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女だけの町: クランフォード (岩波文庫 赤 266-1) 文庫 – 1986/8/18
美品です
- 本の長さ381ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1986/8/18
- ISBN-104003226615
- ISBN-13978-4003226612
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1986/8/18)
- 発売日 : 1986/8/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 381ページ
- ISBN-10 : 4003226615
- ISBN-13 : 978-4003226612
- Amazon 売れ筋ランキング: - 509,899位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年9月15日に日本でレビュー済み
ジェイン・オースティンの作風にやや近いということで、オースティンの「高慢と偏見」「エマ」に昂奮した余勢を駆って、ギャスケル女史の「女だけの町」を読みました。
結果はやはり面白かったです。パーティーのたぐいが好きなのもオースティンの作中の淑女たちと同じだし、そのパーティーに誰を呼ぼうかとあれこれ談義するのも同じ。まあ、オースティンもギャスケルもイギリスの作家さんだし、年代的にはギャスケルのほうが三十五歳年下だけど、19世紀中流夫人たちの華麗な世界を映し出しているという意味では似たようなもの。
ただし、決定的な違いは、オースティンのほうが最後はハッピーエンドに終わるのに対して、ギャスケルは登場人物たちがけっこう悲劇に見舞われるところ。やはり1810年生れ (1865年没 (享年55歳) ) のギャスケルのほうがリアリズム文学の潮流の中に位置していたということでしょうか。ディケンズやシャーロット・ブロンテとも交流があったようだし。
ギャスケル生前の人気とは裏腹に、今日、日本でより多くの読者を獲得しているのはジェイン・オースティンでしょう。「高慢と偏見」も「エマ」も登場人物が個性的で読み出したらやめられないうえに、最後は万事めでたしめでたしのハッピーエンドで癒されますから。
でもギャスケルはギャスケルで、21世紀の日本の読者によりよく生きるためのヒントを多く与えてくれるという意味では貴重な作品だと感じました。
ひと言でいえば、オースティンは万人が楽しめる世界文学、ギャスケルは万人を教化する教養小説です。
結果はやはり面白かったです。パーティーのたぐいが好きなのもオースティンの作中の淑女たちと同じだし、そのパーティーに誰を呼ぼうかとあれこれ談義するのも同じ。まあ、オースティンもギャスケルもイギリスの作家さんだし、年代的にはギャスケルのほうが三十五歳年下だけど、19世紀中流夫人たちの華麗な世界を映し出しているという意味では似たようなもの。
ただし、決定的な違いは、オースティンのほうが最後はハッピーエンドに終わるのに対して、ギャスケルは登場人物たちがけっこう悲劇に見舞われるところ。やはり1810年生れ (1865年没 (享年55歳) ) のギャスケルのほうがリアリズム文学の潮流の中に位置していたということでしょうか。ディケンズやシャーロット・ブロンテとも交流があったようだし。
ギャスケル生前の人気とは裏腹に、今日、日本でより多くの読者を獲得しているのはジェイン・オースティンでしょう。「高慢と偏見」も「エマ」も登場人物が個性的で読み出したらやめられないうえに、最後は万事めでたしめでたしのハッピーエンドで癒されますから。
でもギャスケルはギャスケルで、21世紀の日本の読者によりよく生きるためのヒントを多く与えてくれるという意味では貴重な作品だと感じました。
ひと言でいえば、オースティンは万人が楽しめる世界文学、ギャスケルは万人を教化する教養小説です。
2003年10月27日に日本でレビュー済み
何気無く手に取ったこの本に登場するのは、ちょっと見渡せば見つけられそうなごくごく平凡な人々だ。豊かではないが善良で涙もろく、小さな事件に右往左往する女性たちは可愛らしく、微笑みを誘う。読み終わった後には、穏やかな感動が包んでくれる。
2016年7月3日に日本でレビュー済み
1830年代のマンチェスター近郊のとある小さな町には、なぜか淑女ばかりが集っている。元牧師の姉妹、小商いで財を設けた隠居様、貴族を縁戚に持つ老女様、個性豊かな顔ぶれではあるが善良な人々。そんな社会を余所者の視点で活写したメアリー・スミスの語りはユーモアと愛情に満ち溢れ、穏やかな読書を体感できた。当時の社会生活を思い描かせてくれる描写も魅力的だ。
なお、主人公のメアリー・スミスはp311にやっと本名が明かされる20代の独身女性で、著者ギャスケル夫人の化身でもある。
・カードパーティの最中、ディケンズとジョンソン博士を巡っての、ミス・デボラ・ジェンキンズのブラウン大尉に対するヒステリックな対応に微笑んでいたら、次の章で悲劇が待ち受けていようとは。だがこれも世の中のひとつの事象にすぎない。
・ジェンキンズ姉妹の若き日、弟のピーターが父との諍いによって家を飛び出し、海軍へ入隊した話。母の亡くなった翌日に、ピーターからの心づくしの贈りものが届き……(p136)。本書前半のベストエピソード。新幹線の座席で、思わず涙をぬぐってしまった。
・「過ぎし昔のの恋物語」~「独身老年訪問記」の章、時を置いて最終章で語られるミス・マチルダ・ジェンキンズのロマンスは哀しくもあるが、とても美しい人生の記憶の一ページ。
「破産」~「事ある時の友」は、本作品のテーマが凝縮されたエピソード。主人公の泣き崩れるシーンは辛く、だが晴れ晴れしい(p313)。良い人間関係とは、当人の心がけ次第であることが明白だな。
「めでたく帰る」~「クランフォードに平和到来」は、350ページに渡って綴られてきた多様な人物譚の集大成。そして、インドで亡くなったと思われていたピーターの消息が、ある人物のつながりから偶然に知れることとなり……。
平和と思い遣り、そして「好き」でいることの貴さ。殺人も許容されない敵意もなく、人間の幸福がここまで見事に描かれた物語は他になかなかない。ヴィクトリア朝カントリータウンの面白く暖かい物語に、心満たされる読後感を得た。
なお、主人公のメアリー・スミスはp311にやっと本名が明かされる20代の独身女性で、著者ギャスケル夫人の化身でもある。
・カードパーティの最中、ディケンズとジョンソン博士を巡っての、ミス・デボラ・ジェンキンズのブラウン大尉に対するヒステリックな対応に微笑んでいたら、次の章で悲劇が待ち受けていようとは。だがこれも世の中のひとつの事象にすぎない。
・ジェンキンズ姉妹の若き日、弟のピーターが父との諍いによって家を飛び出し、海軍へ入隊した話。母の亡くなった翌日に、ピーターからの心づくしの贈りものが届き……(p136)。本書前半のベストエピソード。新幹線の座席で、思わず涙をぬぐってしまった。
・「過ぎし昔のの恋物語」~「独身老年訪問記」の章、時を置いて最終章で語られるミス・マチルダ・ジェンキンズのロマンスは哀しくもあるが、とても美しい人生の記憶の一ページ。
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平和と思い遣り、そして「好き」でいることの貴さ。殺人も許容されない敵意もなく、人間の幸福がここまで見事に描かれた物語は他になかなかない。ヴィクトリア朝カントリータウンの面白く暖かい物語に、心満たされる読後感を得た。