ユダヤ人の少年トミーが、両親とともにアウシュビッツに送られ、
そこでまずは母親と離され、その後父親とも離され、最後は一人で収容所を生き延びる話。
ユダヤ人のゲットーで子供たちが殺されたとき、9歳のトミーは
「僕は働けます」とドイツ人の将校にドイツ語で訴えて殺されずに済む。
アウシュビッツに送られたときには、労働収容所からアウシュビッツへ直接輸送されたために、
本来ならば選別があって子供は殺されただろうところ、「労働」収容所から来たから働ける人しか乗っていないだろうと
思われたためか、選別がなく、殺されずに済む。
ポーランド語もドイツ語もなまりなく話すことができ、見た目も金髪で
ユダヤ人のように見えなかったことも幸運だったのだろう。
いろんな人にかわいがられている様子も伝わってくる。
そんな幸運と、本人の生き延びる力が合わさって、それであの過酷な
アウシュビッツを生き延びたのだと思った。
同じく強制収容所を生き延び、でものちに自殺してしまったプリーモ・レーヴィの著作は
読んでいて苦しい描写が多かった。何度も途中でやめたくなった。
でもこれは、そんなに苦しい描写がない。考えたことよりも、起こったことそのものを
書いているからかもしれない。「どうやってこの子は助かったのか」、そんな好奇心に
支えられて読んだ。
ナチスが台頭してきて、隣人が、豹変するさまはおそろしかった。
ユダヤ人が、誰のことも恐れずに歩ける自分たちの国を求める気持ちがわかった。
でもそれで、今は住む地を追われたパレスチナ人が苦しんでいる…。
どうしたらよかったのだろう。
ホロコーストがあったあとも、世界では虐殺が起き続けている。
それでも希望を失わない著者の前向きな考え方はすばらしいと思った。
翻訳は読みにくくない。
それなのに、評価の低いレビューへの「役に立った」が通常だったらありえないほど多いのは、
こんな大変な思いを書籍という形でシェアしてくれた著者にとても申し訳ない気がする。
読む価値がある本である。
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幸せな子 アウシュビッツを一人で生き抜いた少年 単行本 – 2008/10/21
ダブルポイント 詳細
子供が真っ先に「選抜」され殺された強制収容所で、アウシュビッツ死の行進で、10歳の少年がたった一人で生き延びた。最後まで諦めないことを教えてくれた両親の愛情といくつかの幸運。ホロコーストの場で問われる人間の勇気や倫理感。恨みや憎しみの感情を克服して、人権法の権威となった著者が、子供の目でつづった感動の実話です。
- 本の長さ309ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2008/10/21
- ISBN-104022503475
- ISBN-13978-4022503473
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2008/10/21)
- 発売日 : 2008/10/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 309ページ
- ISBN-10 : 4022503475
- ISBN-13 : 978-4022503473
- Amazon 売れ筋ランキング: - 396,746位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 424位ドイツ文学研究
- - 72,540位ノンフィクション (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年11月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文学の文章じゃなかった。
官僚が外国条約文でも訳しているのかと。
似たような訳文調の日本語をとある人の日本文で読んだことありますよ・・・。
官僚が外国条約文でも訳しているのかと。
似たような訳文調の日本語をとある人の日本文で読んだことありますよ・・・。
2008年10月26日に日本でレビュー済み
アウシュヴィッツにいたことが「幸せ」だと言っているのではありません。この本の著者はアウシュヴィッツという大変辛く不幸な経験を積みながらも、苦難を乗り越え、幸せを掴んだのであり、その幸せを掴む過程が本の主題です。本をお読みになればわかるのですが、アウシュヴィッツでの体験は、本のごく一部(アウシュヴィッツでの体験とアウシュヴィッツからの脱出を合わせて)40ページしかありません。
また、手元に第一刷がありますが、表紙はピンクではありません。灰色です。わずかにベージュが入っているようにも見えます。帯は茶色です。レビューは本を読んでからするのがより良いレビューになると思いますし、少なくとも本を手に取ってからすることが理想かと考えます。
また、手元に第一刷がありますが、表紙はピンクではありません。灰色です。わずかにベージュが入っているようにも見えます。帯は茶色です。レビューは本を読んでからするのがより良いレビューになると思いますし、少なくとも本を手に取ってからすることが理想かと考えます。
