「皆のことは、私やあなたにとってどうでもいいのです。“あなたは自分のことをしてください。私は自分のことをしますから。”この言葉は利己的なものとされていますが、至言なのです。私は自分のためにします。そうです、私は他人のためにします。自分がすべきことをしなければなりません。そのことですべてが成就されるのです。」
149ページ
ガンディーの名は聞いていたけれど、どのような人なのか、またどのような作品を残したのかは全く知らず、私はこの本ではじめてガンディーに少しだけ触れました。
本書には、少しだけですが、「日本」が登場します。“文明とはなにか”というくだりのなかで、「西洋の爪に捕らえられてしま」った国として挙げられています。
ガンディーは、機械を不要であるとします。ですから、電車や車や工場なども不要であるとします。また、弁護士や医者も不要であるとします。不要であるというよりも、これらが人間にもたらす影響に対して大きな危惧を抱いている、と言ったほうがいいかもしれません。とにかく、本書は、彼いわく「西洋の爪に捕らえられてしま」った国の民である私に、新しい視点への気付きを与えてくれます。
あたりまえ、と思っていることは、ほんとうにあたりまえなのか?
法律はあたりまえ?
国会はあたりまえ?
お金はあたりまえ?
学校はあたりまえ?
裁判はあたりまえ?
電車や車はあたりまえ?
これらはみな、人間が作り出したものです。それ以前はなかった。産まれて物心を覚えたときからこれらに囲まれていた私にとって、これらは「あたりまえ」であり、これすなわち「世界」だった。しかし、ガンディーは教えてくれる。これまでどれだけの文明が滅んできたか。そして、今のわたしたちの在り方、わたしたちの作り出している文明も、過去また未来において人間が作り出す文明のひとつの側面でしかないことを。これが全てではない。これが「世界」では決してない。「世界」は人間によって把握されうるものではない。しかし、西洋文明は「世界」を把握しようと試み、その試みは成功したと自分で思い込んだ。しかし、西洋文明が掴んだ「世界」は死んでいた。あまりに小さくて、幾重もの束縛でがんじがらめにされている。この「世界」においては、人間の死因の最たるは窒息だ。あまりに狭くて不自由で耐えられない。皮肉なことに、自由自由と叫ばれているところには真の自由などなくて、あるのは抑圧とそれに対する抵抗だけ。しかし、再度強調するけれど、西洋文明がすべてではない。「あたりまえ」とおもっていることが全てでは決してない。大地が丸いということが共通認識になったのはつい最近のこと。いったいどうしてこれが全てだと言えるのか。確かに西洋文明は自分自身が全てであると断言するだろう。そうすることによって「世界」を所有したのだから。でも、いくらそのように思い込んだとしても、次から次に噴き出してくる矛盾を無視するよりつらいことはない。一歩退いて、「世界」とやらを眺めてみることで、ガンディーの言う“自分がすべきこと”が少しずつかもしれないが確かなものとして私のなかに形作られていくのではないかと感じている。ガンディーは私にこの人間によってこしらえられた「世界」に対するための新たな視点を与えてくれた。
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真の独立への道: ヒンド・スワラージ (岩波文庫 青 261-2) 文庫 – 2001/9/14
非暴力・不服従「インド独立の父」の主著
- 本の長さ190ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2001/9/14
- ISBN-104003326121
- ISBN-13978-4003326121
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2001/9/14)
- 発売日 : 2001/9/14
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 190ページ
- ISBN-10 : 4003326121
- ISBN-13 : 978-4003326121
- Amazon 売れ筋ランキング: - 238,125位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2018年12月22日に日本でレビュー済み
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2016年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
インド独立前に、ガンジーさん自身が、インドの将来についての彼の考え、問題意識、夢、等を語ってくれています。
キリスト、ブッダ、聖徳太子らが自身の考えを語った著作を読めるみたいな感じだと思います。
決して、完全無欠の人の完全無欠の意見だとは思いません。
反対だ、と思う意見もあります。
例えば、“近代の機械が、インドをダメにしている。例えば、鉄道は、ダメ。”も彼の意見です。
ガンジーさんの意見を理解した上で、自分自身、もっと、勉強していきたいです。
キリスト、ブッダ、聖徳太子らが自身の考えを語った著作を読めるみたいな感じだと思います。
決して、完全無欠の人の完全無欠の意見だとは思いません。
反対だ、と思う意見もあります。
例えば、“近代の機械が、インドをダメにしている。例えば、鉄道は、ダメ。”も彼の意見です。
