吉見義明氏はマヤカシの「広義の強制連行」概念の提唱者である、朝日が吉田清治の証言の虚偽を認めた、吉見は早く謝れといったレビューが、昨年の朝日新聞慰安婦誤報騒動以来、後を絶たない。もちろん、これは悪質なデマであり、できるだけコメント欄等で訂正していこうと言う気持ちはあるのだが、例によってウィキペディアや、小林よしのり氏、池田信夫氏らのブログを読んで、「義憤にかられて」デマの拡声器と化する方々が、次々と書き込むのでキリがない。
私もヒマ人とは言え、さすがにメンドクサイので、反論をレビューにまとめてしまうことにした。本書に限らず、吉見氏の著作には、ほとんどこの種のデマが飛び交うので、一度、まとめてしまえば、コピペして使用できる。もちろん、私と同様、このような惨状に、閉口している人であれば、部分的にコピペして使用してもらっても構わない。
小林よしのり氏は、自身のブログで、以下のように書いているが、これはいわゆる「誤爆」である。
「広義の強制連行」の発明は学者失格(2014/4) [・・・]
-------------------------------------
『従軍慰安婦資料集』巻頭の解説で、吉見はこう書いた。
「一般には、強制連行というと人狩りの場合しか想定しない日本人が多いが、これは狭義の強制連行であり、詐欺なども含む広義の強制連行の問題をも深刻に考えてしかるべきであろう」(P35)吉見はここで「狭義の強制連行」「広義の強制連行」という、これまで誰も考えたこともなかった新概念を「発明」したのである。「捏造」と言ってもいいが。
-------------------------------------
池田信夫氏もブログで、小林林氏同様に吉見氏を激しく非難しているが、これも同様に「誤爆」である。
主犯は吉見義明氏である(2014/8) [・・・]
-------------------------------------
最初、朝日は吉田清治のいうような「慰安婦狩り」が多数行なわれたと報道したのに、それが嘘だとわかると「挺身隊の強制連行」にすり替え、それが嘘だとわかると「強制性」に定義を拡大してきた。こういうごまかしの主犯が吉見義明氏だ。
-------------------------------------
実は「強制連行」に狭義、広義の区別を「捏造」した人物は、吉見氏ではない。櫻井よしこ氏や藤岡信勝氏などから、南京事件等で歴史認識を異にするにも関わらず、慰安婦問題に関しては、絶大な信頼を寄せられている秦郁彦氏である。
「諸君!」1992年9月号・『昭和史の謎を追う』下巻(文藝春秋社(1993/3))
------------------------------------
官憲の職権を発動した「慰安婦狩」ないし「ひとさらい」的連行(かりに狭義の強制連行とよぶことにする)を示唆する公式資料は見当たらないというのである。
------------------------------------
発表された日付を見て欲しい。引用された吉見氏の発言は、『従軍慰安婦資料集』(1992.11)からのものだが、「狭義の強制連行」があれば「広義」もあるのが道理で、吉見氏は秦氏の定義を使用して論を進めているに過ぎない。小林氏の文章が示すのは、吉見氏はむしろ、吉田清治の証言の真偽が、問題になってきた頃、つまり元「慰安婦」のカムアウトが、衝撃を持って受け止められた頃から、一貫して秦氏の唱える「狭義の強制連行」同様に、詐欺、甘言、業者、現地警察官らによる暴力的拉致を含む「慰安婦」連行を、問題にしてきた言うことなのである。
もちろん、小林氏、池田氏のような人以外は、吉見氏が叩いてもホコリの出ない人であることは、十分に承知である。昨年の吉田清治証言を巡る朝日誤報騒動の中、河野談話攻撃、クマラスワミ報告へのインネンめいた非難を初め、秦氏の主張に全面的に依拠し、激しく朝日新聞を攻撃した読売新聞や、国辱ものとしか形容出来ない、安秉直への捏造インタビューを掲載したあの文藝春秋ですら、吉見氏への表立った攻撃はできなかった(サンケイは知らんが)。秦氏が、自分のことを棚に上げて、小林氏や池田氏の発言の根拠となるような発言をしているにも関わらずだ(朝日新聞に慰安婦史料の発見記事が載ることを事前に「旧知の吉見氏から………聞いていた」という話を作ったのも秦氏である)。
では、なぜ、秦氏は広義やら狭義の「強制連行」を、わざわざ発明する必要があったのか。これは、秦氏が、元「慰安婦」女性に対する国家賠償を行う必要があるかという線を、「官憲の職権を発動した「慰安婦狩」ないし「ひとさらい」的連行の有無」で引いたからだ。「狭義の強制連行」でなければ、元「慰安婦」に賠償金を払う必要はないと言うのが秦氏の考えであり、完全に自分の都合なのである。
秦氏はその上に、その線引を賠償の必要性の有無だけではなく、慰安婦問題の道義的責任を問う議論に対しても、いつの間にか使い始めた。「広義の強制連行」については、賠償の責任はもちろん、道義的責任もないと言う論理にズルズルと意図的に拡大して行くが、この「強制連行」定義は、当該論文が発表された1990年代前半でも「特殊」なものであった。
元「慰安婦」の最初の証言集、韓国の挺対協による『証言 強制連行された朝鮮人慰安婦たち(韓国版:1993/2)(日本語版:1993/7)』に明記されている「強制連行」の定義を見てみると、当時、日本が締結した条約「婦人及児童ノ売買禁止ニ関スル国際条約」の中の、第2条を引用し「詐欺または、暴行、脅迫、権力乱用、その他一切の強制手段」による慰安婦動員を強制連行とすると、極めて明快である。これなら広義も狭義もない。
戦争末期の、暴力的な労働力調達の手段としての、朝鮮での「強制連行」は、疑いを挟む余地がないが、当初から、韓国でも、労働力調達の手段である「強制連行」と慰安婦の「強制連行」は、別の概念として認知されていたことが分かる。読売新聞などは、
慰安婦問題世界の眼日本の声 (中公ムック)
で、この証言集の中に「狭義の強制連行」例は、文玉珠さんの証言の一例しかないとイチャモンを付けているのだが、記事を書いた記者が、この部分を意図的に無視しているだけなのである。
実際には、この証言集の例には、「階級章をつけた明白な軍人」による「連行」こそないが、日本人巡査による「連行」例は少なくないし、朝鮮からの輸送段階では、ほぼ全例で軍の全面的関与が見られる。黄綿周さんのように、あの官斡旋による「慰安婦」調達として知られる、関特演の時のものと思われる事例もあるが、手配したのは、日本人班長の妻である。これなど「広義の強制連行」の範疇に入るのだろうが、道義的に問題にならないわけがなかろう。秦氏は官斡旋の主犯は、朝鮮人の地方首長だと主張しているが、黄さんの場合は、実行犯は日本人である。
女性達の証言は、極めて衝撃的であった。軍の明白な関与による慰安婦「調達」、長期間の「強制売春」については、千田夏光らの取材によって、ある程度知られていたが、証言集には、軍の監視下での「性暴力」「性奴隷」状態を示す例が嫌になるほど載っている。吉見義明氏が、金学順さんの証言に衝撃を受けて、軍の慰安所研究に関わっていった経緯は、本書にもキチンと書かれていることだ。
ご存知のように、秦郁彦氏は、元「慰安婦」の証言を、「娼婦は話を盛る」と言う言い回しで、その内容が信用できないと非難している。「証言 強制連行された朝鮮人慰安婦たち」を読めば、誘拐によるレイプ、強制売春被害者の証言集としか思えないが、そもそもが、秦氏は研究者として、初めて慰安婦強制連行説を提唱した人でもある。
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昭和期の日本軍のように、慰安婦と呼ばれるセックスサービス専門の女性を大量に戦場に連れて行った例は、近代戦史では他にない。その7〜8割は強制連行に近い形で徴集された朝鮮出身の女性だったが、建前上は日本軍の「員数外」だったから、公式の記録は何も残っていない。
-------------------------------------
『日本陸軍の本・総解説』(自由国民社1985)
よくもまあ、元「慰安婦」女性達の、証言の整合性に疑問があるとか、言えたものだと思うが、もう止めておこう。昨年の朝日誤報騒動の最中、文春やサンケイの常連執筆者である西岡力氏が、朝日新聞撃沈の勝利の余韻に酔いしれたのか、秦氏とタッグを組んで、動いていた経緯を自ら暴露している。西岡氏は、慰安婦問題の専門家でもなんでもなく、いわば職業的嫌韓プロパガンダのプロなのだが、ここまでこの二人の利害が一致していたのかと、驚いたものである。秦氏の「転向」の経緯が手っ取り早く分かる、面白い文章なので、興味のある方は、
「従軍慰安婦」朝日新聞VS.文藝春秋 (文春新書)
の、西岡力氏の書きおろし論文を参照されたい。
とまあ、私は吉見氏の別の著作のレビューでも、今回同様、本の内容とあまり関係のない長文を書いており、さすがに自分でもどうかと思うのだが、おそらく許して頂けるであろう。
ただ、岩波書店と著者にはひとつお願いがある。倍の分量でも全然、問題ないので、増補版を是非とも出して欲しい。
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従軍慰安婦 (岩波新書 新赤版 384) 新書 – 1995/4/20
吉見 義明
(著)
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「日本や韓国の若者たちに,日本が過去にやったことを知ってほしい」――日本政府の謝罪と補償を求めて提訴した韓国人元従軍慰安婦の一人はこう語った.軍慰安所はいつ,どこにつくられたのか.設置目的は何か.また,慰安婦たちの状況はどうだったのか.関係文書を丹念に収集・分析し,ヒアリングをあわせて全体像を描き出す.
