ロードサイドに連なるチェーン店、郊外に広がるショッピングセンターというのは日本では田舎でよく見られる風景の一つといってよいだろう。
よく言われることにこんな言葉がある。「日本の街はつまらない、同じような店や建物があるばかりだ。」
この本は主に大型店の規制が進むアメリカの出来事を具体例を挙げながら適宜図表等を挟みながらわかりやすく説明している。
大型店の規制の話で軸になるのは規制をするにあたって法律や条例を定める行政だけではなく市民である。
市民がまちづくりに参加するという傾向は特にアメリカで顕著だという、それは共同体自治が強いアメリカであってこそなのだろう。
さて日本の場合はどうか、大型店の進出を市民レベルで考えていくことはまだ萌芽の段階だろう。
大型店の立地はウォーターフロントの再開発地区か土地代が安い郊外のいづれかが多い。
前者は東京の臨海地区やその他大都市で多いケースだが前者の場合都市や地方を超えて
自分が住んでいる場所では入手できない高付加価値な商品やサービスを手に入れようとするので
まちづくりという観点から前者はさほど問題にならない、おそらく問題になってくるのは後者だろう。
中心市街地で売り買いされるものが大型店でも同じように売り買いなされる場合、大型店はスケールメリットを利用して
より安くで商品を売る。また郊外の安い土地に立地しているので駐車場も広く設置できる。中心市街地よりも遠い場所に
あっても安い商品がまとめ買いできるなら大型店でいいとなってしまっているのが実情である。これは短期的に見れば
消費者である私たちにはメリットとなるかもしれないが全体を俯瞰して長期的視野に立ってみると中心市街地が寂れて治安が悪
化する、さらに大型店が立ち退いたら買い物する場所さえなくなるという状況も生まれてくる。短期的なメリットが優先される
のは地域に属している感覚が薄いからではないだろうか。ここに日本の戦後開発と近代化という切り離せない問題があると思う。
人が都市に集まっていって村や町のつながりが弱まっていってしまった。農業も軽視されるようになり農業保全ができない状況がそのまま地域連帯へ支障をきたした。都市に集まった人々は職場、学校を往復し毎日を過ごすだけで多くは都市でのコミュニティを作らない。昔は駅中心に商店街さらに周縁部に住宅地が立地していたが戦後字自動車が普及し無秩序に住宅地が開発されそれに応じて道路がしかれ人も建物もばらばらになっていった。一人一人が気にするのは自分自身の明日であり他人を含めた私たちの明日ではない。
大型店の規制をめぐる日本での論争から見えてくる問題点はもっと根が深そうだ。
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大型店とまちづくり: 規制進むアメリカ、模索する日本 (岩波新書 新赤版 960) 新書 – 2005/7/20
矢作 弘
(著)
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購入オプションとあわせ買い
- ISBN-104004309603
- ISBN-13978-4004309604
- 出版社岩波書店
- 発売日2005/7/20
- 言語日本語
- 本の長さ211ページ
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
規制緩和政策の下で巨大スーパーや量販店が都市郊外に続々進出、商店街の衰退が著しい日本に対し、米国では、大型店の功罪をめぐる論争や自治体による規制が活発化している。両国の実情を通して、今後のまちづくりを考える。
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2005/7/20)
- 発売日 : 2005/7/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 211ページ
- ISBN-10 : 4004309603
- ISBN-13 : 978-4004309604
- Amazon 売れ筋ランキング: - 778,902位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,911位岩波新書
- - 66,441位ビジネス・経済 (本)
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2006年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大型店の出店は、地域商業やまちづくりに大きな影響を与えることを記述した本。
「規制進むアメリカ、模索する日本」と副題にあるように、多くのページ(全211ページ中150ページ程度)を割いてアメリカでの動きを紹介している。日本がアメリカの要求を受け大店法を大店立地法に改正、商業調整を禁じているのに対して、当のアメリカではウォルマートが与えた(悪)影響もあって、地方政府がさまざまな規制(まちづくりの観点からの規制)を課しつつある事例を豊富に紹介している。
一般には、消費者利益のために大型店出店を自由化し、豊富な品物を低価格で買えるようにすることが重要との論調が多い。もちろんこのような考え方は誤っていないが、大型店がまちづくりに与えるマイナス面の影響を再認識するためにも、この本は一読に値すると思う。
「規制進むアメリカ、模索する日本」と副題にあるように、多くのページ(全211ページ中150ページ程度)を割いてアメリカでの動きを紹介している。日本がアメリカの要求を受け大店法を大店立地法に改正、商業調整を禁じているのに対して、当のアメリカではウォルマートが与えた(悪)影響もあって、地方政府がさまざまな規制(まちづくりの観点からの規制)を課しつつある事例を豊富に紹介している。
一般には、消費者利益のために大型店出店を自由化し、豊富な品物を低価格で買えるようにすることが重要との論調が多い。もちろんこのような考え方は誤っていないが、大型店がまちづくりに与えるマイナス面の影響を再認識するためにも、この本は一読に値すると思う。
2008年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカでは近年,ウォルマートをはじめとする大型店が規制され,進出に反対してくいとめた例がおおいという.日本では逆に自治体が大型店を誘致した結果,中心市街地がさびれて地価が低下し自治体の収入が減少する事態が多発している.本書はアメリカの例を紹介して日本における規制や反対運動の参考になるようにしている.
