本書の内容は『結婚・葬式の歴史』と『現在の結婚・葬式事情』の2部に大別される。
前者が取り上げる『歴史』は近世(江戸期)から現代まで。
この間めまぐるしく変化する『結婚・葬式事情』を、斎藤氏が淡々と説明する。
書評で本をバッサバッサ切るあのスタイル……は採っていない。
時々、皮肉めいた本音がポロリと溢れるものの、あくまで婚姻と葬式に関する文化史を丹念に綴っていくのみである。
著者自ら茶化す必要がないからだろう。
30年程度のスパンで『伝統』や『格式』がコロコロと変わるのだ。
おまけに絶えず中心にいるのは新郎新婦でも死者でもなく、カネと来る。
カネ、カネ、カネ。ややマイルドな表現を使えば経済。
婚姻ビジネスと葬式ビジネスが、結婚式と葬式の形を決めてきたのだ。
需給の関係で言えば、給が先で需があと。下部構造が上部構造を規定するマルクスの理論みたいである。
本書の後段である『現在の結婚・葬式事情』も、中心はカネの話だ。
斎藤氏が斜に構えて意地悪く書いてるわけではないだろう。
結婚式や葬式を一人で執り行うことはできない。
近親者、行政、そして『世間』との調整が不可欠で、イベントはどうしても複雑になる。
だから一連の面倒な手続きを代行するビジネスが、需要より先に来るのは自然なのだ。
後段ではカネに加え、行政上の煩雑な手続きについても紙幅が割かれている。
具体的な手順が事細かに記されており、そのままマニュアル本として使えるだろう。
結婚・葬式の過去と今が分かるという意味で、本著作は良書と言える。
しかし読みモノ、とりわけ斎藤節を期待している読者にとってはいささか退屈なのではないか。
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冠婚葬祭のひみつ (岩波新書 新赤版 1004) 新書 – 2006/5/12
斎藤 美奈子
(著)
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- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2006/5/12
- ISBN-104004310040
- ISBN-13978-4004310044
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2006/5/12)
- 発売日 : 2006/5/12
- 言語 : 日本語
- 新書 : 224ページ
- ISBN-10 : 4004310040
- ISBN-13 : 978-4004310044
- Amazon 売れ筋ランキング: - 174,578位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 210位常識・マナー (本)
- - 851位岩波新書
- - 18,010位科学・テクノロジー (本)
- カスタマーレビュー:
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上位レビュー、対象国: 日本
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2015年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年1月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容的には、とても昔の岩波新書とは思えない読み物であった。
でも、つまらない講釈なんかより、冠婚葬祭のバカバカしさをもっ
と打ったぎってほしかった。神前結婚が天皇家よりも、金儲けをね
らった商人により広まり、今やゲストハウスウェディングで映画の
シーンにまで進化していった。今度は、団塊が葬儀に向かう。きっ
と映画のシーンのように欧米化するのか。冠婚葬祭について、実に
すっきりした。ああ〜こんなもんなんだと肩の力を抜いてくれた。
是非、続・冠婚葬祭のひみつをカッパではない岩波親書から、もっ
