作品のモデルであるゴーギャンの画家としての歴史から見れば、タヒチ時代が一種の到達点だと思う。
しかし、小説「月と六ペンス」の中で一番面白かったのはパリ時代である。特に無類の善人ダークと
主人公ストリックランドとの関わりは読ませる。もっと描いて仕舞えば、善人ダークとその妻ブランチ
そして悪魔のようなストリックランドのエピソードが実に興味深い。
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月と六ペンス (岩波文庫) 文庫 – 2010/7/15
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皮肉な笑みを浮かべながら、自分は〈通俗作家〉だとうそぶいていたモーム(1874―1965)だが、その作品の底には、複雑きわまりない矛盾の塊としての人間にそそぐ、〈人間探究者〉の飽くなき目があった。芸術の魔力に取り憑かれた男の徹底したエゴイズムを、シニカルな筆致で巧みに描いてみせたモームの代表作。
- ISBN-104003225422
- ISBN-13978-4003225424
- 出版社岩波書店
- 発売日2010/7/15
- 言語日本語
- 本の長さ416ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2010/7/15)
- 発売日 : 2010/7/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 416ページ
- ISBN-10 : 4003225422
- ISBN-13 : 978-4003225424
- Amazon 売れ筋ランキング: - 22,210位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2019年12月10日に日本でレビュー済み
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2016年7月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
(作品の内容に触れています)
ゴーギャンの生きざまをストリックランドという架空の人物に仮託している。解説に触れられてように伝記ではなく、
たぶんに改変がなされており、この巨匠をあまり意識せず、一芸術家の後半生をじっくりと味わえたという意味で、
満足できる作品だった。退屈で平凡な男が、もともと内に秘めていたのか、それとも、とつぜん美の悪霊に取りつかれたのか
(どうも後者のような気がするのだが)、個性的な化け物に豹変する。美の探究以外には興味を示さず、友情、愛情、恋愛、性欲など
「犬にでも食われろ」と、氷のように冷淡である。
ストリックランドの天才を最初に見抜いたのはストラーヴで、両者は、あざやかな対照をなしている。
ストラーヴには並外れた鑑識眼がそなわっているが、描く絵は低俗で三流に属する。ストリックランドの芸術論はとくに輝かしい
ところがないのに、絵は死後、非常に高く評価される。
タヒチの住処の壁画にクートラ医師は驚嘆する。じぶんの死後、ストリックランドは、家を焼けという。
彼は、作品を後世に残すとか、名声を博すとかには、まったく無関心だ。美の探究じたいが目的となっている。
出来上がった絵は用なしで未練がない。
おそらく、絵の制作過程で悦楽に浸り、完成したときの(満足した場合は)絶頂感をたのしんでいたのではあるまいか。
ゆえに、おどろくべき禁欲生活が送れたのではないだろうか。
※ 写真・自己紹介は無視して下さい
ゴーギャンの生きざまをストリックランドという架空の人物に仮託している。解説に触れられてように伝記ではなく、
たぶんに改変がなされており、この巨匠をあまり意識せず、一芸術家の後半生をじっくりと味わえたという意味で、
満足できる作品だった。退屈で平凡な男が、もともと内に秘めていたのか、それとも、とつぜん美の悪霊に取りつかれたのか
(どうも後者のような気がするのだが)、個性的な化け物に豹変する。美の探究以外には興味を示さず、友情、愛情、恋愛、性欲など
「犬にでも食われろ」と、氷のように冷淡である。
ストリックランドの天才を最初に見抜いたのはストラーヴで、両者は、あざやかな対照をなしている。
ストラーヴには並外れた鑑識眼がそなわっているが、描く絵は低俗で三流に属する。ストリックランドの芸術論はとくに輝かしい
ところがないのに、絵は死後、非常に高く評価される。
タヒチの住処の壁画にクートラ医師は驚嘆する。じぶんの死後、ストリックランドは、家を焼けという。
彼は、作品を後世に残すとか、名声を博すとかには、まったく無関心だ。美の探究じたいが目的となっている。
出来上がった絵は用なしで未練がない。
おそらく、絵の制作過程で悦楽に浸り、完成したときの(満足した場合は)絶頂感をたのしんでいたのではあるまいか。
ゆえに、おどろくべき禁欲生活が送れたのではないだろうか。
※ 写真・自己紹介は無視して下さい
2015年9月6日に日本でレビュー済み
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■自分は他人とはどこかずれているのではないか?
