2006年出版。当時、世界的反グローバリズム運動の盛り上がりの中で、ネグリ=ハートの『帝国』とマルチチュード概念が脚光を浴びた。本書は、こうした新しい思想潮流をも見据え、柄谷氏なりに世界史の現段階を明らかにした書。あとがきによると「私は自分の考えの核心を、普通の読者が読んで理解できるようなものにしたいと望んでいた」と書いている。
氏の著作は読みにくく晦渋なものが多く、読了できた図書は少なかったが、本書は分かりやすく、短期間で読了できた。旧来の国家論を批判し、国家を暴力装置・官僚機構としての物理的な「国家」、国民統合のイデオロギー的・観念的装置としての「ネーション」にわけて、国家廃絶の困難性を説く。
ただし、明確な定義なしに術語を使用しているので、困惑させられる箇所がかなりある。
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世界共和国へ: 資本=ネーション=国家を超えて (岩波新書 新赤版 1001) 新書 – 2006/4/20
柄谷 行人
(著)
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- ISBN-104004310016
- ISBN-13978-4004310013
- 出版社岩波書店
- 発売日2006/4/20
- 言語日本語
- 寸法11.2 x 2.2 x 17.4 cm
- 本の長さ228ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2006/4/20)
- 発売日 : 2006/4/20
- 言語 : 日本語
- 新書 : 228ページ
- ISBN-10 : 4004310016
- ISBN-13 : 978-4004310013
- 寸法 : 11.2 x 2.2 x 17.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 182,896位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 854位岩波新書
- - 877位政治入門
- - 38,173位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1941年生まれ。評論家 (「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 世界史の構造 (ISBN-13: 978-4000236935 )』が刊行された当時に掲載されていたものです。)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年5月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
柄谷氏の「世界史の構造」(岩波現代文庫)を読んで感銘を受けたので、続けて本書を購入しました。私は「トランスクリティーク」はまだ読んでいないので、そことの比較はできませんが、本書は「世界史の構造」の理解を深めるためにはちょうどよかったと思います。世界史の構造を交換様式から分析するということで、様式AからDまでがあるわけですが、そこの用語は「世界史の構造」から少し変更が加えられていました。個人的には本書の用語の方がしっくりきます。また「世界史の構造」ではよくわかっていなかった点についても本書でだいぶ捕捉された感じがします。よってこれは人それぞれかもしれませんが、難易度が一番低い本書から読んで、そこから「世界史の構造」に進んでもOKですし、「世界史の構造」から読んで、それをさらに補足するために本書を読んでも大丈夫とは思いました。非常に多くの示唆が含まれていると思います。おすすめです。
2010年10月8日に日本でレビュー済み
資本主義に移行するまでの過程は世界システム論の考え方にのっとって
経済的な視点で話が進みます。しかし、アソシエーションへの移行について
述べるにあたり哲学をいきなり使用し始めます。今までは人間が経済学おきまりの合理的な存在であったのに
アソシエーションの項に入るといきなり理性的な存在に昇華しています。哲学をいれないと
アソシエーションは説明できなかったのには、かなり残念でした。
経済的な視点で話が進みます。しかし、アソシエーションへの移行について
述べるにあたり哲学をいきなり使用し始めます。今までは人間が経済学おきまりの合理的な存在であったのに
アソシエーションの項に入るといきなり理性的な存在に昇華しています。哲学をいれないと
アソシエーションは説明できなかったのには、かなり残念でした。
