広島県中世の港町、草戸千軒遺跡から完全なサケの椎骨が出土した。「ああ、サケも食べていたんだ」と分かるだけなら私でもできる。著者は推理する。「このサケは地元からは獲れない。椎骨の大きさからすると、東北か北海道の一メートルクラスのものだ。縄文時代の加工方法(燻製・乾燥・冷凍)で山陰から来たものだろうか。しかしその加工法では硬くなった身を食べるために、石皿などで骨ごと叩いて柔らかくしないといけない。椎骨は残らない。このサケは瀬戸内海ルートで塩蔵によって保存されやってきたものである。柔らかい切り身として食卓にのったのだ。」ひとつの骨から、当時の交易ルート、保存方法まで推理するのである。
骨の推理は魚だけではない。動物・人間さまざまなものが対象になる。骨の切り口から当時の魚の料理方法を。馬の骨の葬り方から、殉死があったのではないか。骨の傷跡から当時の人々の『死』に対する思いを推理していく。あるいはトイレからさまざまな情報を手に入れる。垣間見える当時の庶民の暮らし。推理小説のようにわくわくするような『発見』の喜び。私が考古学が好きなのはこう言う一瞬の喜びに出会えるからなのである。この本は珍しくそういう『センス・オブ・ワンダー』に溢れた学術書になっている。
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環境考古学への招待: 発掘からわかる食・トイレ・戦争 (岩波新書 新赤版 930) 新書 – 2005/1/20
松井 章
(著)
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- 本の長さ218ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2005/1/20
- ISBN-104004309301
- ISBN-13978-4004309307
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2005/1/20)
- 発売日 : 2005/1/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 218ページ
- ISBN-10 : 4004309301
- ISBN-13 : 978-4004309307
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2021年10月5日に日本でレビュー済み
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環境考古学というのは「生物学、地質学などの自然科学的分析法を用いて、さまざまな時代の考古学研究における自然環境と人間の相互関係をあきらかにしようとする学問」のことではあるが、この著者も執筆に携わっている「
環境考古学ハンドブック
」という大著がある。私はレビューにその目次を掲載しておいた。その分析方法が網羅されているので、詳細は本を読んで欲しいが、おいそれと読めるものではないので、今回の様な著書を参考にするのが良いと思う。
発掘調査そのものは過去からの気の遠くなる様な作業が続くし、現代でもアナトリア(現トルコ)の様に歴史証拠の宝庫と呼ばれる現地では、約20,000以上という遺跡があるので、その度毎に「新たな発見」があっても不思議ではないので、その中には歴史を塗り替える物証も出てくるし、昨今の年代測定の精度や電子顕微鏡を使用した鉱物の解析、コンピュータによる遺伝子解析など挙げればキリがないけれど、それだけに歴史はいつまでも「ミステリー」であり、「驚異」に満ちている。だから、この調査が傍から見て非常に地味なものに見えても、その「発見」取り憑かれると、もう無我夢中になる人もいるのだろう。
確かに日本は大陸と違って、湿潤な土壌の為に発掘物の保存状態が悪く、中々具体的な成果が見通しにくく、財団や企業らも、有閑階級の戯言の様に思っている人も多いが、大陸側やアメリカではこういう発掘調査での発見を、実際のイノベーションや「創発」に役立つことをよく知っており、財団からの支援を獲得しやすい。理由としては、欧米では石炭や鉱石、石油などは地質学の貢献があったからこそ産業が発展したことをよく知っているからだ。
日本ではこういう伝統はあまりなく、土を掘り起こすことにも潜在的に否定的な側面がある。それは日本の感性というか、地下を掘り起こすことをタブーに思っている習俗がある気もする。だから長屋王の遺跡の上にショッピングモールを平気で立てたり出来るのは、逆に地下を封印したいという潜在的なタブーがあるからに他ならない。江戸の町をあれだけ平然と改造したのは、その土壌の遺跡の負債を封印して変更を企てる目論見が含まれる。