ガンジーさんの意見を理解した上で、自分自身、もっと、勉強していきたいです。
2008年2月25日に日本でレビュー済み
彼が独立のために描いた思想が対話形式で書かれている。
彼は、自治とは私たちの心の支配であると説き、その鍵はサッティーヤグラハ(魂の力、慈悲の力)であると説く。
その国を思う気持ちと、ひたむきな精神を支えたものとはいったい何だったのであろうか。
ガンディー記念博物館の壁には
MY LIFE IS MY MESSEGE
と書かれていた。
彼の思想を理解したかったら、彼の人生を理解せねばならないであろう。
非暴力かつ非服従という困難な課題をいかにして彼は可能にしたのかさらに探求したい。
この書ではあまりそれが述べられていなかったことと、対話形式の質問に対する説明が回りくどいことがやや不満であった。
彼は、自治とは私たちの心の支配であると説き、その鍵はサッティーヤグラハ(魂の力、慈悲の力)であると説く。
その国を思う気持ちと、ひたむきな精神を支えたものとはいったい何だったのであろうか。
ガンディー記念博物館の壁には
MY LIFE IS MY MESSEGE
と書かれていた。
彼の思想を理解したかったら、彼の人生を理解せねばならないであろう。
非暴力かつ非服従という困難な課題をいかにして彼は可能にしたのかさらに探求したい。
この書ではあまりそれが述べられていなかったことと、対話形式の質問に対する説明が回りくどいことがやや不満であった。
2022年3月31日に日本でレビュー済み
"世界にまだこれほど多くの人間がいることは、世界の基礎は武器でなく、真理、慈悲、つまり魂の力であることを伝えています(中略)戦争の力よりもほかの力が世界の基礎なのです。"1909発刊の本書は船上で書かれた著者の主著。対話形式による著者自らの『思想と運動』の基本理念。
個人的には、戦争話が日常となってしまった2022年現在。著者の事を思い出して手にとりました。
さて、そんな本書は家族の期待を受けて弁護士となるも、訴訟事件を引き受けて滞在中だった南アフリカで人種差別を受けたことがきっかけで公民権運動に関わり、帰国後は『非暴力・不服従』を提唱、イギリスからのインド独立運動を指揮したことで知られる著者が、40歳の時に書いたもので。『国民会議とその指導者たち』から始まり『解放』まで、二十章で【読みやすいように】『編集者』(ガンディー)が『読者』(急進的な若者)と対話する形式として構成された【著者自身の自問自答】なのですが。
まず『インド独立の父』として名前はもちろん、ライフ誌に掲載された『糸車を廻す』老年期イメージはすぐ浮かぶものの、著者自身の言葉に触れたことがなかったので、翻訳を経ているとはいえ【本書自体が新鮮】なのですが。かつ、内容に関してもSDGsなどでエコロジー指向が共通認識でなっている現在を先取りしたかのような【徹底した近代(西洋)文明批判】に驚かされました。(=明治以降の日本は『西洋の爪に捕らえられてしまった』と残念扱いに。。)
そして、さらに著者は、インドの独立に関しては、イギリスやイギリス人といった『国家』や『人』が敵なのではなく近代(西洋)文明こそが敵であるとし、そこからの脱却と真の文明として【インド人魂の自覚による自治】を再三促しているのですが。明治維新を美化し、すっかり西洋"常識"に適応し染まってしまった島国の1人としては、どうしても『もし?そうなってなかったら』を考えてしまいます。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやダライ・ラマ14世といった指導者にも影響を与えた『非暴力、不服従』思想理解の一冊として、また『世界の眺め方』を考える一冊としてもオススメです。
個人的には、戦争話が日常となってしまった2022年現在。著者の事を思い出して手にとりました。
さて、そんな本書は家族の期待を受けて弁護士となるも、訴訟事件を引き受けて滞在中だった南アフリカで人種差別を受けたことがきっかけで公民権運動に関わり、帰国後は『非暴力・不服従』を提唱、イギリスからのインド独立運動を指揮したことで知られる著者が、40歳の時に書いたもので。『国民会議とその指導者たち』から始まり『解放』まで、二十章で【読みやすいように】『編集者』(ガンディー)が『読者』(急進的な若者)と対話する形式として構成された【著者自身の自問自答】なのですが。
まず『インド独立の父』として名前はもちろん、ライフ誌に掲載された『糸車を廻す』老年期イメージはすぐ浮かぶものの、著者自身の言葉に触れたことがなかったので、翻訳を経ているとはいえ【本書自体が新鮮】なのですが。かつ、内容に関してもSDGsなどでエコロジー指向が共通認識でなっている現在を先取りしたかのような【徹底した近代(西洋)文明批判】に驚かされました。(=明治以降の日本は『西洋の爪に捕らえられてしまった』と残念扱いに。。)
そして、さらに著者は、インドの独立に関しては、イギリスやイギリス人といった『国家』や『人』が敵なのではなく近代(西洋)文明こそが敵であるとし、そこからの脱却と真の文明として【インド人魂の自覚による自治】を再三促しているのですが。明治維新を美化し、すっかり西洋"常識"に適応し染まってしまった島国の1人としては、どうしても『もし?そうなってなかったら』を考えてしまいます。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやダライ・ラマ14世といった指導者にも影響を与えた『非暴力、不服従』思想理解の一冊として、また『世界の眺め方』を考える一冊としてもオススメです。
