絵画やアート作品は自分の眼で見て、印象・感動を感じればいいと思っていました。
「美」を感じるには、どうも鑑賞のツボのようなものがると思うようになりこの本を読みました。
一読して思ったのは、やはりこうした名画ガイドブックで作品の概要を把握したうえでの鑑賞が必要であると痛感したことです。
前著に続いて、なじみのある印象派以降の名画についての解説です。
取り上げられている画家は、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴーガン、スーラ、ロートレック、ルソー、ムンク、マティス、ピカソ、シャガール、カンディンスキー、モンドリアンです。
いずれも日本で大人気の画家ばかりです。
19世紀末から20世紀中頃までに活躍し名声を博しています。
印象派の活躍が多く取り上げられています。
今では画家が風景画を描くとき、キャンバスを持って対象の風景を前に絵筆をとるのは当たり前です。
風景画を郊外で描くことが可能になったのは19世紀中ごろです。
それまでは画家は風景画を室内のアトリエで描いていました。
チューブ入りの絵具の発明で画家は室内でなく、屋外で風景画を描くことが可能になりました。
屋外で画家たちは色彩、光、影などと真剣に対峙することでモネ、ルノワール、スーラなどの印象派が生まれました。
印象派は色彩だけなく形状、モチーフ、画面構成、視点など斬新な手法で新奇な作品を生み出しました。
多くは理解されず、売れずに画家は困窮が常でした。
セザンヌ、ゴッホ、ゴーガンなどは悲惨で生活苦との闘いのうちに生涯を送っています。
才能にあふれ意欲的な画家たちは、20世紀アートの中心地であったパリに魅せられ、そこで活躍しました。
ピカソ、シャガールなど才能ある外国人たちの活躍の場がパリでした。
日本の藤田嗣二もそんな一人です。
第二次世界大戦で戦火を避けアメリカへ渡った天才たちも多く、モンドリアンはニューヨークで活躍し、そのことがニューヨークが戦後の前衛芸術の中心地になった背景でもあります。
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続 名画を見る眼 (岩波新書 青版 E-65) 新書 – 1971/5/20
高階 秀爾
(著)
西洋美術鑑賞の懇切な手引として好評の『名画を見る眼』の続篇。本書では、モネ以後の近代絵画の名作をとりあげて、その題材、表現方法、技術、歴史的・思想的背景などを解説する。印象派・後期印象派をはじめ、素朴派、立体派、表現主義などの諸潮流から抽象絵画まで、その精華を紹介しつつ、豊かな美術の世界へと読者を導く。
- ISBN-10400414065X
- ISBN-13978-4004140658
- 出版社岩波書店
- 発売日1971/5/20
- 言語日本語
- 本の長さ210ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1971/5/20)
- 発売日 : 1971/5/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 210ページ
- ISBN-10 : 400414065X
- ISBN-13 : 978-4004140658
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,329位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2016年4月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
印象派以降の画家の絵画を取り上げて、高階先生が深く分かりやすい解説をしてくれる本です。「名画を見る眼」を先に読みましたが、こちらの続編の方が知っていて好きな画家が多く登場するので、楽しく一気に通読することが出来ました。
印象派が光と色彩に着目して、モネに代表される絵が登場します。この本では、モネの「パラソルをさす女」が取り上げられています。この絵は本当に光が溢れていて美しさに感動します。光を極限まで描いていくと、モノの形はどうでもよくなるようで、モネの作品から人物像が消えていきます。
ルノワールも似た道に入りかけますが、その道を選べなかったとのことです。「実際に手で愛撫することができるような」肉体表現を求め続けます。そして色彩分割を否定して、裸婦の輪郭線を描きます。輪郭線は一時的なものでしたが、ルノワールが印象派と決別するためにどうしても必要な段階だったと解説しています。
一方で、光ではなく、対象の「形態」にこだわる画家が生まれてきます。セザンヌがその代表。「色彩による造形」という方法が取られます。
それはマティスによって更に発展します。マティスは画面という平面を重視します。遠近法などの虚構の現実感よりも画面そのものの実在を強く主張します。その潮流はフォーヴィスムと呼ばれました。
その後もキュビスムのピカソ、抽象絵画としてカンディンスキーなどを紹介していきます。あとがきに書かれていますが、印象派から抽象絵画の登場までわずか70年ほどの間に西欧絵画は大きく変貌しました。その歴史を個々の画家と作品を取り上げて解説してくれています。
印象派が光と色彩に着目して、モネに代表される絵が登場します。この本では、モネの「パラソルをさす女」が取り上げられています。この絵は本当に光が溢れていて美しさに感動します。光を極限まで描いていくと、モノの形はどうでもよくなるようで、モネの作品から人物像が消えていきます。
ルノワールも似た道に入りかけますが、その道を選べなかったとのことです。「実際に手で愛撫することができるような」肉体表現を求め続けます。そして色彩分割を否定して、裸婦の輪郭線を描きます。輪郭線は一時的なものでしたが、ルノワールが印象派と決別するためにどうしても必要な段階だったと解説しています。
一方で、光ではなく、対象の「形態」にこだわる画家が生まれてきます。セザンヌがその代表。「色彩による造形」という方法が取られます。
