昔著者の日本の思想を買ったことがある。権利は自ら主張しない
と、効力を失う。ということだけ、覚えている。
さて、本書だが、福沢諭吉著「文明論の概略」の講義である。
ありふれた範疇の深く学問的な講釈がいたるところ見られ、本来、
熟読すべき本なのだが、シニアのため、ななめ読みしかできない。
ざっと、ページをめくったところ、面白いところが3つあった。
1はp32、福沢の先行者に触れた個所で、白柳秀湖を引用し秀湖が
徂徠は「江戸時代のマルクス」だといっていること、また徂徠と
諭吉には類似があると書いていることに言及している。
著者も、直感で福沢の徂徠との類似を感じていたゆえ、わが意を得
たりという感じであった。と書いている。
細部の論証は不明ながら、どうも次のようなことらしい。
本書第3講の文明の進歩のところで、著者は、西欧の歴史観の基礎
には、啓蒙の進歩思想、進化論、と並んでマルクスなどの、進歩の
原因が社会内部に芽生え、発展するという内在説がある、という。
秀湖は、著書「歴史と人間」(昭和11)の「諭吉と徂徠]のと
ころで、封建制度自壊説を唱え、藩主の大名が、参勤交代のもと、
知行地から離れた場所で、生活し、是のため、土地所有者の責務を
果たさなかったために、都市資本家の発達を招いて、そもそもの封
建制度を壊すことになった、という、いわば内在的発展説を
唱えたことをいうのであろう。
2はドイツのヘッケル、イギリスのダーウインの進化思想と明治の
進化思想との関連をのべた、ところ。
中国では、19世紀末の厳復による進化思想紹介が、大きな影響を引き
起こしたようだが、おそらく、明治のわが国進化思想と中国との相互関
係があったのだろう。
3つめは、進化の担い手、主体について。
福沢は、西欧の文明を求めるには、人心の改革、次いで法令の改革、つぎに
有形のものにいたるべし、(本書127)と考えたのに、実際の日本は、逆に
なって、主体の確立が最後になった、といっている。
今現在のわが国にも(自分自身も含めて)、あてはまるような気もする。
まあ、サルトル的自己の変わり方がたりない、ので、これも面白い。
ななめ読みのため、ほかの論点はあとで読もう。、
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文明論之概略を読む 上 (岩波新書 黄版 325) 新書 – 1986/1/20
丸山 真男
(著)
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『文明論之概略』は、福沢諭吉の気力と思索力がもっとも充実した時期に書かれた最高傑作の一つであり、時代をこえて今日なお、その思想的衝撃力を失わない。敢えて「福沢惚れ」を自認する著者が、現代の状況を見きわめつつ、あらためてこの書のメッセージを丹念に読みとり、今に語りつぐ。読書会での講義をもとにした書下し。
- ISBN-104004203252
- ISBN-13978-4004203254
- 出版社岩波書店
- 発売日1986/1/20
- 言語日本語
- 寸法1.19 x 10.5 x 17.3 cm
- 本の長さ286ページ
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- 出版社 : 岩波書店 (1986/1/20)
- 発売日 : 1986/1/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 286ページ
- ISBN-10 : 4004203252
- ISBN-13 : 978-4004203254
- 寸法 : 1.19 x 10.5 x 17.3 cm
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2013年3月1日に日本でレビュー済み
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2013年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
改めて 丸山真男の優れた才能に感服すると同時に 約150年前に「文明論之概略」を著した 福沢諭吉にも敬服します
2023年2月18日に日本でレビュー済み
福沢諭吉の『文明論之概略』を読んだ。