けれど、歴史を知るということは、過去どういう暮らしをしていたことだけ分かるわけではなく、新たな発見が現代への警告も生まれる。確かに著者の言いたいことに多くは賛同出来るが、日本には宗教観が薄い反面、「タブー」になる領域は厳密にあると思われる。特に天皇家の遺跡に関しては、「宮内庁」管轄になってしまい、大学関係の研究者が中々調査出来ないといった側面がある。こういうタブーが解消されるのならば天皇家が消滅した以後のことだから、日本の発掘調査が如何に優秀であろうとも、欧米を追い抜くことは今後も当分有り得そうにないだろう(実はイスラム圏(神殿の発掘とか)でも同様のことがあるし、欧米でも現ロシアのハザール(カザール)の遺跡は、ユダヤ系の企業により水中に意図的に沈められたというケースもあるのだが、多くは何らかの知られたくない事情ということなのだろう)。
著者がそのことに気づいているのだろうか?日本では掘り起こしてはいけないという領域が確実にあるのだ。宮内庁の関わる神社仏閣の調査とか、伊勢神宮などは今後も「絶対」に発掘出来ないだろう。恐らくは発掘してもそこには大したものが無いのかもしれない。けれど、隠されたり、消されることで「神秘性」が生まれるという面があることは、江戸時代まで帝(みかど)は御簾で隠されていたことからも伺える。絵画はあっても直接顔を拝見することは、長い間余程出来なかった。
視覚的に非在であるが故に象徴性を持つという観点に気づいた、タイモン・スクリーチ(「 定信お見通し―寛政視覚改革の治世学 」参照)や日本人でも「 中空構造日本の深層 」を書いた河合隼雄氏や、引き算の思考による日本人の思考方法を述べた「 山水思想 」を書いた松岡正剛氏などごくわずかしかいない。考古学者の多くにはこういう構造的な把握に弱い面がある。こんなことは人類学を勉強した私には明らかなのだが、日本の環境考古学は人類学的な構造分析が弱い様だ。
発掘調査そのものは過去からの気の遠くなる様な作業が続くし、現代でもアナトリア(現トルコ)の様に歴史証拠の宝庫と呼ばれる現地では、約20,000以上という遺跡があるので、その度毎に「新たな発見」があっても不思議ではないので、その中には歴史を塗り替える物証も出てくるし、昨今の年代測定の精度や電子顕微鏡を使用した鉱物の解析、コンピュータによる遺伝子解析など挙げればキリがないけれど、それだけに歴史はいつまでも「ミステリー」であり、「驚異」に満ちている。だから、この調査が傍から見て非常に地味なものに見えても、その「発見」取り憑かれると、もう無我夢中になる人もいるのだろう。
確かに日本は大陸と違って、湿潤な土壌の為に発掘物の保存状態が悪く、中々具体的な成果が見通しにくく、財団や企業らも、有閑階級の戯言の様に思っている人も多いが、大陸側やアメリカではこういう発掘調査での発見を、実際のイノベーションや「創発」に役立つことをよく知っており、財団からの支援を獲得しやすい。理由としては、欧米では石炭や鉱石、石油などは地質学の貢献があったからこそ産業が発展したことをよく知っているからだ。
日本ではこういう伝統はあまりなく、土を掘り起こすことにも潜在的に否定的な側面がある。それは日本の感性というか、地下を掘り起こすことをタブーに思っている習俗がある気もする。だから長屋王の遺跡の上にショッピングモールを平気で立てたり出来るのは、逆に地下を封印したいという潜在的なタブーがあるからに他ならない。江戸の町をあれだけ平然と改造したのは、その土壌の遺跡の負債を封印して変更を企てる目論見が含まれる。
けれど、歴史を知るということは、過去どういう暮らしをしていたことだけ分かるわけではなく、新たな発見が現代への警告も生まれる。確かに著者の言いたいことに多くは賛同出来るが、日本には宗教観が薄い反面、「タブー」になる領域は厳密にあると思われる。特に天皇家の遺跡に関しては、「宮内庁」管轄になってしまい、大学関係の研究者が中々調査出来ないといった側面がある。こういうタブーが解消されるのならば天皇家が消滅した以後のことだから、日本の発掘調査が如何に優秀であろうとも、欧米を追い抜くことは今後も当分有り得そうにないだろう(実はイスラム圏(神殿の発掘とか)でも同様のことがあるし、欧米でも現ロシアのハザール(カザール)の遺跡は、ユダヤ系の企業により水中に意図的に沈められたというケースもあるのだが、多くは何らかの知られたくない事情ということなのだろう)。
