「民俗学」というと、学校でも学ぶ機会が少なく、あまり馴染みがない方が多いかもしれません。でも、この本は、一枚の写真から如何に様々な事が読み取れるのかを再認識させてくれる、「観察」の手引きになるもので、民俗学に拘らずに読むことのできる本です。
元々、本書の題名である「空からの民俗学」は機内誌に掲載された、一般向けに読みやすく書かれたものです。もちろん、「抱持立犂」で耕したところかどうか、などは、専門的な知識が無いとわかりませんが、そういうことがあるのか、と思えればよいのかと思います。
現在、都市圏では、この本に掲載されたくらいの航空写真が、ネットで手軽に参照できるようになりましたので、この本に書かれた場所を尋ねることができます。これを探して、この当時(1980年頃)と見比べてみるのも興味深いことと思います。実際、やってみると、三浦半島や、印旛沼近辺、は、探せました。家並みが変わっていたり、建物が無くなっている所、などが見え、この本が書かれたときから、何があったのだろうか、と、想像たくましくしたり、また、他の場所をみて、著者に倣って観察してみようか、など、楽しみが広がる本です。
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空からの民俗学 (岩波現代文庫 社会 33) 文庫 – 2001/4/16
宮本 常一
(著)
空から見下す地上の風景は無限の夢をさそう-旅の巨人宮本常一は常にカメラを携行し,残されたネガは8万枚に及ぶ.開発の進む日本列島を俯瞰し,物干にかかった洗濯物に日本人の生活の変化を読みとり,なにげない1枚の写真が見事な時代の証言となる.本書は,その独特な写真解読術のすべてを集成した未収録エッセイ集.
- 本の長さ243ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2001/4/16
- ISBN-104006030339
- ISBN-13978-4006030339
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登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2001/4/16)
- 発売日 : 2001/4/16
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 243ページ
- ISBN-10 : 4006030339
- ISBN-13 : 978-4006030339
- Amazon 売れ筋ランキング: - 560,012位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 812位岩波現代文庫
- - 1,248位文化人類学一般関連書籍
- - 3,594位地理・地域研究 (本)
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著者について
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1907年、山口県周防大島生まれ。大阪府立天王寺師範学校専攻科地理学専攻卒業。民俗学者。日本観光文化研究所所長、武蔵野美術大学教授、日本常民文化研究所理事などを務める。1981年没。同年勲三等瑞宝章(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 和泉の国の青春 (ISBN-13: 978-4896949568 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年3月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2006年3月2日に日本でレビュー済み
民俗学の巨人にして、日本各地を歩いた旅の達人、宮本常一。彼の著書は数々あれど、民俗学に興味がない人でも楽しめる本といえば、コレ。一枚の写真をもとに、人々の生活をどう読み解くか。
旅好きの人におすすめ。
旅好きの人におすすめ。
2009年5月20日に日本でレビュー済み
佐野眞一の仕事に依り、今でこそ「旅する巨人」と言われる宮本常一(1907-1981)だが、1965年に大学の定職につくまでは、ずっと山口の農家と民俗学を二足の草鞋で並行してやっていた。その背後にはもちろん、渋沢敬三の支援があったのだが、その居候生活の最中、生活は極めて質素なものであった。
こうした生活と、そこから絞り出すようにして迸る力で見聞きしてきた日本の民俗の諸側面は、『忘れられた日本人』に見られるように、柳田國男も知らずに他界した、日本の高度成長期の行く末を生きる人々に、過去を振り返らせ、現在を再認させる意味をになってきた。
