生物が突然変異と自然淘汰で進化して来たことが定説だった時代に、遺伝子の突然変異は生物にとって有利でも不利でも無い中立的な突然変異が圧倒的多数だということを、木村資生さんが集団遺伝学の立場から1968年に提唱した革命的な学説を一般読者向けに解説した素晴らしい良書です。
遺伝子には表現型を変えてしまうような突然変異を起こす部位に比べて、それとは直接的に関係しない部位が圧倒的多数存在し、そこで突然変異が起きても生物の表現型にほとんど影響しないことを主張しました。ただし、生物が置かれている環境などのある条件が満たされると「遺伝的浮動」が成長し、最終的には生物の表現型を変えてしまう可能性があることも正しく指摘しました。
木村資生さんの学説は、当時の主流進化研究者の激しい批判に晒され、木村さんと少数の支持者との間に大激論が交わされました。
その後、木村さんの学説を支持する実験的証拠が次々と明らかになり「分子進化の中立説」は疑いのない事実として認められました。
現在の進化論では、
1.「分子進化の中立説」の基本的内容は正しい。
2.中立的な遺伝子の突然変異は非常に頻繁に起こっており、表現型に関係する遺伝子の突然変異ははるかに遅い。
3.しかし、「遺伝的浮動」による進化は「自然淘汰」による進化に比べると弱く、「自然淘汰」による進化の方が主流である。
4.中立的な遺伝子の突然変異の頻度を定量的に測定すると「分子時計」が測定でき、生物進化の系統樹を描きだすことができる。これまで遺伝的に近縁と思われていなかった生物の近縁性が明らかになるという成果をあげている。
これまで生物の形態的特徴の類似性を基にした進化学に加えて、遺伝子のレベルで研究する強力な手段を提供しました。現在、多数の進化学の教科書に書かれている「進化の系統樹」は、「分子進化の中立説」に基づく「分子時計」の測定を最大限利用して研究した成果に依拠しています。
なぜ、木村資生さんがノーベル医学生理学賞を受賞できなかったのが不思議でなりません。「分子進化の中立説」を詳細に記述した本は、木村資生さん著(向井輝美・日下部 真一訳)「分子進化の中立説」(紀伊國屋書店、1986年出版)です。この本は元々、英文で出版された木村資生さん著「The Neutral Theory of Molecular Evolution」(Cambridge University Press, 1983年出版)の翻訳です。
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生物進化を考える (岩波新書 新赤版 19) 新書 – 1988/4/20
木村 資生
(著)
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- ISBN-104004300193
- ISBN-13978-4004300199
- 出版社岩波書店
- 発売日1988/4/20
- 言語日本語
- 本の長さ290ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1988/4/20)
- 発売日 : 1988/4/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 290ページ
- ISBN-10 : 4004300193
- ISBN-13 : 978-4004300199
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2022年3月26日に日本でレビュー済み
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2015年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の木村資生氏は「分子進化の中立説」で著名な、集団遺伝学を専門とする生物学者です。
本書も、その中軸は中立説の視点にありますが、ラマルク、ダーウィンの学説から80年代までの様々な進化学説とその変遷を、集団遺伝学の見地でのコメントを加えながら、極端に偏ることなく俯瞰できる内容で書かれています。
各章の見出しは、
第一章 生物の多様性と進化の考え
第二章 遺伝学に基づく進化機構論の発達史
第三章 進化の道すじをたどる
第四章 進化要因としての突然変異
第五章 自然淘汰と適応の考え
第六章 集団遺伝学入門
第七章 分子進化学序説
第八章 中立説と分子進化
第九章 進化遺伝学的世界像
の九章立てです。
第一章では、進化概念の黎明期の状況や、その利点と欠点を明確にします。
