タイトルから相対性理論と量子論を繋げる大統一理論の話かと思ったが違った。
原題は『THE FABRIC of REALITY』
本書は説明と理解に対する科学哲学というか著者の考えや世界観をまとめて述べる内容になっている。
例えばアインシュタインの一般相対性理論はそれまでのニュートン物理学とは違い、数学分野の幾何学や哲学分野の時間論など一見関係のない他分野を巻き込んで広範囲に説明を可能にする強力なアイディアとなる。
本書内でドイッチュが重要視している4つのアイディア、「量子物理学」「認識論」「計算理論」「進化論」中心に話が展開される。これらは作中で4本の撚り糸と呼ばれている。
これら一見あまり関係のないアイディアが絡み合い実在を織りなすものとして現実世界の説明、理論として提示される。
本書内での議論は現実についてのものだが、十分に発達したテクノロジーが魔法と区別がつかないといわれるように、認識論、自由意志、量子コンピューター、仮想現実、並行宇宙、プラトン的な数学的実在、タイムトラベル、宇宙の終わり、といった題材について、SFともいえるようなアクロバティックな説明を展開をしていて読んでいて楽しかった。
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世界の究極理論は存在するか: 多宇宙理論から見た生命、進化、時間 単行本 – 1999/10/1
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日1999/10/1
- ISBN-104022574097
- ISBN-13978-4022574091
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
量子計算、ヴァーチャル・リアリティ、ゲーデルの不完全性定理、人工知能、万能テューリング機械、利己的な遺伝子、タイムトラベル…そのすべてを統合する「万能の理論」とは。理論物理学の鬼才が挑む、現代科学の最大の難問。
登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (1999/10/1)
- 発売日 : 1999/10/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 336ページ
- ISBN-10 : 4022574097
- ISBN-13 : 978-4022574091
- Amazon 売れ筋ランキング: - 612,980位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 708位物理学一般関連書籍
- - 1,011位宇宙学・天文学(一般)関連書籍
- - 2,314位科学読み物 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2020年6月27日に日本でレビュー済み
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量子力学の多世界解釈論者の代表であるドイッチェが自己の全体思想を述べた貴重な著作です。
※ドイッチェは、「多世界解釈」という言い方をナンセンスとしています。恐竜は、恐竜の化石の"解釈"ではなく"実在"です。量子力学の多世界は、"解釈"ではなく"実在"です。
※多世界の それぞれの世界にあるコンピュータを動作させて、大規模並列計算を実行し、世界間の干渉によって結果を取り出すというのが、量子コンピュータの基本的アイデアです。
※ドイッチェは、「多世界解釈」という言い方をナンセンスとしています。恐竜は、恐竜の化石の"解釈"ではなく"実在"です。量子力学の多世界は、"解釈"ではなく"実在"です。
※多世界の それぞれの世界にあるコンピュータを動作させて、大規模並列計算を実行し、世界間の干渉によって結果を取り出すというのが、量子コンピュータの基本的アイデアです。
2012年12月2日に日本でレビュー済み
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量子コンピュータの研究で知られるイギリスの物理学者のデイヴィッド・ドイッチュが、量子物理学、ポパー的な認識論、ダーウィン/ドーキンスの進化論、テューリングの計算理論を統合し、実在世界を統一的に理解するという自説を展開した本。