本書に収められた文書も、もともとは観光ブームに乗った会社から刊行されていた『あるくみるきく』や『翼の王国』といった冊子に1978年から1980年にかけて掲載されたものであり、「お題」のように呈示され、地上と空から撮影された、日本各地の32枚の写真を受け、目前に開けたその風景が、どのような来歴をたどって今に至ったかを「読ん」で見せてゆく。そうすることで、その風景を作ってきた人々の体験を想像の中で辿ってゆき、読者達に宮本の見てきた「忘れられない日本人」を思い出させながら、その向こうの未来をいっしょに考えようとしている。読者は本書を読みながら、宮本常一の眼の動かし方を見習うことになるだろう。それが本書の最大の魅力であろう。
解説を書いている香月洋一郎の文章もまた良い。宮本の没後、1989年に、やはり同様の仕事をしようとした著者ならではの言葉である。
なかでも私が特に感心したのは「男体山」の文章であった。宮本が日本の風土を見る目を開いてくれたのが、ハーンであり、モースであり、バードだったと述べている。外からの好意的な「あるものさがし」が、宮本の民俗学に風を巻き起こしていたのである。
こうした生活と、そこから絞り出すようにして迸る力で見聞きしてきた日本の民俗の諸側面は、『忘れられた日本人』に見られるように、柳田國男も知らずに他界した、日本の高度成長期の行く末を生きる人々に、過去を振り返らせ、現在を再認させる意味をになってきた。
本書に収められた文書も、もともとは観光ブームに乗った会社から刊行されていた『あるくみるきく』や『翼の王国』といった冊子に1978年から1980年にかけて掲載されたものであり、「お題」のように呈示され、地上と空から撮影された、日本各地の32枚の写真を受け、目前に開けたその風景が、どのような来歴をたどって今に至ったかを「読ん」で見せてゆく。そうすることで、その風景を作ってきた人々の体験を想像の中で辿ってゆき、読者達に宮本の見てきた「忘れられない日本人」を思い出させながら、その向こうの未来をいっしょに考えようとしている。読者は本書を読みながら、宮本常一の眼の動かし方を見習うことになるだろう。それが本書の最大の魅力であろう。
解説を書いている香月洋一郎の文章もまた良い。宮本の没後、1989年に、やはり同様の仕事をしようとした著者ならではの言葉である。
なかでも私が特に感心したのは「男体山」の文章であった。宮本が日本の風土を見る目を開いてくれたのが、ハーンであり、モースであり、バードだったと述べている。外からの好意的な「あるものさがし」が、宮本の民俗学に風を巻き起こしていたのである。
2001年5月5日に日本でレビュー済み
旅する巨人宮本常一のエッセイ集。旅の巨人は空から地上を見るのが好きだという。本書では、空から撮影した写真を元に、その地域の歴史、生活など多岐にわたる解説を自由自在に繰り広げている。田の大きさ一枚から、軒先の洗濯物一枚からさえも、過去の生活と変化を読み取ってくる。その博識の様はすさまじいとしか言いようがなく、自分の無知さをこれでもかと知らしめてくれる。本書に納められた32枚の写真と宮本の文章は、32の土地の貴重な記録であり、32の旅行記としても読める。 日本を隈なく歩いた旅の巨人も男体山には行ったことがない。それはモースが男体山に言及した著書「日本その日その日」に深く感動したため、モースの時から時間を経た現地に足を運び、夢を壊すのがいやだったからだと言う。そして後年モースも、もう一度日本へ行かないかと誘われたとき、夢が壊れるからといって断ったそうだ。宮本とモースという二人の学者の景観に対する繊細な態度が伺える。 文庫であるので旅に持って出てもよい。人文景観を切り口として集落の生活を探ろうとした宮本の方法論により、風景の見方が一変するだろう。「旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三」佐野
2008年5月19日に日本でレビュー済み
前半は,日本各地の航空写真をもとに日本人の生活の跡を想起するエッセイ。航空会社の機内誌に連載したものと思われる。一つ一つは短く,派手さはないが,宮本常一独特の静かで力強い文章が味わえる。田舎だけでなく新宿副都心も対象となっている。
後半は各地の写真を使っている。宮本自身の旅の回想をベースにしながら単なる感傷ではなく,根を張って生きる人々の足跡を力強く刻もうという意思に溢れている。
後半は各地の写真を使っている。宮本自身の旅の回想をベースにしながら単なる感傷ではなく,根を張って生きる人々の足跡を力強く刻もうという意思に溢れている。