本書は、1970年代後半に作家野口冨士男が自らの記憶を辿り、
文学との関わりから東京の移り変わりを記したものである。
と言っても、感傷に満ちたものではなく、変わりゆく東京を
楽しんでいる風でさえある。
取り上げられる街(地域)は、飯田橋から三田まで、銀座、
小石川・本郷・上野、浅草・吉原・玉の井、芝浦・麻布・渋谷、
神楽坂から早稲田まで。
戦前既に吉原は時代遅れになりかけており、それが玉の井を
栄えさせたといったことや、古川橋辺りは昔出水が多く、
小さい町工場が軒を連ねていたといったこと、戦前の神楽坂の
繁栄といったことが書かれており、興味は尽きない。
それからまた30年余りを経た現在、ここに描かれた街が
まだその面影を残していることにむしろ感慨を覚える。
文学を愛する者にとってのガイドとしてばかりでなく、
文学への入口としても楽しめた。
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私のなかの東京: わが文学散策 (岩波現代文庫 文芸 120) 文庫 – 2007/6/15
野口 冨士男
(著)
- ISBN-104006021208
- ISBN-13978-4006021207
- 出版社岩波書店
- 発売日2007/6/15
- 言語日本語
- 本の長さ220ページ
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2007/6/15)
- 発売日 : 2007/6/15
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 220ページ
- ISBN-10 : 4006021208
- ISBN-13 : 978-4006021207
- Amazon 売れ筋ランキング: - 408,152位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 630位岩波現代文庫
- - 12,560位エッセー・随筆 (本)
- - 74,448位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年7月17日に日本でレビュー済み
都市としての東京と文学の関係を扱った作品と言えば、松山巖氏の「乱歩と東京」が有名ですが、こちらは一人の作家にしぼる事無く、地域ごとに戦前の、著者の親しんだ東京が語られています。私にとっては、関東大震災前の神楽坂の賑わいぶりが印象に残りました。また、吉原、玉ノ井などの地域についても言及していることから、遊郭通いの様子などのきわどくなりがちな話も出てきて、女性読者として「ここまで心地よく読めてきたのに、ここでよくあるいわゆる『オッサン』ぽい下品な話を聞かされたらどうしよう!」と危惧しましたが、結果的には上品にまとめられているのに思わず感心(感謝)しました。
もう少し、文中の場所を地図ですぐ確認できる仕組み等含まれていたら、東京にそこまで詳しくない文学者などにも参考になると思いますが、千円弱の文庫版ですし、おすすめです。
もう少し、文中の場所を地図ですぐ確認できる仕組み等含まれていたら、東京にそこまで詳しくない文学者などにも参考になると思いますが、千円弱の文庫版ですし、おすすめです。
2007年7月13日に日本でレビュー済み
「東京」という街を、日頃暮らしていながら、本当は良く知らないのかも知れません。この本を読んでいるとつくづくそう思います。
様々な文学作品と、著者の体験したエピソードを絡めながら、震災以前、敗戦以前、そして現代と、三つの時代をノスタルジーたっぷりに描いて行きます。でも、ノスタルジーだけではありません。それぞれの時代の「東京」を著者は、愛でているようです。その美しい文章が、「東京」の美しさ、良さを象徴しているようです。
この本を読んでゆくと、様々な文学作品が登場してきますが、実際読んでいる作品は半分にも満たないかも知れません。それだけに、読んでいる本も含めて、それらを読みたくなってきます。
もちろん、ここで紹介されている場所にも行ってみたくなります。行っている場所であっても、もう一度あちらこちらを確かめて、その良さを体感したくなります。
素晴らしい「東京」の紹介本です。
様々な文学作品と、著者の体験したエピソードを絡めながら、震災以前、敗戦以前、そして現代と、三つの時代をノスタルジーたっぷりに描いて行きます。でも、ノスタルジーだけではありません。それぞれの時代の「東京」を著者は、愛でているようです。その美しい文章が、「東京」の美しさ、良さを象徴しているようです。
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もちろん、ここで紹介されている場所にも行ってみたくなります。行っている場所であっても、もう一度あちらこちらを確かめて、その良さを体感したくなります。
素晴らしい「東京」の紹介本です。