いままで自分は奴隷というものを言葉でしか知らなかったんだな。と感じました。
奴隷とは物であって同じ人類ではない。脱走すれば犬に追われ噛み殺される。輸送中に病気になれば海に落とされ鮫の餌にされる。国が法的に認めた単なる「物」でした。
そして、この本はハッピーエンドで終わりません。何故なら、黒人差別はいまなおこの時代も続いているからです。
数百年前から続いてきた黒人差別の歴史は当時よりずっと改善されたとはいえ、いまだにアメリカでは白人警官による射殺や一般人による暴行、KKKなどの存在があります。
理不尽な不条理な歴史はいまなお続いていることに恥を知らないといけないでしょう。
日本人の中にも大坂なおみやサニブラウン、八村塁らの活躍を素直に喜べない人がいます。理由は「純粋な日本人じゃないから。」と。では彼らは何人としてどこの国の代表として試合に大会に出場すればいいのか。日本で生まれ育ち日本国籍を持っているのに日本代表として認められなければ、活躍の場どころか競技を続ける機会すら奪いかねません。
「純粋な日本人」という言葉が、自分自身を貶めている愚かな姿だと気づいてほしいものです。
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アメリカ黒人の歴史 新版 (岩波新書) 新書 – 1991/3/20
本田 創造
(著)
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合衆国総人口の約十二パーセント,三千万人以上を占める黒人たち.人間としての,市民としての平等を求める彼らの闘いは,どのようなものであったのか.合衆国独立前から南北戦争を経て公民権運動へ,さらに真の解放を目指す現在までの長い苦闘の歩みを歴史的発展とともにたどる.旧版以後二十七年の変化を見据え,大幅に書き改めた.
- ISBN-104004301653
- ISBN-13978-4004301653
- 出版社岩波書店
- 発売日1991/3/20
- 言語日本語
- 本の長さ260ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1991/3/20)
- 発売日 : 1991/3/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 260ページ
- ISBN-10 : 4004301653
- ISBN-13 : 978-4004301653
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年5月5日に日本でレビュー済み
表題のとおり、アメリカの黒人の歴史を綴った書。
アフリカ黒人が1620年に初めてアメリカの国土を踏んで以来、
その実態は、まさに奴隷解放から自主自立のための歴史であった。
白人の黒人に対する差別意識は根深く、本質的な解決には至っていない。
現在に至っても、たとえば2015年4月、サウスカロライナ州において、
丸腰の黒人男性を射殺した疑いがある白人警察官を地元警察が解雇し
訴追されたというニュースが記憶に新しい。
「自由」「正義」「民主主義」といった理念を掲げることによって、
その普遍性と正当性を内外に主張した国であるアメリカが、
いまだ深刻な人種差別に苛まれているというのは残念である。
なぜ、これほどまでに黒人を差別するのか?
差別意識の本質を考えるきっかけにしたいと思う。
アフリカ黒人が1620年に初めてアメリカの国土を踏んで以来、
その実態は、まさに奴隷解放から自主自立のための歴史であった。
白人の黒人に対する差別意識は根深く、本質的な解決には至っていない。
現在に至っても、たとえば2015年4月、サウスカロライナ州において、
丸腰の黒人男性を射殺した疑いがある白人警察官を地元警察が解雇し
訴追されたというニュースが記憶に新しい。
「自由」「正義」「民主主義」といった理念を掲げることによって、
その普遍性と正当性を内外に主張した国であるアメリカが、
いまだ深刻な人種差別に苛まれているというのは残念である。
なぜ、これほどまでに黒人を差別するのか?