そして、後に進化のメカニズムと切り離せないメンデル遺伝学の発見前後を概観します。
第二章では、20世紀初頭のメンデルの法則再発見以後の、20世紀における進化と遺伝学の関係や、様々な進化説を概観します。
第三章では、80年代当時の生物進化の道すじについての概観をまとめます。
第四章では、進化における突然変異の役割をまとめています。
第五章で、ダーウィン流の淘汰の考えから、その後の自然淘汰の考え方の変遷が述べられています。
第六章では、著者の専門である集団遺伝学についての進化説に係わりの深い概念の概略を解説します。
第七章で、分子進化学の概要がまとめられています。
そして、第八章で、これまでの内容をふまえた上で中立説・中立進化について、とても分かりやすい解説がなされています。
この第八章が、この書籍の中軸であり、著者が最も強調したかった所でありましょう。
第九章は、エピローグとして、著者の非常に個人的な、進化にまつわる所見や、人類の進化論的未来展望を記して締めくくっています。
第九章を除けば、著者の「分子進化の中立説」の日本語訳が出版されるまでの、進化論上の論争と学説の変遷を、集団遺伝学、中立説の視点で非常にスマートにまとめられた良書です。
出版から四半世紀以上たった古いものですが、中立説以後の進化学を学ぶ上での基礎知識を得るためには、まだまだ役に立つ適当な書籍としてお薦めいたします。
出来れば、紀伊国屋書店から出版されていた訳本「分子進化の中立説」にも、挑戦していただきたいと思います。
本書も、その中軸は中立説の視点にありますが、ラマルク、ダーウィンの学説から80年代までの様々な進化学説とその変遷を、集団遺伝学の見地でのコメントを加えながら、極端に偏ることなく俯瞰できる内容で書かれています。
各章の見出しは、
第一章 生物の多様性と進化の考え
第二章 遺伝学に基づく進化機構論の発達史
第三章 進化の道すじをたどる
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第五章 自然淘汰と適応の考え
第六章 集団遺伝学入門
第七章 分子進化学序説
第八章 中立説と分子進化
第九章 進化遺伝学的世界像
の九章立てです。
第一章では、進化概念の黎明期の状況や、その利点と欠点を明確にします。
そして、後に進化のメカニズムと切り離せないメンデル遺伝学の発見前後を概観します。
第二章では、20世紀初頭のメンデルの法則再発見以後の、20世紀における進化と遺伝学の関係や、様々な進化説を概観します。
第三章では、80年代当時の生物進化の道すじについての概観をまとめます。
第四章では、進化における突然変異の役割をまとめています。
第五章で、ダーウィン流の淘汰の考えから、その後の自然淘汰の考え方の変遷が述べられています。
第六章では、著者の専門である集団遺伝学についての進化説に係わりの深い概念の概略を解説します。
第七章で、分子進化学の概要がまとめられています。
そして、第八章で、これまでの内容をふまえた上で中立説・中立進化について、とても分かりやすい解説がなされています。
この第八章が、この書籍の中軸であり、著者が最も強調したかった所でありましょう。
第九章は、エピローグとして、著者の非常に個人的な、進化にまつわる所見や、人類の進化論的未来展望を記して締めくくっています。
第九章を除けば、著者の「分子進化の中立説」の日本語訳が出版されるまでの、進化論上の論争と学説の変遷を、集団遺伝学、中立説の視点で非常にスマートにまとめられた良書です。
出版から四半世紀以上たった古いものですが、中立説以後の進化学を学ぶ上での基礎知識を得るためには、まだまだ役に立つ適当な書籍としてお薦めいたします。
出来れば、紀伊国屋書店から出版されていた訳本「分子進化の中立説」にも、挑戦していただきたいと思います。
2019年8月6日に日本でレビュー済み
まずはじめに、生物進化にルールはあるか、ということですが、
理論生物学ではそれを是とします。理論(セオリー)というものの性質上、
ランダムであるとはなかなかいいにくく、しかし実際はランダムウォークである点否定もしにくく、
その狭間で揺れ動いているのがもっかの生物学のすがたでは。
そうした進化生物学の状況は言い換えれば、一方の極にドリフト(遺伝的浮動)があり、
他方の極に自然淘汰(ダーウィン的な)があるとし、そのスペクトラムに真実は宿っているのでは。
即ち、偶然と必然が織り成す鬩ぎ合いで形質変化や形態分化が決まってくるもようで、
その点こと進化に限っては確率過程とか確率分布の考え方(極めて統計学的な)があてはまるのでは。