と毒を効かせて出してほしい。
※つまらない博識披露が星ひとつ落とした。
でも、つまらない講釈なんかより、冠婚葬祭のバカバカしさをもっ
と打ったぎってほしかった。神前結婚が天皇家よりも、金儲けをね
らった商人により広まり、今やゲストハウスウェディングで映画の
シーンにまで進化していった。今度は、団塊が葬儀に向かう。きっ
と映画のシーンのように欧米化するのか。冠婚葬祭について、実に
すっきりした。ああ〜こんなもんなんだと肩の力を抜いてくれた。
是非、続・冠婚葬祭のひみつをカッパではない岩波親書から、もっ
と毒を効かせて出してほしい。
※つまらない博識披露が星ひとつ落とした。
2020年3月5日に日本でレビュー済み
タイトル通りで、結婚式と葬式についての慣習の変遷と、筆者の意見を混ぜ合わせた本。
学術的な本という感じではなく、口語的な文章も多くあらわれるので、エッセイに近い位置づけだろう。
過去出版された冠婚葬祭マニュアルなどから、歴史的な位置づけの変化を見せてくれるのはなかなか面白い。
葬式なら、街を行列する葬列に代わる祭壇と霊柩車の登場、火葬炉の発達による火葬の普及(それまでは死体を燃やすのは大変だった)、棺をお花で埋める慣習は80年代から、などなど。
結婚についても、ロイヤルウェディングが主導する結婚の形の変化(大正天皇の神前式結婚、ハネムーンなど)、占いやらお床入り(初体験の作法!?)などが出ているマニュアル本から、高度成長期に自宅結婚式からホテルへの引導渡し、バブル崩壊後の神前式からチャペルへの転換、などなど。
ただ、歴史について書いているのに「~ではないだろうか」などとほとんど根拠なくただ推測しているだけの記述も多く、それはどうなのだろうかとも思わされる。
せっかく本にまとめているのだから、きちんと調べて論拠を集めてから書いてほしいと思う。
あと、いわゆる「冠婚葬祭マニュアル(みんなやっているからやりましょう的空気を押し付けるマナー本)」を嘲笑的に取り上げていながら、結局本書もまた著者のかなり独善で「あるべき結婚式や葬式の姿」を押しつけがましく推奨している「また別の冠婚葬祭マニュアル」になってしまっているように見える。
方向性は個人主義・家制度反対の方向なので、既存の冠婚葬祭マニュアルとは反対向きではあるが、これもまた一つの「書き手が勝手に『こうあってほしい』と思う姿を押し付ける」ということには変わりなく、互いに同根にも見える。
特に押し出される筆者の主張が特に深く検討されているわけでもなさそうなあたりは大いに気になる。
まあ全体としては軽い本だし、そう見ればこの辺りはご愛嬌という感じかもしれない。
学術的な本という感じではなく、口語的な文章も多くあらわれるので、エッセイに近い位置づけだろう。
過去出版された冠婚葬祭マニュアルなどから、歴史的な位置づけの変化を見せてくれるのはなかなか面白い。
葬式なら、街を行列する葬列に代わる祭壇と霊柩車の登場、火葬炉の発達による火葬の普及(それまでは死体を燃やすのは大変だった)、棺をお花で埋める慣習は80年代から、などなど。
結婚についても、ロイヤルウェディングが主導する結婚の形の変化(大正天皇の神前式結婚、ハネムーンなど)、占いやらお床入り(初体験の作法!?)などが出ているマニュアル本から、高度成長期に自宅結婚式からホテルへの引導渡し、バブル崩壊後の神前式からチャペルへの転換、などなど。
ただ、歴史について書いているのに「~ではないだろうか」などとほとんど根拠なくただ推測しているだけの記述も多く、それはどうなのだろうかとも思わされる。
せっかく本にまとめているのだから、きちんと調べて論拠を集めてから書いてほしいと思う。
あと、いわゆる「冠婚葬祭マニュアル(みんなやっているからやりましょう的空気を押し付けるマナー本)」を嘲笑的に取り上げていながら、結局本書もまた著者のかなり独善で「あるべき結婚式や葬式の姿」を押しつけがましく推奨している「また別の冠婚葬祭マニュアル」になってしまっているように見える。
