プラトンの中期対話篇。ソクラテス刑死の場に居合わせたパイドンが当日のソクラテスの様子を語る設定。
死は魂と肉体の分離であり肉体は滅んでも魂は不死であると言うソクラテス。シミアスやケベスらの論争相手にイデア論を基にした想起説などを用いながらそれを証明していきます。魂が不死であることを理論を積み重ねて証明していく過程は読み応えがありました。死後の魂の裁き、輪廻転生の話などは仏教に通じるものがあるのかなと思います。
ソクラテスが達観した態度で毒薬を飲み干す最期の場面が深く心に残りました。難解なところも多いため、あらかじめイデア論や想起説について予習をしておくと読みやすくなると思います。
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パイドン: 魂の不死について (岩波文庫 青 602-2) 文庫 – 1998/2/16
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人間のうちにあってわれわれを支配し,イデアを把握する力を持つ魂は,永遠不滅のイデアの世界と同族のものである.死は魂の消滅ではなく,人間のうちにある神的な霊魂の肉体の牢獄からの解放である-ソクラテスの最期のときという設定で行われた「魂の不死」についての対話.『国家』へと続くプラトン中期の代表作.
- ISBN-104003360222
- ISBN-13978-4003360224
- 出版社岩波書店
- 発売日1998/2/16
- 言語日本語
- 本の長さ222ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1998/2/16)
- 発売日 : 1998/2/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 222ページ
- ISBN-10 : 4003360222
- ISBN-13 : 978-4003360224
- Amazon 売れ筋ランキング: - 63,321位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2022年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世間のクトゥルフ神話よりもプラトンのミュートスを信じました。
特に「哲学によって己を清めた者」という記述は。
哲学の目的を丁寧に説明しており。
これだけでも哲学の目的論を説明するのには。
私にとって足りています。
プラトンの書籍は対話劇になっており。
文学作品のように読みやすい構成ですね。
おまけの注釈と一緒に読めば。
理解しやすいのですし。
世間のとあるクトゥルフ神話みたいな話が不合理で。
起源を探していたら。
プラトンのミュートスがどうにも真理であり。
受け入れやすい上に好まれる哲学の起点になりました。
特に「哲学によって己を清めた者」という記述は。
哲学の目的を丁寧に説明しており。
これだけでも哲学の目的論を説明するのには。
私にとって足りています。
プラトンの書籍は対話劇になっており。
文学作品のように読みやすい構成ですね。
おまけの注釈と一緒に読めば。
理解しやすいのですし。
世間のとあるクトゥルフ神話みたいな話が不合理で。
起源を探していたら。
プラトンのミュートスがどうにも真理であり。
受け入れやすい上に好まれる哲学の起点になりました。
2020年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プラトンの著書は同じ出版社からから出ているのですが豪華版になっており、ちょっと手を出しにくいというのが難点です。ですが、本書は文庫本になっており非常に手ごろで歓迎です。時代によって興味を持つ人たちが増えてきたということがあるのかなとは思いますが。
これまでいろいろの方が翻訳をされておりますが本書は現代語で訳されておりますので比較的読みやすいです。
ソクラテス及びプラトンはどういう人かというこをと知らない人はいないとは思いますが彼らの霊魂不滅とイデアを否定したり、半信半疑に思ったりしている人は多いのではないかと思われます。
実は彼らは霊界に行き霊人たちと話をしてきており、彼らにとってはそこは実在もいいところなのです。ですが、それをアテネの人たちにストレートに話をしても相手にされないし、むきに話すとバカにされてしまうのがおちなので観念で創作したかのように「哲学」的に見せかけて一生懸命に説得して(口説いて)いた。しかし、それでは説得力が弱かった。
それで、ソクラテスなき後、プラトンは自分がとは言わずにソクラテスと誰かを対話する形で霊魂の不滅とイデアのことを書物にしていった。
実は、読む人たちもそういう前提で読まれるといいのですが、半信半疑で読み終わり訳者の解説にたどり着くと残念ながら訳者もインテリの一人であり学者ですから内容は「観念の殻」からは脱皮できていない。
イデア(Idea)を辞書で引くと「観念」と出るのが今の世である。
偉大なソクラテスとプラトンが言おうとしていたことを心底信じていただければこれほど素晴らしい本はなく、大勢の方々に是が非でも読んで戴きたいお勧めの本です。
