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歴史(中) (岩波文庫 青 405-2) 文庫 – 1972/1/17
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イオニア反乱を制圧したペルシアはギリシア遠征の軍を発し、ペルシア戦争の幕は切って落とされた。アテナイはマラトンに軍を集結して迎え撃つ。自らの足で資料を集め正確公正を期した、今日なお高い価値を持つ史書。(全3冊)
- ISBN-104003340523
- ISBN-13978-4003340523
- 出版社岩波書店
- 発売日1972/1/17
- 言語日本語
- 本の長さ385ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1972/1/17)
- 発売日 : 1972/1/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 385ページ
- ISBN-10 : 4003340523
- ISBN-13 : 978-4003340523
- Amazon 売れ筋ランキング: - 42,814位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年7月19日に日本でレビュー済み
○ 上巻でギリシャとペルシアの闘争の発端とも言えるトロイア戦争とその後のペルシアの支配者交代を記述したのに続いて、この中巻ではエジプトの歴史伝承を語る。このあとの下巻ではダライオス(ダレウス一世?)が王となり並ぶもののない強国になるまでを語ることになる。
○ とにかく読み物として面白い。長い歴史の整理は、中国の十八史略と同じような面白さがある。こんなに古い本なのに記述は冷静で客観的。おどろくほどだ。
〇 エジプトの文物の記述とその背景の推理・解釈には、民俗学・地理学を読むような面白み覚えた。たとえば「巫女が黒鳩となって飛んできて、ある日突然人の言葉を話すようになった」との言い伝えは「エジプト人(色黒)の巫女が売られて来て、最初は通じない言葉で話していたが、やがて言葉を習い覚えて預言を行うようになった」ことをあらわすと言う。う~んと唸ってしまう。
○ おもしろく読んでいるうちに、古代世界の姿が大きく見えてくる。すなわち、(1)「 ペルシア」と言っても一つではなく、その中でも合従連衡があり支配者は交代した、(2) あのギリシャ人も、エジプトのことは先行した文明として大いに尊敬を払っていたらしいこと(ヘロドトスはエジプト人を世界で最も聡明な人たちと記述している)。また多くのものが(神すらも)エジプトからギリシャに伝わったらしいこと、(3) エジプト、ギリシャ、ペルシアはそれぞれが閉じていたのではなく、お互いに政治的軍事的文化的な相互交流があったことである。どうやら古代社会も意外なほどの国際化社会であったらしいのだ。
〇 翻訳は平易でわかりやすい。すうっとヘロドトスの世界に入って行ける。
○ とにかく読み物として面白い。長い歴史の整理は、中国の十八史略と同じような面白さがある。こんなに古い本なのに記述は冷静で客観的。おどろくほどだ。
〇 エジプトの文物の記述とその背景の推理・解釈には、民俗学・地理学を読むような面白み覚えた。たとえば「巫女が黒鳩となって飛んできて、ある日突然人の言葉を話すようになった」との言い伝えは「エジプト人(色黒)の巫女が売られて来て、最初は通じない言葉で話していたが、やがて言葉を習い覚えて預言を行うようになった」ことをあらわすと言う。う~んと唸ってしまう。