方向性は個人主義・家制度反対の方向なので、既存の冠婚葬祭マニュアルとは反対向きではあるが、これもまた一つの「書き手が勝手に『こうあってほしい』と思う姿を押し付ける」ということには変わりなく、互いに同根にも見える。
特に押し出される筆者の主張が特に深く検討されているわけでもなさそうなあたりは大いに気になる。
まあ全体としては軽い本だし、そう見ればこの辺りはご愛嬌という感じかもしれない。
2019年3月7日に日本でレビュー済み
再掲
冠婚葬祭の婚と葬の意味は知ってましたが、冠と祭の意味は知りませんでした。
斎藤さんの本はどれも面白い、いや勉強になるという方が正しいかな。
いったいどれだけの本を読んでいるのか?斎藤さんの超整理術を期待したいほどの情報量なのです。
日本の歴史の中での冠婚葬祭を当時のマニュアル本から最近のモノとを比較していて、いかに「しきたり」とか「マナー」といったものがウツロイな事が分かります。逆にその「しきたり」を簡単に振り切れない現実があったりします。
そして一番おもしろかったのはやはり葬祭の歴史、墓の持つ意味は国家側の住民支配に仏教を利用して?住民登録な様なシステムを作りあげたのだろう。そして差別の問題もそれに絡んでくる。これは哲学者の内山節さんも同じような事を言われていたと記憶している。その他、戒名や埋葬の方法(火葬や散骨等)など面白い内容のテンコ盛りです。
読み終わった時に思ったのは、果たして自分が作った墓とか、子供にそれを引き継ぐというのが実はあまり意味の無いことではないかということだ。
文末に十分量以上の参考文献が挙げられているのでご興味のある方は是非。
備忘録的に
葬式や婚礼が宗教と係わるのは江戸からである。
戦前のマニュアルはセックス、迷信、優生思想に彩られている。
冠婚葬祭の担い手の3つの時代変遷
家(血縁)+地域共同体(地縁)(1900年代以降)
家(血縁)+企業共同体(社縁)(1960年代以降)
個人+家族(狭い範囲の血縁)(1990年代以降)
冠婚葬祭の婚と葬の意味は知ってましたが、冠と祭の意味は知りませんでした。
斎藤さんの本はどれも面白い、いや勉強になるという方が正しいかな。
いったいどれだけの本を読んでいるのか?斎藤さんの超整理術を期待したいほどの情報量なのです。
日本の歴史の中での冠婚葬祭を当時のマニュアル本から最近のモノとを比較していて、いかに「しきたり」とか「マナー」といったものがウツロイな事が分かります。逆にその「しきたり」を簡単に振り切れない現実があったりします。
そして一番おもしろかったのはやはり葬祭の歴史、墓の持つ意味は国家側の住民支配に仏教を利用して?住民登録な様なシステムを作りあげたのだろう。そして差別の問題もそれに絡んでくる。これは哲学者の内山節さんも同じような事を言われていたと記憶している。その他、戒名や埋葬の方法(火葬や散骨等)など面白い内容のテンコ盛りです。
読み終わった時に思ったのは、果たして自分が作った墓とか、子供にそれを引き継ぐというのが実はあまり意味の無いことではないかということだ。
文末に十分量以上の参考文献が挙げられているのでご興味のある方は是非。
備忘録的に
葬式や婚礼が宗教と係わるのは江戸からである。
戦前のマニュアルはセックス、迷信、優生思想に彩られている。
冠婚葬祭の担い手の3つの時代変遷
家(血縁)+地域共同体(地縁)(1900年代以降)
家(血縁)+企業共同体(社縁)(1960年代以降)
個人+家族(狭い範囲の血縁)(1990年代以降)
2009年5月8日に日本でレビュー済み
娘の結婚の時は『式は挙げてくれ』の一点張り。
反面『俺が死んだら葬式はいいから骨は海にでも撒いてくれ』。
厚かましくも、そんなことを平然とのたまう
“団塊の人”にこそ、この本を読んで欲しいと思いました。
派手な挙式や「両親の手紙」に抱いていた違和感の正体も、
葬式代が実際はいくらぐらいなのかも、
長年の疑問がこの本を読んで氷解しました。
世代が若くなっても旧態依然な「入籍」などの名称への疑問、
香典返しをなくすための列席者の心がけなど、
斎藤さんならではの考察や視点がキラリと光る一冊です。
