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新しい世界史へ――地球市民のための構想 (岩波新書) 新書 – 2011/11/19
羽田 正
(著)
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グローバル化が進み、ますます一体となりつつある現代世界。従来のヨーロッパを中心とした世界史像は、もはや刷新されるべき時を迎えている。いまこの時代にふさわしい歴史叙述とはいかなるものか。歴史認識のあり方、語り方を問い直し、「世界はひとつ」をメッセージに、地球市民のための世界史を構想する。
- ISBN-104004313392
- ISBN-13978-4004313397
- 出版社岩波書店
- 発売日2011/11/19
- 言語日本語
- 本の長さ220ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2011/11/19)
- 発売日 : 2011/11/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 220ページ
- ISBN-10 : 4004313392
- ISBN-13 : 978-4004313397
- Amazon 売れ筋ランキング: - 225,058位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,056位岩波新書
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2023年6月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世界史について、当たり前と思っていたことが、実はいくつもの偏りのある見方だったことに気付かせてくれて刺激的である。
2022年5月26日に日本でレビュー済み
目から鱗の名著です。
歴史観は人の思考の枠組みとなります。だからこそ自由で多様な歴史観があっても
いいのに、多分高校における歴史教育の影響の下で、似たようなものができあがる。
これが実態だと思います。
本書は、そうした現状に対して「それでいいのですか?」という問いをいくつも幾つも
提示してくれます。
本が好き、勉強が好きという方にとって必読の一冊としておすすめしたいです。
歴史観は人の思考の枠組みとなります。だからこそ自由で多様な歴史観があっても
いいのに、多分高校における歴史教育の影響の下で、似たようなものができあがる。
これが実態だと思います。
本書は、そうした現状に対して「それでいいのですか?」という問いをいくつも幾つも
提示してくれます。
本が好き、勉強が好きという方にとって必読の一冊としておすすめしたいです。
2022年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
冷戦終結後、世界のグローバルな交流と一体化が進むかと思われたが、21世紀に入ってテロや戦争が続発し、民主主義国家はかえって減少したと言われている。そして、ウクライナ戦争勃発以降は冷戦時に逆戻りしたかのような世界のブロック化の進展である。
こうした世界の状況を理解する参考になるかと思って本書を読んだが、全く期待外れであった。
まず、著者のいう「新しい世界史」の世界史像がわからない。
「地球市民」とか「地球はひとつ」とスローガンのように繰り返されるが、so what ? (それがどうした)である。まるでかつての「宇宙船地球号」とか「世界は一家、人類は皆兄弟」みたいではないか。
過去の世界史として著者が引用する上原専禄の『日本国民の世界史』(1960年)は次のように、世界史教育の理念と目標を明確に語っていた。
「世界平和の維持と創造、政治・経済・社会・文化の諸面における日本の主体性と自律性の確立、国民の生活水準の向上、社会生活の不合理さの除去、個人の自由と人格の尊厳との確保などの問題を考える」
また、戦後のマルクス主義歴史学は労働者・農民階級の解放、搾取の廃絶、植民地支配からの諸民族の解放といった歴史観を示しており、その大本には、「自由の理念の実現」というヘーゲルの歴史哲学がある。
こうした明確な目的意識を持った過去の世界史像に対し、「地球市民」として世界史を語る意味は一体何か?
