増進に心を砕くかもしれない。「どんな人間でも自分に危害を加えない限り、敵と見なすべきでは」なく、「戦争で得られた名誉ほど不名誉なものはないと考えている」人たちの間では争いも起きず、他国へ戦争を仕掛けることもなく、平和が保たれるはずだ。
ユートピア人のこういった性質はそもそもどこから来ているのか。少なくとも一部は教育の賜物と言えるだろう。しかし教育がなぜ上手く機能しているのかが、非ユートピア人である読者にはなかなか理解できない。他の例として、本書には窃盗犯に対する扱いについての記述がある。窃盗犯は日中に公共の労務を果たし夜は独房で過ごす。「国家の共通の召使い」である彼らにはかなり良い食事が提供され、給与が支払われる。そして給与の財源は「非常に慈悲の心に富んでいる」人々による寄付なのである。教育が慈悲の心をはぐくむことは間違いないが、それだけで十分なのかどうか疑問が残る。非ユートピア人であるヒロスデイア説明の中で何気なく「この方法は不安定なものではありますが」という一言を付け加えているのもうなずける。
ヒロスデイはユートピア国での滞在経験を踏まえてこう意見を述べる。「財産の雌雄が認められ、金銭が絶大な権力をふるう所では、国家の正しい政治と繁栄は望むべくもありません」それに対してモアは(おそらく読者を代表して)、私有財産が認められない社会では人々が真面目に働くインセンティブを持たず、結果として幸福な生活が実現しないのではないかと疑問を挟む。ヒロスデイはモアの疑問を「見当ちがい」と一蹴するが、具体的な理由を挙げて反論することはない。ここにも制度とは別の、ユートピア人の何か特別な性質こそが重要であることが暗に示されているように思える。もっとも続く第2巻ではこの疑問への答えとして「国民がぶらぶらと時間を空費する事由が許されていない」、「怠ける口実や言い訳があたえられていない」と飛べられている(本書巻末の「解説」によると第2巻が第1巻より先に書かれたという)。
モアの描くユートピアが理想国家であるかどうかはともかく、制度や法律をどう設計するにせよ、人々の考え方や価値観(そしてそれらを正しく導く教育)こそが重要であることを本書は示唆しているのだろう。
『ユートピア』はユートピア国に滞在したラファエル・ヒロスデイが語った見聞をモアが記録したという体裁をとっている。この本の中でモアは共産主義国家であるユートピアを理想国家として描いた。ユートピア国の特徴は様々だが、必要十分な少数の法律を人々が忠実に順守していることや、人々が貨幣をまったく用いずに社会生活を営んでいることはユートピア国に特有な特徴だろう。法制度、例えば刑罰の重さや人々が法律を自ら進んで守るための褒賞の存在などがかなり詳しく述べられている。法律家のモアにとって、(宗教を別として)社会基盤としての法律や法制度の重要性を強調するのは当然のことだったに違いない。
しかしユートピアを「どこにも無い国」にしているのは何よりも、公共の利益と平和を求めるユートピア人の性質なのではないかと個人的には思う。「金銀を汚いもの、恥ずべきもの」と考える人々が個人的に大きな富を所有することは難しいだろう。私有財産に関心のない人々は公共財産の増進に心を砕くかもしれない。「どんな人間でも自分に危害を加えない限り、敵と見なすべきでは」なく、「戦争で得られた名誉ほど不名誉なものはないと考えている」人たちの間では争いも起きず、他国へ戦争を仕掛けることもなく、平和が保たれるはずだ。
ユートピア人のこういった性質はそもそもどこから来ているのか。少なくとも一部は教育の賜物と言えるだろう。しかし教育がなぜ上手く機能しているのかが、非ユートピア人である読者にはなかなか理解できない。他の例として、本書には窃盗犯に対する扱いについての記述がある。窃盗犯は日中に公共の労務を果たし夜は独房で過ごす。「国家の共通の召使い」である彼らにはかなり良い食事が提供され、給与が支払われる。そして給与の財源は「非常に慈悲の心に富んでいる」人々による寄付なのである。教育が慈悲の心をはぐくむことは間違いないが、それだけで十分なのかどうか疑問が残る。非ユートピア人であるヒロスデイア説明の中で何気なく「この方法は不安定なものではありますが」という一言を付け加えているのもうなずける。
ヒロスデイはユートピア国での滞在経験を踏まえてこう意見を述べる。「財産の雌雄が認められ、金銭が絶大な権力をふるう所では、国家の正しい政治と繁栄は望むべくもありません」それに対してモアは(おそらく読者を代表して)、私有財産が認められない社会では人々が真面目に働くインセンティブを持たず、結果として幸福な生活が実現しないのではないかと疑問を挟む。ヒロスデイはモアの疑問を「見当ちがい」と一蹴するが、具体的な理由を挙げて反論することはない。ここにも制度とは別の、ユートピア人の何か特別な性質こそが重要であることが暗に示されているように思える。もっとも続く第2巻ではこの疑問への答えとして「国民がぶらぶらと時間を空費する事由が許されていない」、「怠ける口実や言い訳があたえられていない」と飛べられている(本書巻末の「解説」によると第2巻が第1巻より先に書かれたという)。
