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生きて帰ってきた男――ある日本兵の戦争と戦後 (岩波新書) 新書 – 2015/6/20

4.3 5つ星のうち4.3 151個の評価

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戦争とは、平和とは、戦後日本とは、いったい何だったのか。戦争体験は人々をどのように変えたのか。徴兵、過酷な収容所生活、経済成長と生活苦、平和運動への目覚め……とある一人のシベリア抑留者がたどった人生の軌跡が、それを浮き彫りにする。著者が自らの父・謙二の語りから描き出した、日本の20世紀。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2015/6/20)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2015/6/20
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 新書 ‏ : ‎ 352ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4004315492
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4004315490
  • 寸法 ‏ : ‎ 11.5 x 1.6 x 17.5 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 151個の評価

著者について

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小熊 英二
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2024年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
歴史的、社会的な背景の上に、個人のライフヒストリーを語ることによって、日本の戦前、戦中、戦後を生き生きと想い起こさせる。時代の経済的状況等の中に対象を据えているので、個人の動きから(庶民が見る)社会の姿、変化というものを強く感じさせる。柳田邦男、宮本常一らの民俗学的視点も感じさせるが、より歴史社会的視点が鮮明である。足が地についた学者の著した一級の庶民史であり、現代日本とは何かを考えさせる好著。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
日本社会のしくみを読んだ後に読んだことで、より面白さが増したように思う。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年3月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
著者の実父によるオーラルヒストリーです。

本書の特徴は、著者が述べている通り、戦前・戦中・戦後の体
験を均等に扱っている点にあります。
それらを冷静な語り口と淡々とした筆致で、丁寧に拾い上げて
行きます。
そしてこの調子が、延々と続いて行くことが、この本の美点で
す。

出征、シベリア抑留、結核療養所といった劇的な体験にも拘わ
らず、ドラマチックな所はありません。
射撃もせず、死体も見ないという戦争体験が、逆にリアルに感
じられます。

その中で最も盛り上がるのは、戦後補償裁判における「意見陳
述書」を読み上げる所です。
自らの体験を踏まえた上での、堂々たる主張が胸を打ちます。

著者が「あとがき」で述べているように、正に「生きられた20
世紀の歴史」となっていますので、民衆史・社会史としての意
義があるでしょう。
しかしそれ以上に、記憶とは聞き手と語り手の相互作用で作ら
れるという、著者の名言を具体化したものとして、実に幸福な
本と言えるでしょう。
14人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年12月15日に日本でレビュー済み
タイトルは、シベリア抑留から生還したことからつけられたものだが、ほぼ丸々昭和を生きた一人の男の生涯を、その時代背景とともに、著者の専門である農業経済史的なディテールを織り交ぜて、息子の視点から描いた作品である。
そういう意味で、過酷なシベリアでの出来事とその後日談が、圧倒的な力で読者に訴えかけて来ると共に、同時代の空気を吸って生きてきた我々にも、何か懐かしくもノスタルジックな想いを抱かせてくれる。
(何よりも戦後、シベリアで亡くなった戦友の家族との対面のエピソードには、涙を抑えられなかった。)
しかも、当時無意識に過ごしてきた日常に、いかなる社会経済史的なバックグラウンドがあったのかを知らしめてもくれる良書であり、中々に厚みのある読書体験をさせてもらった。
何か無性に、自分の父のことを、もっと知りたいと言う気持ちにさせられた(H31.2.16)。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年11月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
戦中戦後よりは、あまり語られず、注目もされてこなかった戦前の日本の雰囲気など、生きた人しか知りえない記録を語られていました。
戦争のことも知っておかなくちゃね、と思い読みました。
新書にしては分厚く、終盤は助長気味でした。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年11月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
既に数多くの好意的なレビューがあるので、文献的に論じたい。まず小熊謙二氏の年譜を記す。年齢は満年齢とするも、月日の記載がないところでは1歳の誤差がある。