○ おもしろく読んでいるうちに、古代世界の姿が大きく見えてくる。すなわち、(1)「 ペルシア」と言っても一つではなく、その中でも合従連衡があり支配者は交代した、(2) あのギリシャ人も、エジプトのことは先行した文明として大いに尊敬を払っていたらしいこと(ヘロドトスはエジプト人を世界で最も聡明な人たちと記述している)。また多くのものが(神すらも)エジプトからギリシャに伝わったらしいこと、(3) エジプト、ギリシャ、ペルシアはそれぞれが閉じていたのではなく、お互いに政治的軍事的文化的な相互交流があったことである。どうやら古代社会も意外なほどの国際化社会であったらしいのだ。
〇 翻訳は平易でわかりやすい。すうっとヘロドトスの世界に入って行ける。
2021年12月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まあ勝利したわけだし、ペルシアにたいしてそれほどの敵対心は無いものの、描写は辛口になると思ったが、驚くほど記述は冷静(でも客観的ではない、それはギリシャにたいしても)だった。地誌的な部分と歴史の部分の書き分けがいまいち分かりずらかったが後編で慣れていこう。
2010年3月22日に日本でレビュー済み
まず、読み物としてとても面白い本です。松平さんの翻訳も少しも翻訳臭さがなく非常に読みやすいと思います。何より著者ヘロドトスの人間や民俗、博物に対する好奇心が伝わってきます。
題名は『歴史』ですが、ギリシア語の‘ιστορια(historia)というのはもっと広い意味で、原意は「質問して聞いたこと」、「見聞きしたこと」だそうです。実際、歴史というより、地理、博物誌、民俗誌という感じです。紀元前6世紀の著者は好奇心が旺盛で話がときどき脱線しますが、その話がまた面白いのです。
この本を読んで、人間は紀元前古6世紀の古代からそんなに変わっていないんだなあと思いました。優しく親切だったり、ずるく策略を巡らしたり、愚かだったり・・・。今とまったく同じです。
なお、欧米では聖書と並んで良く読まれている本だそうで、この本の記述が良く引用されます。
この本で、ギリシア古典の面白さに目覚め、調子にのってツキジデス(トゥーキュディデース)の『戦史 上、中、下 』まで買ってしまいましたが、そちらは淡々とした記述で、教養として読む本だなあと思いました。
題名は『歴史』ですが、ギリシア語の‘ιστορια(historia)というのはもっと広い意味で、原意は「質問して聞いたこと」、「見聞きしたこと」だそうです。実際、歴史というより、地理、博物誌、民俗誌という感じです。紀元前6世紀の著者は好奇心が旺盛で話がときどき脱線しますが、その話がまた面白いのです。
この本を読んで、人間は紀元前古6世紀の古代からそんなに変わっていないんだなあと思いました。優しく親切だったり、ずるく策略を巡らしたり、愚かだったり・・・。今とまったく同じです。
なお、欧米では聖書と並んで良く読まれている本だそうで、この本の記述が良く引用されます。
この本で、ギリシア古典の面白さに目覚め、調子にのってツキジデス(トゥーキュディデース)の『戦史 上、中、下 』まで買ってしまいましたが、そちらは淡々とした記述で、教養として読む本だなあと思いました。
2011年4月17日に日本でレビュー済み
本冊「中」は原著の4〜6巻に該当.ダレイオスの統治とマラトンの戦いをバックボーンにおきつつもギリシャ地方のエピソードを色々記述している.ヘロドトスも含めギリシャ世界では神託を中心に世界が回っていたことを改めて感じた.また,前冊の内容もそうであるが,古代の人々は思っていたより広範囲に行き来があったことに気がつかされた.ギリシャの国家(都市)間の話を読むにつれ,ダレイオスの名君ぶり或いはペルシャ世界の先進性を感じてしまう.その一方,ギリシャ人たるヘロドトスが,そのようにも読める記述を書き記し,それが現在まで残っていることを裏返して考えると,ヘロドトスを含め,そのような本を抹殺せずに伝えたギリシャ人の偉さがあるように感じた.