著者は、兼原信克に従って、①法の支配、②人間の尊厳、③民主主義の諸制度、④国家間暴力の否定、⑤勤労と自由市場を「重要価値」として挙げるが、このうち①~③は近代西欧由来の立憲主義の中核理念である。ところが、著者はこれはヨーロッパだけではなく、世界各地、過去の日本や中国にもあったというから目を疑う。
著者は①を「いかなる権力も法の下にある」、②を「人間を大切にする」という兼原の説明をそのまま引用しているが、これは理念を全く薄めて換骨奪胎したものというしかない。「人間の尊厳」とは個人を最高の価値原理とする思想であり、この価値原理(基本権としての自由と人権)により国家権力や社会的権力を制限するのが「法の支配」(法治主義とは異なる)、それを保障する政治体制が「民主主義」なのである。もちろん、こうした価値理念は過去の日本や中国に存在したわけがないし、現代中国やロシアなどの非民主主義国家にも存在しない。
著者は繰り返し「ヨーロッパ中心史観」を否定するが、これは過去にも様々な観点から批判されてきたものだ。
しかし、歴史的事実として、大航海時代以来のヨーロッパ諸国の世界的規模での活動が世界史推進に大きな役割を果たし、産業革命以降は科学技術の革新による生産力の飛躍的増大と軍事力の強化で全世界を席巻したことは否定できない。著者は、ヨーロッパだけでなく世界の諸国民もこれらの歴史に貢献したというが、そうした平板な理解では、歴史の推進力とその反作用、支配と抵抗といったダイナミズムは全く視野の外に置かれてしまうだろう。
著者はまた、時系列的歴史理解も排除し、原因結果での歴史の説明をしないという。しかし、歴史上の大きな変動や事件をもたらした原因を探求し、それをもたらした個々人や集団、あるいは文化や思想の役割を解明しない歴史学に一体何の意味があるのだろうか。
近代ヨーロッパが世界史に果たした役割を承認したうえで、個人の尊厳や自由、民主主義といった理念を世界規模でどう実現するのか、それが問われているのではないか。
こうした世界の状況を理解する参考になるかと思って本書を読んだが、全く期待外れであった。
まず、著者のいう「新しい世界史」の世界史像がわからない。
「地球市民」とか「地球はひとつ」とスローガンのように繰り返されるが、so what ? (それがどうした)である。まるでかつての「宇宙船地球号」とか「世界は一家、人類は皆兄弟」みたいではないか。
過去の世界史として著者が引用する上原専禄の『日本国民の世界史』(1960年)は次のように、世界史教育の理念と目標を明確に語っていた。
「世界平和の維持と創造、政治・経済・社会・文化の諸面における日本の主体性と自律性の確立、国民の生活水準の向上、社会生活の不合理さの除去、個人の自由と人格の尊厳との確保などの問題を考える」
また、戦後のマルクス主義歴史学は労働者・農民階級の解放、搾取の廃絶、植民地支配からの諸民族の解放といった歴史観を示しており、その大本には、「自由の理念の実現」というヘーゲルの歴史哲学がある。
こうした明確な目的意識を持った過去の世界史像に対し、「地球市民」として世界史を語る意味は一体何か?
著者は、兼原信克に従って、①法の支配、②人間の尊厳、③民主主義の諸制度、④国家間暴力の否定、⑤勤労と自由市場を「重要価値」として挙げるが、このうち①~③は近代西欧由来の立憲主義の中核理念である。ところが、著者はこれはヨーロッパだけではなく、世界各地、過去の日本や中国にもあったというから目を疑う。
著者は①を「いかなる権力も法の下にある」、②を「人間を大切にする」という兼原の説明をそのまま引用しているが、これは理念を全く薄めて換骨奪胎したものというしかない。「人間の尊厳」とは個人を最高の価値原理とする思想であり、この価値原理(基本権としての自由と人権)により国家権力や社会的権力を制限するのが「法の支配」(法治主義とは異なる)、それを保障する政治体制が「民主主義」なのである。もちろん、こうした価値理念は過去の日本や中国に存在したわけがないし、現代中国やロシアなどの非民主主義国家にも存在しない。
著者は繰り返し「ヨーロッパ中心史観」を否定するが、これは過去にも様々な観点から批判されてきたものだ。
しかし、歴史的事実として、大航海時代以来のヨーロッパ諸国の世界的規模での活動が世界史推進に大きな役割を果たし、産業革命以降は科学技術の革新による生産力の飛躍的増大と軍事力の強化で全世界を席巻したことは否定できない。著者は、ヨーロッパだけでなく世界の諸国民もこれらの歴史に貢献したというが、そうした平板な理解では、歴史の推進力とその反作用、支配と抵抗といったダイナミズムは全く視野の外に置かれてしまうだろう。
