"『いつ芸術なのか』という入射角は引き継ぐにしても、わたしがしばらく眼をこらしていきたいのは(中略)しかしもう走り出している活動、アート未満の活動である"やわらかく読み解く本を多数出してきた著者が体験や自論から問いかける社会とは、アートとは。考察の一助として興味深い。
個人的には、特段に意識したわけではないとのことでしたが、著者が仙台メディアテークの館長もしていることから必然的に東日本大震災後の各アーティストのそれぞれのアクションを振り返ることになっているのが、まず興味深かった。また、芸術の可能性を信じていた過去に知り合った方々、小山田徹、鈴木一郎太、アサダワタル(敬称略)といった方々の活動にも言及されていて、こちらも何だか懐かしい様な気持ちにもなりました。
本全体に関しては、社会やアートに関して(意図的に)何かしらの明確な結論づけを図る本ではないので、やや漠然とした読後感ではありましたが"わかる"だけが本の、そして読書の役割ではないと思うので、個人的には面白かったです。
あと、最後に本とは直接は関係ないのですが。【フリーペーパー専門店】運営者の立場として一つ紹介したいのは冒頭に本から紹介した言葉を引用すると"もう走り出している活動、アート未満の活動"として思い出したのが、何年も敬意をもって注目している、青森県における震災後アクション【tovo plus】という、100人の家族に順次、同じ質問をし続けて、それを毎回フリーペーパーという形で発行し続けている活動です。http://tovo2011.com/
決して派手ではないし、わかりやすいアートでもないからか、少なくとも関西の私の周辺で紹介している記事を見たり、聞いたりしたことが残念ながらないのですが。本書のタイトルの【素手のふるまい】といった言葉にまさに相応しい活動だと思っています。もし見かけたら是非手にとってほしいと願う。
アートが探る可能性とは、社会とは?日頃からアートやアーティストに関心のある誰かにオススメ。
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素手のふるまい アートがさぐる【未知の社会性】 単行本 – 2016/7/7
鷲田清一
(著)
世の中、資格取得が目指されているが、
現代社会で組織にぞくさず、
無認可ではじめられる職業人として、アーティストがいる。
阪神大震災、東日本大震災、原発事故をへて、
臨床哲学者はアートが社会とどのようにかかわるのかを問い続けた。
*
藝大生ふたりは被災地支援の記録と報告会を行い、写真家は東北の村に入って新しい制作に取り組む。世界的に活躍する美術家によるインスタレーション(仮設構築物)、陶芸家の無人タコツボ販売所、美術家の焚き火の集い、工芸家による建築物のウクレレ化保存計画……美よりもなによりも面白さにひかれて始まるアートのさまざまな動きを具体的に見ながら問いかける――現代社会の隙間で「新しい社会性」はどのように胎動していくのか。人間の生きる技術としてのアートは教育、ケアの領域でも核になるのではないか。弛(ゆる)さ、弱さ、傷つきやすさをそのまま保持する勁(つよ)さとはどのようなものか。わかりやすさに負けず、いかに「わからなさ」を社会とアートの連帯の綴じ目にできるのか。
*
芸術から生活技術まで、スキルから作法まで、《生存の技法》の文脈のなかで、素手でこじあけるアートが教育やケアの領域を横断し、未来の予兆を手探りする。これからの日本に必要な人間の生きる技術=「生存の技法」としてのアートと社会との錯綜した関係を読みほどく、臨床哲学者の注目の刺激的評論エッセイ。
【内容】
1「社会」の手前で
2巻き込み 小森はるか/瀬尾夏美の模索
3強度 志賀理江子の〈業〉
4アートレス? 川俣正の仕事を参照軸に
5ゆるい途 もう一つの
6〈社会的なもの〉
7〈はぐれ〉というスタンス
8点描
おわりに(「目次」から)
現代社会で組織にぞくさず、
無認可ではじめられる職業人として、アーティストがいる。
阪神大震災、東日本大震災、原発事故をへて、
臨床哲学者はアートが社会とどのようにかかわるのかを問い続けた。
*
藝大生ふたりは被災地支援の記録と報告会を行い、写真家は東北の村に入って新しい制作に取り組む。世界的に活躍する美術家によるインスタレーション(仮設構築物)、陶芸家の無人タコツボ販売所、美術家の焚き火の集い、工芸家による建築物のウクレレ化保存計画……美よりもなによりも面白さにひかれて始まるアートのさまざまな動きを具体的に見ながら問いかける――現代社会の隙間で「新しい社会性」はどのように胎動していくのか。人間の生きる技術としてのアートは教育、ケアの領域でも核になるのではないか。弛(ゆる)さ、弱さ、傷つきやすさをそのまま保持する勁(つよ)さとはどのようなものか。わかりやすさに負けず、いかに「わからなさ」を社会とアートの連帯の綴じ目にできるのか。
*
芸術から生活技術まで、スキルから作法まで、《生存の技法》の文脈のなかで、素手でこじあけるアートが教育やケアの領域を横断し、未来の予兆を手探りする。これからの日本に必要な人間の生きる技術=「生存の技法」としてのアートと社会との錯綜した関係を読みほどく、臨床哲学者の注目の刺激的評論エッセイ。
【内容】
1「社会」の手前で
2巻き込み 小森はるか/瀬尾夏美の模索
3強度 志賀理江子の〈業〉
4アートレス? 川俣正の仕事を参照軸に
5ゆるい途 もう一つの
6〈社会的なもの〉
7〈はぐれ〉というスタンス
8点描
おわりに(「目次」から)
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日2016/7/7
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104022513926
- ISBN-13978-4022513922
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (2016/7/7)
- 発売日 : 2016/7/7
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4022513926
- ISBN-13 : 978-4022513922
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 783,215位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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