スケープゴート、それは消去することは簡単だが、あえて生かしておく存在。
国が比較的安定している時期にあっては、スケープゴートのような存在は、願ったりとなることがママある。人間とは、概ね、どのような環境にあっても刃を向ける相手を探す性質を持っているものだ(もちろん、絶対ではないが)。不満や鬱憤を晴らす対象を追い求める。
お国にとっては、これはあまり好ましくない。如何せん、彼らの矛先が、自身に向けられるのは、御免こうむりたい。そこで、意図的に矛先となる人物を生み出す。本書では、スターリン時代のトロツキーが、スケープゴートとして紹介されている。うまく利用出来るものは、徹底して利用しつくことにおいて、スターリンは天才的な手腕を発揮した。さて、同じことは、歴史を鑑みるといたるところで起きている。ホモサケルやフーコーの著作をかじると、その全貌が一層掴めるはずだ。まだ読まれていないかたはぜひ読まれたい。
さて、現在、我々のスケープゴートはどこにいるのだろうか。インターネットが全盛となった時代、スケープゴートの在り方も随分変わってきた。もはや、それは実態あるものでなくとも良い。お国にとっては、嬉しくもまた手を焼かせられることになってしまった。スケープゴートの変遷と進化の観点から、新しいこと論が生まれてきても良いだろう。今、まさにその過渡期にあるような気がしてならない。
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歴史・祝祭・神話 (岩波現代文庫) 文庫 – 2014/1/17
山口 昌男
(著)
著者の大テーマであるスケープゴート(贖罪の山羊)論。中心にある権力は周辺にハタモノを対置して自らの力を正当化し、ハタモノは一時は脚光をあびるがついには排除される。歴史の中で犠牲に供されたトロツキーやメイエルホリドらの軌跡をたどり、スケープゴートを必要としそれを再生産する社会の深層構造をあぶり出す。(解説=今福龍太)
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2014/1/17
- ISBN-104006003064
- ISBN-13978-4006003067
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2014/1/17)
- 発売日 : 2014/1/17
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4006003064
- ISBN-13 : 978-4006003067
- Amazon 売れ筋ランキング: - 349,824位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 490位岩波現代文庫
- - 55,906位ノンフィクション (本)
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