書いてあることは理解したつもりだが、何の「意味」があるのかがさっぱりわからなかった。
つまり、
①明治初期(執筆当時)という時代状況で、こういう議論を展開することの意義
②現代の我々が、その議論を読み直すことの意義
がである。
自分の読み方が浅いのだと思い、本書を読んだ。
しかし、『概略』の文章構造の解説とギゾー・バックルとの対照、周辺知識の肉付けばかり。
上記①②の期待については全く応えてくれなかった。
書いてあることは理解したつもりだが、何の「意味」があるのかがさっぱりわからなかった。
つまり、
①明治初期(執筆当時)という時代状況で、こういう議論を展開することの意義
②現代の我々が、その議論を読み直すことの意義
がである。
自分の読み方が浅いのだと思い、本書を読んだ。
しかし、『概略』の文章構造の解説とギゾー・バックルとの対照、周辺知識の肉付けばかり。
上記①②の期待については全く応えてくれなかった。
2020年1月28日に日本でレビュー済み
文明論之概略はもう何年も前に岩波文庫で読もうとしたが、旧文で読みにくく挫折。最近、斎藤孝氏による現代語訳を読み感動したので、この新書3冊にも手を出した。丸山真男氏の読みは非常に深く、かつ分かりやすかった。福沢は比喩を多用してなんとか明治時代の人々に伝えようとし、丸山は切れ味鋭い分析で更に噛み砕いて現代人に伝えようとする。その情熱が素晴らしいのと、自由や独立の維持は個人でも国でも命懸けの努力が必要と感じた。閉塞感や不安感が覆う現在こそハウツー本だけでなく、こうした骨太の本が心を鍛えると思う。
2009年12月26日に日本でレビュー済み
福沢諭吉の最高傑作「文明論之概略」。とても読む気にはなれないが、福沢諭吉を敬愛してやまなかった丸山先生の解説がある本書により、その偉大な内容を知る事が出来る。
最近はNHKで「坂の上の雲」や「龍馬」が放送され、明治ブームが起きそうな感じだ。日本、否世界が不況で暗い世の中。これからの日本はどうなって行くんだろうという不安は、たいていの人なら抱いているはず。でも、江戸末期から明治への近代化をなしとげた当時は、今以上に大変で衝撃的だった事でしょう。そんな時、必死に勉強し、思想面で日本の近代化に貢献したのが、福沢諭吉なのである。
本書を丸山先生は、原文を音読しながら、読み進めていって欲しいといっている。そんな事をすると、とても時間がかかる作業なので、やる人は少ないと思うけど、序文の古典からどう学ぶかだけでも、多くの示唆に富んでいるので一読の価値ありでしょう。
最近はNHKで「坂の上の雲」や「龍馬」が放送され、明治ブームが起きそうな感じだ。日本、否世界が不況で暗い世の中。これからの日本はどうなって行くんだろうという不安は、たいていの人なら抱いているはず。でも、江戸末期から明治への近代化をなしとげた当時は、今以上に大変で衝撃的だった事でしょう。そんな時、必死に勉強し、思想面で日本の近代化に貢献したのが、福沢諭吉なのである。
本書を丸山先生は、原文を音読しながら、読み進めていって欲しいといっている。そんな事をすると、とても時間がかかる作業なので、やる人は少ないと思うけど、序文の古典からどう学ぶかだけでも、多くの示唆に富んでいるので一読の価値ありでしょう。
2008年1月3日に日本でレビュー済み
「多事争論」という有名な四字熟語や「討論」、「演説」、「会議」といった新しい日本語(訳語)を産みだした本、というレベルの知識で本書を読んだが、最近読んだ新書の中でもかなり印象深いものだった。この上巻は「文明論之概略」の1章から3章までをカバー。「文明論之概略」の解説に入る前の部分も秀逸。例えば、古典をよむ意味とは何なのかが非常に明快に説明されていて大いに納得した。また、「文明論之概略」やその他維新期の知識人の本には海外のネタ本があるが、それでも彼らの仕事にはどういう独創性があったのかを論じている箇所も非常によかった。
