思っていたよりずっと面白く、楽しめる作品でした。
語り手の車、望月家の〈緑(みど)デミ〉こと緑色のデミオがいいっすね。自分のことを〝僕〟というところや謙虚さがにじむところなど、好感の持てる人柄ならぬ車柄でした。
隣人ならぬ隣車にして〈緑デミ〉の気のおけぬ友・白のカローラの〈ザッパ〉をはじめ、車たちの会話の軽快感、ざっくばらんなところも良くて、読んでいてわくわくしました。
それから、望月家の次男、十歳の亨(とおる)のキャラがインパクトありましたね。十歳とはとても思えない、賢(かしこ)すぎる子供なんだけど、切れのある彼の物言いはとても痛快で、魅力的でした。
読み終えてひとつ残念に思ったのは、文庫本表紙カバーの写真に色が付いてなかったこと。おそらく、カバーに写ってる車はデミオだと思うんだけど、緑色であってほしかったです。そして、白のカローラや黒のアテンザ、宅配便のトラックとか、作品で活躍する車たちがにぎやかに写っているカバーなら、なお良かったです。
〔追記〕新しい表紙カバーには、車に色がついているんですね。このカバー変更、良かったです。
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ガソリン生活 単行本 – 2013/3/7
伊坂 幸太郎
(著)
ダブルポイント 詳細
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大学生の望月良夫は愛車のデミオ運転中に、
偶然会った女優の翠を目的地へ送り届けることに。
だが翌日、翠は事故死する。
本当に事故だったのか?
良夫とその弟で大人びた小学5年生の亨は、
翠を追いかけ回していた芸能記者・玉田と知り合い、事件に首を突っ込み始める。
姉、母まで望月一家が巻き込まれて、謎は広がるばかり――。
朝日新聞夕刊の人気連載が待望の単行本化。
物語の語り手はなんと本邦初! ?の「車」。
町を走る様々な車たちの楽しいおしゃべりが全編にさんざめく、
前代未聞のユーモアミステリーにして、
のんきな長男・大人びた弟…と個性的なキャラが揃った家族の暖かいエピソードに溢れた、
チャーミングで愛すべき長編家族小説!
偶然会った女優の翠を目的地へ送り届けることに。
だが翌日、翠は事故死する。
本当に事故だったのか?
良夫とその弟で大人びた小学5年生の亨は、
翠を追いかけ回していた芸能記者・玉田と知り合い、事件に首を突っ込み始める。
姉、母まで望月一家が巻き込まれて、謎は広がるばかり――。
朝日新聞夕刊の人気連載が待望の単行本化。
物語の語り手はなんと本邦初! ?の「車」。
町を走る様々な車たちの楽しいおしゃべりが全編にさんざめく、
前代未聞のユーモアミステリーにして、
のんきな長男・大人びた弟…と個性的なキャラが揃った家族の暖かいエピソードに溢れた、
チャーミングで愛すべき長編家族小説!
- 本の長さ413ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2013/3/7
- ISBN-104022510625
- ISBN-13978-4022510624
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2013/3/7)
- 発売日 : 2013/3/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 413ページ
- ISBN-10 : 4022510625
- ISBN-13 : 978-4022510624
- Amazon 売れ筋ランキング: - 33,723位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 848位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1971(昭和46)年千葉県生れ。
1995(平成7)年東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、新潮ミステリー倶楽部賞を受賞し、デビュー。
2002年刊行の『ラッシュライフ』が各紙誌で絶賛され、好評を博す。2003年に発表した『重力ピエロ』は、ミステリファン以外の読者からも喝采をもって迎えられ、一気に読者層を広げた。また『重力ピエロ』で、1970年代生れとしては、初の直木賞の候補となる。
2004年『チルドレン』、2005年『グラスホッパー』、2006年『死神の精度』が直木賞候補に。2004年『アヒルと鴨のコインロッカー』で吉川英治文学新人賞受賞。洒脱なユーモアと緻密な構成で読む者を唸らせ、近年稀にみる資質の持ち主として注目を浴びている。
2008年『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞と山本周五郎賞を受賞した。
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トップレビュー
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2024年3月26日に日本でレビュー済み
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2024年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読み始めて混乱した。
「これは誰視点の語りなのだろう?」読み進めていくと、車が語っていることがわかる。
なので、乗車している人が降車して遠くに行くような場面では、どのようなことが起こっているかわからない。
内容はやや平凡な感じを受けるが、伊坂作品ならではのエンタメ要素が散りばめられている。会話の掛け合いなどは笑わずにはいられない作品となっている。
「これは誰視点の語りなのだろう?」読み進めていくと、車が語っていることがわかる。
なので、乗車している人が降車して遠くに行くような場面では、どのようなことが起こっているかわからない。
内容はやや平凡な感じを受けるが、伊坂作品ならではのエンタメ要素が散りばめられている。会話の掛け合いなどは笑わずにはいられない作品となっている。
2024年1月22日に日本でレビュー済み
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読んでいるとなんだか自分の車が愛おしくなってくる