- 本の長さ247ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1995/4/20
- 寸法10.3 x 2.4 x 18.2 cm
- ISBN-104004303842
- ISBN-13978-4004303848
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年2月12日に日本でレビュー済み
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2015年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私はtestimony of grandfather というサイトを作っている者です。
戦争でチチハルに行っていた祖父の証言サイトです。(検索願います)
祖父によれば1940年代初頭のチチハルにはやはり軍専属の慰安所があり、
朝鮮人の女の子が連れてこられ性奴隷状態にされていたとのこと。
さてこの本は慰安婦問題を知る上での基本書、必読書という感じがします。
慰安所がなぜ設置されるようになったか、その経緯、
女性達はどのように集められたか、慰安婦の生活の実態はどのようなものであったか、
日本軍慰安婦制度は国際法に照らしてどこがどう違反していたのか、
裁判でどのように裁かれたのか、慰安婦たちは戦後どうなったのか、
それぞれ豊富な史料や証言を元に詳細に分析しています。
ただ私がいくつか知りたいのは、『朝鮮人の業者たちは、女の子がひどい目に遭わされると
分かっていながらなぜ日本軍の女性集めに協力したのか』という点と、
『慰安婦といっても本当にひどい性奴隷状態にされていた人もいればさほど悲惨な境遇でなかった人もいる
(そういう証言もいくつもある)ので、人種や地域ごとに慰安婦の状況はどのように違っていたのか』という点。
それらをもう少し詳しく知りたいと思いました。
吉見先生は一部の人間からは「慰安婦問題捏造の元凶」などと非難されていますが
とんでもない。彼は正しいことを書いている。なぜなら彼が引用している史料や証言は
彼が勝手に作ったものではなく実際に存在しているものだからです。
今はネットという便利なものがある時代だから、ウソだと思ったら史料名で検索してみるといい。
簡単に出てくるものばかりだから。歴史を捏造しようとしているのは否定論者のほうです。
そんなに日本に都合の悪い歴史を認めるのがイヤですか。
この本はすでに今から20年も前、1995年に書かれたものです。
今ではこの本は正しいことが証明され、教科書にも載り、世界中のほとんどの歴史学者は認めています。
認めていないのは日本の一部の歴史修正主義者だけで、世界的にみれば彼らは全く相手にもされていません。
慰安婦の強制は無かった、強制連行は無かった、という人は、まず被害者や元日本兵の証言を
すべて無視しているということになる。その時点でもう「ダメ」なんですよ。
自分に都合の悪いものをあらかじめ排除しちゃってる。歴史をきちんと見据える態度ではない。
日本の誇りも結構ですが、まずは事実を事実としてきちんと認識する、
そこから始めなければなりません。当たり前のことですけどね。
戦争でチチハルに行っていた祖父の証言サイトです。(検索願います)
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朝鮮人の女の子が連れてこられ性奴隷状態にされていたとのこと。
さてこの本は慰安婦問題を知る上での基本書、必読書という感じがします。
慰安所がなぜ設置されるようになったか、その経緯、
女性達はどのように集められたか、慰安婦の生活の実態はどのようなものであったか、
日本軍慰安婦制度は国際法に照らしてどこがどう違反していたのか、
裁判でどのように裁かれたのか、慰安婦たちは戦後どうなったのか、
それぞれ豊富な史料や証言を元に詳細に分析しています。
ただ私がいくつか知りたいのは、『朝鮮人の業者たちは、女の子がひどい目に遭わされると
分かっていながらなぜ日本軍の女性集めに協力したのか』という点と、
『慰安婦といっても本当にひどい性奴隷状態にされていた人もいればさほど悲惨な境遇でなかった人もいる
(そういう証言もいくつもある)ので、人種や地域ごとに慰安婦の状況はどのように違っていたのか』という点。
それらをもう少し詳しく知りたいと思いました。
吉見先生は一部の人間からは「慰安婦問題捏造の元凶」などと非難されていますが
とんでもない。彼は正しいことを書いている。なぜなら彼が引用している史料や証言は