2008年10月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ホロコースト・アウシュビッツという戦場下の過酷な状況を生き抜いた少年の感動の物語です。表紙には「少年がひとりぼっちで生き延びたのは、いくつもの幸運が重なったからだった」とありますが、読んでみると、作者が生き延びることができた背景には、彼がただ幸運だったからだけではなく、両親からのゆるぎない愛情があったこと、極限の状態にありながら生きる勇気と希望を捨てなかったこと、多くの人々の善意に助けられたこと、そしてまた、この少年自身が絶望的な状況の中で多くの人々に希望を与えたことがわかります。心に響く感動の一冊、平和について、また生きるということについて深く考えさせられる一冊です。戦争を知らない世代が増えている今の日本で、平和を当たり前のように思いながら生きている日本人の一人でも多くの方に読んでもらいたい本です。
2011年8月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
他の方も指摘しているように、「幸せな子」というタイトルは、「幸運に恵まれた子」という候補もきっとあったでしょう。ここで、「幸せな」を選択したのは何故なのか、しばし考え込みました。また、人称を「僕」にしたことも。10歳だからというのでは、ちょっと短絡的。自伝の場合は、どこから大人の言葉遣いにするかなど、翻訳者泣かせの部分もありますが、この2点で、全体の印象をぼんやりとしたもにしたのではないかと思います。このあたりを「あとがき」で、訳者が書いているとよかったのですが。
著者の書き方も少し荒いのではないでしょうか。人生を振り返っているようですが、読む側は、タイトルや表紙のキャッチなどから、アメリカでの活躍の話しを読む予定はなかったのです。
講演やインタビューで語るほうが、得意な方なのではという感想をもちました。
著者の書き方も少し荒いのではないでしょうか。人生を振り返っているようですが、読む側は、タイトルや表紙のキャッチなどから、アメリカでの活躍の話しを読む予定はなかったのです。
講演やインタビューで語るほうが、得意な方なのではという感想をもちました。
2018年7月23日に日本でレビュー済み
まさに波瀾万丈の人生です。すごい人生です。すばらしい自伝です。
翻訳も読みやすい。
翻訳も読みやすい。
2022年9月14日に日本でレビュー済み
この本の翻訳者、池田 礼子 氏と 渋谷 節子 氏は、
皇后雅子妃の双子の妹たちである。
翻訳の手腕については他のレビュアーの方々が散々書かれているが、
外国暮らしが長すぎて日本語がおぼつかないのか、
立派な経歴とのギャップが面白い。
礼子さんの訳者略歴に
「現在は東京在住、二児の母として育児に専念」とあり、
専業主婦が現在の肩書のようだが、なぜか他のプロフィールには
「国際公務員」となっている。
星5つの「Madeleine」名義のレビューがあるが、
これは礼子氏の別名であるようだ。
これらの事実を踏まえて読み返してみると面白いかもしれない。
皇后雅子妃の双子の妹たちである。
翻訳の手腕については他のレビュアーの方々が散々書かれているが、
外国暮らしが長すぎて日本語がおぼつかないのか、
立派な経歴とのギャップが面白い。
礼子さんの訳者略歴に
「現在は東京在住、二児の母として育児に専念」とあり、
専業主婦が現在の肩書のようだが、なぜか他のプロフィールには
「国際公務員」となっている。
星5つの「Madeleine」名義のレビューがあるが、
これは礼子氏の別名であるようだ。
これらの事実を踏まえて読み返してみると面白いかもしれない。
2008年11月13日に日本でレビュー済み
この方の人生のストーリーそのものには感動致しましたし、平和な毎日の中で特に努力もせずに生きて来た自分自身を振り返り、非常に考えさせられもしました。
ただ、翻訳本に時々遭遇する和訳の拙さで、ストーリーに没頭出来ず、読むのに少々苦労致しました。本の内容よりも、読むことそのものに意識が集中してしまったのが、残念でなりません。
原書を読んでいないので不公平な評価になってしまうかもしれませんが、和訳本としての評価という事で、星2つとさせて頂きました。来年4月に出版予定の英語版は著者ご自身が執筆されておられる様ですので、是非原書で読んで比べてみたいと思います。
それから、レビューの内二つが読めませんが、問題があるのでしょうか?
ただ、翻訳本に時々遭遇する和訳の拙さで、ストーリーに没頭出来ず、読むのに少々苦労致しました。本の内容よりも、読むことそのものに意識が集中してしまったのが、残念でなりません。
原書を読んでいないので不公平な評価になってしまうかもしれませんが、和訳本としての評価という事で、星2つとさせて頂きました。来年4月に出版予定の英語版は著者ご自身が執筆されておられる様ですので、是非原書で読んで比べてみたいと思います。
それから、レビューの内二つが読めませんが、問題があるのでしょうか?