差別意識の本質を考えるきっかけにしたいと思う。
2021年2月17日に日本でレビュー済み
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アメリカ奴隷制度について詳細に書かれた本。 あまりにも問題が大き過ぎて今迄読む気になれなかったが、読後は黒人の怒りが理解出来る。 アメリカ奴隷は所有者が奴隷解放書に署名する迄、何代にも渡ってその奴隷家族を所有し続けた(中央アジアの奴隷達は契約終了後は他の職業に付けた)。 アメリカに関わっている人には読む価値のある本。 アメリカ人のメンタルを理解する重要なカギ。
2021年1月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
このトピックの定番のようです。アメリカ史からしたらダイジェスト版なのでしょうが、それでも必要な事件や歴史的出来事が豊富にカバーされています。アメリカ黒人の歴史については、ほんのさわりしか知らなかったので、知識が増えるとともに、改めてアメリカの人種問題(特に黒人を巡る)の根深さを思い知る気がしました。
2020年6月19日に日本でレビュー済み
現代にも通ずる南北戦争の原点と西南戦争 見過ごされている物があるのでは無いでしょうか
そのために現在の問題もどうすれば良いのかが何時まで経っても見えてこない
そのために現在の問題もどうすれば良いのかが何時まで経っても見えてこない
2020年12月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカ合衆国は「元からいた人々」「無理やり連れてこられた人々」「自分の意思で来た人々」によって形成された国である。しかし「自分の意思で来た人々」以外の歴史は「無視」され「抹殺」され続けてきた。この書は、その「無理やり連れてこられた人々」理解がこの国理解の必須の要因であることを、この国での彼らの歴史の起源から、新版のこの書が執筆された1991年の「現在」までを、畳みかけるような筆致で読者に語り掛ける。眼下のBLM運動の根源の理解を試みる人は、この書から大きな知見をえるだろう。ワシントン大行進でのキング牧師による「私には夢がある」の演説の中で、彼は”奴隷解放宣言は小切手にしかすぎなかった!我々は、いますぐそれを現金に換えることを求めているのだ!”と叫んだ。いまだ小切手は現金になっていないばかりか、黒人の命を奪う暗黙のシステム、現在の「ジム・クロウ」が脈々と続いていることが訴えられているのだということを・・・(MARI)
2020年7月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ありがとうございます。レビューを書くのを忘れていましたすみません。時代を感じさせる表紙の薄紙がとても趣深くて、興味深く読んでおります。
2020年7月13日に日本でレビュー済み
『アメリカ黒人の歴史(新版)』(本田創造著、岩波新書)を読んで、エイブラハム・リンカンに対する尊敬の念が薄らいでしまいました。
「(アメリカの)南部11州と北部23州とのあいだに、4年にわたる南北戦争開始の幕が切って落されたのである。この時期に、この戦争の本質が奴隷解放戦争であり、1世紀近くまえの独立革命がなすべくしてなし残した歴史的課題を、今こそこの国が清掃すべき第2の革命戦争であると言いきることのできた人は、そう多くなかった。1961年3月4日のリンカンの大統領就任演説は、事態に対処する共和党政府の立場を広く世界に表明するものとして内外の注視と期待のもとに行なわれたが、そこにはなんらの『革命』も認められなかった。この演説で、リンカンは、『現に奴隷制度が存在する諸州の奴隷制度には直接にも間接にも干渉する意図がない』ことを改めて強調し、自分がなすべき議題としては『憲法それじたいが、明らかに私に課しているように、統一連邦の諸法律がすべての州で忠実に実行されるようできるだけ努力する』ことを法律論的見地から約束した。しかも、そのさい『流血や暴力はなんら必要でない』ばかりか、『逃亡奴隷は国家の権威によって引き渡されるのか、州の権威によるのか、憲法は明確にしていない』と述べて、奴隷財産の擁護論まで展開したのである。ここには高南部のいわゆる境界諸州の動向にたいする政治的配慮が含まれているが、それにしてもこの戦争におけるリンカンの最高目的が、奴隷解放にではなく連邦の統一維持にあったことが示されている」。何ということでしょう、リンカンにとっては、奴隷解放よりも連邦維持が重要だったというのです。