2008年2月1日に日本でレビュー済み
『インディアン・オピニオン』誌に掲載された、編集者としてのガーンディーと、読者の対話形式の議論が収録された一冊。
本書の中で、ガーンディーは近代的な西洋機械文明、そして医者や弁護士などの道徳的とみなされる職業を、逆説的に非道徳として全的に否定し、本来在るべき宗教的な精神をこそ持つべきだと主張します。また、サッティーヤグラハという所謂「平和的非暴力・非服従・非協力」の思想を展開し、イギリスによる支配からの真なる自治による独立の可能性を提示してゆきます。
一筋縄ではガーンディーの意見に同調しない対話者の青年の突っ込み所がなかなかに鋭く的を得たもので、それに対しガーンディーは基本的には巧く切り返すものも、たまに少々困惑したりしている様子も垣間見られます。個人的に、ガーンディーの思想は素晴らしく理に適っているとは思いましたが、リアリズムを超過して若干理想主義に陥っている傾向も感じました。サッティーヤグラハとは、自分の判断でやりたくないことは徹底してやらない、ということですが、何かハーマン・メルヴィルの短編『書記バートルビー』のバートルビーという人物を想い出してしまいました。法律事務所に雇われたものの、総てを否定し、最終的には何もしないで死んでゆくバートルビー。この短編はまさに、本書における近代合理主義を全否定したガーンディーの思想を小説化したようなものでしょう。ガーンディーとトルストイは直接的に関係があることは有名ですが、こうして見てゆくと、ガーンディーとメルヴィルという新たな精神的血縁の存在も、薄っすらと沸き上がってくるように思います。
確かに近代文明は悪しきものです。煌びやかな背後に無数の被搾取者がいるからです。しかしそういった矛盾の存在を全否定しては生きてゆく道がありません。だから、私的には、文明進化を許容しつつ、宗教的な恵みを内面に抱えて生きてゆきたいと思います。
本書の中で、ガーンディーは近代的な西洋機械文明、そして医者や弁護士などの道徳的とみなされる職業を、逆説的に非道徳として全的に否定し、本来在るべき宗教的な精神をこそ持つべきだと主張します。また、サッティーヤグラハという所謂「平和的非暴力・非服従・非協力」の思想を展開し、イギリスによる支配からの真なる自治による独立の可能性を提示してゆきます。
一筋縄ではガーンディーの意見に同調しない対話者の青年の突っ込み所がなかなかに鋭く的を得たもので、それに対しガーンディーは基本的には巧く切り返すものも、たまに少々困惑したりしている様子も垣間見られます。個人的に、ガーンディーの思想は素晴らしく理に適っているとは思いましたが、リアリズムを超過して若干理想主義に陥っている傾向も感じました。サッティーヤグラハとは、自分の判断でやりたくないことは徹底してやらない、ということですが、何かハーマン・メルヴィルの短編『書記バートルビー』のバートルビーという人物を想い出してしまいました。法律事務所に雇われたものの、総てを否定し、最終的には何もしないで死んでゆくバートルビー。この短編はまさに、本書における近代合理主義を全否定したガーンディーの思想を小説化したようなものでしょう。ガーンディーとトルストイは直接的に関係があることは有名ですが、こうして見てゆくと、ガーンディーとメルヴィルという新たな精神的血縁の存在も、薄っすらと沸き上がってくるように思います。
確かに近代文明は悪しきものです。煌びやかな背後に無数の被搾取者がいるからです。しかしそういった矛盾の存在を全否定しては生きてゆく道がありません。だから、私的には、文明進化を許容しつつ、宗教的な恵みを内面に抱えて生きてゆきたいと思います。
2010年4月15日に日本でレビュー済み
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この文庫本は117pとわりと薄めで、編集者(ガンディ)と読者(急進的な若者)との対話形式で書かれていて、中身は濃いものの、その濃さのわりには読みやすくなっています。
「人前だと話せなくなる」という落ちこぼれ弁護士だった若きガンディーは1年契約で向かった南アフリカに、結局21年間の長きに亘って滞在することになりました。イギリス支配下の南アでのインド人差別の問題と取り組むためです。
この本は、1909年(ガンティー40才)、まだ南アフリカでこの問題と取り組んでいた時期に書かれたものですが、すでに後のインド独立運動を支えた思想は彼の中で大きく育っていたことがわかります。
とりわけ本書で繰り広げられている「イギリス文明批判」は大変優れたもので、今でもじゅうぶん参考になります。
ガンディーの思想は目先の私利私欲にとらわれぬ大きさと拡がりと深さを持ったものであるため、しばしば「理想主義的過ぎる」等々と批判されてきました。
しかしそれは「大鳳を蜩や小鳩がわらう」 荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1) たぐいの的外れなものだと思われます。
世の凡庸な人物は、しばしば自分たちにとって都合の悪い相手を貶めるためにくだらないことを言うものです。
しかしそれは「蜩や小鳩の嗤い」であって、決して大鳳の本質的価値を貶めるまでには至りません。
もし、この本を読んでみて、その価値の大きさに気づいたとしたら、そして「そんなこと到底できっこない」と思わなかったとしたら、それはあなたが「蜩や小鳩」ではなく「大鳳」だということの証明になります。ぜひご一読を!!