2011年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の「世界史の構造」を一カ月かけて読んだ後だったので、本書は頭に入りやすかった。一方「トランスクリティーク」は読んでいる最中だが難しく、ちょっと読むのを中断しなくてはならないかと思っている。
本書を経て「世界史の構造」で主張する「交換様式から歴史を見る」というテーマが著者の中で深まったことは良く見て取れた。また新書で出しているだけに、出来るだけ平易に語ろうとしている点も良く分かった。僕のような素人でもある程度付いていけたのは、著者の親切さにも因るものだ。
但し、やはり最後の「世界共和国」の部分が弱い。この段階でいささか唐突に
「われわれに可能なのは、各国で軍事主権を徐々に国際連合に謙譲するように働きかけ、それによって国際連合を
強化・再編成することです。たとえば日本の憲法第九条における戦争放棄とは、軍事主権を国際連合に謙譲
するものです。各国でこのように主権の放棄がなされる以外に、諸国家を揚棄する方法はありません」
とある。
著者はこれを本当に信じているのだろうか。
例えば本書において、著者は国際連合を論じていないと僕は考える。現在の国連の問題点、あるべき国連という議論を経た後で上記を語るのであるならまだ説得力もあろうが、それがなされぬ前に上記を提出することはどう見ても性急ではなかろうか。本当に軍事主権を任せるに足る組織なのか、そもそも国連を動かす論理が何なのかが見えないからだ。
また日本の第九条が、そういう意味なのかは現実を見ると大いに疑問だ。自衛隊を国連に謙譲するという議論も本書にはない。
この点が本書の決定的な弱い点だと僕は思う。但し、それを著者に対して安易に批判出来るとも思えない。上記のような結論しか著者にしても出せないという点から著者の苦悩と、ある種の絶望が見て取れるからだ。
僕には著者の考える方向性に世界の未来があるかどうかが見えない。本書は実に面白いし、大変勉強になる。特にマルクス関係は著者の本を読むことで理解が深まったと思っている。幸せな読書だ。但し、最後の部分で語られる未来に、幸せの予感が無かった。それが現段階の読後感である。
本書を経て「世界史の構造」で主張する「交換様式から歴史を見る」というテーマが著者の中で深まったことは良く見て取れた。また新書で出しているだけに、出来るだけ平易に語ろうとしている点も良く分かった。僕のような素人でもある程度付いていけたのは、著者の親切さにも因るものだ。
但し、やはり最後の「世界共和国」の部分が弱い。この段階でいささか唐突に
「われわれに可能なのは、各国で軍事主権を徐々に国際連合に謙譲するように働きかけ、それによって国際連合を
強化・再編成することです。たとえば日本の憲法第九条における戦争放棄とは、軍事主権を国際連合に謙譲
するものです。各国でこのように主権の放棄がなされる以外に、諸国家を揚棄する方法はありません」
とある。
著者はこれを本当に信じているのだろうか。
例えば本書において、著者は国際連合を論じていないと僕は考える。現在の国連の問題点、あるべき国連という議論を経た後で上記を語るのであるならまだ説得力もあろうが、それがなされぬ前に上記を提出することはどう見ても性急ではなかろうか。本当に軍事主権を任せるに足る組織なのか、そもそも国連を動かす論理が何なのかが見えないからだ。
また日本の第九条が、そういう意味なのかは現実を見ると大いに疑問だ。自衛隊を国連に謙譲するという議論も本書にはない。
この点が本書の決定的な弱い点だと僕は思う。但し、それを著者に対して安易に批判出来るとも思えない。上記のような結論しか著者にしても出せないという点から著者の苦悩と、ある種の絶望が見て取れるからだ。
僕には著者の考える方向性に世界の未来があるかどうかが見えない。本書は実に面白いし、大変勉強になる。特にマルクス関係は著者の本を読むことで理解が深まったと思っている。幸せな読書だ。但し、最後の部分で語られる未来に、幸せの予感が無かった。それが現段階の読後感である。
2022年3月27日に日本でレビュー済み
まだザッと眼を通した程度だが良書だ。歴史をみても、この流れは頷ける。今、暴力団は、法治国家の警察が、取り締まる。ならば、今の、暴力国などは、早く世界が世界共和国(の様なもの)に成って、その法治警察が取り締まるようにしなければ、いつまでも庶民大衆が、犠牲となるばかりなのだ(哀れ、ウクライナ庶民)。正義なき力は無能(暴力)だが、力なき正義もまた無能なのだと、今の国際社会を見ていて深く、嘆かざるをえない・・・。
2013年9月28日に日本でレビュー済み
戦争、環境破壊、経済的格差は、国家と資本がもたらしているから、国家と資本に対抗しなければ破局へ至るだろう、という警告の書である。そして、国家と資本に対抗するためには、カントの世界共和国や、マルクスの生産様式を交換様式で再検討して道筋を明らかにするという。