もちろん他分野、例えば物理化学における電子の分布なども確率分布でしょうが、
集団生物学の場合存在の粒子性を仮定せず、ただ自然現象として扱うのみなので、
現象と本質のライン上で現象学的な記述等を行うべきなのでしょう。
たまたま何かの拍子に起こった突然変異が「有害」であるとしての除去を免れ、
そのまま集団中に拡散した場合に、かつ同じ遺伝子が実際環境適合的に振舞ったとすれば、
今度は「有利」であるとして再選抜を受けることになる、というのがどうやら真意のようですが、
そうした確率過程はいわば二段階選抜にあたり、または必要条件と十分条件が合致するようなものです。
数理生物学や統計学的な手法を用いて考える以上、偶然と必然をうまく分離できなければ議論が混乱しかねず、
その間の線引きいかんが問題なのです。
ここで、「偶然」とは即ち、たまたまの遺伝的変化が除去されないことを指し、
一方「必然」とは即ち、そうした変化が実際十分に環境適合を果たすことを指すでしょう。
いずれにせよあらゆる生物種(species)の選抜過程は二種の異なる原理によって進み、
その割合的配分こそが実際の進化の正体でしょう。
また、集団規模の問題も大きく影響します。結局大集団(多くが平均付近に収斂、分散小)の場合、
ドリフトの影響が濃厚で、他方小集団(かなりが平均から遊離、分散大)の場合、
自然淘汰の影響が濃厚です。種内変異と種間変異の大小関係も逆転します。
ここまで検討したところで、「中立説」とは要するに分子進化と形態分化の間の相関小とみており、
分子進化と相関大なのはむしろ機能変化であるということでしょう。
つまり、機能と形態は一義的には関係ないのであり、遺伝的変化の結果としての機能変化の一部が偶然、
形態分化(形態進化ひいては生物多様性)を招来するのみであり、関数関係ではないのです。
その点がもっとも誤解を招きやすいので、ここにあえて記載しましたが、
結局生物界を現象学的に観察したとき、位相によって違った風に映るということでしょうか。
いわゆるアインシュタインのアポリアですが、それこそ生物界の相対性理論とでもいっておきましょう。
生物界に関するなるだけ現象学的な分析としての「中立説」に関心の向きに本新書をおすすめし、
さらに物理科学や数理科学、また分子研究を行う物質科学も含め、
相関基礎的な自然観察の視点どりも併せておすすめしておきます。
理論生物学ではそれを是とします。理論(セオリー)というものの性質上、
ランダムであるとはなかなかいいにくく、しかし実際はランダムウォークである点否定もしにくく、
その狭間で揺れ動いているのがもっかの生物学のすがたでは。
そうした進化生物学の状況は言い換えれば、一方の極にドリフト(遺伝的浮動)があり、
他方の極に自然淘汰(ダーウィン的な)があるとし、そのスペクトラムに真実は宿っているのでは。
即ち、偶然と必然が織り成す鬩ぎ合いで形質変化や形態分化が決まってくるもようで、
その点こと進化に限っては確率過程とか確率分布の考え方(極めて統計学的な)があてはまるのでは。
もちろん他分野、例えば物理化学における電子の分布なども確率分布でしょうが、
集団生物学の場合存在の粒子性を仮定せず、ただ自然現象として扱うのみなので、
現象と本質のライン上で現象学的な記述等を行うべきなのでしょう。
たまたま何かの拍子に起こった突然変異が「有害」であるとしての除去を免れ、
そのまま集団中に拡散した場合に、かつ同じ遺伝子が実際環境適合的に振舞ったとすれば、
今度は「有利」であるとして再選抜を受けることになる、というのがどうやら真意のようですが、
そうした確率過程はいわば二段階選抜にあたり、または必要条件と十分条件が合致するようなものです。
数理生物学や統計学的な手法を用いて考える以上、偶然と必然をうまく分離できなければ議論が混乱しかねず、
その間の線引きいかんが問題なのです。
ここで、「偶然」とは即ち、たまたまの遺伝的変化が除去されないことを指し、
一方「必然」とは即ち、そうした変化が実際十分に環境適合を果たすことを指すでしょう。
いずれにせよあらゆる生物種(species)の選抜過程は二種の異なる原理によって進み、
その割合的配分こそが実際の進化の正体でしょう。
また、集団規模の問題も大きく影響します。結局大集団(多くが平均付近に収斂、分散小)の場合、
ドリフトの影響が濃厚で、他方小集団(かなりが平均から遊離、分散大)の場合、
自然淘汰の影響が濃厚です。種内変異と種間変異の大小関係も逆転します。
ここまで検討したところで、「中立説」とは要するに分子進化と形態分化の間の相関小とみており、
