文化大革命(以下「文革」とする。)とは、党主席に祭り上げられて閑職に嫌気がさした毛沢東による権力奪権闘争である。
つまり大躍進政策の失敗により、毛沢東は権力の一線からはおりて、劉少奇、鄧小平の二人に後を託した。二人は性急な社会主義路線をあらため、一部農作物について農民による自由販売を認めた。その結果、不振を極めた農業が改善し、食料の流通がよくなった。食べるものにゆとりが出れば、労働者も安心して働くことが出来、生産も改善された。
こうなると面白くないのは毛沢東である。自分の政策が誤りであったことが証明されるからである。そこでもう一度、権力に返り咲き、自分の思うところの政策を実現したくなった。彼には権力はなかったが、権威、カリスマは残っていた。これを最大限に活用して権力を奪い返す作戦を練った。彼のターゲットは青少年である。青少年は社会に染まっていないから、自分の好きな色に染めやすい。毛沢東の近衛兵ともいうべき紅衛兵の誕生である。紅衛兵を組織して「造反有理」と称してやりたい放題させた。そして最後は共産党の中枢にとどめを刺した。
パートナーだった林彪はいまだに真相は不明であるが、毛沢東失脚のクーデターに失敗し、ソ連に逃亡するところを撃墜されて死亡したというものである。多分、彼は有能すぎる部下で毛沢東の猜疑心の犠牲になったのだろう。紅衛兵も用済みとなり、農村部に体よく追放された。
残ったのは周恩来と無能な四人組(江青、張春橋、姚文元、王洪文)で政治機能は壊滅状態になった。毛沢東もこうなると逆に周恩来に頼らざるを得なくなった。でも権力は二度と手放さなかった。
結局、周恩来の口添えで鄧小平を再起用した。文革の混乱は徐々に落ち着きをみせた。
そして周恩来の死。引き続く毛沢東の死。四人組は政権の獲得をめざして暗躍したが、毛沢東から後継者に指名された華国鋒と長老組が団結して逆にクーデターをおこして四人組を排除した。文革は終わった。
共産党の歴史決議においても文革は全面否定された。
一人の老人の我儘のおかげで中国はかつてない混乱の時代を体験することになった。代償は大きかった。
現在は改革・開放路線に変更し、中国は世界第2位の経済大国になった。貧富の差の改善、天安門事件の総括、社会保障の実現など、難問山積の中国ではあるが、文革の後遺症は多少は克服されたのかもしれない。
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文化大革命と現代中国 (岩波新書 黄版 346) 新書 – 1986/7/21
安藤 正士
(著)
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- 本の長さ228ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1986/7/21
- 寸法10.7 x 1 x 17.3 cm
- ISBN-104004203465
- ISBN-13978-4004203469
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1986/7/21)
- 発売日 : 1986/7/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 228ページ
- ISBN-10 : 4004203465
- ISBN-13 : 978-4004203469
- 寸法 : 10.7 x 1 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 376,106位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 131位中国のエリアスタディ
- - 1,716位岩波新書
- - 2,117位政治入門
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2015年9月28日に日本でレビュー済み
毛沢東の起こした文化大革命の概説を行っている。今の経済発展に伴う近代的ビルが立ち並ぶ中国ではあるが、それからは想像もつかないほど革命イデオロギーにまみれた中国の姿が1960~70年代にはあった。
最後の章では、「文化大革命とは一体何で、何が目的であったのか。」ということについて語られている。
毛沢東の起こした革命は、都市の工業プロレタリアではなく、農村からの革命を志向した。この時点で唯物史観からは、すでに外れていると云っていい。その毛沢東の中華人民共和国建国という「共産主義革命」は、そもそも「共産主義」のイデオロギーに基づくものであったのか。そもそもこの時点からの検証が始まる。
そして文革自体の検証に移る。中ソ対立がその根底にあったり、毛沢東・林彪が劉少奇・鄧小平を初めとした走資派を追い出すための権力闘争である、とか、文革を世界に輸出するためである、とか、色々語られている。一筋縄では語れない。
その後四人組逮捕ののち、華国鋒・鄧小平らを首脳とする政府は、歴史決議を発表し文革の終結を宣言する。
特に最後の章は、今にも通ずる中国の本質をあらわしていると言える。「封建的な移行が破壊されることなく社会主義革命を迎えた中華人民共和国は、毛沢東崇拝などを始めとする「皇帝崇拝」と何も変わりがない。」という点。専制国家という点では、共産党であろうと皇帝であろうとたしかにかわりはない。
最後の章では、「文化大革命とは一体何で、何が目的であったのか。」ということについて語られている。
毛沢東の起こした革命は、都市の工業プロレタリアではなく、農村からの革命を志向した。この時点で唯物史観からは、すでに外れていると云っていい。その毛沢東の中華人民共和国建国という「共産主義革命」は、そもそも「共産主義」のイデオロギーに基づくものであったのか。そもそもこの時点からの検証が始まる。
そして文革自体の検証に移る。中ソ対立がその根底にあったり、毛沢東・林彪が劉少奇・鄧小平を初めとした走資派を追い出すための権力闘争である、とか、文革を世界に輸出するためである、とか、色々語られている。一筋縄では語れない。
その後四人組逮捕ののち、華国鋒・鄧小平らを首脳とする政府は、歴史決議を発表し文革の終結を宣言する。
特に最後の章は、今にも通ずる中国の本質をあらわしていると言える。「封建的な移行が破壊されることなく社会主義革命を迎えた中華人民共和国は、毛沢東崇拝などを始めとする「皇帝崇拝」と何も変わりがない。」という点。専制国家という点では、共産党であろうと皇帝であろうとたしかにかわりはない。
2020年6月4日に日本でレビュー済み
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