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闇の虹水晶 単行本 – 2012/12/7

3.8 5つ星のうち3.8 5個の評価

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購入オプションとあわせ買い

その力、使えばおのれが滅び、使わねば国が滅びよう――。

人の思いから宝玉を創りだすという、一世代に一人だけ現れる、たぐいまれな魔力を持つ「創石師」ナイトゥル。
だが、彼には、重い呪いがかけられていた。
対立する部族の侵攻によって家族も婚約者も失い、たった一人だけ生かされたうえに、
怨みや憎しみの感情まで奪われ、敵のために自らの命を削って能力を使う無為の日々のなか、
ふとしたきっかけから闇色の水晶を手にしたことで、運命は急激にまわりはじめる……。

かつてないほど緻密に織り上げられた世界観と濃密な描写で高い注目を集め、
デビュー作『夜の写本師』が本屋大賞でも絶賛された圧倒的なファンタジーの担い手による書き下ろし!
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 朝日新聞出版 (2012/12/7)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2012/12/7
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 296ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4022510358
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4022510358
  • 寸法 ‏ : ‎ 12.8 x 2.2 x 18.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    3.8 5つ星のうち3.8 5個の評価

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乾石 智子
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カスタマーレビュー

星5つ中3.8つ
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5グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2020年1月9日に日本でレビュー済み
著者の他の作品を読んでからこの本を読みました。「虹色の闇」、「深淵」、「他人の人生の体験する事」はお馴染みの設定ですが、他の作品よりわかりやすく描かれていて、物語に入り込むことが出来ました。石を創る魔力と主人公の個性、マケドニア的な世界が魅力的で、引き込まれました。
装丁が少女ノベル風なのが残念、ということで星をひとつ減らしましたが、続編があればぜひ読みたいと感じる本です。
2014年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人のまわりに漂う感情や苦痛のもやを石に結晶化させて、とりのぞくことのできる創石の魔法。

この力を得た魔道師ナイトゥルが、部族すべてを殺した王オーシィンのもとで、その強大な力に圧されつつ生きてゆく物語です。少年時代〈塩の魔女〉に一時、同情を寄せたために呪いを受けたことに始まり、家族みなを殺され、オーシィンの母に養われつつ、唯一の味方はその侍女ドリュティアナのみ。

暗殺者を送ってきた山の民への使者に出される道中、けがをした女を助け、そのくるぶしの中から、〈闇の虹水晶〉を取り出し、それにつきまとわれるようになります。この石は、彼に他国の王と息子の場面を夢見させます。やがて、オーシィンの国を攻めてきたサンジャルの国の新たな王こそ、その夢に出てきた王子でした・・・

夢の場面が唐突に始まるところ含めて、全体がどちらへ流れてゆくのか、見えにくい物語です。ナイトゥル自身が世界に対してひじょうに受動的でされるがままの姿勢をとり続けているために、起きてくることすべてが、意味を持ちきらずに流れ去って行きます。

山の民の背後にいた〈竜〉の力、オーシィンの持つ、人の心に押し入る強靱な力、最後に追いついてくる夢の時間、有翼獅子グリフォリスなど、さまざまな模様がからみあいつつ物語は動いてゆきます。ひとつの部分とその次の部分がつながり、その次の部分と次の部分がまたつながり・・・と、細かなリンクを追ってゆくことはできるのですが、いつまでたっても、大きな全体図には結晶化してゆかないような感じです。刹那ばかりがモザイクのように組み合わさり、それはナイトゥルの疲弊した精神そのもののようでもあります。

 ヒロイン、ドリュティオナはけんめいに彼を助けようとするのですが、彼女の意味が何であったのかもよくわからないままに、物語は未完のタペストリーのように断ち切られます。オーシィンに関することをのぞいて、世界はあまり変わっていません。

「するべきことはなす。あとは天の差配にまかせる。それがナイトゥルの至った境地だ」という最後に近い文章がありますが、これでは、けっきょく彼はあまり変わっていないのではないか。魔女の呪いがどうなったのか、また〈虹水晶〉が彼にとって何であったのか、読者には伝わらず、朦朧と広げられた風呂敷がたたみきれずに終わっている気がします。

