この本は「いつか死ぬのになんで生きるの?」いわゆるニヒリズムの克服を主題としている。
真木氏は後半で上記の問の論理的な正当性は認めている。
しかし、なぜそのようなことを考えてしまうのかを分析しどうすればいいのかを考える。それが時間の比較社会学である。
まず、ニヒリズムの根底にあるのはコンサマトリー(現時充足的)な生からの疎外、つまり今を生きるのが辛いということである。そのようなとき、人はなぜ自分が生きているのかを思い、虚無感に襲われ、しまいには人生への気力をなくしていく。
どうすれば生きるのが楽しくなるのかという話は置いておくとして、一度人生に意味が無いと思ってしまったものはそれに苦しめられてしまうものである。
そこで真木氏はその原因を「未来へと無限に続く時間意識」と「過去へ消えていく時間意識」に見出し、時間意識の考察を始める。
無限に抽象化された時間はどのように生まれたのか。過去へと帰無していく時間はなぜ存在するのか。
このような問を古今東西の時間意識を往来しながら考察していき、我々の時間への感覚が絶対のものでないことを明らかにしていく。
最後、石牟礼道子を引用しながら、ニヒリズムの克服は生の共時性の感受性の獲得によってなされるとしている。
生の共時性の獲得が抽象的だが、それはおそらく、自分も自然の一部であることを忘れないということと、他者と関わりながら生きていくということだと思う。
思えば、私がニヒリズムに悩まされたのも、一人暮らしを始めて人との関わりが薄れていった頃だったかもしれない。そして自分が生まれたのは自然による働きで、生きているのも自然の働きで、死んでいくのも自然の働きである。
ニヒリズムに悩んでいる人へ。
真木氏が指摘しているように、「自然」と「他者」は虚無感克服の上で大きな鍵です。
つまるところ、人と自分に優しく自分に優しく、自然(どうにもならないこと)を忘れない。ということになると思う。
※虚無感や退屈感は精神の問題ではなく、肉体的な疲労やストレスが原因である場合も多いです。よく寝てよく動いてよく食べてから考えましょう。
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時間の比較社会学 (岩波現代文庫 学術 108) 文庫 – 2003/8/20
真木 悠介
(著)
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原始共同体,古代日本,ヘレニズムとヘブライズム,近代社会-文化と社会の形態によって異なる時間の感覚と観念を比較検討し,近代的自我に特有の時間意識がどのように形成されたかを,自然と人間,共同体と都市,市場と貨幣等々の関係のなかで解明する.近代世界の自己解放の運動の一環を担う比較社会学の深い洞察に満ちた労作.
- ISBN-104006001088
- ISBN-13978-4006001087
- 出版社岩波書店
- 発売日2003/8/20
- 言語日本語
- 寸法10.5 x 2 x 14.8 cm
- 本の長さ330ページ
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- 発売日 : 2003/8/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 330ページ
- ISBN-10 : 4006001088
- ISBN-13 : 978-4006001087
- 寸法 : 10.5 x 2 x 14.8 cm
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2017年6月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
真木(見田)さんの著作を読んだのは今回が初めて。
読まなきゃなと思って30年以上経ってしまった。
こういった場合、あの頃読んでもわかんなかったなというパターンと、あの時読んでおけばよかったというパターンがあるが、今回は後者。
貨幣と時間の類似性なんて論考は今読むよりもっとワクワクしただろう。
それより何より学術的な文章から未来を感じることができる、そんな感覚をあの頃味わいたかった。
先日、中上健次さんの「千年の愉楽」を読んだけど、本作を読んだ後だったらなお深く読めたかもしれない。