ミラクル
これまでいろいろの方が翻訳をされておりますが本書は現代語で訳されておりますので比較的読みやすいです。
ソクラテス及びプラトンはどういう人かというこをと知らない人はいないとは思いますが彼らの霊魂不滅とイデアを否定したり、半信半疑に思ったりしている人は多いのではないかと思われます。
実は彼らは霊界に行き霊人たちと話をしてきており、彼らにとってはそこは実在もいいところなのです。ですが、それをアテネの人たちにストレートに話をしても相手にされないし、むきに話すとバカにされてしまうのがおちなので観念で創作したかのように「哲学」的に見せかけて一生懸命に説得して(口説いて)いた。しかし、それでは説得力が弱かった。
それで、ソクラテスなき後、プラトンは自分がとは言わずにソクラテスと誰かを対話する形で霊魂の不滅とイデアのことを書物にしていった。
実は、読む人たちもそういう前提で読まれるといいのですが、半信半疑で読み終わり訳者の解説にたどり着くと残念ながら訳者もインテリの一人であり学者ですから内容は「観念の殻」からは脱皮できていない。
イデア(Idea)を辞書で引くと「観念」と出るのが今の世である。
偉大なソクラテスとプラトンが言おうとしていたことを心底信じていただければこれほど素晴らしい本はなく、大勢の方々に是が非でも読んで戴きたいお勧めの本です。
ミラクル
2016年9月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小林秀雄さんの講演CDの中で「パイドロス」に言及している箇所があり、ずっと頭の片隅に残ってはいたのですが、哲学には無縁だと云うか無学だったため、ずっと読まずじまいでした。
そんなある日、読む本がなく本屋を廻っていたところ、この「パイドン」を見付け、“間違えて”購入してしまいました。
似たような経験をされた方も少なくないと思いますが、こう云う“間違い”は得てして“当たり”である場合が多いのです。
正直、哲学には無縁だと云うか無学だった身としては、ソクラテスがどうとかプラトンがどうとか言われてもよく分らないし興味もなかったのですが……
一読目。
話頭は転々と、本当に転々とし、最初の疑問が何であったのか忘れそうになったころ、ソクラテスじいさんのギアがトップに入る。
各所に散らばっていたピースが畳み掛けられるように繋がり、見事 『魂の不死について』 の証明が成される。
ホームズもポアロもお手上げの曲芸飛行。 お見事!!
二読目。
“しかし、この証明内容であれば、ここまで話頭を転々とさせる必要はないよなあ?”
ひょっとして、僕は何か勘違いをしているのかも知れない。そうだ、これは彼が処刑される直前のお話だ。
彼は、自分自身よりも弟子たちを納得させる必要がある筈だ。だって、ソクラテスが弟子の頭をずっと撫でるシーンがある。
ひょっとすると、彼自身は 『魂の不死について』 信じていなかったのかも知れない。残される弟子達の為に――彼らの哲学を止めないために、死の間際に方便を使ったのかも知れない。……しかし、だとすれば、これは、そんな悲しいお話なのだろうか?
三読目。
いや、そうではない。
ソクラテスの態度・言動には(あまりにも)悲壮感がない、なさ過ぎる。
悲壮感どころか、(ウソを吐いている人間特有の)“筋が通り過ぎている”感じすらもない。
話頭は転々とし、最初の疑問が何であったか忘れそうになったころに、全てのピースが繋がる。
弟子の頭をずっと撫でていたが、これは慰めるためか?鼓舞するためではないのか?誰を?自分と、自分の対話相手を?
そうか、彼は、最初から答えを知っていたワケでも、弟子たちの為に夢物語を騙ったのでもない。ただただ、本気で考えたんだ。
そう思わないと、彼の態度と言動の意味が分からない。
「魂は不死であるか?」
自身の死の間際まで、与えられた課題に本当の本気で取組み、考えた。
そこまで考えたのであれば、魂が不死であるかどうかはもうどっちでも良いようにすら思えてくるが、それでも――であるからこそ、ソクラテスによって導き出された結論は「魂は不死である」なのではないか?
……と云う感じで 『なに?哲学ってこんなに面白いの?若い時に読んでおけば良かった!!』 と思わせてくれた本です。
文句なし星五つでお願いします。
* 「パイドロス」も後日購入、読みましたが、それは次回の講釈で。
そんなある日、読む本がなく本屋を廻っていたところ、この「パイドン」を見付け、“間違えて”購入してしまいました。
似たような経験をされた方も少なくないと思いますが、こう云う“間違い”は得てして“当たり”である場合が多いのです。
正直、哲学には無縁だと云うか無学だった身としては、ソクラテスがどうとかプラトンがどうとか言われてもよく分らないし興味もなかったのですが……
一読目。
話頭は転々と、本当に転々とし、最初の疑問が何であったのか忘れそうになったころ、ソクラテスじいさんのギアがトップに入る。
各所に散らばっていたピースが畳み掛けられるように繋がり、見事 『魂の不死について』 の証明が成される。
ホームズもポアロもお手上げの曲芸飛行。 お見事!!
二読目。
“しかし、この証明内容であれば、ここまで話頭を転々とさせる必要はないよなあ?”