分かちがたく結びついた「資本=ネーション=国家」の環、これを拒絶するのがアソシエーショニズム。なぜ「資本=ネーション=国家」を超える必要があるのか。著者の考えでは、今までの共産主義運動や社会主義運動が、それらに躓いてきたからである。それはマルクスやプルードンの考えがこの環に関して不徹底だったからであり、ネグリとハートも同様であるとする。
アソシエーション(D)とは、「商品交換(C)という位相において開かれた自由な個人の上に、互酬的交換(A)を回復しようとするものだ」と言う。
現実には存在しない、統制的理念としてのDは、目指すべき何か崇高なもののように思えてくる。しかし、社会構成体AとDは連動するらしく「Aの消滅とともに、Dも衰退した」。「Dもその理念を性急に実現しようとして、Aと似たもの、あるいはもっと残虐なものに転化してしまうという事件がおきた。日本では連合赤軍事件や新左翼の内ゲバとして知られています」とする。
回復しようとする「A」と、「Aと似たもの」を識別するのは何だろうか。
交換様式X(D)、あるいはアソシエーション(D)の象限にはカントの格率「他者を手段としてのみならず同時に目的として扱う」が掲げられているが、他のビジョンは無い。この格率について著者は「資本主義においては実現できません」とするが、資本主義以外であっても実現できないのではなかろうか。実現するには生きることを止めるしかないだろう。
最後に著者が記す「数多くのグローバルな非国家組織やネットワークが有効に機能しないのは国家の妨害に出会うから」、「資本に対抗する各国の運動は、つねに国家によって分断されてしまう」とは一体何のことなのだろうか、NAMも巻き込まれたのだろうか、どんな事態が起きているのか示されておらず分からない。
また「国家に対抗するには、軍事的主権を徐々に国際連合に譲渡するように働きかけ、それによって国際連合を強化・再編成する。日本の憲法第9条における戦争放棄とは、そのことである。各国でこのような主権の放棄がなされる以外に諸国家を揚棄する方法はない」とする結びは、それまでの論との繋がりは薄く、結び自体も掘り下げておらず唐突である。
この結びは国連を知った人の多くが考えると思うが、核軍縮でさえお題目に過ぎない現実から、夢物語と嘆じる処である。徹底的に考え抜く柄谷氏でさえ夢物語止まりなのかという諦めと、柄谷氏が考え着いたからには夢物語とは違う何かがあるはずと思ったりもする。
カントが生きた時代には、地球を吹き飛ばす核兵器、地球を瞬時に情報が駆け巡るインターネットは無かったが、今の時代に生きていたらカントはどう考えただろうか。時代を経ても、あるいは今の時代だからこそ、彼は自分の考えは通用すると言うだろうか。
おそらく本書は、国家や資本主義に対して反感や憎悪を感じる人を惹きつける危険性がある。時代の雰囲気もあってか、自分自身が過去そんな面を持っていたから尚更そう思う。
世界史をひもとけば戦争の繰り返しであることは明白で、その中で国家や資本という制度がつくられてきた。確かに戦争、環境破壊、経済的格差を無くしていかなければいけないが、国家や資本を無くすともっと悲惨な歴史に舞い戻るだけではなかろうか。
「資本=ネーション=国家」に対抗する「世界共和国」という理念は崇高である。しかし喫緊の課題は、冷戦は一旦は終止符が打たれたものの、マルクス主義・共産主義・社会主義の残滓となった一党独裁国家たち、あるいは原理主義を掲げる一党独裁国家たちである。そこにはヘッド、党、軍、それらの膨張や暴走を押しとどめるブレーキは無い。軍備費拡大は外部に向けたものとは限らず、自由・平等を求める内部を抑え込む暴力としても使える。WW2で使われたファシズムという古い言葉がよみがえってくる。改めてファシズムについて検討し直すべきではなかろうか。
分かちがたく結びついた「資本=ネーション=国家」の環、これを拒絶するのがアソシエーショニズム。なぜ「資本=ネーション=国家」を超える必要があるのか。著者の考えでは、今までの共産主義運動や社会主義運動が、それらに躓いてきたからである。それはマルクスやプルードンの考えがこの環に関して不徹底だったからであり、ネグリとハートも同様であるとする。
アソシエーション(D)とは、「商品交換(C)という位相において開かれた自由な個人の上に、互酬的交換(A)を回復しようとするものだ」と言う。
現実には存在しない、統制的理念としてのDは、目指すべき何か崇高なもののように思えてくる。しかし、社会構成体AとDは連動するらしく「Aの消滅とともに、Dも衰退した」。「Dもその理念を性急に実現しようとして、Aと似たもの、あるいはもっと残虐なものに転化してしまうという事件がおきた。日本では連合赤軍事件や新左翼の内ゲバとして知られています」とする。
回復しようとする「A」と、「Aと似たもの」を識別するのは何だろうか。