 1925.10.30 北海道常呂郡佐呂間村に生まれる。父は行政書士
 1930.2.7(4歳)母芳江結核で死亡
 1932.7 (6歳)東京で菓子屋を営む母の父母・片山伊七・小千代に預けられ、杉並区立第三小学校へ編入。同年片山家は菓子屋から天麩羅屋に転業し、高円寺から中野区の借家に転居。謙二は電車通学する
 1938.04   (12歳)  早稲田実業に入学
 1942.12   (17歳)  早稲田実業を繰り上げ卒業。
 1943.01   (17歳)  富士通信機製造(株)に職員として入社
 1944.11.25 (19歳)  徴兵 12.28頃、牡丹江郊外の関東軍第一方面軍の逓信第十七連隊に配属
 1945.08.10 (19歳) 前線から牡丹江へ列車で避難。奉天で終戦。
 1945.09.20頃 ソ連の捕虜となる 10.28シベリア連邦管区チタ州の州都チタに到着。第二十四地区収容所第二分所に配属
 1948.07下旬 (22歳) 帰国命令を受ける。08.20ナホトカ経由、帰国船「大都丸」で真鶴港に到着。父の実家の新潟に着く。富士通信機製造に復職叶わず休職を持続 12月末新潟に戻る
 1949.01(23歳) 新聞広告で見つけた新潟市の「今枝ハム」に入社 3月富士通信機製造を退社。5月、市内の証券会社に転職 8月豚肉仲買「闇屋」に転職
 1950.01  餅菓子屋に勤める、職安から製版会社に就職
 1951.01(25歳) 肺結核と判り、製版会社を休職。3ヶ月間の自宅療養を経て、6月国立内野療養所に入院。52年5月胸部成形外科手術を受ける。
 1956.5(29歳)退院。入院前に勤めていた製版会社に再就職、仕事仲間の原健一郎と同居。出版社や工具店を転々とする
 1957.12中旬 学芸大学で事務職員をしている妹の秀子を頼って上京、四日市街道の秀子の3畳間のアパートに同居
 1958.01 「株式会社立川ストア」スポーツ部門に就職、外商販売員に。秀子とともに転居を繰り返す
 1959.09 昭島市第二種都営住宅(第六都営住宅)に当選し転居。新潟にいる父・雄次を呼び寄せて同居
 1961.11 (37歳)秀子の友人・藤岡寛子(32歳)と結婚 
 1962.05 広島に預けられていた寛子の連れ子・剛一と同居。06秀子結婚。07雄次新潟へ戻る。09英二誕生
 1963頃 「チタ会」を設立、65年会誌発行
 1966.01 (40歳) 同僚の大木と二人で独立し「立川スポーツ店株式会社」設立 
 1969.01  武蔵村山市に自宅新築
 1972.02  剛一自宅屋上から転落死。自宅を売却。立川市のマンションに転居。
 1975 (50歳)八王子のスポーツ用品店を買い取り、支店を出す。
 1978  (53歳)八王子市に新築。
 1982~ (57歳) ささやかな社会活動を始める。アムネスティーインターナショナル、「多摩川丘陵の自然を守る会」、NPO「加多厨」、「不戦戦士の会」等
 1991.07  抑留地のチタを訪問。小さな慰霊碑を建立。
 1996.9  シベリア抑留韓国中国籍軍人の保証訴訟に原告団に加わる 97年.01 第一回公判、同年05.13第二回公判 2001年東京高裁、2002年最高裁で請求却下
1998   (73歳)立川スポーツ(株)解散
2002   (77歳)脳梗塞で倒れる 2015年寛子死亡
2010.06 民主党政府により「シベリア特措法」が成立。
2015.06 (90歳)存命

著者は「あとがき」で、本書は①戦争体験を戦前戦後の生活史と結びつける ②個人史と社会学的な視点を結びつける、ことを意図し、これまでの「戦争体験記」とは異なる視点で書いたと述べる。新書という制限の中でその2点はバランス良く配分されていると感じる。

モデルは著者の父小熊謙二氏であるが、加えて氏や妻の父母の履歴も「前史」的に加えられる。日本各地から新天地北海道に陸続と移住した人々が見え、これを加えると維新以後の庶民の近現代史と言う射程を持つ。

それにしても著者は素晴らしい「主役」を得たものだ。記憶の確かさに加えて、困難な状況の中で常に中庸を保ち自分を相対化出来る、社会学者の父に相応しい人物だ。戦後の部分は読者の私の体験とも重なる。「大企業の雇用形態は日本の就業者数の二割に達したことさえないのに……この時代の日本社会の「典型的人間像」ないしは「安定的生活像」を創り出した」と著者は記すが、私も友人知人たちの全てもその数少ない大企業サラリーマンで、「典型的日本人像」以外の生活があることに無関心だったので、同時代の謙二氏の苦闘に目を開かされた。

シベリア抑留と帰国後の悪戦苦闘。結核療養所での生活等、確かにこういう体験をした人はいた。戦争、シベリア抑留、結核と「下の下」の状態から浮上するチャンスは「日本の社会というものは、いちど外れてしまうと、ずっと外れっぱなしになってしまう」という、当時の謙二氏の慨嘆は今もここにある。