著者がそのことに気づいているのだろうか?日本では掘り起こしてはいけないという領域が確実にあるのだ。宮内庁の関わる神社仏閣の調査とか、伊勢神宮などは今後も「絶対」に発掘出来ないだろう。恐らくは発掘してもそこには大したものが無いのかもしれない。けれど、隠されたり、消されることで「神秘性」が生まれるという面があることは、江戸時代まで帝(みかど)は御簾で隠されていたことからも伺える。絵画はあっても直接顔を拝見することは、長い間余程出来なかった。
視覚的に非在であるが故に象徴性を持つという観点に気づいた、タイモン・スクリーチ(「 定信お見通し―寛政視覚改革の治世学 」参照)や日本人でも「 中空構造日本の深層 」を書いた河合隼雄氏や、引き算の思考による日本人の思考方法を述べた「 山水思想 」を書いた松岡正剛氏などごくわずかしかいない。考古学者の多くにはこういう構造的な把握に弱い面がある。こんなことは人類学を勉強した私には明らかなのだが、日本の環境考古学は人類学的な構造分析が弱い様だ。
2005年1月30日に日本でレビュー済み
遺跡から発掘された資料が、新しい謎を提供し、筆者は様々な分野の研究者、技師、職人等の意見を総合して、その謎を解く。この本はそういう形で話が進んでいきます。
各章毎に、謎が解ける時の、筆者の目からウロコが落ちる喜びが伝わってきます。
そして、目からウロコが落ちた時には、遺跡から発掘された魚の骨に残された包丁の痕から、この魚を料理した古代人がどちらの手に包丁を持ったかまでわかるというように、古代の日常生活が、不思議な程のリアリティーを持って目の前に広がります。
いろんなことに好奇心を持っている人にオススメです。
各章毎に、謎が解ける時の、筆者の目からウロコが落ちる喜びが伝わってきます。
そして、目からウロコが落ちた時には、遺跡から発掘された魚の骨に残された包丁の痕から、この魚を料理した古代人がどちらの手に包丁を持ったかまでわかるというように、古代の日常生活が、不思議な程のリアリティーを持って目の前に広がります。
いろんなことに好奇心を持っている人にオススメです。
2013年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
貝塚など、古代の人々が暮らす様を、生活の場の遺跡の分析から推理し、トイレなど人々の生活の様から人類の歩みをたどっていく。また動物と人々の関わりを古代まで遡って分析していく。
本書では様々な古代の生活環境や動物とのかかわりの痕跡から、古代の人々の生活を後付けていく。その中で、犬を飼っている人間にとっても興味深いのは、縄文時代の犬と人とのかかわりと、弥生時代のかかわりでは、まったく異なったものであり、発掘された遺跡の分析から犬の体格さへも異なっていたこと。更には平安時代、絵巻に描かれた都の犬達がおそらく疫病の被害を受けた人々の骸(むくろ)をあさる様から、後に武士たちからは不浄のものとされた存在であったことなど、読み解いていく。動物考古学なる領域を垣間見ることのできる入門書。
本書では様々な古代の生活環境や動物とのかかわりの痕跡から、古代の人々の生活を後付けていく。その中で、犬を飼っている人間にとっても興味深いのは、縄文時代の犬と人とのかかわりと、弥生時代のかかわりでは、まったく異なったものであり、発掘された遺跡の分析から犬の体格さへも異なっていたこと。更には平安時代、絵巻に描かれた都の犬達がおそらく疫病の被害を受けた人々の骸(むくろ)をあさる様から、後に武士たちからは不浄のものとされた存在であったことなど、読み解いていく。動物考古学なる領域を垣間見ることのできる入門書。
2005年3月7日に日本でレビュー済み
近年たまに聞く「環境考古学」について筆者の個人的な経歴を通じて述べた本。
筆者は伝統的な文学部で考古学を学んだが、そこで得た問題意識や経験から幅広い「環境考古学」を志向する。それは文系や理系という枠区を越えた、古生物学や人類学・地質学なども包摂した総合的な知の体系であるべきだ。
動物やトイレなど、これまで十分取り上げられることのなかったテーマについて詳しく興味深く論じている。
筆者は伝統的な文学部で考古学を学んだが、そこで得た問題意識や経験から幅広い「環境考古学」を志向する。それは文系や理系という枠区を越えた、古生物学や人類学・地質学なども包摂した総合的な知の体系であるべきだ。
動物やトイレなど、これまで十分取り上げられることのなかったテーマについて詳しく興味深く論じている。