さすがに内容はふるい。また読みにくい。
松井さんが、世界各国にいって、いろいろなNGOの人たちを見てきたり会ってきました、という話で、日本ではNGOに対する取り組みが遅れている!ということを批判している(ただし、阪神淡路大震災より以前の話である)。
ただ、批判の構図がこれではあまりにコテコテな感がありすぎて、なんともげんなりしてしまった。第三世界の悲劇、女性の進出、西欧世界の第三世界への進んだ取り組み……うーん、そうですか、と。もちろん、この本が出た当時にこういうことを言ってみることに一定の価値あったのだろう。ただ、こういう書き方をしてしまっては、あまりに分析的な発想も希薄だし「ああ、この本の著者はそういうことを言いたい人なんだな」と思われてしまって、終了してしまう。
単に良心に訴えるとか、取り組みが遅れているというだけの話の枠組みで議論するのは止めて、西欧とは大きく異なる前提を持つ日本の社会環境下でNGOのような取り組みが今後発展していくために何が重点的になされるべきなのか。もう少しデータを下に論理的に議論をすすめていくような視座が全体にあともう少しあればな、と思う。
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市民と援助: いま何ができるか (岩波新書 新赤版 133) 新書 – 1990/8/20
松井 やより
(著)
地球は小さくなったといわれるが,貧困や南北の格差は存在している.政治の壁を越えてアジア各国で活躍する西欧のNGO,西欧諸国での開発教育,“援助”を問い直す女性たち,第三世界の人々による自立への試行錯誤,そして肥大化するODAとは別に独自に歩み出している日本の市民団体の若い息吹などを,現地からの報告で伝える.
- 本の長さ258ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1990/8/20
- ISBN-104004301335
- ISBN-13978-4004301332
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1990/8/20)
- 発売日 : 1990/8/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 258ページ
- ISBN-10 : 4004301335
- ISBN-13 : 978-4004301332
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,022,241位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2006年6月9日に日本でレビュー済み
朝日新聞編集委員が1986年の新聞連載をもとに、前著『女たちのアジア』の続編として、日本の市民一人一人に何ができるのかを論じるために、1990年に刊行した新書本。著者は1980年代の東南アジア滞在中、あくまでも人道的な見地から現地人の自立を支援する多くの西欧NGOと出会い、衝撃を受ける。それらのNGOは、政府の介入をはねつけるだけの実力をもち、多国籍企業の行動やODAの使途を監視し、また従来の現地の事情を無視した(その為しばしば現地住民の生活をかえって悪化させ、結果的に先進国の企業と独裁政権を利するだけに終わる)経済的「開発」に対して疑義を呈しつつ、西欧の市民が自分達の生活を見直し(=新たな価値観の創造)、第三世界住民の基本的な生活を保証するというあり方こそが、世界の一体化が進んだ現在、双方にとって真に幸福な生活をもたらすことになる、という信念を持っていた。そうした第三世界との対等のパートナーシップを求める動きは、西欧ではNGOのみならず、自治体・労働組合・障害者団体・生協にも見られる。彼らは第三世界住民の自立支援と同時に、西欧での多様な開発教育や外国人労働者との共生にも力を入れ、この双方を活動の大きな柱としている。また著者は西欧の女性がこの分野で大きな役割を担っていることにも注目する。他方、日本ではNGOが未発達であることに対応して、旧来型の問題の多い「国際援助」が幅をきかせており(この点でアジア住民や西欧NGOからしばしば批判される)、また日本社会自体を問い直すという観点がきわめて希薄である。著者は西欧NGOの限界や否定的な面をも見落とさないが、基本的には日本はこれらの団体から多くを学べると主張している。代表的なNGOやPP21等の紹介、NGO自体の監視・選別の必要、紅茶のフィンレイ社への批判等も興味深いが、西欧をやや美化している感は否めない。