■人生をこのまま終えて本当にいいのか?
■優等生的に生きてきて周りからは喜ばれている。では自分は?心から悦びを感じているか?
■面白い海外文学作品を読んでみたい。でもって旅先で出会った外国人達と「あー、あれは面白いよね~!」と感想言い合ったりしたい。
■モテたい
ひとつでも当てはまる人は、購入クリック☆
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2010年11月29日に日本でレビュー済み
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十代の大学生の頃読んだ記憶があるが、中身はなんとなくしか覚えていなかった。
月も六ペンス硬貨も形は同じ丸。
月は空の彼方に浮かび、日ごろ見ることはできても決して手の届かないもの。
六ペンスは財布の中にもあるし、道路の上にも落ちていたりするありふれた硬貨。(12進法廃止により1967年以降は発行されていないので、現在では希少といえば希少なのだが)
上だけを向いて月を目指すのか?地上をしっかり見据えて六ペンスを稼ぐ(拾う)のか?
バランスが肝心だと言ってしまうことに間違いはないし、後悔しないためには大切でもあろうが。
人としての成功や評価とは?それをいつ感じるのが理想なのか?(生前にもとめるのか?死後でもかまわないのか?)
生ききったと思える人生とはどのような人生なのか?
主人公ストリックランドは少なくとも一点の後悔もなく人生を終えることができたであろう。
他者から見れば救いようのないと思われる人生は、本人にとっては「Life is beautiful!!」といえるものであったのだと。
平均余命までの人生の半分を超えたあたりで読むこの作品の読後感は、老いることなど想像もつかなかった頃のものとは明らかに異なる。
人生の永遠のテーマであるだけに、10年おきくらいに定期的に読むと面白いのではなかろうか?
月も六ペンス硬貨も形は同じ丸。
月は空の彼方に浮かび、日ごろ見ることはできても決して手の届かないもの。
六ペンスは財布の中にもあるし、道路の上にも落ちていたりするありふれた硬貨。(12進法廃止により1967年以降は発行されていないので、現在では希少といえば希少なのだが)
上だけを向いて月を目指すのか?地上をしっかり見据えて六ペンスを稼ぐ(拾う)のか?
バランスが肝心だと言ってしまうことに間違いはないし、後悔しないためには大切でもあろうが。
人としての成功や評価とは?それをいつ感じるのが理想なのか?(生前にもとめるのか?死後でもかまわないのか?)
生ききったと思える人生とはどのような人生なのか?
主人公ストリックランドは少なくとも一点の後悔もなく人生を終えることができたであろう。
他者から見れば救いようのないと思われる人生は、本人にとっては「Life is beautiful!!」といえるものであったのだと。
平均余命までの人生の半分を超えたあたりで読むこの作品の読後感は、老いることなど想像もつかなかった頃のものとは明らかに異なる。
人生の永遠のテーマであるだけに、10年おきくらいに定期的に読むと面白いのではなかろうか?