反面『俺が死んだら葬式はいいから骨は海にでも撒いてくれ』。
厚かましくも、そんなことを平然とのたまう
“団塊の人”にこそ、この本を読んで欲しいと思いました。
派手な挙式や「両親の手紙」に抱いていた違和感の正体も、
葬式代が実際はいくらぐらいなのかも、
長年の疑問がこの本を読んで氷解しました。
世代が若くなっても旧態依然な「入籍」などの名称への疑問、
香典返しをなくすための列席者の心がけなど、
斎藤さんならではの考察や視点がキラリと光る一冊です。
2015年8月28日に日本でレビュー済み
冠婚葬祭の現在に健在する根幹は、民法という近代の法制度と、資本主義経済の発展だった。「しきたり」「伝統」「作法」なんてふたを開ければ案外そんなものである。まぁ何事にも言えることだけれども。
個人的には「婚」と「葬」に非常にコストがかかる日本のビジネスモデルにムカついている。人生に一度だからって、そんなん理由になるか。
これから間違いなく儲かるのは「葬」の関する会社、儲からないのは「婚」に関する会社であろう(広告で、今は趣向を凝らした結婚式が流行っています!と喧伝しているのを見ると、「がんばって一人当たりの利益を増やそうとしているんだなぁ」と少し鼻で笑ってしまう)
祭壇は1899年、霊柩車は1917年に大阪の葬儀社「駕友」を経営する鈴木勇太郎が考案したのだという。当時では画期的なビジネスが未だに健在なのは興味深い。この会社、昔は大名行列を取り仕切っていたという。
2003年の日本消費者連盟による葬儀にかかる費用のアンケートでは…
①葬儀一式の費用(棺や祭壇など)…150万円
②飲食接待費(通夜振る舞いなど)…39万円
③香典返し…91万円
④宗教者への報酬…49万円
アンケートから10年たった今ではどのように変化しているか不明だけれど、日本の葬儀には費用がかかり過ぎている。これは国際的に見ても明らかである。特に③や④に関して、これからはもっと減るであろう。
①に関しても、自分は直葬を希望だし、戒名も不要でよいと考えている。
本書は、冠婚葬祭とは謳いつつ、多くが「葬」についてである。
やはり一番関心が強いのであろう。「知らないと恥ずかしい」なんて言われる“常識”もその根拠は戦後に“作られた”ものもたくさんある。
多くは歴史的背景から説明してくれているので、勉強になります。
著者:斎藤美奈子(新潟生まれ。成城大学卒、文芸評論家)
発行:2006.5.12 第1刷
読了:2015年/025冊(02月/10冊)★3.5
個人的には「婚」と「葬」に非常にコストがかかる日本のビジネスモデルにムカついている。人生に一度だからって、そんなん理由になるか。
これから間違いなく儲かるのは「葬」の関する会社、儲からないのは「婚」に関する会社であろう(広告で、今は趣向を凝らした結婚式が流行っています!と喧伝しているのを見ると、「がんばって一人当たりの利益を増やそうとしているんだなぁ」と少し鼻で笑ってしまう)
祭壇は1899年、霊柩車は1917年に大阪の葬儀社「駕友」を経営する鈴木勇太郎が考案したのだという。当時では画期的なビジネスが未だに健在なのは興味深い。この会社、昔は大名行列を取り仕切っていたという。
2003年の日本消費者連盟による葬儀にかかる費用のアンケートでは…
①葬儀一式の費用(棺や祭壇など)…150万円
②飲食接待費(通夜振る舞いなど)…39万円
③香典返し…91万円
④宗教者への報酬…49万円
アンケートから10年たった今ではどのように変化しているか不明だけれど、日本の葬儀には費用がかかり過ぎている。これは国際的に見ても明らかである。特に③や④に関して、これからはもっと減るであろう。
①に関しても、自分は直葬を希望だし、戒名も不要でよいと考えている。
本書は、冠婚葬祭とは謳いつつ、多くが「葬」についてである。
やはり一番関心が強いのであろう。「知らないと恥ずかしい」なんて言われる“常識”もその根拠は戦後に“作られた”ものもたくさんある。
多くは歴史的背景から説明してくれているので、勉強になります。
著者:斎藤美奈子(新潟生まれ。成城大学卒、文芸評論家)
