現代人には目からウロコの本だと思う。長らく絶版のままなのは非常に残念。
令和の今、絵巻、掛軸、屏風といった調度品に気軽に触れる環境で日常生活を送る日本人は、ほとんど存在しないだろう。着物人口よりずっと少ないかもしれない。本書を読むと、近世以前の日本人(※一定以上の金持ち)が享受した美のあり方が、ぐっとイメージしやすくなる。
たとえば絵巻の場合、美術館の展示では全体か半分程度かを広げた状態を歩きながら鑑賞するが、本来は手元で肩幅程度ずつ繰り広げて鑑賞した。描き手は当然、画面全体の連続性と、繰り広げの操作による分断を意識する。漫画でいう「引き」は絵巻にも存在しうるわけだ。襖絵は西洋の壁画に近い印象があるものの、これも開け閉めを考慮するならば、独自な構図を工夫できる余地がある。
日本美術の場合、生活道具、調度品という用を兼ねた作品が圧倒的に多い。「ファイン・アート至上主義」の西洋とは異なる豊かさを知るうえで、本書はいい手がかりになると思う。
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江戸の絵を愉しむ: 視覚のトリック (岩波新書 新赤版 843) 新書 – 2003/6/20
榊原 悟
(著)
襖を閉めると飛び出す虎! 江戸時代,絵画の世界はアッと驚く遊び心にあふれていた.視覚のトリック,かたちの意外性,「大きさ」の効果-.絵師たちの好奇心と想像力が生みだした,思いもよらない仕掛けを凝らした作品を浮世絵・戯作絵本から絵巻・掛軸・襖絵にいたるまで紹介し,新しい絵画の愉しみ方を伝える.図版多数.
- 本の長さ213ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2003/6/20
- ISBN-104004308437
- ISBN-13978-4004308430
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2003/6/20)
- 発売日 : 2003/6/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 213ページ
- ISBN-10 : 4004308437
- ISBN-13 : 978-4004308430
- Amazon 売れ筋ランキング: - 659,001位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2023年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
図書館で借りて、レポートでしばらく必要になるのでこちらで購入しました。
2003年7月1日に日本でレビュー済み
実にユニークな本です。江戸時代の絵、屏風やふすま、巻物に掛け軸などなどの見方を解説している本です。
今までいろいろ本を読んできましたが、日本の伝統画に対してこれほどまでにユニークな視点で語るのを読んだのは初めてです。
内容は江戸の絵なのですが、いかに人の目を愉しませるかということで語られ
ています。江戸はさておき、エンターテイメントの世界で活躍されている
方々に非常に参考になると思います。例えば、巻物の見方の項目でいうと、
巻物は開いて見るということによる時間経緯が考慮されている作品があり、
制約された条件の中で物事を動的に語るとてもいいサンプルだと思います。
そんなわけで「江戸の絵を愉しむ」という陳腐な本のタイトルで読む人が
限られてしまう!可能性があるのは非常に勿体無いと思います。
今までいろいろ本を読んできましたが、日本の伝統画に対してこれほどまでにユニークな視点で語るのを読んだのは初めてです。
内容は江戸の絵なのですが、いかに人の目を愉しませるかということで語られ
ています。江戸はさておき、エンターテイメントの世界で活躍されている
方々に非常に参考になると思います。例えば、巻物の見方の項目でいうと、
巻物は開いて見るということによる時間経緯が考慮されている作品があり、
制約された条件の中で物事を動的に語るとてもいいサンプルだと思います。
そんなわけで「江戸の絵を愉しむ」という陳腐な本のタイトルで読む人が
限られてしまう!可能性があるのは非常に勿体無いと思います。