手元にあった岩波文庫の解説目録に目を通していたら、「次々に起こる宝石強奪、殺人事件……サスペンスに富み、深く人生の機微をうかがった本格的な推理小説である。」と書かれてありました。
そこで、スキューデリーという娘さんがパリの町で大活躍する話なんだろうなどと勘違いをして読み始めた本です。
ところが読んでビックリ。
スキューデリー嬢は80のオールドミス。そこへ事件に関係していた青年がやってきて、一部始終をスキューデリーに語るだけ。本格推理小説だと思っていたので、この展開にはガッカリ。
それがなければ、魅力的な老嬢の不思議な体験談として面白く読めたかもしれません。というか、作者であるホフマンは、推理小説を書くつもりはなく、不幸な青年のために力を貸すスキューデリーの行動を描きたかっただけでしょう。
ただ、胎児の時に母親が受けた不幸を受け継いで、性格が歪んでしまったからだという殺人者の動機が不自然で納得いきませんでした。でも、舞台はルイ王朝の時代。当時なら、こういう理由でも充分動機になりえたのかもしれませんね。
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スキュデリー嬢 (岩波文庫 赤 414-5) 文庫 – 1956/9/5
かつて森鴎外が抄訳した「珠を懐いて罪あり」の完訳である.つぎつぎに起る奇怪な宝石強奪,殺人事件は,パリの貴族や富豪たちを恐怖のどん底に叩きこんだ.迷宮入りを伝えられたこの事件の鍵を偶然つかんだのがスキュデリー嬢であった.サスペンスに富み,ふかく人生の機微をうがった本格的な推理小説である.
- 本の長さ110ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1956/9/5
- ISBN-104003241452
- ISBN-13978-4003241455
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1956/9/5)
- 発売日 : 1956/9/5
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 110ページ
- ISBN-10 : 4003241452
- ISBN-13 : 978-4003241455
- Amazon 売れ筋ランキング: - 911,021位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中4.4つ
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2011年10月1日に日本でレビュー済み
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2011年12月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドイツ・ロマン派の文豪で、音楽家でもあり、判事でもあったE.T.A.ホフマンが1818年に書いた小説である。商品の説明に「本格的な推理小説」とあるのは見当外れで、ポーが『モルグ街の殺人』で推理小説を創始したのが1841年だから、本書が書かれた当時は推理小説というものは存在しなかった。犯罪ロマンスもしくは伝奇小説で推理小説前史に入れるべきものであり、歴史的見地からは必読の作品である。
無実の青年が殺人の嫌疑を受け、題名の老嬢が彼を救うべく真相解明に尽力する物語なのだが、被害者が致命傷を受けてから絶命するまでの経緯に注目すべきで、これは後世の多くの推理小説に応用されている。ポー以前だから謎解きは物足りないが、色々な意味で先駆的な作品と言える。普通小説としても十分読める。
訳文も、部分的にチェックした限りでは、原文に忠実らしく思われる。昭和31年という古い翻訳だが、特に問題はないし、岩波文庫がしばしば品切本を復刊しているのは歓迎すべきことであろう。
無実の青年が殺人の嫌疑を受け、題名の老嬢が彼を救うべく真相解明に尽力する物語なのだが、被害者が致命傷を受けてから絶命するまでの経緯に注目すべきで、これは後世の多くの推理小説に応用されている。ポー以前だから謎解きは物足りないが、色々な意味で先駆的な作品と言える。普通小説としても十分読める。
訳文も、部分的にチェックした限りでは、原文に忠実らしく思われる。昭和31年という古い翻訳だが、特に問題はないし、岩波文庫がしばしば品切本を復刊しているのは歓迎すべきことであろう。