2021年3月21日に日本でレビュー済み
芸術のことしか頭にない偏屈な画家、ストリックランドを、主人公の視点から描き取った作品。
とにかく、ストリックランドのキャラクターが面白い。
奇矯な芸術家の典型例が描かれています。たとえば、こんな具合に。
「いいですか、仮に世間の人がみんな、あなたと同じように振る舞ったら、世の中は成り立ちませんよ」
「馬鹿なことを言うな。俺みたいに行動したい奴なんかいるものか。大多数の奴らは、ごく平凡なことをやって満足しているんだ」
「俺は愛など要らぬ。そんな暇はない。愛は人間の弱点だ。俺は男だから、女が欲しいこともあるさ。だが欲望が満たされれば、他のことに向かう。性欲は克服できんが、そいつを憎んでもいるのだ。精神を虜にするからだ。あらゆる欲望から解放され、邪魔なしで仕事に没頭できるときを、いつだって待ち望んでいる。」
もう一点、あまり世間には浸透していないように思われるのですが、モームにはニヒリズム的な思想が垣間見えるときがあります。名作『人間の絆』にもそうしたセリフは見られますが、この『月と六ペンス』も例外ではありません。
「人生に価値なんかない」
悲嘆に暮れるでも、嘆くでもなく、ただあたりまえの事実としてあっさりとこんなことを言ってのけられるのは、モームの魅力の一つかもしれません。
とにかく、ストリックランドのキャラクターが面白い。
奇矯な芸術家の典型例が描かれています。たとえば、こんな具合に。
「いいですか、仮に世間の人がみんな、あなたと同じように振る舞ったら、世の中は成り立ちませんよ」
「馬鹿なことを言うな。俺みたいに行動したい奴なんかいるものか。大多数の奴らは、ごく平凡なことをやって満足しているんだ」
「俺は愛など要らぬ。そんな暇はない。愛は人間の弱点だ。俺は男だから、女が欲しいこともあるさ。だが欲望が満たされれば、他のことに向かう。性欲は克服できんが、そいつを憎んでもいるのだ。精神を虜にするからだ。あらゆる欲望から解放され、邪魔なしで仕事に没頭できるときを、いつだって待ち望んでいる。」
もう一点、あまり世間には浸透していないように思われるのですが、モームにはニヒリズム的な思想が垣間見えるときがあります。名作『人間の絆』にもそうしたセリフは見られますが、この『月と六ペンス』も例外ではありません。
「人生に価値なんかない」
悲嘆に暮れるでも、嘆くでもなく、ただあたりまえの事実としてあっさりとこんなことを言ってのけられるのは、モームの魅力の一つかもしれません。
2011年10月25日に日本でレビュー済み
当時の僕は、人間というものはもっと首尾一貫していると考えていたのだ。
だから、あんなに愛らしい女性の中に、あれほど激しい憎悪が存在するのを知って、心が痛んだ。
一人の人間を構成している諸要素がこれほど混然としているとは気付いていなかった。
今なら、同じ人間の中に、卑小さと偉大さ、悪意と親切、情悪と愛情が混然と同居しているのが良くわかっている。
およそこの世で最も貴重なものである美が、浜辺の石ころのように転がっていて、無頓着に散歩する者でも漠然と拾い上げられるなどと、どうして考えるんだい。
美というものは、芸術家が自らの魂を痛めながら、世の混沌の中から創造する、不思議な素晴らしいものだ。そして、芸術家が創造してからも、誰にでも作品の本質が理解できるわけじゃない。本質がわかるためには、芸術家と同じ魂の痛み、創造の苦悩を体験しなければならない。作品とは、言うなれば芸術家が歌って聞かせるメロディーであり、それを自分の心で正しく聞くためには、知恵と感性と想像力がなくてはならない。
果たしてエイブラハムは一生を棒に振ったのだろうか。自分の気に入った土地で、自分が是非ともやりたいことを心安らかにやるというのは、人生を棒に振ることなのだろうか。著名な外科医となって年収1千ポンドを稼ぎ、美人を妻にすることが、成功なのだろうか。それは結局、人が人生に何を期待するか、社会に何を期待するか、個人に何を期待するかに拠るのだろう。だが、僕は依然として黙っていた。なぜなら、ナイト爵を持った相手に向かって、僕ごときが反論しても仕方がないではないか!
