近畿・中部地方の諸街道を巡る今巻は、いつも以上に司馬遼太郎の歴史に関するウンチク話が炸裂。とりわけ「高野山みち」で取り上げられた仏教の諸流派に関する話はあまり知らなかったので新鮮だった。
でもやはり注目は、「男女の性交という宇宙的な感動や所作」が密教を理解するすべである、と説いたと言う真言立川流だろう。セックスこそが即身成仏の道、と言うのはいかがわし過ぎるけど、至極真面目な教義として成立していたのは驚くべきことだ。
真言立川流を取り上げたエロ作品としてすぐ思い浮かぶのは、わが愛するゲームブランドFOGの名作「久遠の絆」の18禁版怪作「久遠の絆-THE ORIGIN」である。元禄編であり得ないような身近な女性を妖しい教団に寝取られたのはかなり衝撃的だった。
まっとうな「久遠の絆」ファンには評判最悪の作品だけど、個人的にはメチャクチャで面白かったので今度レビューしようと思う。原作のヒロインである万葉、栞、沙夜、さらに天野先輩まで加えて全員とハダカでやりまくる「ハーレムエンド」なんて最高ではないか。「千年の恋」を貫いた純愛がテーマの原作とは180度違うかも知れないが。
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街道をゆく 9 (朝日文庫 し 1-10) 文庫 – 1979/2/1
司馬 遼太郎
(著)
- 本の長さ334ページ
- 言語日本語
- 出版社朝日新聞出版
- 発売日1979/2/1
- ISBN-104022601795
- ISBN-13978-4022601797
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登録情報
- 出版社 : 朝日新聞出版 (1979/2/1)
- 発売日 : 1979/2/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 334ページ
- ISBN-10 : 4022601795
- ISBN-13 : 978-4022601797
- Amazon 売れ筋ランキング: - 716,908位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,537位日本文学(日記・書簡)
- - 1,811位朝日文庫
- カスタマーレビュー:
著者について
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1923年大阪市生まれ。大阪外国語学校蒙古語部卒。「ペルシャの幻術師」で講談倶楽部賞、『梟の城』で直木賞を受賞。『竜馬がゆく』『国盗り物語』『坂 の上の雲』『空海の風景』『翔ぶが如く』など構想の雄大さ、自在で明晰な視座による作品を多数発表。この他『街道をゆく』『風塵抄』『この国のかたち』な どの紀行、エッセイも多数。’96年逝去(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 司馬遼太郎と寺社を歩く (ISBN-13: 978-4334747213)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年4月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
潟のみち、播州揖保川・室津みち、高野山みち、信州佐久平みち
渟足柵と亀田郷/佐久間象山の詩/「郷」というもの/潟の中の小さな幕府/鳥屋野潟風景/滄桑の変/木崎村今昔/七十五年の藤/人の世のこと/山中の廃村/小さな隠れ里/播州門徒/底つ磐根/鶏籠山/樽と琴の音/七曲り/古き塚の狐/花のこども/岬の古社/一文不知/真田庵/政所・慈尊院/高野聖/森の青蛙/谷々の聖たち/沙羅双樹/しなの木と坂/上田の六文銭/捨聖一遍/山寺の中の浮世絵/千曲川点景/小波だつ川瀬/延喜式の御牧/望月の御牧
週刊朝日1976年1月30日〜10月15日に連載
潟の道
日本の穀倉地帯である、新潟とくに亀田町(現在は新潟市亀田区)の米作の歴史である
北に阿賀野川、南に信濃川に挟まれた洲の地形で、その標高は海水面より1mも低いたまり水(湛水)の地であった
農民は胸まで水につかりながら、苗を植え、水底からすくった泥を田んぼに入れて灌漑の策としていたが
あまりにもその労は微力であり、現在の穀倉地帯となるには、大規模排水ポンプが必要であったという
土地改良区という行政区域とはことなる農政区域がこの圃場整備には欠かせなかったが、高度経済成長期には土地売買によって苦労して整備した圃場が切り売りされ、このころから日本の農業の衰退がはじまったといってよい
播州揖保川・室津みち
兵庫の西端、日本最古の港である室津まで、揖斐川上流から下る旅
赤とんぼの作詞者である三木露風に絡めたり、須田画伯の花談議もあり、いつもより語りが多い
高野山みち
ここで空海を語らない手はあるまい
それとともに高野聖など、聖のつく存在が本来の僧ではないことを知る 乞食僧であり物乞いをする勧進である
最澄が求めきれなかった密教について語り、理趣経を主とする真言立川流に至ると、もはやこれは旅紀行ではなくなる 既読の「空海の風景」を思い出させるには十分である
信州佐久平みち
