改訂）2019/6/7
本書の読み方を間違えてました。萬葉集を読んで秀歌を選び本書と比べる本。つまり、「大歌人斎藤茂吉が選ぶ秀歌はこれだ」という本。斎藤茂吉は訓み方に非常に拘ってます。勿論本書は入門書ではありません。
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高校時代に挫折しました。今再読してみると挫折の原因は、(1)日本史にでてこない中皇命(なかちすめらみこと)、軍王(いくさのおほきみ)という言葉に圧倒された事 (2)訓み方の論議にうんざりした事 のようだ。
「〇〇新書」は1~2日で読める本が大半だが本書はLevelが高く相当の日数を要するし作者も早読を諫めている。
「万葉集入門」の「入門」という言葉には広い意味があるが、初心者向けの本では
・犬養孝「万葉の人びと」 が素晴らしい
・梅原猛「水底の歌」「赤人の諦観」は寝食を忘れる面白い本（内容が全面的に信用できるかは別として）
・Land of the Reed Plainsは易しい。 「英語でよむ万葉集」 (岩波新書) も「万葉秀歌」より易しい。
本書は現代的な見地から疑問点がある。萬葉集の歌は歌群として捉えるべきだという伊藤博の考えに納得。
この考えに従えば有名なNo.20、21の「あかねさす紫野行き・・・」（額田王）と「紫草のにほへる妹・・・」（大海人皇子）も恋愛歌でなく天智天皇主催の猟の後の座興の歌と見るべき。王はこの時38、9歳。初老40に近い女性に「にほへる妹」は可笑しい。王は初め大海人皇子の妻であったが後に天智天皇が寵愛したという俗説も江戸時代の学者伴信友がこの歌から逆算したらしい。
本書にはこうした箇所が他にも沢山見受けられる。伊藤博「萬葉集釋注」と併読しないと間違った解釈に陥る。
些事だが軍王の訓みは「こにきしのおほきみ」で日本書紀に出てくる余豊璋とする説が有力
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