ゆっくりと読み進め、やっと読み終わった。
抑制された文章、その中に含まれる世界を愛する視線がとても美しい。
冷徹にさえ思える、一本筋の通った筆致が、
しかし「迷い子をそのままにしてはおかない、神の意思」にもみえる。
僕は、「石灰石」がお気に入り。
ひたすら静かに、自分が良いと思ったことだけを行う牧師と、
彼に対する主人公の、自然な尊敬がとても好ましい。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
水晶 他3篇: 石さまざま (岩波文庫 赤 422-3) 文庫 – 1993/11/16
精緻な自然描写で知られるオーストリアの作家シュティフター(一八〇五―六八)の短篇集『石さまざま』より四篇を精選.ことに,あつい氷に閉ざされた雪山の奥深くさ迷う可憐な兄妹の姿を描く「水晶」は,人々の深い共感をよびさまさずにはおかないであろう.他に「みかげ石」「石灰岩」「石乳」を収め巻末に『石さまざま』の「序」を付す.
- 本の長さ315ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1993/11/16
- ISBN-104003242238
- ISBN-13978-4003242230
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1993/11/16)
- 発売日 : 1993/11/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 315ページ
- ISBN-10 : 4003242238
- ISBN-13 : 978-4003242230
- Amazon 売れ筋ランキング: - 352,599位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年7月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2011年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
しかし、司祭を牧師に翻訳するとはルターもびっくりでしょうね。
2019年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
やってしまいました
以前本屋で買った時には確かに現代語だったのに今回来たのは旧字体だったのです
いや、読めなくはないけど現代語に頭の中で訳しながら読むのは疲れました
どこで見分けがつくのでしょうか
以前本屋で買った時には確かに現代語だったのに今回来たのは旧字体だったのです
いや、読めなくはないけど現代語に頭の中で訳しながら読むのは疲れました
どこで見分けがつくのでしょうか
2017年4月12日に日本でレビュー済み
シュティフターの代表作はこの『水晶』であるということに大方の意見は一致している。この作品は短編集『石様々』の中の一つの作品である。そして燦然と輝く、といえば言い過ぎではあるが、ドイツ文学史において一定の地位を占める作品である。少なくともドイツ文学史を一通り読んだ、と自負したい場合、この作品もまた読んでおかなければならないものの一つである。
そのため『水晶』を単独でレビューしたい。
『水晶』は違った村を出身とする夫婦を親に持つ二人の兄妹が、村からもう一つの村へと赴く話である。そして言ってしまえばそれだけである。途中、道に迷い、凍える寒さの中二人の子供が何とか生きのびる話である。何か格別な人間描写があるわけでもなければ、独創的な物語が展開されるわけでもない。しかし込められている感性は他の作家には真似できないものがあり、いわばこの作品はその抒情性・素朴さを堪能する作品であるといってよい。
この作品の魅力の多くは自然描写であることに疑いはない。だが自然描写を取扱うのは文学において不利なのである。というのも文豪によって書かれた自然描写の文はそれがどれほどの名手のものであっても、それなりにうまい画家による絵には絶対に適わない。風景は挿絵を見た方が、文を読むことよりも遥かに効率的であると私は考える。この作品のクライマックスは氷に囲まれた場所で兄妹がお互いにすり寄る場面であるが、そこで描かれる自然描写も、文だけではどうしても限界が来てしまう。それゆえこの作品の魅力が削がれてしまっているのである。もしもこの作品に挿絵が挟まれてれば、また違ったであろうが・・・・・。