量子コンピュータという実用的な分野の専門家が書いた本にしては妙に思弁的で、SF小説のようにぶっ飛んだ内容である。
原題は『The Fabric of Reality: The Science of Parallel Universes – and Its Implications』。1999年に朝日新聞社から出た邦訳のタイトルは『世界の究極理論は存在するか―多宇宙理論から見た生命、進化、時間』。
ドイッチュは量子力学の多世界解釈に基づく並行宇宙説(多元宇宙論の一つ。この宇宙を互いに分岐する無数の並行世界の一つにすぎないと想定する)を真面目に主張しており、過去への時間遡行による歴史改変のパラドックス(いわゆる「祖父殺しのパラドックス」)は並行宇宙説で解消できるとしている。
コペンハーゲン解釈に従って、量子力学を単に実用的な計算技術として扱う人々にとっては、このような反証不可能な議論は無益な思弁にすぎないかもしれないが、多世界解釈と並行宇宙説は理論的な仮説としては面白いと思う。
一方、生命と知性の進化が宇宙にとって基本的な要素であるとするドイッチュの主張には疑問を感じた。ジャック・モノーが『偶然と必然』(1970年)で述べたように、地球上における生存機械(リチャード・ドーキンス)としての生命の誕生と進化は、無目的な偶然の連鎖の結果であって、この宇宙の必然ではないように思えるし、もし無数の並行宇宙が実在するなら、生命が存在しない宇宙もあり得るのではないか。
最終章でドイッチュは、数理物理学者のフランク・ティプラーが提唱したオメガ点宇宙論を、ティプラーがオメガ点をユダヤ・キリスト教の教義における神と同一視していることを批判しつつも、自説にまともに導入している。
オメガ点はテイヤール・ド・シャルダンが最初に提唱した概念で、神によって統一される宇宙の万物の最終点、人類の進化の究極点を意味する。
ドイッチュによると、宇宙の終焉(ビッグクランチ)において、全知全能の知性コンピュータが無限の計算資源とともに無限の計算能力を持ち、宇宙全体を仮想現実として永遠にエミュレートし、死者の復活もありうるという。
オメガ点理論は、レイ・カーツワイルの技術的特異点仮説と同じく、AIを神と見なす一種の神学あるいは数学的形而上学であり、テイヤールのキリスト教的進化論のコンピュータ時代のアップデート版ではないかと思う。
上記のように疑問点も多いが、思考を刺激させられる本である。ジェイムズ・P・ホーガンやグレッグ・イーガンのハードSF小説を好む方におすすめ。
量子コンピュータという実用的な分野の専門家が書いた本にしては妙に思弁的で、SF小説のようにぶっ飛んだ内容である。
原題は『The Fabric of Reality: The Science of Parallel Universes – and Its Implications』。1999年に朝日新聞社から出た邦訳のタイトルは『世界の究極理論は存在するか―多宇宙理論から見た生命、進化、時間』。
ドイッチュは量子力学の多世界解釈に基づく並行宇宙説(多元宇宙論の一つ。この宇宙を互いに分岐する無数の並行世界の一つにすぎないと想定する)を真面目に主張しており、過去への時間遡行による歴史改変のパラドックス(いわゆる「祖父殺しのパラドックス」)は並行宇宙説で解消できるとしている。
コペンハーゲン解釈に従って、量子力学を単に実用的な計算技術として扱う人々にとっては、このような反証不可能な議論は無益な思弁にすぎないかもしれないが、多世界解釈と並行宇宙説は理論的な仮説としては面白いと思う。
一方、生命と知性の進化が宇宙にとって基本的な要素であるとするドイッチュの主張には疑問を感じた。ジャック・モノーが『偶然と必然』(1970年)で述べたように、地球上における生存機械(リチャード・ドーキンス)としての生命の誕生と進化は、無目的な偶然の連鎖の結果であって、この宇宙の必然ではないように思えるし、もし無数の並行宇宙が実在するなら、生命が存在しない宇宙もあり得るのではないか。
最終章でドイッチュは、数理物理学者のフランク・ティプラーが提唱したオメガ点宇宙論を、ティプラーがオメガ点をユダヤ・キリスト教の教義における神と同一視していることを批判しつつも、自説にまともに導入している。
オメガ点はテイヤール・ド・シャルダンが最初に提唱した概念で、神によって統一される宇宙の万物の最終点、人類の進化の究極点を意味する。