「このようなリンカンの立場は、事態が奴隷解放の布告を余儀なくさせ、彼自身もそのことを真剣に考えざるをえなくなったときになっても依然として変ることはなかった。1862年8月22日、リンカンは『ニューヨーク・トリビューン』の主幹で熱心な奴隷制反対論者の共和党員だったホーレス・グリーリが出していた公開状に回答を送ったが、その中で、彼はこの点にかんして、もっとはっきりと次のように述べた。『この戦いにおける私の最高目的は連邦を救うことであって、奴隷制度を救うことでもなければ、それを破壊することでもない。もしも、私が、一人の奴隷も解放しなくても連邦を救えるものなら、私はそうするだろう。また、もしも、私が、すべての奴隷を解放することによって連邦を救えるものなら、私はそうもするだろう。そして、もしも、私が、一部の奴隷を解放し他のものをそのままにしておくことによって連邦を救えるものなら。私はそうもするだろう』」。
「だが、黒人たちは、そうは考えなかった。奴隷制度の鉄鎖につながれていた南部の奴隷たちは、もしこの戦争で北軍が勝てば自分たちにも必ずや自由がもたらされ、反対にもし南軍が勝てば自分たちはひきつづいて奴隷身分におしとどめられるだろうということを、からだで感じとっていた」。曖昧な態度に終始するリンカンに比較して、当然のことながら、奴隷たちは何倍も真剣に解放を願っていたのです。
「奴隷解放のことが日程にのぼらざるを得なくなったときにも、リンカンは、できることなら奴隷は漸進的に解放し、その所有者には補償金を支払い、なおかつ解放された黒人はアフリカかどこかに植民させるのがよいと考えていた。だが、黒人の側からの強い反対と国会における共和党急進派の活躍が、このようなリンカンの考えを粉砕した」。
「やがてリンカンは、アンティータムの戦闘で北軍の軍事情勢が好転の兆しをみせ始めた機会をつかむと、1862年9月22日、ついに戦争遂行上の『適当かつ必要な軍事的措置』として、奴隷解放予備宣言を公布することに踏み切った。それは、反乱諸州が翌年の1月1日までに連邦に復帰しないならば、これら『合衆国にたいし反乱の状態にある州あるいは州の指定地域内に奴隷として所有されているすべての人びとは、この日、それより以後、そして永遠に自由を与えられる』ことを、国の内外に表明したものだった。そこには、2つの点で大きな懸念と制約があった。・・・この段階においても、リンカン政府が奴隷の即時、無条件、全面解放をためらっていたあらわれだった。それにもかかわらず、黒人たちは、1月1日をひたすら待ちのぞんだ」。
「輝かしい朝、偉大なる朝、1863年1月1日の朝! こうして予備宣言は、今や最終的なかたちの奴隷解放令として、400万人にのぼる黒人奴隷の自由を国の内外に高らかに宣したのである。のちに、彼自身が述べているように、リンカンは、『自分が事態を支配するのではなく、事態が自分を支配する』ことに忠実であったことによって、アメリカの最も偉大な大統領の一人になった。しかし、じっさいにこの国の黒人奴隷が自由を勝ち取るためには、これからあと2年もつづく血みどろな戦争に耐えぬき、その間における黒人をはじめとする全民主勢力のたゆまない闘いによって、1865年に憲法修正第13条が制定されるまでの困難な時間を必要としたのである」。
「奴隷解放令が北部にとって最大の政治的武器となったように、この戦争で黒人の果した役割は目覚しかった。それは、北部の軍事的勝利を最終的なものにみちびいた原動力の中でも、きわだって重要なもののひとつだった。・・・なんといっても、黒人の役割が最も鮮やかに発揮されたのは、直接的な戦いの場である戦場においてであった。かれらは、殆どの白人たちと異なり、この戦争を決して『白人の戦争』とは考えていなかったからである」。
小学生の時に、「新・講談社の絵本」シリーズの『リンカーン』で、リンカンが苦学力行の末、奴隷解放を実現したことを知って以来、リンカンは私にとって一番尊敬できる人であっただけに、彼が奴隷解放に積極的でなかったとは、複雑な気持ちです。しかし、黒人奴隷たちが南北戦争における北軍勝利に貢献したことを知り、嬉しくなりました。
「(アメリカの)南部11州と北部23州とのあいだに、4年にわたる南北戦争開始の幕が切って落されたのである。この時期に、この戦争の本質が奴隷解放戦争であり、1世紀近くまえの独立革命がなすべくしてなし残した歴史的課題を、今こそこの国が清掃すべき第2の革命戦争であると言いきることのできた人は、そう多くなかった。1961年3月4日のリンカンの大統領就任演説は、事態に対処する共和党政府の立場を広く世界に表明するものとして内外の注視と期待のもとに行なわれたが、そこにはなんらの『革命』も認められなかった。この演説で、リンカンは、『現に奴隷制度が存在する諸州の奴隷制度には直接にも間接にも干渉する意図がない』ことを改めて強調し、自分がなすべき議題としては『憲法それじたいが、明らかに私に課しているように、統一連邦の諸法律がすべての州で忠実に実行されるようできるだけ努力する』ことを法律論的見地から約束した。しかも、そのさい『流血や暴力はなんら必要でない』ばかりか、『逃亡奴隷は国家の権威によって引き渡されるのか、州の権威によるのか、憲法は明確にしていない』と述べて、奴隷財産の擁護論まで展開したのである。ここには高南部のいわゆる境界諸州の動向にたいする政治的配慮が含まれているが、それにしてもこの戦争におけるリンカンの最高目的が、奴隷解放にではなく連邦の統一維持にあったことが示されている」。何ということでしょう、リンカンにとっては、奴隷解放よりも連邦維持が重要だったというのです。
