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血の婚礼: 他二篇 三大悲劇集 (岩波文庫 赤 730-1) 文庫 – 1992/7/16

4.5 5つ星のうち4.5 15個の評価

二十世紀スペイン最大の詩人・劇作家ガルシーア・ロルカ(一八九八―一九三六).表題作に「イェルマ」「ベルナルダ・アルバの家」を加え,彼の最高傑作とされる三つの戯曲を収めた.アンダルシーアという土地の霊と因習がもたらす宿命的な業に苦悩しながら,その苦悩によって浄化されている女たちを描いて〈悲劇〉の情念がいま甦える.

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (1992/7/16)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1992/7/16
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 362ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 400327301X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4003273012
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.5 x 1.4 x 14.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.5 5つ星のうち4.5 15個の評価

カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2009年12月22日に日本でレビュー済み
「パリ・オペラ座のすべて」で特に気になった演目マック・エッツ振り付け「ベルナルダの家」に原作があると知り、早速手に入れて読みました。他のも二編あったのですが、これは読んでません。しかも戯曲でした、意外です。

未亡人である60代の母親ベルナルダが強権を発揮し、その5人の娘と女中とベルナルダ自身の母親さえもを、家に出入りする全ての人間を自分の意のままにしようとする物語です。家柄を、女を、そして娘としてどうあるべきか?という理想を、アンダルシアという土地の風習を、それと言わずに感じさせます。ベルナルダのその筋金入りの理想というあるべき形に押さえ込もうとする母親としての想いが、娘達すべてに重くのしかかっていて、しかもそれは保守的、というレベルを超えたものです。そしてあまりにその考え方に取り付かれているからこそ、見えない反抗が徐々に広がり、そしてカタストロフィが訪れます。

姉妹の中での末娘の立場と長女の結婚を機に始まる悲劇です。とても狭い世界だからこその、とても鬱屈としたチカラが働いた結果が見せるものは、想像以上のものがあります。そして、何よりびっくりしたことは、著者が男性だ、ということです。とても深く女性の心理に分け入っている、と私は感じたのですが、読み終わって知った男性という事実が、非常にびっくりしました。

私はバレエの映像を見て興味を持ちましたが、戯曲としても、また詩的、という意味でもオススメ出来る作品です。
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2005年1月15日に日本でレビュー済み
スペインの光と影を描き、自らも影につかまり死んだ詩人ロルカによる、アンダルシアを舞台に苦悩する女達の姿を描いた三作。
「血の婚礼」は婚礼の日に違う男と駆け落ちした花嫁を追っていった花婿が、その男と刺し違えて死んでしまう話。花婿の母親が息子を失って嘆く様が、ぞっとするほどの暗さを感じさせる。次の「イェルマ」は、子供が欲しいのにできない妻の不満と、それを理解できない夫の話。そして「ベルナルダ・アルバの家」は厳格な未亡人とその五人の娘達の、長女の結婚にまつわる話。長女に求婚した男は持参金目当てで、彼と恋に落ちていたのは末の妹だったがそれに気づいた未亡人が銃で男を追い払い、妊娠していた末娘は自殺する。
三作とも結婚と家庭にまつわる悲劇の話だろう。最初に読んだ時には本当にこれが日常かと疑いたくなったけれど、ストーリーだけをシンプルに考えてみれば特にイェルマの話は現代でもありそうな問題だ。リアクションと結果がスペイン的だけれども。スペインの影の部分を垣間見ることができる本かもしれない。ドゥエンデの哄笑が聞こえてきそうな戯曲だった。
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