生かしその後の謙二氏の「必死の働き」は「成功物語」と呼ぶに相応しいだろう。これより早くても遅くても駄目だったろうと、と述懐しているが、時流に乗るのも才覚の一つである。外商を主軸に置く経営は、淡々と語る以上の苦労があったと推測されるが、何よりも謙二氏の誠実さが世間の信を勝ち取ったのだろうと思う。金権主義的に頑張れば、更に大きな成功を収めたはずだが、引き際もきれいだった。

老後の謙二氏の社会活動にも驚いた。「軍隊・捕虜」は謙二にとっての被害者体験そのものだったのに、加害者としての責任の一端を背負おうとした。世に言う知識人の頭でっかちの観念とは一味違う、地についた良心を感じたのは私一人ではあるまい。効果を期待出来ずともやる姿勢には、例えばカミユの『ペスト』の主人公、「実存主義医師」ベルナール・リウーに通じるものがある。

社会史的には、かつての人々が保有していた厚い「血縁意識」にも心が奪われた。それがどうして消えてしまったのかにしばし思いを馳せたが、他人事として解析出来ても、自分を引き合いにだし、遠い親戚の困窮を扶けるべきかと問われれば「分からない」としか言えない。

文献学史的にまとめれば、本書はガヤトリ・C・スピヴァクが1998年に出版した『サバルタンは語ることが出来るか』に端を発し、90年代の従軍慰安婦をめぐるオーラルヒストリーの評価につながった「書かれない歴史」を引き継いでいる。この一つの庶民史が何時の日か歴史資料として参照されるかは、未だ誰にも分からないが、その価値は充分あると思う。
35人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年7月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
実によく調べている。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年8月9日に日本でレビュー済み
著者の父である小熊謙二に対し、2013年5月から12月に行われた聞き取りからなる民衆史・生活史であり、出版時点で89歳の謙二氏の来歴を辿るものである。タイトルからすれば戦争体験に焦点を当てた内容を予想させられるだろう。戦争・捕虜体験も本書の重要な要素ではあるのだが、約380ページのうちその時期に該当するのは第2章から4章の全体の三割弱であり、けっして戦争体験だけを切り取る意図で綴られたものではない。戦前と戦後から高度経済成長にいたるまでの日本の社会や風俗を、自らを「下の下」と称する謙二氏の記憶を通して鮮やかに映し出す。

戦争に関する一人の兵士の記録を期待していたが、早い段階でそのような著書ではないことに気付いた。だからといって当てが外れて裏切られたかといえば全くそんなことはなく、謙二氏が入営するまでの家族の来歴や庶民生活を読んだ時点でも期待以上で、戦争にまつわる情報だけを得たいという意識は早々に薄れた。とくに戦記ということに関しては、戦争末期の1944年11月に召集された謙二氏には実戦の機会は一度もなく、当人が言うようにシベリアに抑留されるためだけに満州に送りこまれたような結果となっており、明らかに戦記を期待するような読者に向けられた内容ではないため、その点は改めて注意したい。

あとがきにあるように、高学歴中産層による各種の記録は多く残されていても、著者の父のように貧しく学歴もコネもない民衆による記録を読む機会は限られており、あったとしても短い証言を集成したアンソロジーのようなもので、一生涯を貫くまとまった形の生活史は貴重ではないだろうか。本書は一人の名もない平凡な民衆が見た、昭和元年から戦争を経て豊かな時代に至る日本社会を知る格好の内容である。謙二氏の記憶と比較すれば、一般に知られている個々の時代の日本社会の様子は、やはり高学歴であったり公的組織や大企業に属する人々の「高い」視点からもたらされた偏ったものだと改めて思わずにいられない。

著者自身が指摘しているとおり、何といっても謙二氏が終始淡々としており、思い入れによってフェアな視点を崩されることがないうえに、優れた洞察力と記憶力を兼ね備えた人物であることが本書に資するところが非常に大きい。そのような人物は先述の通り、往々にして高い立場にあったり学歴を備えているケースが多く、結果的に地に足のついた民衆の視点から社会を見渡したような記録は残りにくいはずだが、謙二氏の人間性によって本書ではそのことが可能となっている。そんな謙二氏の視点で語られる80年ほどの日本社会を身近に感じ、抑留と結核療養でフイにした20代の十年間も、その後の高度成長期を背景にした仕事や家庭生活の様子にも強く引きつけられた。

生涯を語るということでは多くの伝記作品などが残されているが、功績が偉大すぎたり、環境の隔たりの大きさによって、結局は別世界の人間のお話だと鼻白むことが少なくなかった。その意味で本書は伝記作品の対極に位置する。語り手はあくまで一人の民衆であり、違う時代にありえた等身大の自分としてまさに身近に感じることができた。偶然から、私が求めていた生活史に出会えたという思いである。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート