本書はプラント・オパールを用いた稲作の起源研究の研究史でもある。中でも縄文稲作の可能性を探る焼畑農業のフィールドワークは焼畑農業(農業一般についてもだが)知識のない私にとっては興味深い内容であった。
稲作起源についても知識を得られる書物だが、稲作と社会の関係、現代の農業の問題点など考える入り口となる書でもあると思う。
尚、著者は研究方法について、データの信用性に細心の注意を払っていること、著者の研究が先人の植物資料採集という一見地味な研究に多大な恩恵に預かっていることを感謝し紹介している。
このことを知るにつけ、例のスタップ細胞捏造問題を起こした研究者がいかに出鱈目、不誠実であるか良く分かった次第である。
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稲作の起源を探る (岩波新書 新赤版 554) 新書 – 1998/4/20
藤原 宏志
(著)
水田稲作の発祥・伝播について,いまなにがわかっているのか.古代植生を分析するプラント・オパール法を開発した著者は,その方法を駆使して弥生農耕を復原し,縄文農耕の可能性を論じ,さらに世界最古と目される中国・長江デルタの水田址の発見経過を語る.確かな情報が提示されるなかに,農学者としての熱い思いが伝わってくる.
- 本の長さ201ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1998/4/20
- ISBN-104004305543
- ISBN-13978-4004305545
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (1998/4/20)
- 発売日 : 1998/4/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 201ページ
- ISBN-10 : 4004305543
- ISBN-13 : 978-4004305545
- Amazon 売れ筋ランキング: - 451,096位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年3月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書の目玉はプラント・オパール法の開発とその経緯、さらには中国における水田遺構の発掘にあります。まず、プラント・オパールとは主にイネ科植物の草体に含まれる珪酸質で、種により形状が異なるものです。珪酸質、つまりガラスですので腐らないがため、古代遺跡からも分離でき、その量によって栽培量も推測可能であるとのことです。つまり、プラント・オパールを指標として水田遺構を発掘することにより、今までわからなかった情報が多く得られることとなったのです。
さて、個人的に興味深かったのは、中国の長江中流域での発掘の様子でしょう。現在では長江中流域が稲作の起源とされていますが、過去に出版された稲の起源に関する本ではそうではありませんでした。その経緯を語りますと、著者の師である渡部忠世氏の『稲の道』(NHKブックス、1976年)において、インドからメコンデルタあたりまでの寺院の日干し煉瓦に含まれる稲籾を調べ、古代の稲の系統と伝播を推測しました。稲の品種の多様性から、かつてはインドを起源とされていましたが、渡部氏はその調査からメコン川の上流域、つまり雲南省あたりを稲作の起源と推測しました。これは画期的なことで、初めて東アジアが候補として浮上したのです。しかし、当時は中国が政治的な理由で調査できず、あくまで推測となっていたことは残念なことです。しかし、現在ではさらに北である長江中流域が絶対視されています。これは遺跡調査からの結論ですのでほぼ間違いないでしょう。本書だけではなるほどそうかぐらいの感想を持たれてしまいそうですが、経緯を知っているとその一文一文に興奮を禁じえません。
さて、本書においては長江文明論が取り上げられ、新たな水田遺構の発掘を含め教科書を塗り替えるような発見が多く見られます。あくまで、稲作の起源に対する考古学的な調査における結論として読んで頂きたい一冊です。
さて、個人的に興味深かったのは、中国の長江中流域での発掘の様子でしょう。現在では長江中流域が稲作の起源とされていますが、過去に出版された稲の起源に関する本ではそうではありませんでした。その経緯を語りますと、著者の師である渡部忠世氏の『稲の道』(NHKブックス、1976年)において、インドからメコンデルタあたりまでの寺院の日干し煉瓦に含まれる稲籾を調べ、古代の稲の系統と伝播を推測しました。稲の品種の多様性から、かつてはインドを起源とされていましたが、渡部氏はその調査からメコン川の上流域、つまり雲南省あたりを稲作の起源と推測しました。これは画期的なことで、初めて東アジアが候補として浮上したのです。しかし、当時は中国が政治的な理由で調査できず、あくまで推測となっていたことは残念なことです。しかし、現在ではさらに北である長江中流域が絶対視されています。これは遺跡調査からの結論ですのでほぼ間違いないでしょう。本書だけではなるほどそうかぐらいの感想を持たれてしまいそうですが、経緯を知っているとその一文一文に興奮を禁じえません。
