自らが属する市場の状況や自社の資源をしっかり認識し、誰からも異論のない
施策を実行していく。そんな「強み云い」の会社は、いつか破綻する。
いつかは世の中が変わって、だんだん自分の置かれた場所は小さくなっていく。
だから、経営者は跳ばなければならない。
跳ぶためには、将来の事業に関するビジネス・インサイトの存在が欠かせない。
そして、経営にとって欠かせない力「ビジネス・インサイト」を創造するには
「暗黙に認識する」ことと「対称に棲み込むこと」が必要となる。
とくに最後の『第6章:経営における偶有性』が印象的でした。
著者の研究の重要な方向性のひとつに“偶有性のマネジメント”がありますが、
あいかわらずそれを追求しているのだなと思いました。
イギリスの天才数学者で理論物理学者のロジャー・ペンローズの言葉に『創造する
ことは思い出すことに似ている』というのがあります。
本書を読み終えたとき、この言葉の意味について、理解を深められた気がしました。
以下、第6章の概要です。
コミュニケーションは誤解の連続。
発話の意味を決めているのは発話者の意図ではなく、応答者の応答であり、
その応答者の応答も、それを聞くさらなる応答者の応答によってしか意味を
得ることはできない。
つまり、コミュニケーションの中で何がおきているかは、そのつどコミュニ
ケーションの進行の中でしか決まらないことを意味する。
(これを具体的な会話の例を挙げながら非常にわかりやすく説明)
価値は使用と伝達の間で生成する。
価値が技術や製品の中にアプリオリ(先天的)に存在するわけではなく、
技術と欲望のマッチングの中で生まれる。
・伝統的モデル: 価値→伝達→使用
・新モデル : 伝達→価値←使用
そして、当事者たちは事前にその価値を知ることはできない。
そのマッチングを偶然のものとして理解できるだけ。
そのような偶有世界に対処するには、対称に棲み込み、暗黙に認識することが
必要。「顧客との共同制作物を作る」という感覚。
働きかける側と対象に切り分けるのではなく、両者を、相互に依存し、影響し
あうひとつのシステムとして認識しようとする姿勢。
そうした「共同の意思」こそが唯一残された判断の拠り所。
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ビジネス・インサイト: 創造の知とは何か (岩波新書 新赤版 1183) 新書 – 2009/4/21
石井 淳蔵
(著)
- ISBN-104004311837
- ISBN-13978-4004311836
- 出版社岩波書店
- 発売日2009/4/21
- 言語日本語
- 本の長さ248ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2009/4/21)
- 発売日 : 2009/4/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 248ページ
- ISBN-10 : 4004311837
- ISBN-13 : 978-4004311836
- Amazon 売れ筋ランキング: - 358,253位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,640位岩波新書
- - 24,772位投資・金融・会社経営 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
示唆に富んでいるが、もう一息こなれていない。核心部分は、英訳出来そうもない瞑想的言い回しだ。
とはいえ、漠然と感じていた事を反芻出来たような読了感があり、ある意味で満たされる。
とはいえ、漠然と感じていた事を反芻出来たような読了感があり、ある意味で満たされる。
2009年6月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
経営学の本を読むのは苦手でした。「社長訓話」とでもいうべき企業家の経営持論が体系を作らぬまま箇条書きのように書いてあるか、または現場の経営を知らない「経営学者」が、一見科学的に見える客観的証拠を積み重ねて体系を構築しようとしているものの、Trivialな後付けばかりで「目からうろこ」体験のないことが多いからです。けっきょくは全体を一貫して流れる思想がないからなのでしょう、私は辟易してしまって多くの場合、50ページあたりで投げ出してしまったものです。いつしか「経営書」も「経営学書」も買わなくなってしまいました。