ドイッチュによると、宇宙の終焉(ビッグクランチ)において、全知全能の知性コンピュータが無限の計算資源とともに無限の計算能力を持ち、宇宙全体を仮想現実として永遠にエミュレートし、死者の復活もありうるという。
オメガ点理論は、レイ・カーツワイルの技術的特異点仮説と同じく、AIを神と見なす一種の神学あるいは数学的形而上学であり、テイヤールのキリスト教的進化論のコンピュータ時代のアップデート版ではないかと思う。
上記のように疑問点も多いが、思考を刺激させられる本である。ジェイムズ・P・ホーガンやグレッグ・イーガンのハードSF小説を好む方におすすめ。
2006年4月23日に日本でレビュー済み
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量子コンピュータのグランドデザインを描いている筆者が、多宇宙理論について積極的観点から捉えた力作である。これはちょうど、「癌」を人間の大いなる夢、たとえば永遠の生命など、の実現に利用する積極的観点と同じものである。また、ウイルスを人間の大いなる夢、たとえば生物進化の加速など、の実現に利用する積極的観点と同じものである。この本を読み終えて量子力学を、現実の予測としてではなく、直感に基づく理解に挑戦した歴史に残る名著である。今後ぜひとも原文で読みたいものである。
2005年2月15日に日本でレビュー済み
「科学的でない」という言葉は非常に強い否定の表現として用いられることが多いですが、
しかし必ずしも科学が「真実」を意味するわけではありません。
「ニュートンの説明よりアインシュタインの説明のほうが優れている」とは言えますが、
「ニュートンは誤っていてアインシュタインは正しい」と言うわけにはいきません。
このように、「真実とは何か」また「ある理論を他の理論より優れたものとするのは何か」
というのがこの本の前半で論じられています。多世界解釈の本を既にいろいろ読んでいる
読者にとっては、この部分こそが本書のキモになると思います。
本書は論理学の詭弁に陥らず、あくまでプラグマティックにその点を考慮し結論を下しています。
たしかにくどい説明はありますが、そのぶん理解しにくい部分が少なくなっており、
どなたにもお薦めできます。
真に科学的でありたいとお思いでしたら、ぜひご一読ください。
しかし必ずしも科学が「真実」を意味するわけではありません。
「ニュートンの説明よりアインシュタインの説明のほうが優れている」とは言えますが、
「ニュートンは誤っていてアインシュタインは正しい」と言うわけにはいきません。
このように、「真実とは何か」また「ある理論を他の理論より優れたものとするのは何か」
というのがこの本の前半で論じられています。多世界解釈の本を既にいろいろ読んでいる
読者にとっては、この部分こそが本書のキモになると思います。
本書は論理学の詭弁に陥らず、あくまでプラグマティックにその点を考慮し結論を下しています。
たしかにくどい説明はありますが、そのぶん理解しにくい部分が少なくなっており、
どなたにもお薦めできます。
真に科学的でありたいとお思いでしたら、ぜひご一読ください。
2007年11月7日に日本でレビュー済み
「数学的経験」、「ゲーデル、エッシャー、バッハ」「利己的な遺伝子」などに比肩しうる、科学系書物の傑作です。
著者は一つのおおまかな仮説を提示しています。この仮説が将来的に
正しくないとわかってしまったとしても、一つの説としてとても魅力があり、世界の見方を変えさせられます。
ただ訳はよくないです。直訳なので意味不明の箇所が多すぎると思います。
著者は一つのおおまかな仮説を提示しています。この仮説が将来的に
正しくないとわかってしまったとしても、一つの説としてとても魅力があり、世界の見方を変えさせられます。
ただ訳はよくないです。直訳なので意味不明の箇所が多すぎると思います。
2002年3月5日に日本でレビュー済み
アインシュタインが相対性理論から統一理論を模索したのとは対照的に、量子論で世界のすべてを説明しようとする試み。
宇宙も時間も生命も進化も世界という織物を構成する織り糸の一つに過ぎないのだとし、平行宇宙により時間旅行さえあり得ることを指し示す。
読むものの価値観を揺さぶる圧倒的な力作である。
宇宙も時間も生命も進化も世界という織物を構成する織り糸の一つに過ぎないのだとし、平行宇宙により時間旅行さえあり得ることを指し示す。
読むものの価値観を揺さぶる圧倒的な力作である。