「文明論之概略」に関しては2章が印象的だった。国の独立には国民の精神の独立が必要で、(ハードウェアや技術もいいが)文明の精神を吸収することが最も大切だとし、その精神の重要な一形態として「多事争論」のテーマが(数々の例と共に)提起される過程はスピーディで爽快。価値の多様化から、その間に競争が起き、そこから自由の空気が生まれ、習慣の力に依存できないようになり、ここから精神の働きが活発になり文明が進歩するのだというくだりは、維新まもない頃に福沢はよくここまで言えたと関心させられる。これに関連して、「自由は不自由の間に生ず」という福沢の言葉を「諸価値が多様に分化して互いに競い合うところに生まれてくる安定、そういうダイナミックな安定が本当の安定であって、そうでないのは停滞」とする著者の説明も非常に分かりやすい。また、当時猫も杓子も政治家や役人になりたがった当時の雰囲気に対抗して(価値観を多様化するために)福沢は在野精神を持ち続けたとする説明にもなるほどと思わされた。「多事争論」に関しては他にも手をかえ品をかえ、執念的なほど(福沢の)説明が尽くされている。たとえば、どんなにすばらしい説/価値でも、それしか存在しなければ、そこから自由(と発展)は生じないとか、権力による言論統制よりも画一化した(多事争論のない)「世論」の方が危険、等々。
「多事争論」以外では、「人間万事試験の世の中」(次々に試してみて問題があれば修正していく方が、尻込みして何もしないよりずっとよいというプラグマティズム)という部分も印象的。
「文明論之概略」に関しては2章が印象的だった。国の独立には国民の精神の独立が必要で、(ハードウェアや技術もいいが)文明の精神を吸収することが最も大切だとし、その精神の重要な一形態として「多事争論」のテーマが(数々の例と共に)提起される過程はスピーディで爽快。価値の多様化から、その間に競争が起き、そこから自由の空気が生まれ、習慣の力に依存できないようになり、ここから精神の働きが活発になり文明が進歩するのだというくだりは、維新まもない頃に福沢はよくここまで言えたと関心させられる。これに関連して、「自由は不自由の間に生ず」という福沢の言葉を「諸価値が多様に分化して互いに競い合うところに生まれてくる安定、そういうダイナミックな安定が本当の安定であって、そうでないのは停滞」とする著者の説明も非常に分かりやすい。また、当時猫も杓子も政治家や役人になりたがった当時の雰囲気に対抗して(価値観を多様化するために)福沢は在野精神を持ち続けたとする説明にもなるほどと思わされた。「多事争論」に関しては他にも手をかえ品をかえ、執念的なほど(福沢の)説明が尽くされている。たとえば、どんなにすばらしい説/価値でも、それしか存在しなければ、そこから自由(と発展)は生じないとか、権力による言論統制よりも画一化した(多事争論のない)「世論」の方が危険、等々。
「多事争論」以外では、「人間万事試験の世の中」(次々に試してみて問題があれば修正していく方が、尻込みして何もしないよりずっとよいというプラグマティズム)という部分も印象的。
2007年10月7日に日本でレビュー済み
福沢諭吉の主著「文明論之概略」を読む読書会での講義を基にした3分冊の本。
「文明論之概略」を丹念に読み解き、順を追って解説を加えながら、明治維新
前後の日本の思想、日本人のメンタリティ、さらに現在(=1980年代半ば)
の状況にまで言及する。
丸山政治学に対する批判はよく聞くが、丸山はこういう評論的文章を書かせると
やはり抜群の腕を持っている。
「文明論之概略」を丹念に読み解き、順を追って解説を加えながら、明治維新
前後の日本の思想、日本人のメンタリティ、さらに現在(=1980年代半ば)
の状況にまで言及する。
丸山政治学に対する批判はよく聞くが、丸山はこういう評論的文章を書かせると
やはり抜群の腕を持っている。
2021年3月14日に日本でレビュー済み
形式的なことですみません。
せっかく電子版を出すのに、どうして合本して一本にしないのですか?紙の本に合わせる意味が何かあるのでしょうか。
それに、著者が冒頭で、本来は上段に原文、下段に解説という体裁にしたかったが、そんなことをすればどれほど長大になるか分からないから、と書かれています。
電子版ならいくらでも長大にできるのではありませんか。それが、青空文庫ではない、岩波の電子版の存在価値なのではありませんか。
せっかく電子版を出すのに、どうして合本して一本にしないのですか?紙の本に合わせる意味が何かあるのでしょうか。
それに、著者が冒頭で、本来は上段に原文、下段に解説という体裁にしたかったが、そんなことをすればどれほど長大になるか分からないから、と書かれています。
電子版ならいくらでも長大にできるのではありませんか。それが、青空文庫ではない、岩波の電子版の存在価値なのではありませんか。