「石塔のお墓が世に浸透したのは近世後期以降である」、「我々が現在目にする墓は伝統的と言えるほどのものでもない」。この本を読んで、これらのことを確認することができて良かった。ついでに「墓参り」の起源も解明してほしかった。
柳田国男の「先祖の話」に言及していたが、誤解、誤読しているように思える。著者が述べているように、柳田も「お盆」とは「忌避されるべき死者の霊魂」を迎え入れるものとして解釈しているはずだ。先祖は自分の家を知っている。では、お供えを外に設けるのはなぜか。それは、戻るべき家がない者、「忌避されるべき死者の霊魂」を迎え入れるためだ。お供えを外に持ち運ぶ際の木の器、それが「お盆」であり「お盆」と呼ばれる所以である。柳田の解釈は以上のようなものではなかったか。
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「お墓」の誕生: 死者祭祀の民俗誌 (岩波新書 新赤版 1054) 新書 – 2006/11/21
岩田 重則
(著)
- 本の長さ210ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2006/11/21
- ISBN-104004310547
- ISBN-13978-4004310549
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2006/11/21)
- 発売日 : 2006/11/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 210ページ
- ISBN-10 : 4004310547
- ISBN-13 : 978-4004310549
- Amazon 売れ筋ランキング: - 314,154位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 713位文化人類学一般関連書籍
- - 1,454位岩波新書
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年12月19日に日本でレビュー済み
タイトルを何にするか、書名を決定するにはさまざまな思惑があるだろう。はしがきからすれば、「お墓」とは何か。これが書名にならなければならない。次に、本文内容が4章あって「お盆の儀礼から何が見えるか」「葬送儀礼と墓」「〈お墓〉の誕生」「夭折者の墓と〈お墓〉」であるから、第3章だけが書名と一致していることになる。
本文内容は実にきめ細かく民俗学的資料を駆使してさまざまな例示が興味深く挙げられている。「迎え火・送り火」「盆棚」「霊肉分離・両墓制」など全国の各地の実例写真入りで紹介されていて、参考になるところが多い。
さて、本当に一番言いたいテーマは書名に象徴されているかどうか。私見では、著者はいろいろ言いたかったと思われるが、一番言いたかったことは、この4章「起・承・転・結」の「結」ではなかったか。ここでは「子供の墓」と「戦死者の〈墓〉」に言及している。「靖国神社をめぐる誤解」に収斂していることに注目しなければならない。著者には別著「戦死者霊魂のゆくえ」がある。
巻末「むすび」になって、やっと疑問点は解消される。
「お墓」が誕生したことにのみ問題があるのではなかった。こう言ってくれているので、なんとか納得できる。歴史的に見て、今は多重祭祀、重層性にあることを指摘してくれていて、それは難問ではあるが、我々の抱えている大切な現実問題として、しかと受けとめたしだいである。
本文内容は実にきめ細かく民俗学的資料を駆使してさまざまな例示が興味深く挙げられている。「迎え火・送り火」「盆棚」「霊肉分離・両墓制」など全国の各地の実例写真入りで紹介されていて、参考になるところが多い。
さて、本当に一番言いたいテーマは書名に象徴されているかどうか。私見では、著者はいろいろ言いたかったと思われるが、一番言いたかったことは、この4章「起・承・転・結」の「結」ではなかったか。ここでは「子供の墓」と「戦死者の〈墓〉」に言及している。「靖国神社をめぐる誤解」に収斂していることに注目しなければならない。著者には別著「戦死者霊魂のゆくえ」がある。
巻末「むすび」になって、やっと疑問点は解消される。
「お墓」が誕生したことにのみ問題があるのではなかった。こう言ってくれているので、なんとか納得できる。歴史的に見て、今は多重祭祀、重層性にあることを指摘してくれていて、それは難問ではあるが、我々の抱えている大切な現実問題として、しかと受けとめたしだいである。
2017年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みやすくて、写真があっての説明は説得力があります。お墓をどうしようか考えてますが、その前に拝むことを考える機会になりました。
中古品しかなかったのですが、ずっと版を重ねて欲しい良書です。
中古品しかなかったのですが、ずっと版を重ねて欲しい良書です。
2023年4月4日に日本でレビュー済み
第1章 お盆の儀礼から何が見えるか
迎え火・送り火の一般的常識
盆棚は先祖を祀るのか
第2章 葬送儀礼と墓
葬送儀礼における霊魂
埋葬と石塔建立のあいだ
第3章 お墓の誕生
画一化していく墓
共同幻想としてのお墓
第4章 夭折者の墓とお墓
子供の墓
戦死者とお墓
迎え火・送り火の一般的常識
盆棚は先祖を祀るのか
第2章 葬送儀礼と墓
葬送儀礼における霊魂
埋葬と石塔建立のあいだ
第3章 お墓の誕生
画一化していく墓
共同幻想としてのお墓
第4章 夭折者の墓とお墓
子供の墓
戦死者とお墓
2006年12月8日に日本でレビュー済み
「お墓」にまつわる常識、それも世間一般というよりも民俗学的な語りの中に残る常識の当否を、豊富な事例に基づいて論じている。いわゆる「両墓制」を前提として語られることを一つ一つ覆していくくだりなどは読み応えがあって興味深い。
現在のお墓のあり方は、想像以上に歴史を遡れないものらしい。そのさらに昔、人々は死者祭祀に何を見ていたのか。何気なく通り過ぎることもある、古びた「お墓」への関心がかき立てられる一冊と言えよう。
現在のお墓のあり方は、想像以上に歴史を遡れないものらしい。そのさらに昔、人々は死者祭祀に何を見ていたのか。何気なく通り過ぎることもある、古びた「お墓」への関心がかき立てられる一冊と言えよう。
2022年8月2日に日本でレビュー済み
本書は、葬送儀礼と墓の関係について解説したものです。
柳田国男氏の学術的アプローチを批判していますが、説得力があります。
本書で興味深かったのは、嬰児の葬送と胎盤の埋葬に関することで、
古代日本人の考えが近代まで繋がっていたと感じました。
また、戦没者の墓に関する記述も勉強になりました。
柳田国男氏の学術的アプローチを批判していますが、説得力があります。
本書で興味深かったのは、嬰児の葬送と胎盤の埋葬に関することで、
古代日本人の考えが近代まで繋がっていたと感じました。
また、戦没者の墓に関する記述も勉強になりました。
2018年2月24日に日本でレビュー済み
著者は墓制史について民俗学の立場から研究している人物。
本書は、先祖供養や墓の整備についていくつかの側面から分析したもの。
なかでも力を入れられているのは、現在のような四角い石塔式の「**家の墓」がいつから発生したかという問題だ。そして、意外に歴史が新しいことがさまざまな資料から紹介されていく。
嬰児の墓、戦死者の墓といったものまで扱いつつ、説得的な議論が展開されていく。
埋葬や先祖供養の在り方が、時代とともにどんどん変わっていることが分かり、非常に驚かされた。
墓は誰にでも関係するものだ。かならず読むべし。
本書は、先祖供養や墓の整備についていくつかの側面から分析したもの。
なかでも力を入れられているのは、現在のような四角い石塔式の「**家の墓」がいつから発生したかという問題だ。そして、意外に歴史が新しいことがさまざまな資料から紹介されていく。
嬰児の墓、戦死者の墓といったものまで扱いつつ、説得的な議論が展開されていく。
埋葬や先祖供養の在り方が、時代とともにどんどん変わっていることが分かり、非常に驚かされた。
墓は誰にでも関係するものだ。かならず読むべし。
2007年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「お墓」の誕生というタイトルを見て、古代からのお墓の変遷を書いてあるのかと思って購入しましたが
内容は「お墓の持つ意味」という感じでしたので星3つ。
でも、まだまだ土葬だった頃の埋葬の仕方や嬰児の埋葬方法など興味深かったです。
最初のほう、だらだら書かれていてダレましたが・・・
あとがきで「いっきに書き上げた」と書いていらっしゃるので仕方ないですかね。
内容は「お墓の持つ意味」という感じでしたので星3つ。
でも、まだまだ土葬だった頃の埋葬の仕方や嬰児の埋葬方法など興味深かったです。
最初のほう、だらだら書かれていてダレましたが・・・
あとがきで「いっきに書き上げた」と書いていらっしゃるので仕方ないですかね。