さて、本書においては長江文明論が取り上げられ、新たな水田遺構の発掘を含め教科書を塗り替えるような発見が多く見られます。あくまで、稲作の起源に対する考古学的な調査における結論として読んで頂きたい一冊です。
2012年12月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
思ったより奇麗でした。子供の学習用として購入しました。学校の推奨本だそうです。機会があればまた利用させて貰います。
2013年5月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
購入の価格を考えると、いい買い物ができたと満足しています。学習に必須の書籍です。
2015年8月12日に日本でレビュー済み
著者はプラントオパールを扱うことで稲作の歴史を研究している農学者/考古学者。
プラントオパールとは、イネ科の植物の葉や茎に含まれているガラス質細胞のことで、腐らないで土中に残るため、これが発見されればそこで稲の栽培が行われていたことがわかるわけである。
本書の前半は、そういった話。理論的な部分はよく分かったが、それでもいろいろ問題も残るようだ。
後半は、焼き畑に関する研究と、中国への調査旅行について。
日本でもいまだに焼き畑が行われている地域があるとは驚いた。そして、意外に環境への負荷が小さいことにも。
中国での稲作の発生地を探す研究はまだ着手したばかり。
いくつかの話題を強引に一冊にまとめた感じで、いささかまとまりがなく、「稲作の起源を探る」についても不透明なままで、かなり不満が残った。
プラントオパールとは、イネ科の植物の葉や茎に含まれているガラス質細胞のことで、腐らないで土中に残るため、これが発見されればそこで稲の栽培が行われていたことがわかるわけである。
本書の前半は、そういった話。理論的な部分はよく分かったが、それでもいろいろ問題も残るようだ。
後半は、焼き畑に関する研究と、中国への調査旅行について。
日本でもいまだに焼き畑が行われている地域があるとは驚いた。そして、意外に環境への負荷が小さいことにも。
中国での稲作の発生地を探す研究はまだ着手したばかり。
いくつかの話題を強引に一冊にまとめた感じで、いささかまとまりがなく、「稲作の起源を探る」についても不透明なままで、かなり不満が残った。
2006年12月26日に日本でレビュー済み
プラントオパール分析法を用い、稲作の起源に迫る。
プラントオパールとは、イネ科の植物に多く含まれるガラス質の細胞である。
科学的に安定な物質であり、長い年月を経ても土中に残留するという。
この含有量をもとに、その土地における稲作の跡を確認することができるのだそうだ。
著者がプラントオパール分析法を開発する経緯から、
実際にその成果を挙げる段階までが一般人でも分かりやすいように記述してある。
著者個人の失敗談なども交えており、肩の凝らない編集になっている。
プラントオパール分析法の主な成果としては、国内においては東北地方における
水田跡の発見、中国においては長江流域での発掘が挙げられ、
いずれも稲作開始年代の推定に見直しを迫る大きな発見となった。
近年DNA分析等、ますますの技術的発展により、稲作の起源について検討に値するさまざまな研究成果が挙がっているようだ。
我々一般人にも分かりやすく解説してくれる出版物が多いのは幸いである。
これ一冊だけでなく、さまざまな書物から我々日本人の主食の起源に近づいてみたいと感じた。
プラントオパールとは、イネ科の植物に多く含まれるガラス質の細胞である。
科学的に安定な物質であり、長い年月を経ても土中に残留するという。
この含有量をもとに、その土地における稲作の跡を確認することができるのだそうだ。
著者がプラントオパール分析法を開発する経緯から、
実際にその成果を挙げる段階までが一般人でも分かりやすいように記述してある。
著者個人の失敗談なども交えており、肩の凝らない編集になっている。
プラントオパール分析法の主な成果としては、国内においては東北地方における
水田跡の発見、中国においては長江流域での発掘が挙げられ、
いずれも稲作開始年代の推定に見直しを迫る大きな発見となった。
近年DNA分析等、ますますの技術的発展により、稲作の起源について検討に値するさまざまな研究成果が挙がっているようだ。
我々一般人にも分かりやすく解説してくれる出版物が多いのは幸いである。
これ一冊だけでなく、さまざまな書物から我々日本人の主食の起源に近づいてみたいと感じた。