つい先日、そんな私に、ある親しい友人がこの「ビジネス・インサイト」の本のことを教えてくれました。「貴兄の領域と重なっていますよね」と、彼はメールをしてきたのです。
さあこれは読まざるを得ないか、と私は腹をくくって読みました。以下は、その感想です。
経営学者が書いた本なので元より「社長訓話」ではありえませんでしたが、「一見科学的に見える客観的証拠を積み重ねて体系を後付けで構築しようとする」タイプでもなく、とりあえずは私が読了できた数少ない経営学書の一つとなりました。そして一貫して流れる思想が確かにありました。
著者は、従来の実証主義経営学の限界を指摘します。従来の方法論、すなわち科学的な情報処理という理論パラダイムの上に概念モデルを構築しその上に検証可能な命題を置くという方法論に従ってしまうと、刻々と変わる「状況」のダイナミクスについていけなくなるからだというのです。
では「状況に対応しながら解決する」場当たり主義や「まずはやってみよう」という行動主義で解決できるか、といえば、それはちがいます。彼は、断片的な事実から全体を見通すことを通じて、未来に向けてビジネス成功のカギとなる要素を見通す力、すなわち「ビジネス・インサイト」に焦点をあてるべきだと論じます。
ビジネス・インサイトの典型的な例は、たとえばヤマト運輸の小倉昌男が、ニューヨークの十字路の回りに4台のUPSの集配車が停まっているのを見た瞬間に起きました。彼は、区域を広げて作業効率を下げてしまうのではなく、集配密度を上げ、車両を増やし担当受け持ち領域を狭く取ることによって「集配車両単位で固定費を上回る収益を上げることができる」というビジネス・インサイトを獲得したのでした。
ここまでは、著者独自の思想で読むものをぐいぐいと引っ張ってくれました。ところが、第3章で、マイケル・ポラニーの「暗黙知の次元」を引用しながら、ビジネス・インサイトを解明しようとしたあたりから雲行きが怪しくなります。「インサイトは、確かに起こりうる。その天啓のようなインサイトは、われわれが日常目にするビジネスの誕生において重要な役割を果たすだけでなく、科学、なかでも一段高く近づきがたいと思われている物理学や化学の先進的な分野でも大きい重要な位置を占めている」と書いてみるものの、ポラニーを超える思想にいたってはいません。
第4章、第5章で、著者は、必然的に偶然性をともなう「ビジネス・インサイト」を分析するツールとしてのケース・リサーチに着目します。しかしながら、「偶有性を丹念に記述する」という方法論を述べるに留まっていて、ビジネスにおける暗黙知(ここではtacit knowledgeではなくtacit knowing)とは何なのか、それが科学における暗黙知(これは、ポラニーがよく分析している)とはどうちがうのかを論ずるに至っていません。
さて、全体を通して気になったことが二つあります。
一つは、「自然科学」に対する大いなる誤解です。たとえば著者は「自然科学が対象とする世界では、「真理は一つ」だから(厳密にいうとそう信じることができるから)である。物理学や化学で発見された法則は、普遍の唯一無二の法則であって、誰もが条件さえ整えば観察できる法則である」(p34)と書いていますが、これは浅薄な認識です。たとえば朝永振一郎が「物理学とは何だろうか」のなかで「物理学を定義することも、それにかわる公理群を定めることも不可能です。なぜなら、物理学という学問は、現在にいたるまで絶えず変化しており、将来も変化するにちがいないからです。…」と書いているように、科学もまたトマス・クーンの意味での「パラダイム」を背負っていて、人間の認識と深くかかわっているのです。
もう一つは自然科学の発見プロセスにかかわる事実誤認です。たとえば著者は「プランクもアインシュタインも、量子論や相対性理論という意味ある全体を認識したのはこのプロセス(近位項→遠隔項)にしたがっている。だが、彼らも、彼らが狙った遠隔項ないしそれを一部とする全体像を手に入れたとき、その近位項がどのようなもので、それが遠隔項を構成するためにどのような働きをしたのかわからない。つまり、そのプロセスを再現できない」(p107)と書いていますが、これはまちがっています。プロセスはぎりぎりの所まで再現可能であって、そこで理解しえたプロセスの一つ一つに私たちはプランクやアインシュタインの魂を感じることさえできるのです。