2007年1月26日に日本でレビュー済み
ヘロドトス「歴史」の岩波文庫版中巻は、ダレイオス大王がスキュティア征服の壮途が、厳しい自然環境や敵の撹乱戦術により、蹉跌を来たすところから物語が始まります。この遠征の泥沼から辛くも抜け出したダレイオス大王のもと、イオニア諸都市反乱の知らせが追い討ちをかけます。地方拠点たるサルティスの街を焼かれたダレイオスは、イオニア人と共にアテネが帝国に刃を向けたとの報に接し、アテネへの報復を固く天に誓います。
反乱を蹴散らし、イオニア再征服を果たした帝国軍は、エーゲ海諸島やヘレスポントス沿岸部を席捲したのち、いよいよアテネを目指してギリシア本土に侵入を開始します。「ギリシア人の自由」が未曾有の危機にさらされる中、風雲急を告げるマラトンの地で、帝国軍に雄々しく立ち向かったのは、ミルティアデスをはじめとするアテネ市民らの勇気と知恵だったのでした。
本巻も、マイナーな地名・人名が目白押しです。訳注も丁寧に付けられていて良いのですが、ちょっとウルサイ感じは否めません。総じて、決して読みやすい本とは言えません。
他方、帝国と諸ポリスとの一筋縄ではいかない微妙な関係がビビッドに描かれているほか、ペルシア来襲に至るまでの状況の急展開と行き詰るような雰囲気がにじみ出ており、やはり読むに値する素晴らしい書物だとの念を新たにしました。
反乱を蹴散らし、イオニア再征服を果たした帝国軍は、エーゲ海諸島やヘレスポントス沿岸部を席捲したのち、いよいよアテネを目指してギリシア本土に侵入を開始します。「ギリシア人の自由」が未曾有の危機にさらされる中、風雲急を告げるマラトンの地で、帝国軍に雄々しく立ち向かったのは、ミルティアデスをはじめとするアテネ市民らの勇気と知恵だったのでした。
本巻も、マイナーな地名・人名が目白押しです。訳注も丁寧に付けられていて良いのですが、ちょっとウルサイ感じは否めません。総じて、決して読みやすい本とは言えません。
他方、帝国と諸ポリスとの一筋縄ではいかない微妙な関係がビビッドに描かれているほか、ペルシア来襲に至るまでの状況の急展開と行き詰るような雰囲気がにじみ出ており、やはり読むに値する素晴らしい書物だとの念を新たにしました。
2001年4月5日に日本でレビュー済み
同書、上巻の続き。ペルシア王・キュロス、カンビュセスの遺志を継いでエジプトを征服したダレイオス(1世)が、ついにギリシア本土へ向けて侵攻を開始します。
巻4(メルポメネの巻)において、ダレイオス王はペルシアを悩ますスキタイ人(当時南ロシアの住んでいた民族)を討伐するために、今のイスタンブール(トラキア地方)からヨーロッパに上陸し、トラキア人とスキタイ人を征服してしまいます。
巻5(テルプシコレの巻)において、トラキアに残るペルシア軍によって、ギリシア全土は不穏な状態となり、それまでペルシアに服属していたギリシア民族のひとつであるイオニア人が反乱を起こしますが、失敗してしまいます。
巻6(エラトの巻)において、イオニアのミレトスで起こった僭主アリスタゴラスの反乱は後ろでアテナイ(アテネ)が糸を引いていたために両者の戦いは決定的となり、ついに両軍はマラトンで激突します(第二回ペルシア戦争)。
-これがかの有名な『マラトンの戦い』で、『マラソン』の語源はここからきていますが、勝利をアテナイに報告して生き絶えたという伝令の話はここには出てきません(スパルタに援軍の催促をしに行った伝令の話は出てくる)。面白いところです。
巻4(メルポメネの巻)において、ダレイオス王はペルシアを悩ますスキタイ人(当時南ロシアの住んでいた民族)を討伐するために、今のイスタンブール(トラキア地方)からヨーロッパに上陸し、トラキア人とスキタイ人を征服してしまいます。
巻5(テルプシコレの巻)において、トラキアに残るペルシア軍によって、ギリシア全土は不穏な状態となり、それまでペルシアに服属していたギリシア民族のひとつであるイオニア人が反乱を起こしますが、失敗してしまいます。
巻6(エラトの巻)において、イオニアのミレトスで起こった僭主アリスタゴラスの反乱は後ろでアテナイ(アテネ)が糸を引いていたために両者の戦いは決定的となり、ついに両軍はマラトンで激突します(第二回ペルシア戦争)。
-これがかの有名な『マラトンの戦い』で、『マラソン』の語源はここからきていますが、勝利をアテナイに報告して生き絶えたという伝令の話はここには出てきません(スパルタに援軍の催促をしに行った伝令の話は出てくる)。面白いところです。