著者はまた、時系列的歴史理解も排除し、原因結果での歴史の説明をしないという。しかし、歴史上の大きな変動や事件をもたらした原因を探求し、それをもたらした個々人や集団、あるいは文化や思想の役割を解明しない歴史学に一体何の意味があるのだろうか。
近代ヨーロッパが世界史に果たした役割を承認したうえで、個人の尊厳や自由、民主主義といった理念を世界規模でどう実現するのか、それが問われているのではないか。
2012年5月14日に日本でレビュー済み
著者は東大副学長で専門は比較歴史学、世界史。
地球市民としての視点に立ち、
現行の世界史の枠を越えて、より大きな視点から世
界史を描きなおそうとする試みがまとめられています。
現行の世界史には、
'@自国中心、'A差異の強調、'Bヨーロッパ中心史観
という3つの問題があり、これを克服していくことが必要であると説く。
では新しい世界史はどう構想されるべきなのか。
基本コンセプトとして、地球市民としての帰属意識を持つべく、
「差異」ではなく、「共通項」に着目して捉えなおす試みが必要と著者はいう。
本書は、新しい世界史を構想する壮大な研究の方向性を語った、
いわば、マニフェストであり、
そのため、具体性に欠ける点は否めませんが、研究のスケールの大きさと、
歴史学が持つ力を知ることができ、大変読み応えのある一書です。
歴史に興味がない方でも構成が非常にきれいな本のため、
スムーズに読み進めることができると思いますので、
ぜひ手にとって見てください。
地球市民としての視点に立ち、
現行の世界史の枠を越えて、より大きな視点から世
界史を描きなおそうとする試みがまとめられています。
現行の世界史には、
'@自国中心、'A差異の強調、'Bヨーロッパ中心史観
という3つの問題があり、これを克服していくことが必要であると説く。
では新しい世界史はどう構想されるべきなのか。
基本コンセプトとして、地球市民としての帰属意識を持つべく、
「差異」ではなく、「共通項」に着目して捉えなおす試みが必要と著者はいう。
本書は、新しい世界史を構想する壮大な研究の方向性を語った、
いわば、マニフェストであり、
そのため、具体性に欠ける点は否めませんが、研究のスケールの大きさと、
歴史学が持つ力を知ることができ、大変読み応えのある一書です。
歴史に興味がない方でも構成が非常にきれいな本のため、
スムーズに読み進めることができると思いますので、
ぜひ手にとって見てください。
2011年12月13日に日本でレビュー済み
著者は現在、日本で教えられている世界史について、ヨーロッパ中心、日本視点、差異の強調という欠点があり、視点がゆがめられられてしまうことを、本書で指摘している。これにかわる「地球市民の世界史」として、時系列の排除、国家や民族単位でくくるのではなく、職能、地域などの人間集団からとらえた視点や同時代の地域同士をヨコでつないだ見方を提示する。確かに、7世紀の中東がすべてイスラムで沸き返ったわけではないだろうし、「19世紀のイギリスが産業革命や貿易で莫大な富を得た」と記述されても、そうでもない農民もいるのだろう。日本だって「震災後、不況の日本を生きている」と言っても、被災地と東京では、まったく見える生活の姿は異なるし、消費税増税やTPPだって反対もいれば賛成もいる。国家で歴史を語るのは、手っ取り早くて理解しやすいが、危うさもある。
しかし、本書の内容はかなり観念的でもある。著者は「興亡の世界史15」で本書で提示する歴史観でダイナミックなアジアの海洋史を描き高く評価されたが、高度に体系化され試験科目として適応した「世界史」として、著者の提示する「世界史」をどう教えるのだろうか、という気もした。
しかし、本書の内容はかなり観念的でもある。著者は「興亡の世界史15」で本書で提示する歴史観でダイナミックなアジアの海洋史を描き高く評価されたが、高度に体系化され試験科目として適応した「世界史」として、著者の提示する「世界史」をどう教えるのだろうか、という気もした。
2012年1月15日に日本でレビュー済み
歴史教育とはいったい誰のためにあるのか?本書における「新しい世界史」においては、副題にあるとおり「地球市民」のためである。では、その「新しい世界史」とはなにか?