モアの描くユートピアが理想国家であるかどうかはともかく、制度や法律をどう設計するにせよ、人々の考え方や価値観(そしてそれらを正しく導く教育)こそが重要であることを本書は示唆しているのだろう。
2020年6月20日に日本でレビュー済み
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窃盗と死刑についての議論は、とてもわかりやすく法益の説明がされていると思いました。「ユートピア」はSFの表現に用いられることが多いですが、政治的な意味を含有していることを留めるべきです。
2013年8月15日に日本でレビュー済み
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探していたものでしたので、助かりました。解説の伝記の箇所もいいです。
2018年3月27日に日本でレビュー済み
トマス・モアといえば映画「わが命つきるとも」を思い出すのですが、ヘンリー8世の離婚に宗教的な信念から最後まで反対し、最後は斬首されてしまいます。そんなモアが1516年(つまり今からおよそ500年前)、38歳の時に執筆したのが本書になります。ユートピアは「どこにも無い」という意味のモアの造語です。
モアの描くユートピアは、当時の絶対王政下の欧州社会のアンチテーゼ的な意味合いとして書かれていますが、完全なユートピアというよりは「限定的な」ユートピアといった方が正しいかもしれません。たとえば市民には自由と平等がありますが、ユートピアにも奴隷がいて、奴隷は動物のと殺などを担当します。また戦争もします。しかし市民はみな十分に生活していけるだけの衣食住を賄っていて、潤沢にモノが存在しているため貨幣交換が存在しません。なぜ潤沢に衣食住が揃っているかと言えば、皆が生産的な活動に従事しているからで、モアによれば宮廷に巣くうおしゃべりだけの人間だけでなく、弁護士すらも不必要な非生産的人間として扱われ、その結果ユートピアにはそれらの非生産的人間は存在していないのです。またモアは貨幣こそが悪徳と害毒の原因であると断罪しています。外国との交易においては金銀が使われますが、ユートピア国にとって金銀は、戦争資金以外の意味を持ちません。同盟国はありませんが自国の人材を首長として受け入れている国は友邦国であり、自国もしくは友邦国が攻め込まれたときなどには金銀をフルに活用して戦争を行います。金銀を用いて敵国内で内紛を起こすのです。
モア自身が非常に信仰心の強いカトリック教徒だったこともあって、モアの描くユートピアでは理性だけが社会を支配しているのではなく、宗教にも寛容です。しかもキリスト教だけでなくあらゆる宗教が「限定的」ではありますが、ユートピア国では認められる。巻末の解説にも書いてありましたが、理性と信仰の両方を融和させようとした点にこそ、実はモアのユートピアの真髄があるのではないかと感じました。その意味では、宗教を排斥した共産主義よりも、よっぽど「ユートピア」であって、文中の奴隷を機械に置き換えれば、十分21世紀の社会に当てはめることが出来るのではないかと感じました。
モアの描くユートピアは、当時の絶対王政下の欧州社会のアンチテーゼ的な意味合いとして書かれていますが、完全なユートピアというよりは「限定的な」ユートピアといった方が正しいかもしれません。たとえば市民には自由と平等がありますが、ユートピアにも奴隷がいて、奴隷は動物のと殺などを担当します。また戦争もします。しかし市民はみな十分に生活していけるだけの衣食住を賄っていて、潤沢にモノが存在しているため貨幣交換が存在しません。なぜ潤沢に衣食住が揃っているかと言えば、皆が生産的な活動に従事しているからで、モアによれば宮廷に巣くうおしゃべりだけの人間だけでなく、弁護士すらも不必要な非生産的人間として扱われ、その結果ユートピアにはそれらの非生産的人間は存在していないのです。またモアは貨幣こそが悪徳と害毒の原因であると断罪しています。外国との交易においては金銀が使われますが、ユートピア国にとって金銀は、戦争資金以外の意味を持ちません。同盟国はありませんが自国の人材を首長として受け入れている国は友邦国であり、自国もしくは友邦国が攻め込まれたときなどには金銀をフルに活用して戦争を行います。金銀を用いて敵国内で内紛を起こすのです。
モア自身が非常に信仰心の強いカトリック教徒だったこともあって、モアの描くユートピアでは理性だけが社会を支配しているのではなく、宗教にも寛容です。しかもキリスト教だけでなくあらゆる宗教が「限定的」ではありますが、ユートピア国では認められる。巻末の解説にも書いてありましたが、理性と信仰の両方を融和させようとした点にこそ、実はモアのユートピアの真髄があるのではないかと感じました。その意味では、宗教を排斥した共産主義よりも、よっぽど「ユートピア」であって、文中の奴隷を機械に置き換えれば、十分21世紀の社会に当てはめることが出来るのではないかと感じました。