「このようなリンカンの立場は、事態が奴隷解放の布告を余儀なくさせ、彼自身もそのことを真剣に考えざるをえなくなったときになっても依然として変ることはなかった。1862年8月22日、リンカンは『ニューヨーク・トリビューン』の主幹で熱心な奴隷制反対論者の共和党員だったホーレス・グリーリが出していた公開状に回答を送ったが、その中で、彼はこの点にかんして、もっとはっきりと次のように述べた。『この戦いにおける私の最高目的は連邦を救うことであって、奴隷制度を救うことでもなければ、それを破壊することでもない。もしも、私が、一人の奴隷も解放しなくても連邦を救えるものなら、私はそうするだろう。また、もしも、私が、すべての奴隷を解放することによって連邦を救えるものなら、私はそうもするだろう。そして、もしも、私が、一部の奴隷を解放し他のものをそのままにしておくことによって連邦を救えるものなら。私はそうもするだろう』」。
「だが、黒人たちは、そうは考えなかった。奴隷制度の鉄鎖につながれていた南部の奴隷たちは、もしこの戦争で北軍が勝てば自分たちにも必ずや自由がもたらされ、反対にもし南軍が勝てば自分たちはひきつづいて奴隷身分におしとどめられるだろうということを、からだで感じとっていた」。曖昧な態度に終始するリンカンに比較して、当然のことながら、奴隷たちは何倍も真剣に解放を願っていたのです。
「奴隷解放のことが日程にのぼらざるを得なくなったときにも、リンカンは、できることなら奴隷は漸進的に解放し、その所有者には補償金を支払い、なおかつ解放された黒人はアフリカかどこかに植民させるのがよいと考えていた。だが、黒人の側からの強い反対と国会における共和党急進派の活躍が、このようなリンカンの考えを粉砕した」。
「やがてリンカンは、アンティータムの戦闘で北軍の軍事情勢が好転の兆しをみせ始めた機会をつかむと、1862年9月22日、ついに戦争遂行上の『適当かつ必要な軍事的措置』として、奴隷解放予備宣言を公布することに踏み切った。それは、反乱諸州が翌年の1月1日までに連邦に復帰しないならば、これら『合衆国にたいし反乱の状態にある州あるいは州の指定地域内に奴隷として所有されているすべての人びとは、この日、それより以後、そして永遠に自由を与えられる』ことを、国の内外に表明したものだった。そこには、2つの点で大きな懸念と制約があった。・・・この段階においても、リンカン政府が奴隷の即時、無条件、全面解放をためらっていたあらわれだった。それにもかかわらず、黒人たちは、1月1日をひたすら待ちのぞんだ」。
「輝かしい朝、偉大なる朝、1863年1月1日の朝! こうして予備宣言は、今や最終的なかたちの奴隷解放令として、400万人にのぼる黒人奴隷の自由を国の内外に高らかに宣したのである。のちに、彼自身が述べているように、リンカンは、『自分が事態を支配するのではなく、事態が自分を支配する』ことに忠実であったことによって、アメリカの最も偉大な大統領の一人になった。しかし、じっさいにこの国の黒人奴隷が自由を勝ち取るためには、これからあと2年もつづく血みどろな戦争に耐えぬき、その間における黒人をはじめとする全民主勢力のたゆまない闘いによって、1865年に憲法修正第13条が制定されるまでの困難な時間を必要としたのである」。
「奴隷解放令が北部にとって最大の政治的武器となったように、この戦争で黒人の果した役割は目覚しかった。それは、北部の軍事的勝利を最終的なものにみちびいた原動力の中でも、きわだって重要なもののひとつだった。・・・なんといっても、黒人の役割が最も鮮やかに発揮されたのは、直接的な戦いの場である戦場においてであった。かれらは、殆どの白人たちと異なり、この戦争を決して『白人の戦争』とは考えていなかったからである」。
小学生の時に、「新・講談社の絵本」シリーズの『リンカーン』で、リンカンが苦学力行の末、奴隷解放を実現したことを知って以来、リンカンは私にとって一番尊敬できる人であっただけに、彼が奴隷解放に積極的でなかったとは、複雑な気持ちです。しかし、黒人奴隷たちが南北戦争における北軍勝利に貢献したことを知り、嬉しくなりました。