繰り返すが、この作品はこの自然描写を除けば何か特別なことがあるわけではない。子どもの生きようとする描写も、兄妹二人の絆も私にはそこまで胸には迫りはしなかった。とはいえ、やはり何か見過ごすことのできない魅力がこの作品に込められていることもまた事実である。それは前述した抒情性・素朴さであることは疑いがなく、それも格別に大きいものでもないが、かといって平凡なものでもない。何かこう、澄んだ川が静かに流れていくのを目と全身で堪能する、そういう喜びがこの作品(というよりこの作家の作品)にある。
そのため『水晶』を単独でレビューしたい。
『水晶』は違った村を出身とする夫婦を親に持つ二人の兄妹が、村からもう一つの村へと赴く話である。そして言ってしまえばそれだけである。途中、道に迷い、凍える寒さの中二人の子供が何とか生きのびる話である。何か格別な人間描写があるわけでもなければ、独創的な物語が展開されるわけでもない。しかし込められている感性は他の作家には真似できないものがあり、いわばこの作品はその抒情性・素朴さを堪能する作品であるといってよい。
この作品の魅力の多くは自然描写であることに疑いはない。だが自然描写を取扱うのは文学において不利なのである。というのも文豪によって書かれた自然描写の文はそれがどれほどの名手のものであっても、それなりにうまい画家による絵には絶対に適わない。風景は挿絵を見た方が、文を読むことよりも遥かに効率的であると私は考える。この作品のクライマックスは氷に囲まれた場所で兄妹がお互いにすり寄る場面であるが、そこで描かれる自然描写も、文だけではどうしても限界が来てしまう。それゆえこの作品の魅力が削がれてしまっているのである。もしもこの作品に挿絵が挟まれてれば、また違ったであろうが・・・・・。
繰り返すが、この作品はこの自然描写を除けば何か特別なことがあるわけではない。子どもの生きようとする描写も、兄妹二人の絆も私にはそこまで胸には迫りはしなかった。とはいえ、やはり何か見過ごすことのできない魅力がこの作品に込められていることもまた事実である。それは前述した抒情性・素朴さであることは疑いがなく、それも格別に大きいものでもないが、かといって平凡なものでもない。何かこう、澄んだ川が静かに流れていくのを目と全身で堪能する、そういう喜びがこの作品(というよりこの作家の作品)にある。
2017年6月1日に日本でレビュー済み
シュティフターを読むのは初めて。名前も初めてなのだと思う。ひょっとしたら大学のドイツ語で読んだことがあるかもしれないのだが。。。
紹介は、毎日新聞の書評。サン=テグジュペリを読んだ後なので、2冊続けて心洗われるというお話に接したことになる。
この本は、1952年に岩波文庫で発行された「水晶」(手塚 富雄訳)と1956年の「みかげ石他二篇」(手塚, 藤村 宏訳)を合本したもので、他に、「石灰岩」,「石乳」,『石さまざま』の「序」を含む。
解説は、元の2作の解説を合わせたもののようで、手塚 富雄, 藤村 宏と並ぶ。
この「石さまざま」という短編集は代表作として、Wikipediaの英語版やドイツ語版に解説があり、原書をウェブで読むこともできる。
画家でもあるからかもしれないが、自然描写に定評があり、どちらかと言えば子供向きのお話だから、安心して読める。
もちろん、訳文も硬いし、背景の価値観は古いものだが、愚かでも邪でもない。このような作品世界を現代においてどのように育むのかは、実は重要な課題ではないだろうか。
紹介は、毎日新聞の書評。サン=テグジュペリを読んだ後なので、2冊続けて心洗われるというお話に接したことになる。
この本は、1952年に岩波文庫で発行された「水晶」(手塚 富雄訳)と1956年の「みかげ石他二篇」(手塚, 藤村 宏訳)を合本したもので、他に、「石灰岩」,「石乳」,『石さまざま』の「序」を含む。
解説は、元の2作の解説を合わせたもののようで、手塚 富雄, 藤村 宏と並ぶ。
この「石さまざま」という短編集は代表作として、Wikipediaの英語版やドイツ語版に解説があり、原書をウェブで読むこともできる。