佐久総合に入院している友人を見舞うという趣旨ではあるが
名古屋から中央西線経由で長野へ 長野から上田をへて 千曲川に沿って佐久の臼田の病院へ
真田幸村の話に始まり、別所温泉の起源を高野山との絡みで話す
別所とは本寺には官僧がいるが、聖などの私度僧が住む場所を言うと
そして馬産の盛んな地域であったことも知る 牧や御牧などの地名 中山道の地名に由来する豪族たちについても語っている
北国街道をたどりながら軽井沢をかすって臼田に至るが、歴史記述が半分以上を占める旅である
街道をゆくは、旅紀行ではなく歴史紀行である
時として思い込みの激しい歴史観もあるが、それでも夢中になってしまうのが司馬作品であろう
渟足柵と亀田郷/佐久間象山の詩/「郷」というもの/潟の中の小さな幕府/鳥屋野潟風景/滄桑の変/木崎村今昔/七十五年の藤/人の世のこと/山中の廃村/小さな隠れ里/播州門徒/底つ磐根/鶏籠山/樽と琴の音/七曲り/古き塚の狐/花のこども/岬の古社/一文不知/真田庵/政所・慈尊院/高野聖/森の青蛙/谷々の聖たち/沙羅双樹/しなの木と坂/上田の六文銭/捨聖一遍/山寺の中の浮世絵/千曲川点景/小波だつ川瀬/延喜式の御牧/望月の御牧
週刊朝日1976年1月30日〜10月15日に連載
潟の道
日本の穀倉地帯である、新潟とくに亀田町(現在は新潟市亀田区)の米作の歴史である
北に阿賀野川、南に信濃川に挟まれた洲の地形で、その標高は海水面より1mも低いたまり水(湛水)の地であった
農民は胸まで水につかりながら、苗を植え、水底からすくった泥を田んぼに入れて灌漑の策としていたが
あまりにもその労は微力であり、現在の穀倉地帯となるには、大規模排水ポンプが必要であったという
土地改良区という行政区域とはことなる農政区域がこの圃場整備には欠かせなかったが、高度経済成長期には土地売買によって苦労して整備した圃場が切り売りされ、このころから日本の農業の衰退がはじまったといってよい
播州揖保川・室津みち
兵庫の西端、日本最古の港である室津まで、揖斐川上流から下る旅
赤とんぼの作詞者である三木露風に絡めたり、須田画伯の花談議もあり、いつもより語りが多い
高野山みち
ここで空海を語らない手はあるまい
それとともに高野聖など、聖のつく存在が本来の僧ではないことを知る 乞食僧であり物乞いをする勧進である
最澄が求めきれなかった密教について語り、理趣経を主とする真言立川流に至ると、もはやこれは旅紀行ではなくなる 既読の「空海の風景」を思い出させるには十分である
信州佐久平みち
佐久総合に入院している友人を見舞うという趣旨ではあるが
名古屋から中央西線経由で長野へ 長野から上田をへて 千曲川に沿って佐久の臼田の病院へ
真田幸村の話に始まり、別所温泉の起源を高野山との絡みで話す
別所とは本寺には官僧がいるが、聖などの私度僧が住む場所を言うと
そして馬産の盛んな地域であったことも知る 牧や御牧などの地名 中山道の地名に由来する豪族たちについても語っている
北国街道をたどりながら軽井沢をかすって臼田に至るが、歴史記述が半分以上を占める旅である
街道をゆくは、旅紀行ではなく歴史紀行である
時として思い込みの激しい歴史観もあるが、それでも夢中になってしまうのが司馬作品であろう
2017年8月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
・一向宗の四大勢力は加賀、三河、播州、安芸。播州門徒が、国衆の織田から毛利への追随の背景
・念仏と空海を勝手に結びつけた高野聖の諸国行脚が、空海の世俗化・神格化に。
表題ほか高野山などを司馬さんぽ。
・念仏と空海を勝手に結びつけた高野聖の諸国行脚が、空海の世俗化・神格化に。
表題ほか高野山などを司馬さんぽ。
2007年8月17日に日本でレビュー済み
実は司馬さんの本を読むのは、この9巻がはじめてでした。
扱っている地域の様子が丁寧に描写されており、同じ景色でも本書を読むのと読まないのとでは見方が変わってくるなと思いました。これから、違う巻も少しずつ読んでいきたいと思います。
もし司馬さんの本を読んだことがなければ、まず自分にとって最も身近な地域を扱っている巻を読んでみるといいかもしれません。普段あまり意識しなかった景色や地域の歴史などを違った視点から見ることができていいかもしれません。
扱っている地域の様子が丁寧に描写されており、同じ景色でも本書を読むのと読まないのとでは見方が変わってくるなと思いました。これから、違う巻も少しずつ読んでいきたいと思います。
もし司馬さんの本を読んだことがなければ、まず自分にとって最も身近な地域を扱っている巻を読んでみるといいかもしれません。普段あまり意識しなかった景色や地域の歴史などを違った視点から見ることができていいかもしれません。
2015年3月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
街道をゆく(9)
やや紙が色焼けして汚れもあるが、まったく問題ない。
やや紙が色焼けして汚れもあるが、まったく問題ない。
2014年4月10日に日本でレビュー済み