発行:2006.5.12 第1刷
読了:2015年/025冊(02月/10冊)★3.5
2014年10月8日に日本でレビュー済み
内容もいま一つ。ひみつというより冠婚葬祭についてのアラカルトといった内容で、創造性や提言等がない。雑誌の記事やエッセーならともかく、岩波新書の性格からするとどうなのか?とくに「あれですあれ」といった表現はないでしょう。
2008年4月8日に日本でレビュー済み
斎藤美奈子の仕事って、けっこう力が入っていて楽しいって思う。膨大な資料から、意外な事実を暴き出す、というものなのだから。かつて、同じ岩波書店(今はなき、岩波アクティブ新書だ)から出した「戦火のレシピ」は、戦時下において何を食べていたか、だけではなく、実はお米は本当はぜいたく品ではなかったことや、さまざまな代用食を紹介している。そもそも斎藤のデビュー作「妊娠小説」もまた、ニュートラルな視点から、さまざまな小説を読み解くという力技だった。
ということで、「冠婚葬祭のひみつ」である。学習まんがのタイトルを意識しているとのこと。斎藤はここでも、膨大な資料を読み、結婚式や葬式がかつではどのようなものであったか、それがどのように変化してきたのかを、明らかにしている。例えば、「家」という発想は明治時代からのものである、とか、ハウツー本は裕仁のロイヤルウェデキングからとか、そういったことである。本には「お床入り」のことまで書いてあり、親切この上ない。そして現在の冠婚葬祭をつくったのは、戦後のベストセラーになった、光文社のカッパブックスによる「冠婚葬祭入門」だとか。
考えてみれば、結婚式場なんて昔はなく、家庭でやっていたものだった。まあ、住宅事情が事情だからできるというものだけれども、ぼくの母親もそうだったらしいし。実はたいして伝統のない、いまどきの冠婚葬祭なのである。
斎藤が今回の本を通じて送るメッセージは、結婚についてはやはり、これまでのジェンダーバイアスがかかった式というものを否定し、個人が個人らしくあるような式というものを提案している。葬式についても同様で、自分が死んだらどんな葬式にしたいのか、それは生きているうちにやっておくべきだという。自分の葬式や肉親の葬式について、あらかじめ調べておくことは必要だし、表立ってやらなければいいということである。
ともあれ、冠婚葬祭にはお酒はつきもの。その席で、本書に示された薀蓄を披露するというのは悪くない。だって、それは結婚式を挙げる人、あるいは故人のその人らしさを少しでも出していくきっかけになるのだから。
ということで、「冠婚葬祭のひみつ」である。学習まんがのタイトルを意識しているとのこと。斎藤はここでも、膨大な資料を読み、結婚式や葬式がかつではどのようなものであったか、それがどのように変化してきたのかを、明らかにしている。例えば、「家」という発想は明治時代からのものである、とか、ハウツー本は裕仁のロイヤルウェデキングからとか、そういったことである。本には「お床入り」のことまで書いてあり、親切この上ない。そして現在の冠婚葬祭をつくったのは、戦後のベストセラーになった、光文社のカッパブックスによる「冠婚葬祭入門」だとか。
考えてみれば、結婚式場なんて昔はなく、家庭でやっていたものだった。まあ、住宅事情が事情だからできるというものだけれども、ぼくの母親もそうだったらしいし。実はたいして伝統のない、いまどきの冠婚葬祭なのである。
斎藤が今回の本を通じて送るメッセージは、結婚についてはやはり、これまでのジェンダーバイアスがかかった式というものを否定し、個人が個人らしくあるような式というものを提案している。葬式についても同様で、自分が死んだらどんな葬式にしたいのか、それは生きているうちにやっておくべきだという。自分の葬式や肉親の葬式について、あらかじめ調べておくことは必要だし、表立ってやらなければいいということである。
ともあれ、冠婚葬祭にはお酒はつきもの。その席で、本書に示された薀蓄を披露するというのは悪くない。だって、それは結婚式を挙げる人、あるいは故人のその人らしさを少しでも出していくきっかけになるのだから。