比較社会学がどんな学問かはよくわからないし、哲学、文学、歴史なども登場するので、ただ興味本位で本を手にする私にはスイスイ読めるものではなかった。
けれど、金田一耕助が寺の過去帳から謎解明の一端を見つけ出すかの如く、真木さんがいろいろな書物を取り上げて論を進める語り口は心地よいものだった。
日頃感じるどこか追い込まれるカンジや川辺で緑に囲まれている時のカンジ、その時間感覚とその時の心もちが本書を読むとなんとなくわかるし、そして、私は何をどうしようと考えているのかということに思いやる。
読まなきゃなと思って30年以上経ってしまった。
こういった場合、あの頃読んでもわかんなかったなというパターンと、あの時読んでおけばよかったというパターンがあるが、今回は後者。
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それより何より学術的な文章から未来を感じることができる、そんな感覚をあの頃味わいたかった。
先日、中上健次さんの「千年の愉楽」を読んだけど、本作を読んだ後だったらなお深く読めたかもしれない。
比較社会学がどんな学問かはよくわからないし、哲学、文学、歴史なども登場するので、ただ興味本位で本を手にする私にはスイスイ読めるものではなかった。
けれど、金田一耕助が寺の過去帳から謎解明の一端を見つけ出すかの如く、真木さんがいろいろな書物を取り上げて論を進める語り口は心地よいものだった。
日頃感じるどこか追い込まれるカンジや川辺で緑に囲まれている時のカンジ、その時間感覚とその時の心もちが本書を読むとなんとなくわかるし、そして、私は何をどうしようと考えているのかということに思いやる。
2009年6月14日に日本でレビュー済み
時間について、哲学や宗教や文化人類学、または物理学や文学などではなく、「社会学」という手法で、実証的に論証しようとした意欲作。時空を自在に駆け抜けながら、時間という概念の成立、変遷を教えてくれる。私たちの社会を支配している歴史年表のような直線的時間は、時間観念のひとつのあり方に過ぎないことを、さまざまな例を引いて示してくれる。
私にとって特に興味深かったのは、ウォーフが紹介したホピ族の顕現と未顕現の時間感覚と共に、混沌とした神話の時間に、水時計が知らせる歴史的時間が鐘鼓と共に荒々しく割り込んでくる日本書紀の描写であった。近代社会に流れる時間と未来とニヒリズム。そんなことがどうでもよくなるほど、魅力的な時間感覚であった。
私にとって特に興味深かったのは、ウォーフが紹介したホピ族の顕現と未顕現の時間感覚と共に、混沌とした神話の時間に、水時計が知らせる歴史的時間が鐘鼓と共に荒々しく割り込んでくる日本書紀の描写であった。近代社会に流れる時間と未来とニヒリズム。そんなことがどうでもよくなるほど、魅力的な時間感覚であった。
2015年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書で未知なる時空感を旅し、多種多様な異思考に触れた。
本書では度々「不可逆性」という表現が使われ、窮屈な時間論を持つ読者を擬かしい気持ちにさせる。
第5章から結章に掛け、大きく説明される幾何学的に管理、整理された(「シュルレアリスムとは何か」引用)
「ユートピア」に似た近代社会では「可逆性」では無く、「可塑性」が理想の変態要素で有る様に感じた。
本書を読んだ後、窮屈な時間論を持つ一部の読者は、「牛時間」に憧れを抱くのではないだろうか。
(少なくとも私はその一人。)
然し、牛に管理された時間軸(牛に対しての現実的な不可逆性)も「ユートピア的」と言える。
現在の状況・環境下でコンサマトリー化を促進するための変質に、非情に有益な血肉と成る一冊だった。
本書では度々「不可逆性」という表現が使われ、窮屈な時間論を持つ読者を擬かしい気持ちにさせる。
第5章から結章に掛け、大きく説明される幾何学的に管理、整理された(「シュルレアリスムとは何か」引用)
「ユートピア」に似た近代社会では「可逆性」では無く、「可塑性」が理想の変態要素で有る様に感じた。
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(少なくとも私はその一人。)