断続的に順不同で読んできているこのシリーズです。やはり訪れたことのない場所やあまりにも有名でない場所はどうしてもとっつきにくい印象を与えます。なかなかページが進まないのです。そういう意味では、播州揖保川の部分がそうでした。もっとも最後の「室津」の部分はその最期の華やぎを含む変貌と歴史からの退場を長いパースペクティヴの中で見事にまとめていますが。
またここまで読み進めてくると著者の強烈な問題関心もある程度明らかにされてきます。それは日本の土地制度なのです。著者は日本人の土地への執着の背景を稲作に求めていきます。たびたび土地に関する公意識の欠如を弾劾する著者ですが、それには明治以降の貨幣経済の浸透それに戦後の工業化も大きな役割を果たしていたようです。これほどの社会変動と人口移動がこれほど短い期間に行われれば、それは社会に大きな亀裂を引き出すことは不可避のようです。
この大きな変貌がある程度終了した1970年代以降の断面を描いたのが「街道を行く」シリーズだったようです。この変動の真っただ中でその少年期を過ごしたものにとっては、このシリーズ特にその初期の部分は何とも違和感を与えたのは当然だったのかもしれません。このシリーズは、おそらく1970年代中期の壮年以上の世代をターゲットとしたものだったのでしょう。
後半では、高野山と信州佐久平が取り上げられます。高野山の部分では、著者のもう一つの関心である日本における宗教の発達とその展開が取り上げられます。そこで「聖」が果たした役割は初耳でした。信州の部分は、関西出身の著者にとってはいわゆる「辺境」中の「辺境」なのでしょうか、その土地を巡り歩き最低限の知識を得ることに費やされたようです。個人的にはもう少し深堀してほしかったという思いが残りますが。また信州人の気質なるものが何回か言及され、そこに現れた商業主義の徴が弾劾されます。でも工業化が終了して過疎と集中化が進む現代の地方ではもはやこの商業主義すら維持できない時代が来るのかもしれません。
またここまで読み進めてくると著者の強烈な問題関心もある程度明らかにされてきます。それは日本の土地制度なのです。著者は日本人の土地への執着の背景を稲作に求めていきます。たびたび土地に関する公意識の欠如を弾劾する著者ですが、それには明治以降の貨幣経済の浸透それに戦後の工業化も大きな役割を果たしていたようです。これほどの社会変動と人口移動がこれほど短い期間に行われれば、それは社会に大きな亀裂を引き出すことは不可避のようです。
この大きな変貌がある程度終了した1970年代以降の断面を描いたのが「街道を行く」シリーズだったようです。この変動の真っただ中でその少年期を過ごしたものにとっては、このシリーズ特にその初期の部分は何とも違和感を与えたのは当然だったのかもしれません。このシリーズは、おそらく1970年代中期の壮年以上の世代をターゲットとしたものだったのでしょう。
後半では、高野山と信州佐久平が取り上げられます。高野山の部分では、著者のもう一つの関心である日本における宗教の発達とその展開が取り上げられます。そこで「聖」が果たした役割は初耳でした。信州の部分は、関西出身の著者にとってはいわゆる「辺境」中の「辺境」なのでしょうか、その土地を巡り歩き最低限の知識を得ることに費やされたようです。個人的にはもう少し深堀してほしかったという思いが残りますが。また信州人の気質なるものが何回か言及され、そこに現れた商業主義の徴が弾劾されます。でも工業化が終了して過疎と集中化が進む現代の地方ではもはやこの商業主義すら維持できない時代が来るのかもしれません。
2012年4月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この読み物の2つ目の魅力であった須田画伯の挿絵が無い。
このシリーズ初版発行時の文庫本を何冊か持っているが、こちらは字が大きいという事で購入しました。
しかし、やはりあれが無いとイメージ減点です。
このシリーズ初版発行時の文庫本を何冊か持っているが、こちらは字が大きいという事で購入しました。
しかし、やはりあれが無いとイメージ減点です。
2015年9月3日に日本でレビュー済み
朝日文庫/司馬遼太郎=著『街道をゆく 9』のレビュー。
「潟のみち」「播州揖保川・室津みち」「高野山みち」「信州佐久平みち」を収録。
当レビュー投稿時点で、俺は新潟県を訪れたことがない。
新潟市付近の地図には「潟」の文字のついた地名が多いらしい。
司馬も「潟」という文字で、様々な想像をめぐらしている。
高野山も行ってみたいと思いながら未踏の地だ。
したがって、このような旅行記で、せめて頭の中だけで楽しむしかない。
真田昌幸・幸村親子が配流された九度山や、高野山の金剛峯寺。
『城塞』『尻啖え孫市』『空海の風景』など、司馬には紀伊半島に関連する作品も多い。
いつかは訪れてみたいなぁ。
「潟のみち」「播州揖保川・室津みち」「高野山みち」「信州佐久平みち」を収録。
当レビュー投稿時点で、俺は新潟県を訪れたことがない。
新潟市付近の地図には「潟」の文字のついた地名が多いらしい。
司馬も「潟」という文字で、様々な想像をめぐらしている。
高野山も行ってみたいと思いながら未踏の地だ。
したがって、このような旅行記で、せめて頭の中だけで楽しむしかない。
真田昌幸・幸村親子が配流された九度山や、高野山の金剛峯寺。
『城塞』『尻啖え孫市』『空海の風景』など、司馬には紀伊半島に関連する作品も多い。
いつかは訪れてみたいなぁ。