交換様式X(D)、あるいはアソシエーション(D)の象限にはカントの格率「他者を手段としてのみならず同時に目的として扱う」が掲げられているが、他のビジョンは無い。この格率について著者は「資本主義においては実現できません」とするが、資本主義以外であっても実現できないのではなかろうか。実現するには生きることを止めるしかないだろう。
最後に著者が記す「数多くのグローバルな非国家組織やネットワークが有効に機能しないのは国家の妨害に出会うから」、「資本に対抗する各国の運動は、つねに国家によって分断されてしまう」とは一体何のことなのだろうか、NAMも巻き込まれたのだろうか、どんな事態が起きているのか示されておらず分からない。
また「国家に対抗するには、軍事的主権を徐々に国際連合に譲渡するように働きかけ、それによって国際連合を強化・再編成する。日本の憲法第9条における戦争放棄とは、そのことである。各国でこのような主権の放棄がなされる以外に諸国家を揚棄する方法はない」とする結びは、それまでの論との繋がりは薄く、結び自体も掘り下げておらず唐突である。
この結びは国連を知った人の多くが考えると思うが、核軍縮でさえお題目に過ぎない現実から、夢物語と嘆じる処である。徹底的に考え抜く柄谷氏でさえ夢物語止まりなのかという諦めと、柄谷氏が考え着いたからには夢物語とは違う何かがあるはずと思ったりもする。
カントが生きた時代には、地球を吹き飛ばす核兵器、地球を瞬時に情報が駆け巡るインターネットは無かったが、今の時代に生きていたらカントはどう考えただろうか。時代を経ても、あるいは今の時代だからこそ、彼は自分の考えは通用すると言うだろうか。
おそらく本書は、国家や資本主義に対して反感や憎悪を感じる人を惹きつける危険性がある。時代の雰囲気もあってか、自分自身が過去そんな面を持っていたから尚更そう思う。
世界史をひもとけば戦争の繰り返しであることは明白で、その中で国家や資本という制度がつくられてきた。確かに戦争、環境破壊、経済的格差を無くしていかなければいけないが、国家や資本を無くすともっと悲惨な歴史に舞い戻るだけではなかろうか。
「資本=ネーション=国家」に対抗する「世界共和国」という理念は崇高である。しかし喫緊の課題は、冷戦は一旦は終止符が打たれたものの、マルクス主義・共産主義・社会主義の残滓となった一党独裁国家たち、あるいは原理主義を掲げる一党独裁国家たちである。そこにはヘッド、党、軍、それらの膨張や暴走を押しとどめるブレーキは無い。軍備費拡大は外部に向けたものとは限らず、自由・平等を求める内部を抑え込む暴力としても使える。WW2で使われたファシズムという古い言葉がよみがえってくる。改めてファシズムについて検討し直すべきではなかろうか。
2015年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現在の資本主義世界の問題を解決するために、
資本、国家、ネーションを三つの基礎的な交換様式から確認し、
それらを超える可能性を第四の交換様式(アソシエーション)に見いだし、
世界共和国という形で具現化することを主張した書。
あとがきによれば、著者が以前書いた『トランスクリティーク--カントとマルクス』
という著書をわかりやすくしたのが本書であるようだ。
その通り、哲学や経済学に疎い自分にもなんとか読み通すことができた。
マルクスの価値形態論や、東洋的専制国家と絶対主義国家の違いなど、ためにになった。
特に社会構成体と交換様式(P33)の考え方は勉強になった。
ただ、「ネーション」という概念について、ボロメオの輪を例に出して、
悟性と感性をつなぐ想像力と同じように、国家と市民社会をネーションがつなぐ、
という考え方は今ひとつイメージが湧かなかった。
また、結論は唐突なような気がした。
現実的な対応方法を提示するのであれば、もっとページを割いて具体的に論じてほしかった。
資本、国家、ネーションを三つの基礎的な交換様式から確認し、
それらを超える可能性を第四の交換様式(アソシエーション)に見いだし、
世界共和国という形で具現化することを主張した書。
あとがきによれば、著者が以前書いた『トランスクリティーク--カントとマルクス』
という著書をわかりやすくしたのが本書であるようだ。
その通り、哲学や経済学に疎い自分にもなんとか読み通すことができた。
マルクスの価値形態論や、東洋的専制国家と絶対主義国家の違いなど、ためにになった。
特に社会構成体と交換様式(P33)の考え方は勉強になった。
ただ、「ネーション」という概念について、ボロメオの輪を例に出して、
悟性と感性をつなぐ想像力と同じように、国家と市民社会をネーションがつなぐ、
という考え方は今ひとつイメージが湧かなかった。
また、結論は唐突なような気がした。
現実的な対応方法を提示するのであれば、もっとページを割いて具体的に論じてほしかった。