2017年9月22日に日本でレビュー済み
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車視点という発想はおもしろかったし、いつもながら伏線の回収、自分を持ったキャラの魅力などはおもしろと思いますが、ストーリーがもう少し・・・
後日談は好きでした。
後日談は好きでした。
2023年12月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
伊坂さんの作品にはちょいちょいこんな乙なセリフがあるから読んでいて楽しい。
2023年7月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マツダのコンパクトカー緑色の「デミオ」による一人称小説ということで、自動車を擬人化したアメリカのアニメや機関車トーマスのような、どこか色物的作品との印象があり、読むのも後回しになっていた本作、結論から言うと自身の「先入観」を反省することになりました。
本作は、伊坂幸太郎の小説的技巧の高さに改めて感心してしまうお見事な作品です。
自動車による一人称だからこそなせる小説の構成、つまり自分の意志で自由に動き回ることができない自動車が、自身が見聞きしたことしか述べられないとの制限を意識的に設けています。
自分の意志で動き回ることができなくても、たとえば駐車場などでたまたま隣に止まった自動車との会話が始まり、そこで自動車だからこそ知る真実が明かされるも、その事実を人間に伝えるすべがない自動車、との設定から、答えが見えそうで見えない、という読者をハラハラさせる展開にも説得力を持たせる構成の妙。
読んでいるうちにいつのまにか自動車どうしが会話をすることに違和感がなくなり、それぞれが持つ個性に確かにそうだろうなと、思わず笑ってしまいます。
デミオの隣の家の古いカローラGTの持ち主は小学校の校長先生で、子供たちには常々「フランク・ザッパを聴くように」と指導でいていることから、カローラGTは「ザッパ」と呼ばれている。
宅配便を運ぶトラックは、ナンバーが「9625」のため黒ネコならぬ「クロニコ」と呼ばれている。
駐車場で隣に並ぶプリウスは「燃費の良さからくる余裕」から堂々たる威厳に満ちた声でしゃべりかけてくるので、デミオたる「僕」も畏怖を感じている。
などなど。
また、本書伊坂幸太郎の遊び心から、他作品を匂わせる場面がいくつか含まれています。
例えば、ファミリーレストランの駐車場で若者とその母親の後ろをついて歩く中年の男4人組を下ろした水色のビアンテは「うちの持ち主は少し特殊でね」とデミオに話かける。「中年の男が4人いただろ、あれは全員、由紀夫という若者の父親なんだよ」という場面がありますが、伊坂幸太郎の過去作品を読んでいる人ならわかりますよね。懐かしい。
スティーブンキングのホラー小説『クリスティーン』や、ジオン軍と連邦軍の争い『機動戦士ガンダム』が話題にあがったり、いずれもよく知っている自分としては読みながらニヤニヤし続けです。
また、本作、最近読んだ『逆ソクラテス』同様、大人びた賢い小学生が大活躍する点も好印象。
三人称で書かれたエピローグもいいですねえ。
本作は、ユニークな設定ながら伊坂幸太郎の代表作の一つとしてあげることができる好作品です。
本作は、伊坂幸太郎の小説的技巧の高さに改めて感心してしまうお見事な作品です。
自動車による一人称だからこそなせる小説の構成、つまり自分の意志で自由に動き回ることができない自動車が、自身が見聞きしたことしか述べられないとの制限を意識的に設けています。
自分の意志で動き回ることができなくても、たとえば駐車場などでたまたま隣に止まった自動車との会話が始まり、そこで自動車だからこそ知る真実が明かされるも、その事実を人間に伝えるすべがない自動車、との設定から、答えが見えそうで見えない、という読者をハラハラさせる展開にも説得力を持たせる構成の妙。
読んでいるうちにいつのまにか自動車どうしが会話をすることに違和感がなくなり、それぞれが持つ個性に確かにそうだろうなと、思わず笑ってしまいます。
デミオの隣の家の古いカローラGTの持ち主は小学校の校長先生で、子供たちには常々「フランク・ザッパを聴くように」と指導でいていることから、カローラGTは「ザッパ」と呼ばれている。
宅配便を運ぶトラックは、ナンバーが「9625」のため黒ネコならぬ「クロニコ」と呼ばれている。
駐車場で隣に並ぶプリウスは「燃費の良さからくる余裕」から堂々たる威厳に満ちた声でしゃべりかけてくるので、デミオたる「僕」も畏怖を感じている。
などなど。
また、本書伊坂幸太郎の遊び心から、他作品を匂わせる場面がいくつか含まれています。
例えば、ファミリーレストランの駐車場で若者とその母親の後ろをついて歩く中年の男4人組を下ろした水色のビアンテは「うちの持ち主は少し特殊でね」とデミオに話かける。「中年の男が4人いただろ、あれは全員、由紀夫という若者の父親なんだよ」という場面がありますが、伊坂幸太郎の過去作品を読んでいる人ならわかりますよね。懐かしい。
スティーブンキングのホラー小説『クリスティーン』や、ジオン軍と連邦軍の争い『機動戦士ガンダム』が話題にあがったり、いずれもよく知っている自分としては読みながらニヤニヤし続けです。
また、本作、最近読んだ『逆ソクラテス』同様、大人びた賢い小学生が大活躍する点も好印象。
三人称で書かれたエピローグもいいですねえ。
本作は、ユニークな設定ながら伊坂幸太郎の代表作の一つとしてあげることができる好作品です。
2023年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
語り手である自家用車の見聞とその所有者である家族の乗車中の会話で構成される物語が、著者独特の軽妙な語り口でコミカルに展開する。物語の背景となる事件の真相やその解明の過程は、著者の比類ない想像力と問題意識を感じさせ、読む者を飽きさせない。
2023年7月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
伊坂幸太郎さんの小説で一番好きです。亨くんがしゃべるたびにニマニマしちゃいますし、車たちの会話や呟きがとてもいいです。車が愛おしくなり、すぐにドライブに出かけたくなります。この小説をより家族にも楽しんでもらうために「登場クルマ画像一覧」を作成してしまいました。