あちこちにひかれた補助線が宙に浮いているような・・・
すべてを謎めかして紡ぐことも悪くはないのですが、何か強い線が一本も引かれずに全体が靄に沈んでいったような、そんな読後感を持ちました。

しかしこの「創石の魔法」というアイデアは魅力的です。人が内部にかかえる感情や苦悩を靄の形で見てとり、結晶化させてとりのぞく。
この「魔法」のアイデアから生まれた物語が、その魔法に対応するような構造やメッセージを探りあてられずに、繊細な文体に押し流されたまま終わってしまったような気がして、惜しいと思います。

 
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年10月25日に日本でレビュー済み
今市子さんのイラストに魅かれて買ってしまいました。
「夜の写本師」シリーズを、あらかじめ読んでしまっている状態から感想を述べますと、
この本を最初に乾石智子初体験とすると、いろいろ足りなさすぎると思います。
世界の説明が足りないのはもちろん、物語のワクワク感も足りません。
喪失している主人公が、穴を埋める物語としては、少々……いや、結構物足りない。
ある意味、破滅的な「夜の写本師」的展開を期待している方には、どうかな?
「地味な話」ということで目的が達せていると考えられていれば、それでよいのですが。
デビュー作の山場が、流行のハリウッドファンタジー的なので、
そのイメージにとらわれすぎているのかもしれません。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年1月10日に日本でレビュー済み
この作家の本は、既刊は全て読んでいます。
一作目が個人的に大ヒットでした。
あの、ストーリーや主人公の心的成長の描き方、絡み合ったそれぞれの思惑や過去が、ラストに向かって収束していく勢いは、引きこまれました。
対して二作目・三作目は、ちょっと味がうすいかな? といった印象。あれはあれで面白いんですけれど、ダブル主人公だったり、ストーリーが二転三転する中で、ちょっとページ数足りないんじゃないかな、書ききれてないかな、もうちょっと踏み込んで書いて欲しかったな、と思うところが正直ありました。

そんななか今作を読んだのですが、この作品は、一作目と同じくらい大好きです。
この作家の作品は、主人公が、前世など「自分のようで自分でない、でもやはり自分」の生を追体験し、そのなかで気付きや成長があり、機が熟した時に大きな『魔法のちから』に助けられる、という構造をよく取ると思うのですが、今作もそれは健在です。
ただし今作で主人公が追体験するのは、前世ではありません。完全な他人の生です。
とはいえ、視点が常に主人公にすえられているのもあって、彼の成長が実感しやすく、いつもより読みやすかったように思いました。
家族を、仲間を、そして自分自身の心まで奪われて空っぽだった主人公が、変化していく様は、ジュブナイル的ですらあります。
ただしそれは子供向けということではありません。
マケドニアやローマ、あのあたりの、英雄に率いられた軍隊が大帝国を築く時代の歴史がお好きな方にもおすすめできそうな(とはいえ私自身はそこまで詳しくはないのですが)、練りこまれた世界観があります。
大人にしかわからない、人生の深みを感じさせる物語があります。

この作家の作品に対して時々感じるのですが、最初の50ページくらいが、何かちょっと読みづらい……?
それを超えてしまうと、先が気になって気になって人から話しかけられたのにも気付かないくらいのめり込んでしまうのですが。
ともあれ、読み終わったあとの満足感は、ちょっと他では味わえないものがあります。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2012年12月13日に日本でレビュー済み
世界観の説明も無く、良く分からないまま話が進み、置いていかれてしまいました。

ネタばれになってしまいますが
・創石師ナイトゥルの手に突如現れた闇色の虹水晶は最後まで何だったのか?
・なぜ、虹水晶を通して敵国の過去現在、事情が分かるのか?
・二頭の有翼獅子は何故ナイトゥルを知っていたのか?
などなど・・・
読者の想像力で補わなければいけない部分が多いです。
ストーリーの設定は面白いのに、説明不足の部分が多くて残念に思います。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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