タイトルに釣られて本書を読んでみたわけだが、実はその答えはまだ存在していなかった。『新しい世界史へ』というタイトルにあるとおり、これから「新しい世界史」を作っていくための提言の書である。
なぜ、「新しい世界史」が必要なのか?現在の「世界史」の何が問題で、どのように「新しい世界史」を作っていくのか?それが本書のテーマである。
歴史学は、それぞれの国民国家が成立していく過程で、国家が国民の思想形成を行うために作った学問である。たとえば、戦前日本においては、日本を対象とする国史、追いつき追い越す対象であった西洋の西洋史、日本が教え導く対象であった東洋の東洋史という枠組みから構成される。
それが、戦後、中高教育では、西洋史・東洋史が廃止され「世界史」となるが、個別の歴史の集約に過ぎず、多少の改善をしつつ現在に至るが、いまだヨーロッパ中心に描かれている。
国民の思想形成を行うための学問であるがために、国が違えば、教えている歴史の内容が異なる。本書では、フランスの歴史教科書の目次、中国の世界史教科書の目次を提示している。フランスでは、東洋のことはほとんど教えられていない。中学では世界史を含む社会科を履修している日本では、中国の王朝名やフランス革命のことは、多くの人が知っているだろう。しかし、フランスの教科書には、ほとんど東洋のことは触れられていない。日本についての初見は明治維新や日露戦争であり、フランス人にとって、明治維新前の日本の歴史は存在しない。
あらためて考えさせられたのは、我々が「歴史」だと思っているものは、実は「事実」というよりも「認識」でしかないことである。国が違えば、認識が違う。隣国との間でたびたび「歴史認識」が問題となるが、学んでいる内容が全くことなるので、共通の歴史認識を持つことは難しい。
冷戦が終結して20年。グローバル化は進展し、イデオロギー対立の問題は減少したとはいえ、貧困問題、テロ問題、環境問題、エネルギー問題等、一国では解決できない地球レベルの課題は山積みである。
さきに触れたとおり、歴史学は、国家が国民をリードするために作られた。しかし、現在の世界史は、これら世界の課題をリードしていない。個別の国家視点の「世界史」ではなく、これからの世界をリードする「地球市民」のための世界史が必要ではないだろうか?それが本書の提言である。
しかし・・・おっしゃることはよく分かるのだが、イデオロギー対立や宗教対立が存在する世界で、いったいどのように普遍的な歴史認識を持つことができるのであろうか。著者ご本人も言われている通り、極めて難しい課題である。
さいわい、日本は、徳川光圀が編纂した『大日本史』のように、国民国家形成前から歴史学が存在し、歴史学の長いルーツがあること、明治時代後も、西洋史や東洋史に取り組んできた経緯もあり、「新しい世界史」を作る上で、イニシアチブを取れる位置にあるように感じる。
タイトルに釣られて本書を読んでみたわけだが、実はその答えはまだ存在していなかった。『新しい世界史へ』というタイトルにあるとおり、これから「新しい世界史」を作っていくための提言の書である。
なぜ、「新しい世界史」が必要なのか?現在の「世界史」の何が問題で、どのように「新しい世界史」を作っていくのか?それが本書のテーマである。
歴史学は、それぞれの国民国家が成立していく過程で、国家が国民の思想形成を行うために作った学問である。たとえば、戦前日本においては、日本を対象とする国史、追いつき追い越す対象であった西洋の西洋史、日本が教え導く対象であった東洋の東洋史という枠組みから構成される。
それが、戦後、中高教育では、西洋史・東洋史が廃止され「世界史」となるが、個別の歴史の集約に過ぎず、多少の改善をしつつ現在に至るが、いまだヨーロッパ中心に描かれている。
国民の思想形成を行うための学問であるがために、国が違えば、教えている歴史の内容が異なる。本書では、フランスの歴史教科書の目次、中国の世界史教科書の目次を提示している。フランスでは、東洋のことはほとんど教えられていない。中学では世界史を含む社会科を履修している日本では、中国の王朝名やフランス革命のことは、多くの人が知っているだろう。しかし、フランスの教科書には、ほとんど東洋のことは触れられていない。日本についての初見は明治維新や日露戦争であり、フランス人にとって、明治維新前の日本の歴史は存在しない。
あらためて考えさせられたのは、我々が「歴史」だと思っているものは、実は「事実」というよりも「認識」でしかないことである。国が違えば、認識が違う。隣国との間でたびたび「歴史認識」が問題となるが、学んでいる内容が全くことなるので、共通の歴史認識を持つことは難しい。
冷戦が終結して20年。グローバル化は進展し、イデオロギー対立の問題は減少したとはいえ、貧困問題、テロ問題、環境問題、エネルギー問題等、一国では解決できない地球レベルの課題は山積みである。
さきに触れたとおり、歴史学は、国家が国民をリードするために作られた。しかし、現在の世界史は、これら世界の課題をリードしていない。個別の国家視点の「世界史」ではなく、これからの世界をリードする「地球市民」のための世界史が必要ではないだろうか?それが本書の提言である。
しかし・・・おっしゃることはよく分かるのだが、イデオロギー対立や宗教対立が存在する世界で、いったいどのように普遍的な歴史認識を持つことができるのであろうか。著者ご本人も言われている通り、極めて難しい課題である。
さいわい、日本は、徳川光圀が編纂した『大日本史』のように、国民国家形成前から歴史学が存在し、歴史学の長いルーツがあること、明治時代後も、西洋史や東洋史に取り組んできた経緯もあり、「新しい世界史」を作る上で、イニシアチブを取れる位置にあるように感じる。