¥770¥770 税込
ポイント: 8pt
(1%)
配送料 ¥480 6月24日-28日にお届け
発送元: 現在発送にお時間を頂戴しております。創業15年の信頼と実績。采文堂書店 販売者: 現在発送にお時間を頂戴しております。創業15年の信頼と実績。采文堂書店
¥17¥17 税込
配送料 ¥240 6月14日-16日にお届け
発送元: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】 販売者: バリューブックス 【防水梱包で、丁寧に発送します】
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
科学事件 (岩波新書 新赤版 663) 新書 – 2000/3/17
購入オプションとあわせ買い
- ISBN-104004306639
- ISBN-13978-4004306634
- 出版社岩波書店
- 発売日2000/3/17
- 言語日本語
- 本の長さ194ページ
この著者の人気タイトル
商品の説明
メディア掲載レビューほか
この5年ほどで日本の国民の関心を呼んだ大事件を振り返ると、いずれも科学が関係していることに改めて驚かされる。阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件、茨城県東海村原子力事故、性質は異なるが、薬害エイズ、クローン羊もその範疇だ。
それらの問題を扱った本書は、2つの角度から読むことができる。1つは、脳死・臓器移植に始まる7つの章を読むことで、問題の根源は何か、政府や科学者など関係者は当時、どのように対応したかがわかる。必ずしも予知できるとは限らない大地震に対して、行政国民とも、それが可能なのを前提にしていることに警鐘を鳴らした「大地震」が最も参考になった。
もう1つは、科学報道を著者がどのように考えているかである。最近、政策過程におけるメディアの役割に私が関心を持っているために、特に自己反省を含めたこの点の記述に引かれた。
臓器移植の洪水報道に見られるように、科学報道も日本のジャーナリズム一般に見られる特徴を持つ。より重要なのは、取材側に専門知識がなければ、問題の本質を見抜くことはできず、一面的、一方的な報道になる可能性があることだ。事件の発端まで遡った水俣病やエイズを扱った章では、当時の新聞記事をもとに検証を行っており、別の報道がなされていたならば、その後の展開は異なったものとなったかもしれないという著者の見解は重い。
しかし、批判される側が情報を秘匿・コントロールしており、取材側に十分な専門知識がないと、こうした不完全な報道が繰り返されやすい。著者が行政を含めた情報公開の必要性を強調する意味はここにある。
著者の記述の中で、報道がいかに難しいかと感じたことがある。水俣病では、通産省がチッソを守るために都合のよい研究者を使って論陣を張り、新聞も「報道の中立」を重視した結果、解決が遅れたというくだりである。著者は、新聞があのとき価値判断を行い、情報を取捨選択すべきだったと言う。現在、私は本書140ページにも登場する、阪神・淡路大震災の仮設住宅のトルコへの提供を報じたNHKの番組に「異を唱える」作業を行っている。著者のそうした見解とは逆のケースだが、NHKは「大震災の教訓に学ぶ」という価値判断をもとに、送られた仮設住宅は建設の遅れもあり役に立っていないと報じたのだが、それは私の調査では、事実の一部しか使わない一面的な報道であった(http://members.tripod.co.jp/kuat/を参照)。価値判断を加えての報道は、そうした誘惑にかられやすいことを考えれば両刃の剣かもしれない。
(慶応義塾大学教授 草野 厚)
(日経ビジネス2000/5/1号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
-- 日経ビジネス
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2000/3/17)
- 発売日 : 2000/3/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 194ページ
- ISBN-10 : 4004306639
- ISBN-13 : 978-4004306634
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,115,504位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,333位岩波新書
- - 4,230位科学読み物 (本)
- - 46,777位評論・文学研究 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
カスタマーレビュー
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
取り扱われるのは、脳死・臓器移植、薬害エイズ、体外受精、原子力、水俣病、大地震、クローン羊の七つです。どれも世間を大きく騒がせた重大な事件ですが、全ての問題が現在においても解決していない、あるいは今現在でも争点となっていることからも著者の視座の深さが伺えます。
このうち大地震と原子力については、東日本大震災があったことから再び注目せざる得ない話題です。特に原子力については、当時から東海村臨界事故を通して、日本の原子力行政のいい加減さについて追及されているにもかかわらず、結局のところ何ら改善されずに福島の原子力発電所事故はおきてしまいました。本書においては、単純に科学技術の問題点ではなく、危険な技術を扱うことに対する国のゆるさを指摘しています。これは私も同感です。運用計画の作成自体に、原子力に関しては素人の役人が深く関わっているとしか思えないいい加減さがあり、津波の想定も起こらなければばれないからいいといった感じの科学的根拠を欠く数字が並んでいたことがあります。つまり、科学技術がいくら優れていようと、運用するのは不完全な人間なのですから、ヒューマンエラーや防災の対策が練られていない時点で運用すべきではないのです。科学的な想定を政治的な力でねじ曲げることは許されることではなく、怪しげな数字を並べ立てた計画者は断罪されるべきであろうと思います。
さて、それ以外の問題もまだ解決していません。生命倫理に関する問題についても、iPS細胞をはじめとする再生医療は驚くほどのスピードで進展しており、相も変わらずその倫理上の指針についても後手後手に回っています。水俣病もまだ終結しておりませんし、病腎移植や、子供の移植医療問題など現在でもホットな話題です。現在の問題に向き合うにあたって、その原点と流れを本書で振り返ってみることも有効なのではないかと私は思います。