然し、牛に管理された時間軸(牛に対しての現実的な不可逆性)も「ユートピア的」と言える。
現在の状況・環境下でコンサマトリー化を促進するための変質に、非情に有益な血肉と成る一冊だった。
2016年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「文化と効率のジレンマ@京大」という番組で紹介されているのを見て興味を持ち、購入。
まだ序章を読んだだけですが、死の恐怖から解放されるために人間がどうあがいてきたかを
考察した短文だけで、十分読む価値を見いだしています。
まだ序章を読んだだけですが、死の恐怖から解放されるために人間がどうあがいてきたかを
考察した短文だけで、十分読む価値を見いだしています。
2023年8月1日に日本でレビュー済み
自分と他者、そしてどうにもならない事という位置づけの明確さを再認識させてくれるとても有意義な読書時間でした。常に携帯しておきたいため、kindle化を強く希望します。勿論、購入致します。
2020年11月22日に日本でレビュー済み
ヘブライズムについて、導入部がブルトマンによるものです。
そして、ヘブライズムの時間意識に関して、以下の叙述があって、「不可逆性としての終末論の形成の画期をつげるこれらの文章(黙示文学、黙示文学的記載)の成立の時期はいずれも、不幸の多かったユダヤ民族の歴史のうちでも、とりわけ徹底的な受難と絶望の時期に書かれていることがわかる。」とあります。この点は正確です。より深く学びたいかたは、聖書史:Bible Historyの書籍にあたられんことを。
あとは、わたしの守備範囲外の検討事項ですので、社会学的推論になじむ方々が説明にかかわるべきものです。
そして、ヘブライズムの時間意識に関して、以下の叙述があって、「不可逆性としての終末論の形成の画期をつげるこれらの文章(黙示文学、黙示文学的記載)の成立の時期はいずれも、不幸の多かったユダヤ民族の歴史のうちでも、とりわけ徹底的な受難と絶望の時期に書かれていることがわかる。」とあります。この点は正確です。より深く学びたいかたは、聖書史:Bible Historyの書籍にあたられんことを。
あとは、わたしの守備範囲外の検討事項ですので、社会学的推論になじむ方々が説明にかかわるべきものです。
2018年3月14日に日本でレビュー済み
あとがきより。
知性の最もすぐれた資質は、みずからの限界を知りうることである。(中略)生きられるひとつの虚無を、知によってのりこえることはできない。けれども知は、この虚無を支えている生のかたちがどのようなものであるかを明晰に対自化することによって、生による自己解放の道を照らし出すことまではできる。
いずれ死ぬと知りながら人はどうして生きていけるのか。知性の限界を認識したうえで、著者が若い頃から抱いていたという根源的な問いと誠実に向き合った一冊です。
原始共同体の「繰り返す時間」、古代ギリシャの「円環的な時間」、キリスト教社会の「線分的な時間」、そして近代社会の「直線的な時間」。古今東西の社会に根付いた時間のイメージとその前提を紹介しながら、私たちが当たり前のように感じてきた時間のイメージがあくまで特殊な一形態にすぎないことを解き明かしていきます。
学者らしい硬い文章で咀嚼と消化にやや時間がかかりますが、栄養たっぷりだから当然かも。紛れもない名著です。
知性の最もすぐれた資質は、みずからの限界を知りうることである。(中略)生きられるひとつの虚無を、知によってのりこえることはできない。けれども知は、この虚無を支えている生のかたちがどのようなものであるかを明晰に対自化することによって、生による自己解放の道を照らし出すことまではできる。
いずれ死ぬと知りながら人はどうして生きていけるのか。知性の限界を認識したうえで、著者が若い頃から抱いていたという根源的な問いと誠実に向き合った一冊です。
原始共同体の「繰り返す時間」、古代ギリシャの「円環的な時間」、キリスト教社会の「線分的な時間」、そして近代社会の「直線的な時間」。古今東西の社会に根付いた時間のイメージとその前提を紹介しながら、私たちが当たり前のように感じてきた時間のイメージがあくまで特殊な一形態にすぎないことを解き明かしていきます。
学者らしい硬い文章で咀嚼と消化にやや時間がかかりますが、栄養たっぷりだから当然かも。紛れもない名著です。