また、プランクが量子論の創始者であるという事実誤認(正しくは量子論の父ないし光量子仮説の創始者)は、ポラニーに責任があるので目をつぶるとしても、「アインシュタインが発見した相対性理論において、光の定義・意味がそれまでとは違ってしまっているという話を思い浮かべればよい」(p228)と書いてしまったのは、いただけません。文科系大学院でも、文科系のために特別に編成した「科学」を教えること、とりわけ「物理学」を教えることが、心から必要だと痛感します。その科目の中では、単なる「物理・化学通史」ではなく、たとえばプランクやアインシュタインがどのようにしてみずからのインサイトを獲得したのか、を数式をもちいながら説明するような、まったく新しい教育の試みがなされるべきでしょう。
つい先日、そんな私に、ある親しい友人がこの「ビジネス・インサイト」の本のことを教えてくれました。「貴兄の領域と重なっていますよね」と、彼はメールをしてきたのです。
さあこれは読まざるを得ないか、と私は腹をくくって読みました。以下は、その感想です。
経営学者が書いた本なので元より「社長訓話」ではありえませんでしたが、「一見科学的に見える客観的証拠を積み重ねて体系を後付けで構築しようとする」タイプでもなく、とりあえずは私が読了できた数少ない経営学書の一つとなりました。そして一貫して流れる思想が確かにありました。
著者は、従来の実証主義経営学の限界を指摘します。従来の方法論、すなわち科学的な情報処理という理論パラダイムの上に概念モデルを構築しその上に検証可能な命題を置くという方法論に従ってしまうと、刻々と変わる「状況」のダイナミクスについていけなくなるからだというのです。
では「状況に対応しながら解決する」場当たり主義や「まずはやってみよう」という行動主義で解決できるか、といえば、それはちがいます。彼は、断片的な事実から全体を見通すことを通じて、未来に向けてビジネス成功のカギとなる要素を見通す力、すなわち「ビジネス・インサイト」に焦点をあてるべきだと論じます。
ビジネス・インサイトの典型的な例は、たとえばヤマト運輸の小倉昌男が、ニューヨークの十字路の回りに4台のUPSの集配車が停まっているのを見た瞬間に起きました。彼は、区域を広げて作業効率を下げてしまうのではなく、集配密度を上げ、車両を増やし担当受け持ち領域を狭く取ることによって「集配車両単位で固定費を上回る収益を上げることができる」というビジネス・インサイトを獲得したのでした。
ここまでは、著者独自の思想で読むものをぐいぐいと引っ張ってくれました。ところが、第3章で、マイケル・ポラニーの「暗黙知の次元」を引用しながら、ビジネス・インサイトを解明しようとしたあたりから雲行きが怪しくなります。「インサイトは、確かに起こりうる。その天啓のようなインサイトは、われわれが日常目にするビジネスの誕生において重要な役割を果たすだけでなく、科学、なかでも一段高く近づきがたいと思われている物理学や化学の先進的な分野でも大きい重要な位置を占めている」と書いてみるものの、ポラニーを超える思想にいたってはいません。
第4章、第5章で、著者は、必然的に偶然性をともなう「ビジネス・インサイト」を分析するツールとしてのケース・リサーチに着目します。しかしながら、「偶有性を丹念に記述する」という方法論を述べるに留まっていて、ビジネスにおける暗黙知(ここではtacit knowledgeではなくtacit knowing)とは何なのか、それが科学における暗黙知(これは、ポラニーがよく分析している)とはどうちがうのかを論ずるに至っていません。
さて、全体を通して気になったことが二つあります。
一つは、「自然科学」に対する大いなる誤解です。たとえば著者は「自然科学が対象とする世界では、「真理は一つ」だから(厳密にいうとそう信じることができるから)である。物理学や化学で発見された法則は、普遍の唯一無二の法則であって、誰もが条件さえ整えば観察できる法則である」(p34)と書いていますが、これは浅薄な認識です。たとえば朝永振一郎が「物理学とは何だろうか」のなかで「物理学を定義することも、それにかわる公理群を定めることも不可能です。なぜなら、物理学という学問は、現在にいたるまで絶えず変化しており、将来も変化するにちがいないからです。…」と書いているように、科学もまたトマス・クーンの意味での「パラダイム」を背負っていて、人間の認識と深くかかわっているのです。
もう一つは自然科学の発見プロセスにかかわる事実誤認です。たとえば著者は「プランクもアインシュタインも、量子論や相対性理論という意味ある全体を認識したのはこのプロセス(近位項→遠隔項)にしたがっている。だが、彼らも、彼らが狙った遠隔項ないしそれを一部とする全体像を手に入れたとき、その近位項がどのようなもので、それが遠隔項を構成するためにどのような働きをしたのかわからない。つまり、そのプロセスを再現できない」(p107)と書いていますが、これはまちがっています。プロセスはぎりぎりの所まで再現可能であって、そこで理解しえたプロセスの一つ一つに私たちはプランクやアインシュタインの魂を感じることさえできるのです。
また、プランクが量子論の創始者であるという事実誤認(正しくは量子論の父ないし光量子仮説の創始者)は、ポラニーに責任があるので目をつぶるとしても、「アインシュタインが発見した相対性理論において、光の定義・意味がそれまでとは違ってしまっているという話を思い浮かべればよい」(p228)と書いてしまったのは、いただけません。文科系大学院でも、文科系のために特別に編成した「科学」を教えること、とりわけ「物理学」を教えることが、心から必要だと痛感します。その科目の中では、単なる「物理・化学通史」ではなく、たとえばプランクやアインシュタインがどのようにしてみずからのインサイトを獲得したのか、を数式をもちいながら説明するような、まったく新しい教育の試みがなされるべきでしょう。
2009年10月12日に日本でレビュー済み
「ビジネスインサイト」…それは新しいビジネスモデルが生まれるときに働く知。
序章での「経営者は跳ばなければいけない」というキャッチーな引用に始まり、実証主義経営の限界をクリステンセンの著書(イノベーションのジレンマ)などを紹介しつつ指摘し、実証に基づきながらも「跳ぶ」瞬間=「ビジネスインサイト」の必要性を主張します。
ヤマト運輸における小口宅配ビジネスへの気づきなど、第2章での事例紹介は著者のいう「ビジネスインサイト」の概念を理解するには十分な事例ばかり。他にも、ダイエー、セブンイレブン、ネスレ(キットカット)、カルビーなど、豊富な事例が紹介されます。このあたりはマーケティング分野の第一人者である著者ならではといえるでしょう。
ポランニーやプランクと関連付けた後半はかなり読みにくく理解しにくい内容だったのが残念ですが、「インサイト」が大事、ということはよく分かりました。自分の仕事に置き換えていろいろ想像するところがありました。知的想像力を刺激されるという点で有益な一冊かと思います。
序章での「経営者は跳ばなければいけない」というキャッチーな引用に始まり、実証主義経営の限界をクリステンセンの著書(イノベーションのジレンマ)などを紹介しつつ指摘し、実証に基づきながらも「跳ぶ」瞬間=「ビジネスインサイト」の必要性を主張します。
ヤマト運輸における小口宅配ビジネスへの気づきなど、第2章での事例紹介は著者のいう「ビジネスインサイト」の概念を理解するには十分な事例ばかり。他にも、ダイエー、セブンイレブン、ネスレ(キットカット)、カルビーなど、豊富な事例が紹介されます。このあたりはマーケティング分野の第一人者である著者ならではといえるでしょう。
ポランニーやプランクと関連付けた後半はかなり読みにくく理解しにくい内容だったのが残念ですが、「インサイト」が大事、ということはよく分かりました。自分の仕事に置き換えていろいろ想像するところがありました。知的想像力を刺激されるという点で有益な一冊かと思います。
2009年9月1日に日本でレビュー済み
自然科学(生物)に従事しているので経営学など全く専門外なのであるが,非常に共感するところが多く,面白く読めた.他のレビューで指摘されている事実誤認や論理の展開に無理がある点などあるのだろうが,批判的なレビューが気になったので書き込んだ次第である.私の業界(自然科学/生物系)では,研究者は今や誰でもなれる時代で,きちんとした論理にしたがってすなわち論理実証主義に基づいて地道にコツコツ研究すれば才能がなくても成果が評価されるという傾向があるが,これはやばい.ビジネスでも自然科学でも”あっ,これだ”と閃くのが面白いのであり,大切である.これは別に天才だけに与えられた特権ではない.いろいろな戦略やシナリオ,これを自然科学では真理と呼んだりするが,を日夜考え,いいアイディアを思いついた者が勝ちである.指南書ではあるまい.
2010年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
できるだけ、いろいろなことを俯瞰した立場でみれるようになれば、現在持っているアイデア以外の新しいアイデアを得ることができるのではないかと思い購入通読
読んでみると、ビジネスの中で何か新しい基軸となりえるものを発見する動き<ビジネスインサイト>を発見しそれを活用するために必要なことを記載していくれている。特におもしろかったのは、暗黙知の扱い。暗黙知がゴールではなく、暗黙知を感じることのできる状態を「知の暗黙の次元」と表現してその状態に「住み込む」ことでビジネスにおいても現在見えていないものが見えてくると提言してくれてる。本書でも指摘してくれているとおり、実証主義だけではな現在のビジネスシーンでは限界がきていてそれを埋めるべく、知の暗黙の次元の利用を提言してくれているのだと思う。また、事業定義のデコンストラクションが進み、最終的に組織が生き残るには「目的」を共有し続けることというのも非常に面白い。
新しいことを、世間ではまだ認知できていないことを考える必要があるときには本書で記載されている手法は役に立つときが来るかもしれない。
読んでみると、ビジネスの中で何か新しい基軸となりえるものを発見する動き<ビジネスインサイト>を発見しそれを活用するために必要なことを記載していくれている。特におもしろかったのは、暗黙知の扱い。暗黙知がゴールではなく、暗黙知を感じることのできる状態を「知の暗黙の次元」と表現してその状態に「住み込む」ことでビジネスにおいても現在見えていないものが見えてくると提言してくれてる。本書でも指摘してくれているとおり、実証主義だけではな現在のビジネスシーンでは限界がきていてそれを埋めるべく、知の暗黙の次元の利用を提言してくれているのだと思う。また、事業定義のデコンストラクションが進み、最終的に組織が生き残るには「目的」を共有し続けることというのも非常に面白い。
新しいことを、世間ではまだ認知できていないことを考える必要があるときには本書で記載されている手法は役に立つときが来るかもしれない。
2012年12月7日に日本でレビュー済み
ビジネスで将来を見通す力を「ビジネス・インサイト」と題し、
その重要性・見つけ方を種々のケースから論じる内容。
結論としては、プロシューマーに至っている。
この結論自体は自分もその重要性は感じているが、
結論に至るまでが非常にアカデミック寄りであるため、難解と感じた。
もう少し分かりやすい内容であれば、万人にお薦め出来る内容だったと思う。
その重要性・見つけ方を種々のケースから論じる内容。
結論としては、プロシューマーに至っている。
この結論自体は自分もその重要性は感じているが、
結論に至るまでが非常にアカデミック寄りであるため、難解と感じた。
もう少し分かりやすい内容であれば、万人にお薦め出来る内容だったと思う。
2009年12月7日に日本でレビュー済み
石井淳蔵は名著『マーケティングの神話』でいわゆる計画制御的アプローチの欺瞞性を鋭く指摘した。これを、ポストモダン思想の経営学への応用と看做す向きがあるが、それは正しくない。なぜなら石井は具体的な現場での人々の行動を問題にし、それを読み解く営為を重ね、そのなかから独自の思想を生み出しているからである。同書を出版した際に石井は実務家の友人から「話はわかった。しかし、われわれへの指針は何か?」と問われたという。その後の15年の思索の成果が本書であり、ビジネス・インサイトの生まれる瞬間に棲み込むことでその問いに応えるものである。