日本列島がどのように形成されて、どのように変動しているかを解説する本書。1985年に出版されたこと、その後の新たな発見がたくさんあることで、やや内容的に古くなってしまっている部分もあるが、それでもこの本の詳しい研究結果は大切なものと言える。ただし、地域的には近畿地方から中国地方(山崎断層)が中心で、ごく一部、フォッサマグナに触れる関係で中部地方に触れていると言った内容になっているので、関東地方や九州、東北、北海道の変動を詳しく知りたい方には他の本をお薦めしたい。その代わり、近畿地方の活断層、地質的なことについては大変詳しい。図も豊富なので理解しやすい。
序章 地殻変動
1 近畿トライアングル
2 山は上がり海は沈む
3 大阪層群
4 第四紀地殻変動
5 断層
6 うねりとブロック
7 プレートテクトニクスの登場
8 活断層と地震予知
9 西南日本と東北日本
10 造山運動とは何か
11 段丘時代
12 幻の地殻変動
13 現在への変貌
14 新しい日本列島の変動像 縮みゆく日本列島
終章 日本山脈
日本の大きな地震では、よく「正断層」「逆断層」という言葉が説明として使われるが、実は「横ずれ断層」も存在する。それが、山崎断層と中央構造線だという。それらについては第5章、第6章に詳しい。第6章までの構造論の骨子を藤田先生がまとめられたのは昭和37年だそうだ。それからプレートテクトニクス理論が登場し、先生の研究はさらに進む。
第8章では、地震予知ということで近畿地方の活断層の詳しい調査について書かれているが、ここでは過去の文書に残る868年の大地震の原因として山崎断層が注目されていて、のちに起きる阪神・淡路大震災で動いた野島断層については言及はない。ただし、第6章までの間で六甲の断層についての詳しい研究結果は書かれていて、山陽新幹線トンネル工事の時にそれらの断層を通過する度に大量の水が噴き出し、工事は困難を極めたことがわかる。この章では、大阪の地下の上町断層についても詳しく、大阪平野の地下構造が図でよくわかる。
第9章では、西南日本と東北日本がかつては分離していて、それらが結合して今の日本列島になっていくことが説明されている。連結場所はフォッサマグナ。はっきりはわかっていないが、第四紀に入って結合したらしい。
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変動する日本列島 (岩波新書 黄版 306) 新書 – 1985/6/20
藤田 和夫
(著)
- 本の長さ228ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1985/6/20
- ISBN-104004203066
- ISBN-13978-4004203063
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1985/6/20)
- 発売日 : 1985/6/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 228ページ
- ISBN-10 : 4004203066
- ISBN-13 : 978-4004203063
- Amazon 売れ筋ランキング: - 462,308位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,097位岩波新書
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