画家でもあるからかもしれないが、自然描写に定評があり、どちらかと言えば子供向きのお話だから、安心して読める。
もちろん、訳文も硬いし、背景の価値観は古いものだが、愚かでも邪でもない。このような作品世界を現代においてどのように育むのかは、実は重要な課題ではないだろうか。
2016年8月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
神との調和がはかられ、作者の善良さが横溢した短編集になっている。
ハードな風光描写にそぐわぬ邪気のない筋立て、たまにはこんなのもいいかも、とホッとすると同時に、
あまりの善良さゆえ、痛痒感を覚える。
※ 写真・自己紹介は無視して下さい
ハードな風光描写にそぐわぬ邪気のない筋立て、たまにはこんなのもいいかも、とホッとすると同時に、
あまりの善良さゆえ、痛痒感を覚える。
※ 写真・自己紹介は無視して下さい
2008年12月31日に日本でレビュー済み
四つの短編は、どれも、精緻な自然描写と、素朴でつつましやかな人間描写が魅力的なお話です。舞台が自然に囲まれた田舎の簡素で長閑な場所というのが素敵。
人間生活におけるうつくしいことや、けなげなことを、ささやかに語るこれらの作品は、そのしずかさゆえに、読む者の心にしんみりと染み入る内容であります。
今どきのバトルものやキャラクターものに慣れた人だと数ページで放り出してしまうでしょう。
個人的には、話の中にキリスト教の価値観が自然と盛り込まれ、また、必ず純朴な子供が配置されているところが好きです。表題作の「水晶」が一番お気に入り。
人間生活におけるうつくしいことや、けなげなことを、ささやかに語るこれらの作品は、そのしずかさゆえに、読む者の心にしんみりと染み入る内容であります。
今どきのバトルものやキャラクターものに慣れた人だと数ページで放り出してしまうでしょう。
個人的には、話の中にキリスト教の価値観が自然と盛り込まれ、また、必ず純朴な子供が配置されているところが好きです。表題作の「水晶」が一番お気に入り。
2017年1月28日に日本でレビュー済み
初めて読んだときはくだくだしい描写が目立って、おもしろいとは思ったが、あまり気に入らなかった作家の物語である。
シュティフターは、哲学の巨人ニーチェが賛美した散文小説の巨匠である。
最近ふしぎな運命にみちびかれて、再読する機縁がめぐってきた。すると、初めのときとは違って、今度は強く心を打たれた。
今『石灰石』を読み終えたところだが、牧師のおのれの使命と願いへのひたむきな態度のみならず、『水晶』で迷子の兄妹たちがする冒険と、その途中での彼らのけなげな奮闘も、『みかげ石』で孫にたいして老人がやさしく語る昔話も、レビュアーの心に神秘的な作用を及ぼした。
三篇の内では、とりわけ『水晶』と『石灰石』の感動が大きかったような気がする。自分よりはるかに力のある脅威と対峙しても、にんげんの確固として揺るがない信念や意地は、決してついえるこはないということを、その二編はみずみずしい語りで教えてくれた。お話の中の人物の姿に励まされて、何だか涙が出そうになった。
友人、家族、その他の親しい人たちには、ぜったいにすすめたくなるような美しい物語です。
ぜひご一読を!
シュティフターは、哲学の巨人ニーチェが賛美した散文小説の巨匠である。
最近ふしぎな運命にみちびかれて、再読する機縁がめぐってきた。すると、初めのときとは違って、今度は強く心を打たれた。
今『石灰石』を読み終えたところだが、牧師のおのれの使命と願いへのひたむきな態度のみならず、『水晶』で迷子の兄妹たちがする冒険と、その途中での彼らのけなげな奮闘も、『みかげ石』で孫にたいして老人がやさしく語る昔話も、レビュアーの心に神秘的な作用を及ぼした。
三篇の内では、とりわけ『水晶』と『石灰石』の感動が大きかったような気がする。自分よりはるかに力のある脅威と対峙しても、にんげんの確固として揺るがない信念や意地は、決してついえるこはないということを、その二編はみずみずしい語りで教えてくれた。お話の中の人物の姿に励まされて、何だか涙が出そうになった。
友人、家族、その他の親しい人たちには、ぜったいにすすめたくなるような美しい物語です。
ぜひご一読を!