演劇史は、読み手は多いのに、翻訳者が少なく、参照のための資料、文献を読むためのさらなる参考資料がはなはだ少ないのが現状です。ここに、文庫本の位格に過ぎないのに、充分な訳注・索引が付されてあることが、ありがたいこととなります。
一般演劇のみならず、バレエ史もそうなのです。そもそも、ロシア音楽をやる面々は、バレエおよびバレエ音楽自体とその使われ方の習慣にある程度通じていないと、基礎の部分がわかりません。いい例が、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」ですね。これは演習のお題です。雪深い山林のなかで書かれたものです。
翻訳は、江川卓、蔵原惟人両氏の力作です。3分冊ですので、量がありますが、読み通して親しんでください。ほかに演劇関係の軍師がいたのではないか、と思いますが、ちょっと調べる余裕がありませんので、若いひとびとにお任せします。
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