「人前だと話せなくなる」という落ちこぼれ弁護士だった若きガンディーは1年契約で向かった南アフリカに、結局21年間の長きに亘って滞在することになりました。イギリス支配下の南アでのインド人差別の問題と取り組むためです。
この本は、1909年(ガンティー40才)、まだ南アフリカでこの問題と取り組んでいた時期に書かれたものですが、すでに後のインド独立運動を支えた思想は彼の中で大きく育っていたことがわかります。
とりわけ本書で繰り広げられている「イギリス文明批判」は大変優れたもので、今でもじゅうぶん参考になります。
ガンディーの思想は目先の私利私欲にとらわれぬ大きさと拡がりと深さを持ったものであるため、しばしば「理想主義的過ぎる」等々と批判されてきました。
しかしそれは「大鳳を蜩や小鳩がわらう」 荘子 第1冊 内篇 (岩波文庫 青 206-1) たぐいの的外れなものだと思われます。
世の凡庸な人物は、しばしば自分たちにとって都合の悪い相手を貶めるためにくだらないことを言うものです。
しかしそれは「蜩や小鳩の嗤い」であって、決して大鳳の本質的価値を貶めるまでには至りません。
もし、この本を読んでみて、その価値の大きさに気づいたとしたら、そして「そんなこと到底できっこない」と思わなかったとしたら、それはあなたが「蜩や小鳩」ではなく「大鳳」だということの証明になります。ぜひご一読を!!
2007年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大英帝国への姿勢を読み取ろうと読み直している。
ベンガル分割の時、カーゾン卿は、分割しないでという嘆願を意に介さなかった。
インド人はおしゃべりするばかりで、ほかになにもできないと思っていた。
請願の背景には力がなければならないと、インドの人は考えた。
英国人に殴打されるのも、監獄に行くのも脅えなくなりました。
法律が気に入らないからといって、制定者の頭を叩き割るのではなく、
撤回させるように、断食します。
ガンディーにかかっては、西洋文明など一刀両断にやられてしまう。
民主主義だって、
「多数意見を少数者が受け入れることは、神に背くもので、迷信です」
実に過激な論調で、近代文明を否定する。
ところで、実際の活動においては、
ガンディーが説いて回ると、暴動がおさまり、
ヒンドゥー・イスラム両教徒が和解したという。
なるほどガンディー本人が奇跡を起こせたとしても、
他者がガンディーを継ぐことは、実に難しい。
なお、現代アジア論の名著 (中公新書)のなかに、
長崎暢子が本書を解説する文章を載せている。
ベンガル分割の時、カーゾン卿は、分割しないでという嘆願を意に介さなかった。
インド人はおしゃべりするばかりで、ほかになにもできないと思っていた。
請願の背景には力がなければならないと、インドの人は考えた。
英国人に殴打されるのも、監獄に行くのも脅えなくなりました。
法律が気に入らないからといって、制定者の頭を叩き割るのではなく、
撤回させるように、断食します。
ガンディーにかかっては、西洋文明など一刀両断にやられてしまう。
民主主義だって、
「多数意見を少数者が受け入れることは、神に背くもので、迷信です」
実に過激な論調で、近代文明を否定する。
ところで、実際の活動においては、
ガンディーが説いて回ると、暴動がおさまり、
ヒンドゥー・イスラム両教徒が和解したという。
なるほどガンディー本人が奇跡を起こせたとしても、
他者がガンディーを継ぐことは、実に難しい。
なお、現代アジア論の名著 (中公新書)のなかに、
長崎暢子が本書を解説する文章を載せている。