それはマティスによって更に発展します。マティスは画面という平面を重視します。遠近法などの虚構の現実感よりも画面そのものの実在を強く主張します。その潮流はフォーヴィスムと呼ばれました。
その後もキュビスムのピカソ、抽象絵画としてカンディンスキーなどを紹介していきます。あとがきに書かれていますが、印象派から抽象絵画の登場までわずか70年ほどの間に西欧絵画は大きく変貌しました。その歴史を個々の画家と作品を取り上げて解説してくれています。
2021年12月20日に日本でレビュー済み
名著『名画を見る眼』の続編です。続編ではモネからモンドリアンまでの、いわゆる近代の絵画が扱われています。作品解説の分かりやすさは正編そのままに、それぞれの画家の代表的な作品を通じてわずか数十年の中での理論の変遷もよくわかるように説明されていて、同氏の『近代絵画史(下)』ではやや掴みにくかった世紀末以降の流れもざっくりと掴むことができ、個人的には正編よりもさらに実のある一冊でした。
2015年3月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
時代ごとの特徴ある画家と作品について簡潔に解説されていて大変わかりやすい。ただ、図版が白黒のためわかりにくい(新書では限界がある)ところがあるので私は『カラー版西洋美術史』も購入し取りあえずそれで補い、そのあと公立の図書館で大型図鑑を閲覧しました。
2007年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
先に出版された『名画を見る眼』の続編である。
前回に引き続き、挿絵がカラーでないため、ネットで紹介されている絵画を見ながら本を読み進めました。
すると、まるで美術館に居るような錯覚におちいるほど、この本に引き込まれてしまいます。
ピカソのような抽象絵画が理解できない。そう思っていたけど、印象派からフォービスム、キュビスムを経て抽象絵画に至るという軌跡を理解することにより、彼らの絵がなぜあのような表現となったのかよく理解できた。
お勧めの一冊です。
前回に引き続き、挿絵がカラーでないため、ネットで紹介されている絵画を見ながら本を読み進めました。
すると、まるで美術館に居るような錯覚におちいるほど、この本に引き込まれてしまいます。
ピカソのような抽象絵画が理解できない。そう思っていたけど、印象派からフォービスム、キュビスムを経て抽象絵画に至るという軌跡を理解することにより、彼らの絵がなぜあのような表現となったのかよく理解できた。
お勧めの一冊です。
2007年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
その人持ち前の感性だけに頼って絵画鑑賞をする事には限界がある。画家はその作品の中に自分のメッセージを凝縮して描くからだ。それはその絵が描かれた時代背景、生活習慣、理論とテクニック、更にはその時の画家の心理状態など実に多方面に渡っている。一つの絵画を構成しているこうした複雑な要素を総て知り尽くすことは殆ど不可能に近いが、著者が挙げている例に従って夫々の作品のメッセージを読み取っていくと、あたかも鎖されていた扉が開いて、その向こうにもう一つの別の絵が見えてくるようだ。感性を磨くとはこういう事を言うのだろう。例えば抽象画を理解する一つのヒントとして、カンディンスキー自身の体験談が引用されている。つまり縦に観るべき絵を、それと知らずに横の状態で観た時に感じる事ができた純粋な色彩の妙が、そのトリックに気付いた途端に消滅してしまったという逸話で、それはある絵の中に先入観を持って何らかの既存する物質的な形を追い求めると、それよりも重要なものが見えなくなってしまうという興味深い事実だ。色彩の美しさを一つの絵画の中に開放するには、時として形は妨げになるようだ。
2022年3月3日に日本でレビュー済み
・やはり近代西洋絵画の泰斗、色褪せしていません。
惜しむらくは、カラー化されていないこと、その一点に尽きます。
事実、説かれる要点が、理解しにくく、裏切ってもいます。
(画家「絵」ー要点ー)
I モネ「パラソルをさす女」ー光への渇望ー
II ルノワール「ピアノの前の少女たち」ー色彩のハーモニーー
III セザンヌ「温室のなかのセザンヌ夫人」ー造形のドラマー
IV ヴァン・ゴッホ「アルルの寝室」ー不気味な内面世界ー
V ゴーガン「イア・オラナ・マリア」ー異国的幻想ー
VI スーラ「グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後」ー静謐な詩情ー
VII ロートレック「ムーラン・ルージュのポスター」ー世紀末の哀愁ー
VIII ルソー「眠るジプシー女」ー素朴派の夢ー
IX ムンク「叫び」ー不安と恐れー
X マティス「大きな赤い室内」ー単純化された色面ー
XI ピカソ「アヴィニョンの娘たち」ーキュビスムの誕生ー
XII シャガール「私と村」ー回想の芸術ー
XIII カンディンスキー「印象・第3番」ー抽象絵画への道ー
XIV モンドリアン「ブロードウェイ・ブギウギ」ー大都会の造形詩ー
惜しむらくは、カラー化されていないこと、その一点に尽きます。
事実、説かれる要点が、理解しにくく、裏切ってもいます。
(画家「絵」ー要点ー)
I モネ「パラソルをさす女」ー光への渇望ー
II ルノワール「ピアノの前の少女たち」ー色彩のハーモニーー
III セザンヌ「温室のなかのセザンヌ夫人」ー造形のドラマー
IV ヴァン・ゴッホ「アルルの寝室」ー不気味な内面世界ー
V ゴーガン「イア・オラナ・マリア」ー異国的幻想ー
VI スーラ「グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後」ー静謐な詩情ー
VII ロートレック「ムーラン・ルージュのポスター」ー世紀末の哀愁ー
VIII ルソー「眠るジプシー女」ー素朴派の夢ー
IX ムンク「叫び」ー不安と恐れー
X マティス「大きな赤い室内」ー単純化された色面ー
XI ピカソ「アヴィニョンの娘たち」ーキュビスムの誕生ー
XII シャガール「私と村」ー回想の芸術ー
XIII カンディンスキー「印象・第3番」ー抽象絵画への道ー
XIV モンドリアン「ブロードウェイ・ブギウギ」ー大都会の造形詩ー