だから、あんなに愛らしい女性の中に、あれほど激しい憎悪が存在するのを知って、心が痛んだ。
一人の人間を構成している諸要素がこれほど混然としているとは気付いていなかった。
今なら、同じ人間の中に、卑小さと偉大さ、悪意と親切、情悪と愛情が混然と同居しているのが良くわかっている。
およそこの世で最も貴重なものである美が、浜辺の石ころのように転がっていて、無頓着に散歩する者でも漠然と拾い上げられるなどと、どうして考えるんだい。
美というものは、芸術家が自らの魂を痛めながら、世の混沌の中から創造する、不思議な素晴らしいものだ。そして、芸術家が創造してからも、誰にでも作品の本質が理解できるわけじゃない。本質がわかるためには、芸術家と同じ魂の痛み、創造の苦悩を体験しなければならない。作品とは、言うなれば芸術家が歌って聞かせるメロディーであり、それを自分の心で正しく聞くためには、知恵と感性と想像力がなくてはならない。
果たしてエイブラハムは一生を棒に振ったのだろうか。自分の気に入った土地で、自分が是非ともやりたいことを心安らかにやるというのは、人生を棒に振ることなのだろうか。著名な外科医となって年収1千ポンドを稼ぎ、美人を妻にすることが、成功なのだろうか。それは結局、人が人生に何を期待するか、社会に何を期待するか、個人に何を期待するかに拠るのだろう。だが、僕は依然として黙っていた。なぜなら、ナイト爵を持った相手に向かって、僕ごときが反論しても仕方がないではないか!
2022年3月5日に日本でレビュー済み
3年ほど前に新潮社文庫でレビュー投稿したら、ストリックランドが「川に落ちれば、泳ぎのうまい下手は関係ない。岸に上がるか溺れるか、ふたつにひとつだ」と語った言葉をレビュータイトルにしたからアマゾンで削除されたようだ。
ロンドンで仲買人をしていたストリックランドは、40歳を迎えたときに妻子を捨ててパリに赴き画家を目指して貧乏暮らしを始めた。
物書きになりたての「わたし」は、ストリックランドの妻に頼まれてパリに向かいストリックランドにロンドンに帰るよう話したときに、ストリックランドが画家になる決意を込めて「わたし」に投げかけた言葉がこの「川に落ちれば・・・云々」である。
3年以前に書いたレビューの内容を思い出すことはできないが、その内容はそんなに過激な内容ではないし、他のレビュアーを、否定や中傷するようなことも書いてはいないと思う。
Amzonで購入した新潮社文庫だから再度の投稿を試してみたができないから、あえて他の文庫で再投稿してしまいました。
ストリックランドを、ゴーギャンに重ねてモームが描きながら書いていたことが心に残った小説でした。
ストリックランドの画家になる決意の言葉がもっとも印象的だったのでレビュータイトルにしたのです。
モームの代表的な傑作とあらためて評価したい。
ロンドンで仲買人をしていたストリックランドは、40歳を迎えたときに妻子を捨ててパリに赴き画家を目指して貧乏暮らしを始めた。
物書きになりたての「わたし」は、ストリックランドの妻に頼まれてパリに向かいストリックランドにロンドンに帰るよう話したときに、ストリックランドが画家になる決意を込めて「わたし」に投げかけた言葉がこの「川に落ちれば・・・云々」である。
3年以前に書いたレビューの内容を思い出すことはできないが、その内容はそんなに過激な内容ではないし、他のレビュアーを、否定や中傷するようなことも書いてはいないと思う。
Amzonで購入した新潮社文庫だから再度の投稿を試してみたができないから、あえて他の文庫で再投稿してしまいました。
ストリックランドを、ゴーギャンに重ねてモームが描きながら書いていたことが心に残った小説でした。
ストリックランドの画家になる決意の言葉がもっとも印象的だったのでレビュータイトルにしたのです。
モームの代表的な傑作とあらためて評価したい。