彼が勝手に作ったものではなく実際に存在しているものだからです。
今はネットという便利なものがある時代だから、ウソだと思ったら史料名で検索してみるといい。
簡単に出てくるものばかりだから。歴史を捏造しようとしているのは否定論者のほうです。
そんなに日本に都合の悪い歴史を認めるのがイヤですか。
この本はすでに今から20年も前、1995年に書かれたものです。
今ではこの本は正しいことが証明され、教科書にも載り、世界中のほとんどの歴史学者は認めています。
認めていないのは日本の一部の歴史修正主義者だけで、世界的にみれば彼らは全く相手にもされていません。
慰安婦の強制は無かった、強制連行は無かった、という人は、まず被害者や元日本兵の証言を
すべて無視しているということになる。その時点でもう「ダメ」なんですよ。
自分に都合の悪いものをあらかじめ排除しちゃってる。歴史をきちんと見据える態度ではない。
日本の誇りも結構ですが、まずは事実を事実としてきちんと認識する、
そこから始めなければなりません。当たり前のことですけどね。
2017年8月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私が本書を手に取ったきっかけは、先だって「慰安婦と戦場の性」(秦郁彦著)を読んだことです。
この著書は、慰安婦問題の強制連行を否定するもので、上下二段組で、430ページほどあり、かなりのボリュームでしたが、その論述には、説得力があるものでした(なお、秦氏は南京事件では、肯定論者で、単なる右派ではありません)。
さて、こうした、肯定派と否定派が分かれている話題については、その両者を読み比べてみるのが、一番だと思い、肯定派で著名な本書を読んでみることにしました。
本書も、広く読まれているだけあって、論理展開は、悪くないのですが、その根拠が弱いように思います。
強制連行についても、巻末に参考文献はありますが、日本軍の直接関与を証明する公文書はなく、慰安婦等の後日の回想談が多いし、論拠としているものの多くは、関係者の戦後の「証言」です。
こうした回想談や、後日の証言は、歴史学では、第一次史料ではなく、第二次史料に過ぎません。
つまり、資料的価値は、それほど高くはないのです。
もし、強制連行を日本軍が直接行っていたのなら、なぜ、第一次史料である、公文書が出てこないのでしょう。
そもそも、本書の中では、「強制連行」という文言はほとんど使われず、「徴集」という、あまり一般的でない言葉が使われています。
慰安婦問題の一番の争点は、「強制連行」があったかどうか、なのだから、なぜ「強制連行」という文言で説明しないのでしょうか。
私は、肯定と、否定、どちらの意見が正しいかは、強要するつもりはありません。
人それぞれの物の見方というのが、あるからです。
ただし、それを判断するには、私の読んだ2冊でなくてもよいのですが、適切と思われるものをチョイスして、比較してみることをオススメします。
この著書は、慰安婦問題の強制連行を否定するもので、上下二段組で、430ページほどあり、かなりのボリュームでしたが、その論述には、説得力があるものでした(なお、秦氏は南京事件では、肯定論者で、単なる右派ではありません)。
さて、こうした、肯定派と否定派が分かれている話題については、その両者を読み比べてみるのが、一番だと思い、肯定派で著名な本書を読んでみることにしました。
本書も、広く読まれているだけあって、論理展開は、悪くないのですが、その根拠が弱いように思います。
強制連行についても、巻末に参考文献はありますが、日本軍の直接関与を証明する公文書はなく、慰安婦等の後日の回想談が多いし、論拠としているものの多くは、関係者の戦後の「証言」です。
こうした回想談や、後日の証言は、歴史学では、第一次史料ではなく、第二次史料に過ぎません。
つまり、資料的価値は、それほど高くはないのです。
もし、強制連行を日本軍が直接行っていたのなら、なぜ、第一次史料である、公文書が出てこないのでしょう。
そもそも、本書の中では、「強制連行」という文言はほとんど使われず、「徴集」という、あまり一般的でない言葉が使われています。
慰安婦問題の一番の争点は、「強制連行」があったかどうか、なのだから、なぜ「強制連行」という文言で説明しないのでしょうか。
私は、肯定と、否定、どちらの意見が正しいかは、強要するつもりはありません。
人それぞれの物の見方というのが、あるからです。
ただし、それを判断するには、私の読んだ2冊でなくてもよいのですが、適切と思われるものをチョイスして、比較してみることをオススメします。