分子進化と相関大なのはむしろ機能変化であるということでしょう。
つまり、機能と形態は一義的には関係ないのであり、遺伝的変化の結果としての機能変化の一部が偶然、
形態分化(形態進化ひいては生物多様性)を招来するのみであり、関数関係ではないのです。
その点がもっとも誤解を招きやすいので、ここにあえて記載しましたが、
結局生物界を現象学的に観察したとき、位相によって違った風に映るということでしょうか。
いわゆるアインシュタインのアポリアですが、それこそ生物界の相対性理論とでもいっておきましょう。
生物界に関するなるだけ現象学的な分析としての「中立説」に関心の向きに本新書をおすすめし、
さらに物理科学や数理科学、また分子研究を行う物質科学も含め、
相関基礎的な自然観察の視点どりも併せておすすめしておきます。
2019年9月24日に日本でレビュー済み
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著者の木村資生は、1968年に「進化の中立説」を権威ある雑誌"Nature"のLetter(偉大な発見は短文で発表される)に発表し、国際的に評価された集団遺伝学者。本書の内容は新書としては難解だ。発行された30年前の1988年では今よりも一般読者は分子生物学についての知識は格段に少なかったので、読みこなすのは本当に難しかったと思う。しかしそれだけ内容の濃い、当時としては最先端の生物学的知見を盛り込んだ名著であったと思う。今でも古臭さはまったく感じさせない。
素人としての私が本書から理解した木村の「中立説」のキモは、核内DNAのシーケンスの塩基の突然変異、つまり塩基の置換はランダムに、遺伝情報があるなしに関係なく、同じ確率で、定時的に(進化時計の原理)、起こるということであろう。表現型の違いは、遺伝情報を持つシーケンスのうちで同じアミノ酸をコードする相同コドンを除いた部位での塩基の置換によってはじめて明らかになる。それによって異なった形質なり酵素の働きなどが現れても、それが生存に有利でも不利でもはなければその変異はその種に保存されることになる。またそれがその種に定着するか否かは、偶然による遺伝的浮動にも左右される。要は「進化はランダムに、(有利不利の)方向性に関係なく起こる」ということだ。そして何らかの淘汰圧かかった時に初めてダーウィンの自然淘汰が働くということだろうと私は理解した。それが正しい解釈かどうかはわからないが。
ただし、DNAのうち、蛋白をコードしていない部分も、エピジェネティックは作用があることが本書発行後に続々と解って来た。その部分のランダムな塩基置換の遺伝への影響は、早世した木村が後世に託した宿題ではないだろうか?
素人としての私が本書から理解した木村の「中立説」のキモは、核内DNAのシーケンスの塩基の突然変異、つまり塩基の置換はランダムに、遺伝情報があるなしに関係なく、同じ確率で、定時的に(進化時計の原理)、起こるということであろう。表現型の違いは、遺伝情報を持つシーケンスのうちで同じアミノ酸をコードする相同コドンを除いた部位での塩基の置換によってはじめて明らかになる。それによって異なった形質なり酵素の働きなどが現れても、それが生存に有利でも不利でもはなければその変異はその種に保存されることになる。またそれがその種に定着するか否かは、偶然による遺伝的浮動にも左右される。要は「進化はランダムに、(有利不利の)方向性に関係なく起こる」ということだ。そして何らかの淘汰圧かかった時に初めてダーウィンの自然淘汰が働くということだろうと私は理解した。それが正しい解釈かどうかはわからないが。
ただし、DNAのうち、蛋白をコードしていない部分も、エピジェネティックは作用があることが本書発行後に続々と解って来た。その部分のランダムな塩基置換の遺伝への影響は、早世した木村が後世に託した宿題ではないだろうか?
2020年3月29日に日本でレビュー済み
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ダーウィンの進化論とメンデルの遺伝学から統計的に生物の進化を捉える集団遺伝学が誕生した。その中で突然変異は自然淘汰に対し中立と説く著者の説は、現在の進化学において今尚重要な理論とされる。初期の進化論から中立説に至る変遷について大変参考になった。
2019年7月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
分子レベルと表現型レベルにまたがって進化と遺伝について網羅的に知ることができる。