アメリカに渡ったイギリス人青年が主人公で、第二次世界大戦後の両国人の気質がいろいろと表現されているが、これは正直言って現代日本の私たちにはほぼ接点がない。イギリス人が屈折したインテリで、アメリカンガールは純粋素朴で教養がない、というのは一昔前のイメージのような気もするが、そんな2人の恋物語（？）である。
とはいえ私から見ると、2人ともたいへんクールなのだ。女はムードには弱いが相手に心から惚れているようには思えないし、男は甘い言葉で彼女をたぶらかしているようにしか見えない。それでいて彼は最後まで彼女にしつこくつきまとう。こういうのをブラックユーモアというのかもしれないし、シニカルといえばその通りなのだけど、作者はセンチメンタルなものをいっさい排除しようと心に決めたようだ。
さらに邪推すると、作者がアメリカ娘に振られた腹いせにこんなヒドイ結末にしたんじゃないかとさえ疑われる。
話のひねくれ方が独創的で、面白くないわけじゃないのだけれど、読後はちょっとあっけにとられるかも。
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