ひょっとして、僕は何か勘違いをしているのかも知れない。そうだ、これは彼が処刑される直前のお話だ。
彼は、自分自身よりも弟子たちを納得させる必要がある筈だ。だって、ソクラテスが弟子の頭をずっと撫でるシーンがある。
ひょっとすると、彼自身は 『魂の不死について』 信じていなかったのかも知れない。残される弟子達の為に――彼らの哲学を止めないために、死の間際に方便を使ったのかも知れない。……しかし、だとすれば、これは、そんな悲しいお話なのだろうか?
三読目。
いや、そうではない。
ソクラテスの態度・言動には(あまりにも)悲壮感がない、なさ過ぎる。
悲壮感どころか、(ウソを吐いている人間特有の)“筋が通り過ぎている”感じすらもない。
話頭は転々とし、最初の疑問が何であったか忘れそうになったころに、全てのピースが繋がる。
弟子の頭をずっと撫でていたが、これは慰めるためか?鼓舞するためではないのか?誰を?自分と、自分の対話相手を?
そうか、彼は、最初から答えを知っていたワケでも、弟子たちの為に夢物語を騙ったのでもない。ただただ、本気で考えたんだ。
そう思わないと、彼の態度と言動の意味が分からない。
「魂は不死であるか?」
自身の死の間際まで、与えられた課題に本当の本気で取組み、考えた。
そこまで考えたのであれば、魂が不死であるかどうかはもうどっちでも良いようにすら思えてくるが、それでも――であるからこそ、ソクラテスによって導き出された結論は「魂は不死である」なのではないか?
……と云う感じで 『なに?哲学ってこんなに面白いの?若い時に読んでおけば良かった!!』 と思わせてくれた本です。
文句なし星五つでお願いします。
* 「パイドロス」も後日購入、読みましたが、それは次回の講釈で。
2024年4月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読書・哲学が好きな、40代のサラリーマンです。海外在住です。
本書は、私が20代のときに読んだ本の中で、特に印象に残ったものの一冊でした。
今回の再読では、以前のように心が動かされるということはありませんでしたが、それでも、イデア論は哲学の原点のひとつであると思いますし、人間であれば誰でも抱く普遍的な思想であるとも思います。
ソクラテスが生きた時代やそれ以前の時代では、ある程度容易に、神や自然との一体感や霊界について感じることができたのだと思いますが、その中でイデア論のような思想が育まれたのは必然的とも言えるのではないかと思います。これは、人間の五感を通してというよりも、それ以上の何かで捉えるものであり、本来は言葉にできないようなものなものなのかもしれないですが、その存在を敢えて言葉にすると、本書のような表現になるのだと思います。
ほかには、訳者解説で、「パイドン」の禁欲的なソクラテスと、同時代に書かれた「饗宴」の大酒飲みのソクラテスとの対比について触れている点が興味深かったです。やはり、人間はアポロン的かつディオニュソス的なのだと思わされました。
また、私はソクラテスには子供がいなかったのだと思っていましたが、そうではなかったことを知り、そのことが印象に残りました。
ほか、蛇足ではありますが、三島由紀夫が最後に読んだ二冊の本のうちの一冊が、本書であったそうです。
変化が激しい、合理化の環境下で生きている我々ではありますが、そんな中でも、「魂を磨く」ことは決して放棄してはいけないことだと思います。
本書は、私が20代のときに読んだ本の中で、特に印象に残ったものの一冊でした。
今回の再読では、以前のように心が動かされるということはありませんでしたが、それでも、イデア論は哲学の原点のひとつであると思いますし、人間であれば誰でも抱く普遍的な思想であるとも思います。
ソクラテスが生きた時代やそれ以前の時代では、ある程度容易に、神や自然との一体感や霊界について感じることができたのだと思いますが、その中でイデア論のような思想が育まれたのは必然的とも言えるのではないかと思います。これは、人間の五感を通してというよりも、それ以上の何かで捉えるものであり、本来は言葉にできないようなものなものなのかもしれないですが、その存在を敢えて言葉にすると、本書のような表現になるのだと思います。
ほかには、訳者解説で、「パイドン」の禁欲的なソクラテスと、同時代に書かれた「饗宴」の大酒飲みのソクラテスとの対比について触れている点が興味深かったです。やはり、人間はアポロン的かつディオニュソス的なのだと思わされました。
また、私はソクラテスには子供がいなかったのだと思っていましたが、そうではなかったことを知り、そのことが印象に残りました。
ほか、蛇足ではありますが、三島由紀夫が最後に読んだ二冊の本のうちの一冊が、本書であったそうです。
変化が激しい、合理化の環境下で生きている我々ではありますが、そんな中でも、「魂を磨く」ことは決して放棄してはいけないことだと思います。