読む前には、蝸牛をキーに「方言」を研究する言語学のものと思っていたが題『蝸牛考』に違うことなく、これは「蝸牛」という言葉についての研究である。
また、ここまでの研究材料になる蝸牛の特異性や、ここまで熱心に研究させる蝸牛の魅力のようなものに思い馳せたが、その答えは蝸牛にはないかもしれない。
あるいは蝸牛が奇跡的存在である可能性も捨てきれないが、「研究」とは何を対象にするにしても、ここまで深く鋭く広く掘り出すべきものなのかもしれない。
そういう意味で、研究についての態度というものを学習できる一冊である。
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蝸牛考 (岩波文庫 青 138-7) 文庫 – 1980/5/16
柳田 國男
(著)
蝸牛を表わす方言は、京都を中心としてデデムシ→マイマイ→カタツムリ→ツブリ→ナメクジのように日本列島を同心円状に分布する。それはこの語が歴史的に同心円の外側から内側にむかって順次変化してきたからだ、と柳田国男は推定した。すなわちわが国の言語地理学研究に一時期を画した方言周圏論の提唱である。 (解説=柴田 武)
- 本の長さ236ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1980/5/16
- 寸法10.5 x 2.4 x 14.8 cm
- ISBN-104003313879
- ISBN-13978-4003313879
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1980/5/16)
- 発売日 : 1980/5/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 236ページ
- ISBN-10 : 4003313879
- ISBN-13 : 978-4003313879
- 寸法 : 10.5 x 2.4 x 14.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 307,688位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 172位日本語の語源・歴史・方言
- - 393位日本の思想(一般)関連書籍
- - 2,100位岩波文庫
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トップレビュー
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2023年3月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本語が渦巻状にひろがるその理由と根拠が明確にされていて非常に面白かった。カタツムリひとつでも呼び方が地方によって違うが日本の端どうしの地方では不思議と同じ呼び方をするというような事がのっている。また方言も似ている事が言えるがこれは長い藩制度の時代関係でその地方で独立した言葉に発展しガラパゴス化したと思える。薩摩弁を使う鹿児島は幕府の目付(スパイ)すらも見つけだすほどの共有性と難解性があったなど、どうして倒幕になったか等の理由も窺い知れてためになった。
2010年12月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
方言を学ぶには、著者の研究成果である「方言周圏論」が基本である。「マイマイ」を意味する語形はどのような歴史を持ち、どのように伝播したかを的確に証明している事実が述べられている。言語学を志す人なら必ず読むべき一冊である。
2016年2月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
色々と考えさせられる本でした.
難しい本だとは思いますが,敬遠してはいけない本.
私の中ではそういった位置づけの本になりました.
蝸牛というタイトルになってはいますが,それのみにとどまらないと感じます.
著者の考えそのものを一つの意見として受けて止めみてはいかがでしょう.
この本は論文という側面もあるので,教科書的に考える.
それも悪くないと思いますが,気軽に手に取り読みながら悩んでみる.
読み終えて日常とてらして悩んでみる.
そんな本なのではないかと感じた.
必要性を感じた時にまたページをめくることになりそうです.
難しい本だとは思いますが,敬遠してはいけない本.
私の中ではそういった位置づけの本になりました.
蝸牛というタイトルになってはいますが,それのみにとどまらないと感じます.
著者の考えそのものを一つの意見として受けて止めみてはいかがでしょう.
この本は論文という側面もあるので,教科書的に考える.
それも悪くないと思いますが,気軽に手に取り読みながら悩んでみる.
読み終えて日常とてらして悩んでみる.
そんな本なのではないかと感じた.
必要性を感じた時にまたページをめくることになりそうです.
2018年3月6日に日本でレビュー済み
「蝸牛考」は初稿、改訂稿、三訂稿があるが、岩波文庫は改訂稿(三訂稿はちくま文庫の「柳田國男全集19」に収められている。初稿は「人類学雑誌」に発表したもののみでほぼ入手不可)。
この論文の価値はその立論に至る過程が方言学に初めて科学的手法を取り入れたものであることにある。よく方言周圏論が方言学の基本であるかのように誤解している人がいるが、基本は丹念なフィールドワークと文献調査であって、方言周圏論が該当するのはむしろ例外的なケースと言って良い。
この論文の価値はその立論に至る過程が方言学に初めて科学的手法を取り入れたものであることにある。よく方言周圏論が方言学の基本であるかのように誤解している人がいるが、基本は丹念なフィールドワークと文献調査であって、方言周圏論が該当するのはむしろ例外的なケースと言って良い。
2009年3月29日に日本でレビュー済み
「かたつむり」を表す語を地域ごとに収集、整理し、放射状に分布していることを明らかにした一冊。言語というものの、歴史的・地理的な分布の仕方を「方言周圏論」としてまとめ、ともすれば、とりとめのなくなりがちな民俗学や方言学における原理を示すこととなった。
シュミットの波動・波状説とは似ているが、独自に展開したものである。
現在では同様の試みはより精緻化、大規模化を見ており、 全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路 (新潮文庫) などが現代的な結実である。近年の言語類型論や歴史言語学を論じるうえでもその示したところは重大な意義を有している。
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