2015年2月16日に日本でレビュー済み
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従軍慰安婦を非難する人たちがよりどころとする著作かと思ったが、内容は事実に基づいたもので意外のもまともであった。軍の強制連行といった妄想は登場しない。だまして連れていったのは主に朝鮮人業者であった。ほとんどの場合高額な報酬を得ていた。この本では従軍慰安婦と売春婦との違いは明記されず、女性の人権侵害であることは同じであると述べられ、それは現代でも変わりがないとも。この本の一部を都合よく切り取って論じる者が多いように思う。
2021年5月15日に日本でレビュー済み
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中古品を承知で購入したので、問題ありません。状態も良かったです
2020年3月15日に日本でレビュー済み
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この本のあることを知り、古いので図書室で探して読みました。ぜひ持っておくべきと思い購入。
国民必読の書だと、思います。正確な事実をしり、反省すべきところをしなければ、「人間、進歩がない。」
ネトウヨなんかのいい加減なフェイクにはまらないためにも、データに基づく正しい知識を得るべきです。
国民必読の書だと、思います。正確な事実をしり、反省すべきところをしなければ、「人間、進歩がない。」
ネトウヨなんかのいい加減なフェイクにはまらないためにも、データに基づく正しい知識を得るべきです。
2019年11月22日に日本でレビュー済み
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日本軍の従軍の慰安婦問題を時論私論を著作物で表したものでしょう。
当時の日本兵は、日本人、朝鮮人、台湾人、中国人⁇、インドネシア人、フイリピン人、満洲人、ベトナム人、タイ人、カンボジア人、香港人、etc日本兵士にしてしまいます。
これらの日本兵⁇の為の慰安所を設けて慰安婦を募集していたチラシ、新聞広告が大量発生ものが多いでしょう。当然のこと民族主義の立場から、異民族との慰安所では、兵士慕情が成り立たないものがあります。
当時の日本兵は、日本人、朝鮮人、台湾人、中国人⁇、インドネシア人、フイリピン人、満洲人、ベトナム人、タイ人、カンボジア人、香港人、etc日本兵士にしてしまいます。
これらの日本兵⁇の為の慰安所を設けて慰安婦を募集していたチラシ、新聞広告が大量発生ものが多いでしょう。当然のこと民族主義の立場から、異民族との慰安所では、兵士慕情が成り立たないものがあります。
2017年8月5日に日本でレビュー済み
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昔、手にしたような気もするのだがあらためて読む。
歴史的事実の客観性の保証というのはどういう立場に立つのかで難しいことは皆様、ご承知のこととはいえ、ここに書かれた1つ1つの「事実」を反論するのも難しいだろう。焦点を強制連行か否か、に持って行く人は別として、まずは率直に読み進み、「従軍慰安婦」とされた人々の悲惨な境遇を考えてみよう。「強制」に「連行」がなかったとしても、「慰安」所の運営に当時の日本政府の関与は疑い得ないわけで、日本政府は関係ありませんでした、は言えない。自主的な意思が問われても、時代状況なんてわからない人は一杯するわけで。
外国人の「慰安」婦のみならず、戦地で兵隊の相手をした日本人も歴史の犠牲者ではなかったか、と考える時、もっと人にやさしい気持ちになって、こうした問題に向き合いましょうよ、右翼の皆様も。
歴史的事実の客観性の保証というのはどういう立場に立つのかで難しいことは皆様、ご承知のこととはいえ、ここに書かれた1つ1つの「事実」を反論するのも難しいだろう。焦点を強制連行か否か、に持って行く人は別として、まずは率直に読み進み、「従軍慰安婦」とされた人々の悲惨な境遇を考えてみよう。「強制」に「連行」がなかったとしても、「慰安」所の運営に当時の日本政府の関与は疑い得ないわけで、日本政府は関係ありませんでした、は言えない。自主的な意思が問われても、時代状況なんてわからない人は一杯するわけで。
外国人の「慰安」婦のみならず、戦地で兵隊の相手をした日本人も歴史の犠牲者ではなかったか、と考える時、もっと人にやさしい気持ちになって、こうした問題に向き合いましょうよ、右翼の皆様も。