この著でフレーザーの受胎的トーテミズムが紹介されている。それは、アルンタ族は女子が受胎したときその場所を住居とする霊魂のひとつが
入ってきたと想像するというものである。そのような考え方からは、ある事情である動物を聖なるものと考え、個人の聖性と同性とみなすことも理解できる。さらに集合体(氏族から部族へと広がる)に、その動物に親縁なものを徴(トーテム)としてみれば、その徴に『道徳的威力』を感じる
のは人間の情緒として自然である。この本では、デュルケムの他著でも説かれる集合的意識について理解を深めることができた。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
宗教生活の原初形態 上 (岩波文庫 白 214-1) 文庫 – 1975/10/30
- 本の長さ430ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1975/10/30
- ISBN-104003421418
- ISBN-13978-4003421413
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1975/10/30)
- 発売日 : 1975/10/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 430ページ
- ISBN-10 : 4003421418
- ISBN-13 : 978-4003421413
- Amazon 売れ筋ランキング: - 169,138位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年6月8日に日本でレビュー済み
原始宗教を信仰する人間と宗教生活を観察、記録した人類学の基本書、上下巻とも濃密な学術書
2009年4月17日に日本でレビュー済み
デュルケムのキャリアの中では後期に当たる、1912年に発表された著作。
以前読んだ「自殺論」「社会的分業論」とも、個別の内容を詳しく分析することによって「社会」の実在を証明する内容になっていたが、この二巻組も同様の趣向を持っている。「難しい本を読んでもどうにもできない連中や出来事の成り立ちを切り取った」のかどうかは判断できないが、いずれの著作でもデュルケムは社会的事実を解明しようと、持てる知力を振り絞って思索を進めているのは確かだ。
上巻では、社会的事実としての宗教を理解するために、最も原初的な宗教形態を対象とすることとその理由についての記述から始まる。また、宗教の必要最小限の要素として「信念」「儀礼」「教会」の三つを挙げ、以降の章立ては「前提問題」の考察の後、その三つを順番に考察することとする。上巻では、「信念」の分析の途中までが収録されている。
「前提問題」編では、宗教の原初形態として語られていたアニミズムとナチュラリズムをそれぞれ論駁して、トーテミズムがそれにあたるとする。そして、以下ではオーストラリアでのトーテミズムを主に分析対象に、時にアメリカ・インディアンをも例に挙げて論述を進めていく。
トーテミズムは氏族・半族内でモノ・動植物・人間・地域内の領域にそれぞれ異なる聖性を互いに付与し、互いの聖性を尊重・畏怖するという仕組みで、いってみれば共同体の安定を空間的に保障するメカニズムとも考えられる。そのようなメカニズムに権威を与えているのがマナ、といわれる超越的な力の表象なのだという。
こうして読み進めていくと、取り扱っている内容・手法共に、レヴィ・ストロース「野生の思考」を先駆していることに気づく。また、分類することは連帯することにつながり、社会を組織することにかかわり、社会的事実を全体として把握することの鍵になるという部分は、フーコー「言葉と物」の問題意識と重なっている。そんな意味で、フランスの思想に与えた影響の大きさも教えられる。
宗教社会学にとどまらない深さを感じる一冊。
以前読んだ「自殺論」「社会的分業論」とも、個別の内容を詳しく分析することによって「社会」の実在を証明する内容になっていたが、この二巻組も同様の趣向を持っている。「難しい本を読んでもどうにもできない連中や出来事の成り立ちを切り取った」のかどうかは判断できないが、いずれの著作でもデュルケムは社会的事実を解明しようと、持てる知力を振り絞って思索を進めているのは確かだ。
上巻では、社会的事実としての宗教を理解するために、最も原初的な宗教形態を対象とすることとその理由についての記述から始まる。また、宗教の必要最小限の要素として「信念」「儀礼」「教会」の三つを挙げ、以降の章立ては「前提問題」の考察の後、その三つを順番に考察することとする。上巻では、「信念」の分析の途中までが収録されている。
「前提問題」編では、宗教の原初形態として語られていたアニミズムとナチュラリズムをそれぞれ論駁して、トーテミズムがそれにあたるとする。そして、以下ではオーストラリアでのトーテミズムを主に分析対象に、時にアメリカ・インディアンをも例に挙げて論述を進めていく。
トーテミズムは氏族・半族内でモノ・動植物・人間・地域内の領域にそれぞれ異なる聖性を互いに付与し、互いの聖性を尊重・畏怖するという仕組みで、いってみれば共同体の安定を空間的に保障するメカニズムとも考えられる。そのようなメカニズムに権威を与えているのがマナ、といわれる超越的な力の表象なのだという。
こうして読み進めていくと、取り扱っている内容・手法共に、レヴィ・ストロース「野生の思考」を先駆していることに気づく。また、分類することは連帯することにつながり、社会を組織することにかかわり、社会的事実を全体として把握することの鍵になるという部分は、フーコー「言葉と物」の問題意識と重なっている。そんな意味で、フランスの思想に与えた影響の大きさも教えられる。
宗教社会学にとどまらない深さを感じる一冊。
2004年6月12日に日本でレビュー済み
デュルケムは人間の最も感情的・非合理的などろどろした部分、合理的な学問を受け付けない頑迷な日常=つまりは難しい本を読んでもどうにもできない連中や出来事の成り立ちを切り取った。
デュルケムなしには、レヴィ・ストロースもブルデューもありえない。というか、デュルケムを読み込めば、近代思想の裏に抜けられる。なぜか日本で不人気なデュルケム。自殺論だけでやめるのは、あまりにもったいない!!
デュルケムなしには、レヴィ・ストロースもブルデューもありえない。というか、デュルケムを読み込めば、近代思想の裏に抜けられる。なぜか日本で不人気なデュルケム。自殺論だけでやめるのは、あまりにもったいない!!