しかし,本書ではの大型店のデメリットばかりを書いている.そこにはメリットもあるはずであり,両方をあわせてかんがえることで,より客観的な判断ができるものとおもう.
しかし,本書ではの大型店のデメリットばかりを書いている.そこにはメリットもあるはずであり,両方をあわせてかんがえることで,より客観的な判断ができるものとおもう.
2007年7月21日に日本でレビュー済み
世界規模の大手量販店やモールと呼ばれる小売店が密集して作られた巨大ショッピングセンターが乱立するアメリカ、これらは車社会であるアメリカの利便性の結果である。主に都市の郊外に立地しているのも十分なパーキング・スペースを完備しているからであり、住宅地から徒歩で買い物に行くということは考えられない。
このようなドーナッツ型の都市が形成されているのは地価もそうだが、都心に向かう混雑を避けると言う意味でも庶民にっとては有難い事ように理解している。しかし、スモール・ビジネスと呼ばれる小規模の小売店が急激に減少し、巨大資本の波に呑まれていく結果となった。
日本は、これまで駅を中心に街づくりが進められてきたが、最近、アメリカ型のような郊外に大型店が建設されている。狭い日本、わざわざ車で行かなくても済むことなのにわざわざアリカの真似をする必要はないはず。日本は欧米諸国の実情をよく把握しなければならない。言い換えれば、成功例だけではなく、そこで何が起きているのか、という問題点をよく検討するべきだ。
このようなドーナッツ型の都市が形成されているのは地価もそうだが、都心に向かう混雑を避けると言う意味でも庶民にっとては有難い事ように理解している。しかし、スモール・ビジネスと呼ばれる小規模の小売店が急激に減少し、巨大資本の波に呑まれていく結果となった。
日本は、これまで駅を中心に街づくりが進められてきたが、最近、アメリカ型のような郊外に大型店が建設されている。狭い日本、わざわざ車で行かなくても済むことなのにわざわざアリカの真似をする必要はないはず。日本は欧米諸国の実情をよく把握しなければならない。言い換えれば、成功例だけではなく、そこで何が起きているのか、という問題点をよく検討するべきだ。
2007年7月14日に日本でレビュー済み
消費者の「より安く・より多く」の欲望に市場が答えた結果、大規模小売店は地域の経済を疲弊させていった。本書は欧米の事例から、その対策を紹介している。
日本でもアメリカでも、郊外型の大規模小売店は都市のスプロール化現象を招いている。「主役は消費者」などと言っていると、やがて日本は荒れ果てた郊外だらけになってしまう。
持続可能な都市は、即物的な消費者的欲望を満たし続けるだけでは作れない。目先の利益より、将来の都市を考えた長期的な見方が必要であり、そのためには多少の不便があっても地域に根ざしたまちづくりが欠かせないということが分かる本だ。
日本でもアメリカでも、郊外型の大規模小売店は都市のスプロール化現象を招いている。「主役は消費者」などと言っていると、やがて日本は荒れ果てた郊外だらけになってしまう。
持続可能な都市は、即物的な消費者的欲望を満たし続けるだけでは作れない。目先の利益より、将来の都市を考えた長期的な見方が必要であり、そのためには多少の不便があっても地域に根ざしたまちづくりが欠かせないということが分かる本だ。